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公開番号2025107970
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-22
出願番号2024195842
出願日2024-11-08
発明の名称プライマーセットの設計方法、プライマーセット、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法、プライマーセットの設計装置、コンピュータプログラム、および記憶媒体
出願人株式会社豊田中央研究所
代理人個人,個人
主分類C12Q 1/6888 20180101AFI20250714BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】断片化されたサンプルを利用可能な共通性の高いプライマーにより、ミトコンドリアDNAの全塩基配列決定の工程を簡素化する。
【解決手段】特定の生物分類に属する複数の生物種の既知のミトコンドリアDNAの全長配列を取得し、取得したミトコンドリアDNAの全長配列をアラインメントして保存領域を抽出し、抽出した各々の保存領域の塩基配列からプライマー候補配列を設定し、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする3種以上6種以下の断片が得られると共に、隣接する断片との重複領域の長さとして所望の長さが得られるプライマー候補配列の組み合わせを、プライマーセット候補として特定し、プライマーセット候補のうちの少なくともいずれか1つを前記プライマーセットとして選定する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットの設計方法であって、
特定の生物分類に属する複数の生物種の既知のミトコンドリアDNAの全長配列を取得し、
取得した前記ミトコンドリアDNAの全長配列をアラインメントして、前記ミトコンドリアDNAの全長配列から、塩基の保存度の高さを示す基準として予め定めた基準を満たす領域である保存領域を抽出し、
抽出した各々の前記保存領域の塩基配列を用いて、プライマー候補配列を設定し、
前記プライマー候補配列を組み合わせてプライマーセットとして用いてミトコンドリアDNAを増幅させたときに、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする3種以上6種以下の断片が得られると共に、隣接する断片との重複領域の長さとして所望の長さが得られるプライマー候補配列の組み合わせを、プライマーセット候補として特定し、
前記プライマーセット候補のうちの少なくともいずれか1つを前記プライマーセットとして選定する
プライマーセットの設計方法。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
請求項1に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記特定の生物分類は、生物の分類階級の綱、または綱よりも下位の分類階級である
プライマーセットの設計方法。
【請求項3】
請求項2に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記特定の生物分類は、哺乳綱または鳥綱である
プライマーセットの設計方法。
【請求項4】
請求項1に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記重複領域の長さが500塩基以上、4000塩基以下となるように、前記プライマーセット候補を特定する
プライマーセットの設計方法。
【請求項5】
請求項4に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記重複領域の長さが500塩基以上、3000塩基以下となるように、前記プライマーセット候補を特定する
プライマーセットの設計方法。
【請求項6】
請求項1に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記プライマーセットを用いてミトコンドリアDNAを増幅させたときに、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする4つの断片が得られるように、前記プライマーセットを特定する
プライマーセットの設計方法。
【請求項7】
請求項1に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記プライマーセット候補を構成する一対のプライマーからなるプライマーペアの各々を用いて、前記特定の生物分類に属する生物由来のDNAを鋳型としてミトコンドリアDNA断片を実験的に増幅させ、
増幅の結果に基づいて、所望のミトコンドリアDNA断片が得られたと判断されるプライマーペアによって構成されるように、前記プライマーセット候補から前記プライマーセットを選定する
プライマーセットの設計方法。
【請求項8】
請求項1に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記プライマー候補配列の設定は、
各々の前記保存領域の中でも、塩基の保存度が比較的高い部位の塩基配列である高保存度配列を特定し、
前記特定の生物分類に属する生物種のミトコンドリアDNAの配列に対する前記高保存度配列の配列特異性の高さを表す第1のパラメータが、予め定めた第1の基準値以上であって、前記特定の生物分類に属さない生物種のミトコンドリアDNAの配列に対する前記高保存度配列の配列特異性の高さを表す第2のパラメータが、第1の基準値よりも小さい値として予め定めた第2の基準値以下である配列を、前記プライマー候補配列とすることにより行う
プライマーセットの設計方法。
【請求項9】
請求項8に記載のプライマーセットの設計方法であって、
前記第1のパラメータは、前記特定の生物分類に属する前記複数の生物種のミトコンドリアDNAの全長配列に対して、前記高保存度配列をアラインメントしたときの、ミスマッチの塩基の数が1個以下である生物種の数の、前記特定の生物分類に属する前記複数の生物種全体の数に対する割合であり、
