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公開番号2025104135
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023222004
出願日2023-12-27
発明の名称鋼材、及び、ガス浸炭機械構造用部品
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250702BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】浸炭焼入れ時の熱処理ひずみを低減した鋼材を提供する。
【解決手段】本実施形態の鋼材は、質量%で、C:0.18~0.30%、Si:0.22~0.79%、Mn:0.85~1.85%、P:0.015%以下、S:0.025%以下、Cr:0.13~0.40%、Al:0.005~0.100%、N:0.0020~0.0300%、O:0.0015%以下、を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1A)、式(2)及び式(3)を満たす。
63.0<90.0×C+10.0×Si+30.0×Mn-10.0×Cr+2000.0×N (1A)
0.60<Si+Cr<1.17 (2)
Al/N≧2.00 (3)
ここで、式(1A)、式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の質量%での含有量が代入される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.18~0.30%、
Si:0.22~0.79%、
Mn:0.85~1.85%、
P:0.015%以下、
S:0.025%以下、
Cr:0.13~0.40%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.0020~0.0300%、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1A)、式(2)及び式(3)を満たす、
鋼材。
63.0<90.0×C+10.0×Si+30.0×Mn-10.0×Cr+2000.0×N (1A)
0.60<Si+Cr<1.17 (2)
Al/N≧2.00 (3)
ここで、式(1A)、式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の質量%での含有量が代入される。
続きを表示(約 2,800 文字)【請求項2】
質量%で、
C:0.18~0.30%、
Si:0.22~0.79%、
Mn:0.85~1.85%、
P:0.015%以下、
S:0.025%以下、
Cr:0.13~0.40%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.0020~0.0300%、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
さらに、第1群~第4群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1B)、式(2)及び式(3)を満たす、
鋼材。
[第1群]
Cu:0.40%以下、
Ni:0.30%以下、
Mo:0.35%以下、
B:0.0050%以下、及び、
Co:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
V:0.15%以下、
Nb:0.050%以下、
Ti:0.050%以下、及び、
W:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
Ca:0.0050%以下、及び、
Mg:0.005%以下、からなる群から選択される1種以上
[第4群]
Te:0.050%以下、
Bi:0.100%以下、
Pb:0.09%以下、
Sn:0.10%以下、及び、
Sb:0.05%以下、からなる群から選択される1種以上
63.0<90.0×C+10.0×Si+30.0×Mn-10.0×Cr-0.50×Mo+2000.0×[有効N] (1B)
0.60<Si+Cr<1.17 (2)
Al/N≧2.00 (3)
ここで、式(1B)、式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の質量%での含有量が代入され、元素が含有されていない場合、対応する元素記号には「0」が代入される。
さらに、式(1B)中の[有効N]は以下のとおり定義される。
Fn=N-Ti/3.40-B/0.77>0である場合:
[有効N]=N-Ti/3.40-B/0.77
Fn≦0である場合:
[有効N]=0
【請求項3】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第1群を含有する、
鋼材。
【請求項4】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第2群を含有する、
鋼材。
【請求項5】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第3群を含有する、
鋼材。
【請求項6】
請求項2に記載の鋼材であって、
前記第4群を含有する、
鋼材。
【請求項7】
硬化層と、
前記硬化層よりも内部の芯部と、を備え、
前記芯部の化学組成は、質量%で、
C:0.18~0.30%、
Si:0.22~0.79%、
Mn:0.85~1.85%、
P:0.015%以下、
S:0.025%以下、
Cr:0.13~0.40%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.0020~0.0300%、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1A)、式(2)及び式(3)を満たす、
ガス浸炭機械構造用部品。
63.0<90.0×C+10.0×Si+30.0×Mn-10.0×Cr+2000.0×N (1A)
0.60<Si+Cr<1.17 (2)
Al/N≧2.00 (3)
ここで、式(1A)、式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の質量%での含有量が代入される。
【請求項8】
硬化層と、
前記硬化層よりも内部の芯部と、を備え、
前記芯部の化学組成は、質量%で、
C:0.18~0.30%、
Si:0.22~0.79%、
Mn:0.85~1.85%、
P:0.015%以下、
S:0.025%以下、
