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公開番号
2025075167
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-15
出願番号
2023186149
出願日
2023-10-31
発明の名称
金属溶解方法
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類
C21C
5/52 20060101AFI20250508BHJP(鉄冶金)
要約
【課題】溶鉄よりも密度が小さく、湯面に浮上している溶解原料を、より効率よく短時間で溶解させることが可能な金属溶解方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る金属溶解方法は、3本の上部電極と、炉体の側面または上面に設けられた原料投入管と、を備える交流電気炉における金属溶解方法であって、上記原料投入管より、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を天井から投入する工程と、上記溶解原料を炉内に連続的に供給しながらアークを熱源として上記溶解原料を溶解する工程と、上記溶鉄の湯面において、湯面に対して水平方向の回転流れ場を形成する工程と、上記回転流れ場によって、湯面に浮遊している上記溶解原料に向心力を作用させ、上記溶解原料を炉内の高温領域に移動させる工程と、を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
3本の上部電極と、炉体の側面または上面に設けられた原料投入管と、を備える交流電気炉における金属溶解方法であって、
前記原料投入管より、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を天井から投入する工程と、
前記溶解原料を炉内に連続的に供給しながらアークを熱源として前記溶解原料を溶解する工程と、
前記溶鉄の湯面において、湯面に対して水平方向の回転流れ場を形成する工程と、
前記回転流れ場によって、湯面に浮遊している前記溶解原料に向心力を作用させ、前記溶解原料を炉内の高温領域に移動させる工程と、
を含む金属溶解方法。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記回転流れ場において、前記溶鉄の流速が最大となる位置が、炉中心から1.0m以上2.5m以下の範囲内の位置である、
請求項1に記載の金属溶解方法。
【請求項3】
アーク長L(m)、前記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と前記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(i)、(ii)、(iii)を満たす、
請求項2に記載の金属溶解方法。
R≧(V
0
+2.65L-1.56)/0.4+RC-0.8 ・・・(i)
R≧(V
0
-2.0L-0.4)/1.48+RC-0.8 ・・・(ii)
0.4≦L≦0.6 ・・・(iii)
【請求項4】
アーク長L(m)、前記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と前記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(v)、(vi)を満たす、
請求項3に記載の金属溶解方法。
R≧(V
0
+2.0L-0.95)/0.4+RC-0.8 ・・・(v)
R≧(V
0
-2.0L+1.37)/0.94+RC-0.8 ・・・(vi)
【請求項5】
アーク長L(m)、前記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と前記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(vii)を満たす、
請求項4に記載の金属溶解方法。
R≦(V
0
+1.01L+2.38)/1.8+RC-0.8 ・・・(vii)
【請求項6】
アーク長L(m)、前記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と前記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(iv)を満たす、
請求項2に記載の金属溶解方法。
R≦(V
0
+1.7L+0.88)/1.1+RC-0.8 ・・・(iv)
【請求項7】
前記交流電気炉は、炉底下面に電磁攪拌装置が2台設けられ、
前記回転流れ場は、2台の前記電磁攪拌装置が発生させた、互いに反対側の方向に前記溶鉄に作用する電磁力によって形成された、
請求項1~6のいずれか1項に記載の金属溶解方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属溶解方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
高炉法で製造される鉄源は、鉄鉱石をコークスで還元して製造するため、CO
2
発生量が多い。CO
2
発生量削減を図る手段として、電気炉で鉄スクラップやDRI(Direct Reduced Iron)等を溶解して溶銑を製造し、既存の転炉を中心とする製鋼プロセスを利用して溶鉄を製造する方法がある。溶解は、電気炉内に設けられた上部電極から溶鉄の表面にかけて生じるアークによって行われる。
【0003】
電気炉は、直流電気炉と交流電気炉に大別される。直流電気炉では、溶鉄中を大電流が湯面から炉底に流れることにより発生する電磁力によって、溶鉄が積極的に攪拌されることが知られている。これに対して、交流電気炉では、主に溶鉄の湯面付近を電流が流れるため、直流電気炉の場合に比べて電磁力による溶鉄の攪拌が小さいことが知られている。この対策として、特許文献1には、電気アーク炉底部の下に電磁攪拌機が設けられることによって、炉内の溶融金属の攪拌がもたらされる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2020-505579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直接還元鉄は、鉄鉱石を水素などの還元性のガスにより、鉄鉱石または鉄鉱石ペレットを直接還元したものであり、DRIと呼ばれる。また、還元処理後のDRIを熱間で圧縮成形したものは、HBI(Hot Briquetted Iron)と呼ばれる。DRIの見掛け密度は3500kg/m
3
程度であり、HBIの見掛け密度は5000から5500kg/m
3
程度である。溶鉄の密度は7000kg/m