前記第2のパラメータは、前記特定の生物分類に属さない複数の生物種のミトコンドリアDNAの全長配列に対して、前記高保存度配列をアラインメントしたときの、ミスマッチの塩基の数が1個以下である生物種の数の、前記特定の生物分類に属さない前記複数の生物種全体の数に対する割合であり、
前記第1の基準値は85%であり、
前記第2の基準値は15%である
プライマーセットの設計方法。
【請求項10】
ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットであって、
配列表の配列番号1および2の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第1プライマーペアと、
配列表の配列番号3および4の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第2プライマーペアと、
配列表の配列番号5および6の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第3プライマーペアと、
配列表の配列番号7および8の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第4プライマーペアと、
を備え、
各々の前記プライマーは、100塩基以下の長さを有する
プライマーセット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットの設計方法、プライマーセット、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法、プライマーセットの設計装置、コンピュータプログラム、および記憶媒体に関する。
続きを表示(約 9,500 文字)【背景技術】
【0002】
環境中に存在する生物種を調査あるいはモニタリングする方法として、環境中から生物由来核酸を回収し、回収した核酸を解析して、この核酸が由来する生物種を特定する方法が挙げられる。生物由来核酸とは、生物の遺伝情報を含み、生物から環境中へと放出された核酸であり、環境DNA等の環境中に存在する核酸に含まれる。このような環境DNAを分析する方法として、既知のミトコンドリアDNAの塩基配列をリファレンス配列として用いて、環境中から採取したミトコンドリアDNAが由来する生物種を特定する方法が知られている。そして、ミトコンドリアDNAの塩基配列をリファレンス配列として環境DNAを分析するためには、種々の生物のミトコンドリアDNAの配列情報がデータベースに登録されている必要がある。このとき、分析の精度を高めるためには、より多くの生物種のミトコンドリアDNAの全塩基配列がデータベースに蓄積されて、データベースが充実されることが望ましい。
【0003】
データベースの充実化のために、ミトコンドリアDNAの全塩基配列と生物種とを紐付けた情報の取得を、幅広い生物種について効率よく行うためには、例えば、以下のような条件を満たすことが望まれる。すなわち、第1の条件として、ミトコンドリアDNA配列を取得するためのプライマーとして、ある程度広い範囲の生物種に共通して適用可能なプライマーを用いることによって、プライマーの設計に要する負荷を低減することが望ましい。第2の条件として、ミトコンドリアDNAを含む環境DNAの質が比較的低く、環状ではなくある程度断片化されたミトコンドリアDNAを解析対象として用いる場合であっても、塩基配列の解析を行うことができることが望ましい。第3の条件として、ミトコンドリアDNAの全塩基配列の構築を、できるだけ少ない工数で簡便に実行できることが望ましい。
【0004】
ミトコンドリアDNAの全塩基配列を取得する方法としては、例えば、特許文献1においては、ヒト用に設計された既知の24組のプライマー対を用いて、比較的短いヒトミトコンドリアゲノム断片を増幅し、ミトコンドリアDNAの全長を決定する構成が開示されている。また非特許文献1においては、ミトコンドリアDNA全長を1組のプライマーを用いて1本の断片として増幅する方法が開示されており、非特許文献2および非特許文献3においては、ミトコンドリアDNA全長を2組のプライマーを用いて2本の断片として増幅する方法が開示されている。また、特許文献2には、ミトコンドリアDNAを含むゲノム全体の全DNA断片を増幅する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2004-508836号公報
特表2002-524090号公報
【非特許文献】
【0006】
Emser et al., "Extension of Mitogenome Enrichment Based on Single Long-Range PCR: mtENAs and Putative Mitochondrial-Derived Peptides of Five Rodent Hibernators", Front. Genet., 12 December 2021:685806
Kneubehl et al., "Amplification and sequencing of entire tick mitochondrial genomes for a phylogenomic analysis", Scientific Reports, 12: 19310, 2022
Karin et al., "Highly-multiplexed and efficient long-amplicon PacBio and Nanopore sequencing of hundreds of full mitochondrial genomes", BMC Genomics, 24:229, 2023
