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公開番号
2025109407
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-25
出願番号
2024003274
出願日
2024-01-12
発明の名称
ファラデー回転子用透明セラミックス、その製造方法、及び磁気光学デバイス
出願人
信越化学工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C04B
35/44 20060101AFI20250717BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】 レーザー損傷閾値の高いファラデー回転子用透明セラミックス、その製造方法、及び磁気光学デバイスを提供する。
【解決手段】 ファラデー回転子用透明セラミックスは、テルビウムを主成分とする複合酸化物を含有する焼結体を含み、円柱状または角柱状を有し、その両端面が光学鏡面であり、透明セラミックスの内部に存在する最大辺の長さが10μm以上のボイド、異相、気泡群、異物の合計数は1mm
3
あたり0.08個以下である。最大辺の長さが10μmを超える粗大粒子ないしは異物が除去された焼結用原料粉末を用いることで、このファラデー回転子用透明セラミックスを製造できる。磁気光学デバイスは、上記透明セラミックスをファラデー回転子110として備える光アイソレータである。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
テルビウムを主成分とする複合酸化物を含有する焼結体を含むファラデー回転子用透明セラミックスであって、上記透明セラミックスが円柱状または角柱状を有し、その両端面が光学鏡面であり、上記透明セラミックスの内部に存在する最大辺の長さが10μm以上のボイド、異相、気泡群、異物の合計数が1mm
3
あたり0.08個以下であるファラデー回転子用透明セラミックス。
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
上記透明セラミックスの結晶構造がガーネット構造またはビックスバイト構造である請求項1に記載のファラデー回転子用透明セラミックス。
【請求項3】
上記複合酸化物が、少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物であり、上記焼結体が、焼結助剤としてSiO
2
をSi換算で0質量%超、0.1質量%以下で含有する請求項1に記載のファラデー回転子用透明セラミックス。
【請求項4】
上記透明セラミックスの波長1,064nm、パルス幅5nsのレーザー損傷閾値が10J/cm
2
以上である請求項1又は2に記載のファラデー回転子用透明セラミックス。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のファラデー回転子用透明セラミックスの製造方法であって、最大辺の長さが10μmを超える粗大粒子ないしは異物が除去された焼結用原料粉末を用いて上記複合酸化物を含有する焼結体を得る、ファラデー回転子用透明セラミックスの製造方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のファラデー回転子用透明セラミックスを用いて構成される磁気光学デバイス。
【請求項7】
上記透明セラミックスをファラデー回転子として備え、上記ファラデー回転子の光学軸上の前後に偏光材料を備えた波長帯0.9μm以上、1.1μm以下で利用可能な光アイソレータである請求項6に記載の磁気光学デバイス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視及び/又は近赤外域において透光性を有するファラデー回転子用透明セラミックス、その製造方法、及び磁気光学デバイスに関し、より詳細には、光アイソレータなどの磁気光学デバイスを構成するのに好適なテルビウムを含むファラデー回転子用透明セラミックス、その製造方法、及び磁気光学デバイスに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
光アイソレータは順方向の光を透過し、逆方向の光を遮断する機能を有しているため、発光光源と加工体との間に設置してレーザー発振源の破損防止や出力を安定化するために用いられている。この光アイソレータの内部にはテルビウム添加ガラスやテルビウムガリウムガーネット結晶(TGG結晶)がファラデー回転子として搭載されている(例えば、特開2011-213552号公報(特許文献1))。ファラデー効果の大きさはベルデ定数で定量化され、TGG結晶のベルデ定数は40rad/(T・m)(0.13min/(Oe・cm))、テルビウム添加ガラスでは0.098min/(Oe・cm)であり、TGG結晶のベルデ定数は比較的大きいことから、標準的なファラデー回転子として広く使用されている。その他に、テルビウムアルミニウムガーネット結晶(TAG結晶)があり、TAG結晶のベルデ定数はTGG結晶の1.3倍程度であることから、ファラデー回転子の長さを短くできるため、ファイバーレーザーに使用可能かつ良好な結晶である(例えば、特開2002-293693号公報(特許文献2)、特開2004-539464号公報(特許文献3))。
【0003】
上記の結晶以外では、特開2010―285299号公報(特許文献4)において、ベルデ定数の大きな材料として、(Tb
x
R
1-x
)
2
O
3
(Rはスカンジウム、イットリウム、ランタノイド系などの元素、0.4≦x≦1.0)の酸化物単結晶及び透明酸化物セラミックスが開示されている。この中で、この(Tb
x
R
1-x
)
2
O
3
の酸化物単結晶及び透明酸化物セラミックスのベルデ定数はTGG結晶と比較して1.4倍~2.5倍となっており、上記の通り、従来よりも小型化が可能であり、好ましい材料である。
【0004】
近年、TAGを透明セラミックスで作製する方法が開示されている(例えば、国際公開第2017/033618号(特許文献5)、“High Verdet constant of Ti-doped terbium aluminum garnet (TAG) ceramics”(非特許文献1))。またテルビウムの一部をイットリウムで置換した(Tb
x
Y
1-x
)
3
Al
5
O
12