Cr:0.13~0.40%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.0020~0.0300%、及び、
O:0.0015%以下、を含有し、
さらに、第1群~第4群からなる群から選択される1種以上を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
式(1B)、式(2)及び式(3)を満たす、
ガス浸炭機械構造用部品。
[第1群]
Cu:0.40%以下、
Ni:0.30%以下、
Mo:0.35%以下、
B:0.0050%以下、及び、
Co:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第2群]
V:0.15%以下、
Nb:0.050%以下、
Ti:0.050%以下、及び、
W:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上
[第3群]
Ca:0.0050%以下、及び、
Mg:0.005%以下、からなる群から選択される1種以上
[第4群]
Te:0.050%以下、
Bi:0.100%以下、
Pb:0.09%以下、
Sn:0.10%以下、及び、
Sb:0.05%以下、からなる群から選択される1種以上
63.0<90.0×C+10.0×Si+30.0×Mn-10.0×Cr-0.50×Mo+2000.0×[有効N] (1B)
0.60<Si+Cr<1.17 (2)
Al/N≧2.00 (3)
ここで、式(1B)、式(2)及び式(3)中の各元素記号には、対応する元素の質量%での含有量が代入され、元素が含有されていない場合、対応する元素記号には「0」が代入される。
さらに、式(1B)中の[有効N]は以下のとおり定義される。
Fn=N-Ti/3.40-B/0.77>0である場合:
[有効N]=N-Ti/3.40-B/0.77
Fn≦0である場合:
[有効N]=0
【請求項9】
請求項8に記載のガス浸炭機械構造用部品であって、
前記第1群を含有する、
ガス浸炭機械構造用部品。
【請求項10】
請求項8に記載のガス浸炭機械構造用部品であって、
前記第2群を含有する、
ガス浸炭機械構造用部品。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス浸炭処理を実施して製造される機械構造用部品である、ガス浸炭機械構造用部品の素材に適した鋼材、及び、ガス浸炭機械構造用部品に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
自動車、建設車両、鉱山機械等には、機械構造用部品が用いられる。機械構造用部品は例えば、ギヤ、シャフト、歯車等である。機械構造用部品の素材として、JIS G 4053(2016)に規定されたSCr420、SCM420、SNCM420に代表される機械構造用合金鋼鋼材が利用される。
【0003】
これらの鋼材を素材とした機械構造用部品は、例えば、次の製造工程で製造される。素材である鋼材に対して熱間加工(熱間鍛造)を実施して、その後、必要に応じて切削加工を実施し、所望の形状の中間品を製造する。中間品に対して、熱処理(焼入れ及び焼戻し、浸炭処理、又は、浸炭窒化処理等)を実施して、中間品の硬さ及びミクロ組織を調整する。以上の製造工程により、機械構造用部品が製造される。
【0004】
上述のとおり、機械構造用部品の製造工程中において、鋼材に対して切削加工が実施される場合がある。したがって、機械構造用部品の素材となる鋼材には、高い被削性が求められる。
【0005】
近年、自動車等の電動化に伴い、機械構造用部品の軽量化及び小型化が進んでいる。そのため、機械構造用部品には、優れた曲げ疲労強度が求められる。
【0006】
機械構造用部品の曲げ疲労強度を高める技術として、ガス浸炭処理及びガス浸炭窒化処理が知られている。ガス浸炭処理及びガス浸炭窒化処理では、機械構造用部品の表層に硬化層(浸炭層又は浸炭窒化層)が形成される。この硬化層により、機械構造用部品の曲げ疲労強度が高まる。以降の説明では、ガス浸炭処理が施された機械構造用部品を、ガス浸炭機械構造用部品ともいう。
【0007】
ところで、ガス浸炭処理(ガス浸炭処理及びガス浸炭窒化処理)を実施した場合、ガス浸炭機械構造用部品が変形しやすい。本明細書では、ガス浸炭処理時に熱の影響によりガス浸炭機械構造用部品に発生する変形を、熱処理ひずみという。熱処理ひずみにより、ガス浸炭機械構造用部品の形状がひずむ。ガス浸炭機械構造用部品の形状のひずみは、自動車等の運転時の騒音及び振動を引き起こす。
【0008】
内燃機関を動力源とする従来の自動車等の場合、内燃機関が発する音の方が、ギヤ、歯車、シャフト等の機械構造用部品が発する音よりも大きかった。そのため、機械構造用部品の音は注目されていなかった。しかしながら、近年の自動車等の電動化により、動力源から発する音は大きく低減され、その結果、ギヤ等の機械構造用部品の発する音が目立つようになってきている。そこで、最近では、ガス浸炭処理を実施した場合に、熱処理ひずみを抑制できる鋼材が求められている。
【0009】
熱処理ひずみの抑制に関する技術が、国際公開第2014/038548号(特許文献1)に提案されている。
【0010】
特許文献1に開示された鋼材は、質量%で、C:0.20~0.30%、Si:0.10~1.50%、Mn:0.10~1.20%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.30~2.50%、Cu:0.30%以下、Al:0.008~0.300%、O:0.0030%以下、N:0.0020~0.0300%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる。この鋼材では、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)が460℃以下である。さらに、ジョミニー式一端焼入法により測定される鋼材の焼入端からの距離が1.5mmの位置での硬さをJ1.5と定義し、焼入れ端からの距離が9mmの位置での硬さをJ9と定義し、焼入れ端からの距離が11mmの位置での硬さをJ11と定義したとき、(J9/J1.5)が0.70~0.85であり、(J11/J1.5)が0.67~0.78である。この鋼材では、Ms点が低く設定され、かつ、硬さが所定の範囲に調整される。これにより、鋼材の熱処理変形が抑制される、と特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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