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、増幅すべきミトコンドリアゲノム断片の数に応じた比較的多数のプライマー配列を設計する必要があるため、幅広い生物種に適用できるプライマー配列を設計することが困難となり、上記第1の条件を満たし難いと考えられる。また、非特許文献1~3に記載の方法では、比較的長いDNA断片を増幅するために、断片化されていない環状のミトコンドリアDNAサンプルを用いる必要があるため、上記第2の条件を満たし難いと考えられる。また、特許文献2に記載の方法では、ゲノム全体の全DNA断片を増幅することによりミトコンドリアDNAも増幅されるが、ミトコンドリアDNA以外のDNAも増幅されるため、操作全体が煩雑化すると共にコストやデータ処理のための負荷が増大し、上記第3の条件を満たし難いと考えられる。そのため、ある程度広い生物種で利用可能な共通性の高いプライマーであって、ミトコンドリアDNAがある程度断片化されたサンプルであっても利用可能であって、ミトコンドリアDNAの全塩基配列決定の工程を簡素化できるプライマーを用いる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットの設計方法が提供される。このプライマーセットの設計方法は、特定の生物分類に属する複数の生物種の既知のミトコンドリアDNAの全長配列を取得し、取得した前記ミトコンドリアDNAの全長配列をアラインメントして、前記ミトコンドリアDNAの全長配列から、塩基の保存度の高さを示す基準として予め定めた基準を満たす領域である保存領域を抽出し、抽出した各々の前記保存領域の塩基配列を用いて、プライマー候補配列を設定し、前記プライマー候補配列を組み合わせてプライマーセットとして用いてミトコンドリアDNAを増幅させたときに、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする3種以上6種以下の断片が得られると共に、隣接する断片との重複領域の長さとして所望の長さが得られるプライマー候補配列の組み合わせを、プライマーセット候補として特定し、前記プライマーセット候補のうちの少なくともいずれか1つを前記プライマーセットとして選定する。
この形態のプライマーセットの設計方法によれば、「特定の生物分類」に属する生物種において保存度が高い塩基配列を有するプライマーセットであって、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする3種以上6種以下の断片が得られるプライマーセットが得られる。そのため、ある程度広い生物種で利用可能な共通性の高いプライマーとすることができる。また、3種以上6種以下の断片としてミトコンドリアDNAを増幅させることができるため、PCRの鋳型として用いるミトコンドリアDNAが、環状ではなく一部分解されていても、所望のDNA断片を増幅させることが可能になると共に、ロングリードシークエンサーによる塩基配列解析に適した長さのDNA断片を得ることができる。
(2)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記特定の生物分類は、生物の分類階級の綱、または綱よりも下位の分類階級であることとしてもよい。このような構成とすれば、綱、または綱よりも下位の分類階級に属する種々の生物について、共通するプライマーセットを用いて、簡素な工程によりミトコンドリアDNA全長配列を決定することが可能になる。
(3)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記特定の生物分類は、哺乳綱または鳥綱であることとしてもよい。このような構成とすれば、哺乳綱または鳥綱に属する種々の生物について、共通するプライマーセットを用いて、簡素な工程によりミトコンドリアDNA全長配列を決定することが可能になる。
(4)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記重複領域の長さが500塩基以上、4000塩基以下となるように、前記プライマーセット候補を特定することとしてもよい。このような構成とすれば、利用可能なプライマー配列をもれなく選定して妥当なプライマーセット候補を特定することができる可能性を高めることができる。
(5)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記重複領域の長さが500塩基以上、3000塩基以下となるように、前記プライマーセット候補を特定することとしてもよい。このような構成とすれば、増幅の鋳型として、共通する特定の生物分類に属するものの互いに異なる複数種類の生物由来のミトコンドリアDNAを含むサンプルを用いる場合であっても、重複領域における配列の違いに基づいて、増幅したDNA断片を生物種ごとに区別して、増幅したDNA断片の配列を生物種ごとに繋ぎ合わせることができる。
(6)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記プライマーセットを用いてミトコンドリアDNAを増幅させたときに、ミトコンドリアDNAの全長をカバーする4つの断片が得られるように、前記プライマーセットを特定することとしてもよい。このような構成とすれば、所望のDNA断片を増幅させてミトコンドリアDNA全長配列を決定する精度を高めることができる。
(7)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記プライマーセット候補を構成する一対のプライマーからなるプライマーペアの各々を用いて、前記特定の生物分類に属する生物由来のDNAを鋳型としてミトコンドリアDNA断片を実験的に増幅させ、増幅の結果に基づいて、所望のミトコンドリアDNA断片が得られたと判断されるプライマーペアによって構成されるように、前記プライマーセット候補から前記プライマーセットを選定することとしてもよい。このような構成とすれば、所望のDNA断片を増幅させてミトコンドリアDNA全長配列を決定する精度を高めることができる。
(8)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記プライマー候補配列の設定は、各々の前記保存領域の中でも、塩基の保存度が比較的高い部位の塩基配列である高保存度配列を特定し、前記特定の生物分類に属する生物種のミトコンドリアDNAの配列に対する前記高保存度配列の配列特異性の高さを表す第1のパラメータが、予め定めた第1の基準値以上であって、前記特定の生物分類に属さない生物種のミトコンドリアDNAの配列に対する前記高保存度配列の配列特異性の高さを表す第2のパラメータが、第1の基準値よりも小さい値として予め定めた第2の基準値以下である配列を、前記プライマー候補配列とすることにより行うこととしてもよい。このような構成とすれば、特定の生物分類に属する生物種に対するプライマーセットの特異性を、より高めることができる。