3
程度であるため、DRIおよびHBIのいずれも溶鉄より密度が小さく、湯面に浮上する。
【0006】
特許文献1において開示された技術では、電磁攪拌機によって攪拌された溶鉄の流れによって、DRIおよびHBIは高温領域である上部電極の直下ではなく、比較的低温である炉壁に移動しやすくなる。そのため、DRIおよびHBIの溶解効率が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、電極を3本用いる大型の電気炉の場合において、溶鉄よりも密度が小さく、湯面に浮上している溶解原料を、より効率よく短時間で溶解させることが可能な金属溶解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]3本の上部電極と、炉体の側面または上面に設けられた原料投入管と、を備える交流電気炉における金属溶解方法であって、上記原料投入管より、溶鉄よりも密度が小さい溶解原料を天井から投入する工程と、上記溶解原料を炉内に連続的に供給しながらアークを熱源として上記溶解原料を溶解する工程と、上記溶鉄の湯面において、湯面に対して水平方向の回転流れ場を形成する工程と、上記回転流れ場によって、湯面に浮遊している上記溶解原料に向心力を作用させ、上記溶解原料を炉内の高温領域に移動させる工程と、を含む金属溶解方法。
[2]上記回転流れ場において、上記溶鉄の流速が最大となる位置が、炉中心から1.0m以上2.5m以下の範囲内の位置である、[1]に記載の金属溶解方法。
[3]アーク長L(m)、上記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と上記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(i)、(ii)、(iii)を満たす、[2]に記載の金属溶解方法。
R≧(V
0
+2.65L-1.56)/0.4+RC-0.8 ・・・(i)
R≧(V
0
-2.0L-0.4)/1.48+RC-0.8 ・・・(ii)
0.4≦L≦0.6 ・・・(iii)
[4]アーク長L(m)、上記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と上記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(v)、(vi)を満たす、[3]に記載の金属溶解方法。
R≧(V
0
+2.0L-0.95)/0.4+RC-0.8 ・・・(v)
R≧(V
0
-2.0L+1.37)/0.94+RC-0.8 ・・・(vi)
[5]アーク長L(m)、上記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と上記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(vii)を満たす、[4]に記載の金属溶解方法。
R≦(V
0
+1.01L+2.38)/1.8+RC-0.8 ・・・(vii)
[6]アーク長L(m)、上記溶鉄の流速の最大値V
0
(m/s)、炉中心と上記上部電極の中心との距離RC(m)が、以下の関係式(iv)を満たす、[2]に記載の金属溶解方法。
R≦(V
0
+1.7L+0.88)/1.1+RC-0.8 ・・・(iv)
[7]上記交流電気炉は、炉底下面に電磁攪拌装置が2台設けられ、上記回転流れ場は、2台の上記電磁攪拌装置が発生させた、互いに反対側の方向に上記溶鉄に作用する電磁力によって形成された、[1]~[6]のいずれか1項に記載の金属溶解方法。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、溶鉄よりも密度が小さく、湯面に浮上しているHBI等の溶解原料が素早く高温領域に到達するため、これらの溶解原料をより効率よく短時間で溶解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一実施形態に係る交流電気炉の断面図である。
図1に示した交流電気炉のII-II線断面図である。
比較例に係る交流電気炉において、炉底下面に電磁攪拌装置を設けた場合の模式図である。
図3に示す交流電気炉のIV-IV線断面図である。
流体解析における溶鉄の流速の分布の条件を示すグラフである。
炉内に投入されたHBIの軌跡の計算結果の例を示す図である。
炉内に投入されたHBIの位置および速度の経時変化を示すグラフである。
溶鉄の流速のピーク位置を変化させたときの、炉中心とHBIの投入位置との間の距離と、HBIを所定の時間内に高温領域に到達するのに必要な溶鉄の最低流速を解析したグラフである。
溶鉄の流速のピーク位置を変化させたときの、炉中心とHBIの投入位置との間の距離と、HBIが所定の期間高温領域に滞留するのに必要な最低流速を解析したグラフである。
HBIが投入後40秒以内に高温領域に入り、さらに40秒以上滞留する条件を評価したグラフである。
HBIが投入後20秒以内に高温領域に入り、さらに60秒以上滞留する条件を評価したグラフである。
炉中心とHBIの投入位置との間の距離が1550mm以下の場合における、炉中心とHBIの投入位置との間の距離と溶鉄の流速との関係を示すグラフである。
アーク長を変化させた場合の炉中心とHBIの投入位置との間の距離と溶鉄の流速との関係を示すグラフである。
アーク長と、式(5)および式(6)の切片との関係を示すグラフである。
アーク長が400mmから600mmの間で変化した場合における、炉中心とHBIの投入位置との間の距離と溶鉄の流速との関係を示すグラフである。
本実施形態における交流電気炉における、2基の電磁攪拌装置を設けた場合の炉底の模式図を示す。
2基の電磁攪拌装置によって発生する電磁場の解析を行った結果を示す図である。
電磁攪拌装置を設けた場合における溶鉄の湯面の流速分布を示す図である。
電磁攪拌装置の電流周波数を変化させた場合の溶鉄の流速の最大値と流速のピーク位置の変化を示すグラフである。
電磁攪拌装置の電流値を変化させた場合の溶鉄の流速の最大値と溶鉄の流速のピーク位置の変化を示すグラフである。
電磁攪拌装置の電流周波数と、炉中心とHBIの投入位置との間の距離について、式(5)から式(10)を適用した結果を示すグラフである。
電磁攪拌装置の電流値と、炉中心とHBIの投入位置との間の距離について、式(5)から式(10)を適用した結果を示すグラフである。
炉中心とHBIの投入位置との間の距離を1.7mとした場合の、HBIの軌跡を算出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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