(0.2≦x≦0.8、又は0.5≦x≦1.0)(YTAG)の透明セラミックスの作製方法も報告されている(例えば、“Fabrication and properties of (Tb
x
Y
1-x
)
3
Al
5
O
12
transparent ceramics by hot isostatic pressing”(非特許文献2)、“Development of optical grade (Tb
x
Y
1-x
)
3
Al
5
O
12
ceramics as Faraday rotator material”(非特許文献3))。TAGセラミックスやYTAGセラミックスはTGG単結晶比較で、熱レンズ効果が小さいために、ハイパワー用途に適している材料と言われている。
【0005】
ところで、近年のレーザー光源の高出力化により、高いパワー密度のレーザー光が透過することでファラデー回転子が損傷する問題がしばしば発生している。“Optical properties and Faraday effect of ceramic terbium gallium garnet for a room temperature Faraday rotator”(非特許文献4)ではTGG単結晶及びTGG透明セラミックスの波長1,064nmのパルスレーザー光によるレーザー損傷閾値に関する情報が示されている。ファラデー回転子が損傷すると透過率やアイソレーション、ビーム品質が悪くなり、最悪の場合には光アイソレータが故障してしまう。光学損傷は多光子吸収による電離、電子なだれ崩壊、そして不純物による吸収などが考えられるが、特に透明セラミックスでは粒界や気泡等の散乱源の存在がレーザー損傷閾値を低くしていると指摘されている(“Microstructure and Optical Properties of Hot Isostatic Pressed Nd:YAG Ceramics”(非特許文献5))。
【0006】
レーザー損傷閾値を高める方法として、上記の特許文献5や、国際公開第2022/054592号(特許文献6)、国際公開第2022/054596号(特許文献7)が公開されている。いずれの方法も予備焼結や再焼結、アニールといった焼結体の作製条件を最適化し、吸収や散乱の原因となる焼結体内部に含まれる酸素欠陥、気泡、異相を極力少なくすることで損傷耐力を向上させる試みがされている。
【0007】
ところが、焼結体内部に原料粉末で除去されなかった未解砕粒子や固い二次凝集粒子などの粗大粒子が存在すると、異常粒成長、空孔(ボイド)、異相、気泡群の生成の原因となる。これらが存在すると、内部応力によって複屈折や光学異方性を有した散乱光(Hv散乱)が生じてしまうが、焼結などの後工程では除去することができない。また、外界からの異物が混入すると同様にしてHv散乱が生じてしまう。こうした散乱源が存在すると、レーザー光を透明セラミックスに照射した際に入射ビームの回折、散乱、屈折が起こり、レーザー損傷の原因となるため、原料粉末に未解砕粒子や二次凝集粒子などの粗大粒子や外界からの異物を含めないことが最も重要である。上記の特許文献5、特許文献6、特許文献7では原料粉末の条件に関する記載はなく、散乱源とレーザー損傷を考察している公知文献は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2011-213552号公報
特開2002-293693号公報
特開2004-539464号公報
特開2010―285299号公報
国際公開第2017/033618号
国際公開第2022/054592号
国際公開第2022/054596号
特開2020-67523号公報
【非特許文献】
【0009】
“High Verdet constant of Ti-doped terbium aluminum garnet (TAG) ceramics”, Optical Materials Express, Vol. 6, No. 1 191-196 (2016)
“Fabrication and properties of (TbxY1-x)3Al5O12 transparent ceramics by hot isostatic pressing”, Optical Materials, 72 58-62 (2017)
“Development of optical grade (TbxY1-x)3Al5O12 ceramics as Faraday rotator material”, Journal of American Ceramics Society, 100, 4081-4087 (2017)
“Optical properties and Faraday effect of ceramic terbium gallium garnet for a room temperature Faraday rotator”, Optical Materials Express, Vol. 19, No. 16, 15181-15187 (2011)
“Microstructure and Optical Properties of Hot Isostatic Pressed Nd:YAG Ceramics”, Journal of American Ceramics Society, 79, 1927-1933 (1996)
“Wavelength Dependence of Laser-Induced Damage: Determining the Damage Initiation Mechanisms”, Physical Review Letters, 91, 127402 (2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、近年のレーザー光源の高出力に伴い、高いレーザー損傷閾値を有する透明セラミックの開発が求められている。しかしながら、本願発明者らが上記の先行技術文献にあるように、予備焼結温度や再焼結温度を最適化させることでセラミック内部の気泡、粒界、異相、異物を一定の量まで減らすことができたものの、先行技術文献の通りに試作した透明セラミックをファラデー回転子として搭載した光アイソレータの試験を行ったところ、ある一定のハイパワーのパルスレーザーを照射するとファラデー回転子が損傷してしまう問題が発生した。
(【0011】以降は省略されています)
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