(9)上記形態のプライマーセットの設計方法において、前記第1のパラメータは、前記特定の生物分類に属する前記複数の生物種のミトコンドリアDNAの全長配列に対して、前記高保存度配列をアラインメントしたときの、ミスマッチの塩基の数が1個以下である生物種の数の、前記特定の生物分類に属する前記複数の生物種全体の数に対する割合であり、前記第2のパラメータは、前記特定の生物分類に属さない複数の生物種のミトコンドリアDNAの全長配列に対して、前記高保存度配列をアラインメントしたときの、ミスマッチの塩基の数が1個以下である生物種の数の、前記特定の生物分類に属さない前記複数の生物種全体の数に対する割合であり、前記第1の基準値は85%であり、前記第2の基準値は15%であることとしてもよい。このような構成とすれば、特定の生物分類に属する生物種に対するプライマーセットの特異性を、より高めることができる。
(10)本開示の他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットが提供される。このプライマーセットは、配列表の配列番号1および2の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第1プライマーペアと、配列表の配列番号3および4の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第2プライマーペアと、配列表の配列番号5および6の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第3プライマーペアと、配列表の配列番号7および8の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第4プライマーペアと、を備え、各々の前記プライマーは、100塩基以下の長さを有する。
この形態のプライマーセットによれば、哺乳綱に属する種々の生物種のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を、共通するプライマーセットを用いることにより決定することができる。
(11)本開示のさらに他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットが提供される。このプライマーセットは、配列表の配列番号9および10の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第1プライマーペアと、配列表の配列番号11および12の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第2プライマーペアと、配列表の配列番号13および14の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第3プライマーペアと、配列表の配列番号15および16の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第4プライマーペアと、を備え、各々の前記プライマーは、100塩基以下の長さを有する。
この形態のプライマーセットによれば、鳥綱に属する種々の生物種のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を、共通するプライマーセットを用いることにより決定することができる。
(12)本開示のさらに他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットが提供される。このプライマーセットは、配列表の配列番号130および131の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第1プライマーペアと、配列表の配列番号132および133の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第2プライマーペアと、配列表の配列番号134および135の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第3プライマーペアと、配列表の配列番号136および137の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第4プライマーペアと、を備え、各々の前記プライマーは、100塩基以下の長さを有する。
この形態のプライマーセットによれば、哺乳綱に属する種々の生物種のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を、共通するプライマーセットを用いることにより決定することができる。
(13)本開示のさらに他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットが提供される。このプライマーセットは、配列表の配列番号138および139の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第1プライマーペアと、配列表の配列番号140および141の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第2プライマーペアと、配列表の配列番号142および143の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第3プライマーペアと、配列表の配列番号144および145の各々の塩基配列を3'末端側に含む一対のプライマーからなる第4プライマーペアと、を備え、各々の前記プライマーは、100塩基以下の長さを有する。
この形態のプライマーセットによれば、鳥綱に属する種々の生物種のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を、共通するプライマーセットを用いることにより決定することができる。
(14)本開示のさらに他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法が提供される。このミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法は、ミトコンドリアDNAを含むDNAサンプルを用意し、前記DNAサンプルをテンプレートとして用いると共に、(1)から(9)までのいずれか一項に記載のプライマーセットの設計方法により設計したプライマーセットを用いて、DNA断片の増幅を行い、増幅した前記DNA断片の各々の塩基配列を解析し、各々の前記DNA断片の塩基配列を用いて、ミトコンドリアDNAの全長配列を構築する。
この形態のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法によれば、ミトコンドリアDNAの全長配列が未解読である種々の生物種におけるミトコンドリアDNAの全長配列の解読を、効率よく容易に行うことが可能になる。
(15)本開示のさらに他の一形態によれば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法が提供される。このミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法は、ミトコンドリアDNAを含むDNAサンプルを用意し、前記DNAサンプルをテンプレートとして用いると共に、(10)から(13)までのいずれか一項に記載のプライマーセットを用いて、DNA断片の増幅を行い、増幅した前記DNA断片の各々の塩基配列を解析し、各々の前記DNA断片の塩基配列を用いて、ミトコンドリアDNAの全長配列を構築する。
この形態のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法によれば、ミトコンドリアDNAの全長配列が未解読である種々の生物種におけるミトコンドリアDNAの全長配列の解読を、効率よく容易に行うことが可能になる。
(16)上記形態のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法において、前記DNAサンプルとして、複数種類の生物に由来するミトコンドリアDNAを含むサンプルを用意することとしてもよい。このような構成とすれば、複数種類の生物のミトコンドリアDNAの全長配列を決定する動作を簡素化することができる。
(17)上記形態のミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法において、前記DNAサンプルとして、ミトコンドリアDNAに加えて、ミトコンドリアDNAとは異なるゲノムDNAを含むサンプルを用意することとしてもよい。このような構成とすれば、より多様なサンプルを用いることができるため、ミトコンドリアDNAの全長配列を決定するための鋳型となるDNAを含むサンプルの選択の自由度を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットの設計装置、ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列を決定するためのプライマーセットの設計方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム、そのプログラムを記憶する記憶媒体、ミトコンドリアDNAの全塩基配列が登録されたデータベース、および、データベースを用いた環境DNAの分析方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
設計装置の構成を機能的に示すブロック図。
プライマーセットの設計方法を表すフローチャート。
プライマーセット候補の構成の1例を模式的に示す説明図。
哺乳綱用のプライマーセットの例を示す説明図。
鳥綱用のプライマーセットの例を示す説明図。
哺乳綱用のプライマーセットの例を示す説明図。
鳥綱用のプライマーセットの例を示す説明図。
ミトコンドリアDNAの全長の塩基配列決定方法を示すフローチャート。
哺乳綱について得られた「プライマー候補配列」を示す説明図。
鳥綱について得られた「プライマー候補配列」を示す説明図。
プライマー候補配列のマッチングの感度を調べた結果を示す説明図。
プライマー候補配列のマッチングの感度を調べた結果を示す説明図。
哺乳綱用のプライマーセットを用いて増幅した結果を示す説明図。
鳥綱用のプライマーセットを用いて増幅した結果を示す説明図。
構築した配列をデータベースに対して検索した結果を示す説明図。
構築した配列をデータベースに対して検索した結果を示す説明図。
構築した配列をデータベースに対して検索した結果を示す説明図。
保存度が最も高い鳥綱の「プライマーセット候補」を示す説明図。
図18のプライマーセット候補を用いて増幅した結果を示す説明図。
2種の断片が得られる哺乳綱用のプライマーセットを示す説明図。
3種の断片が得られる哺乳綱用のプライマーセットを示す説明図。
2種の断片用のプライマーセットで増幅した結果を示す説明図。
3種の断片用のプライマーセットで増幅した結果を示す説明図。
高保存度配列について絞り込みを行う様子を示す説明図。
高保存度配列について絞り込みを行う様子を示す説明図。
哺乳綱について設定した「プライマー候補配列」を示す説明図。
鳥綱について設定した「プライマー候補配列」を示す説明図。
プライマー(Pr1~Pr6)の各々の配列を示す説明図。
プライマーペアを用いて増幅した結果を示す説明図。
プライマーペアと増幅反応の結果をまとめて示す説明図。
構築した配列をデータベースに対して検索した結果を示す説明図。
構築した配列をデータベースに対して検索した結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.プライマーセットの設計装置:
図1は、本開示の実施形態としてのミトコンドリアDNA配列を決定するためのプライマーセットの設計装置10(以下では、「設計装置10」とも呼ぶ)の構成を機能的に示すブロック図である。設計装置10は、CPU110と、記憶部120と、RAM130と、入力インターフェース140と、出力インターフェース150と、通信インターフェース160と、を備える。これらの構成要素は、バスによって相互に接続されている。CPU110は、記憶部120に格納されているプログラム122をRAM130に展開することによって、設計装置10の動作全般を制御する。入力インターフェース140には、キーボードやマウス等の操作部170が接続されており、出力インターフェース150には、液晶ディスプレイ等の表示部180が接続されている。
(【0011】以降は省略されています)

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