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公開番号2025114345
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-05
出願番号2024008987
出願日2024-01-24
発明の名称溶血素産生能の評価方法
出願人株式会社カネカ,国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250729BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】バチルス属細菌等の溶血素産生菌の溶血素産生能を効率的に評価するための新たな方法を提供することを課題とする。
【解決手段】溶血素産生被験菌の溶血素産生能を評価する方法であって、前記溶血素産生被験菌及び溶血素産生対照菌を含む複数の溶血素産生菌株を血液含有固形培地上に一定間隔で接種する、接種工程、前記接種工程後の前記複数の溶血素産生菌株を培養する、培養工程、及び前記培養工程後に形成された前記溶血素産生被験菌及び前記溶血素産生対照菌のコロニー間で溶血環の大きさを比較する、比較工程を含む、前記方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
被験菌の溶血素産生能を評価する方法であって、
前記被験菌及び対照菌を含む複数の菌株を血液含有固形培地上に一定間隔で接種する、接種工程、
前記接種工程後の前記複数の菌株を培養する、培養工程、及び
前記培養工程後に形成された前記被験菌及び前記対照菌のコロニー間で溶血環の大きさを比較する、比較工程
を含む、前記方法。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記溶血素がリポペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リポペプチドが環状リポペプチドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記環状リポペプチドが、サーファクチンファミリーリポペプチド、イチュリンファミリーリポペプチド、フェンジシンファミリーリポペプチド、又はそのいずれか2以上の組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接種工程が、前記菌株を格子状に接種する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記格子が、斜方格子、六角格子、正方格子、矩形格子、又は平行体格子である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記一定間隔が10mm~30mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記血液含有固形培地中の血液含有量が、1%体積~10%体積である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記血液含有固形培地中のグルコース濃度が、2%~6%である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記比較工程が、溶血環の直径、コロニーの直径に対する溶血環の直径の比率、及び/又は溶血環の直径とコロニーの直径との差をコロニー間で比較する、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶血素産生能の評価方法、及び溶血素産生能増強変異株のスクリーニング方法等に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
サーファクチンやイチュリンに代表される環状リポペプチドは、ペプチド部分と脂肪酸部分から構成される、微生物由来の両親媒性物質である。
【0003】
バチルス属細菌では様々な種類の環状リポペプチドが産生されることが知られているが、それらはペプチド部分におけるアミノ酸配列や脂肪酸鎖の種類によって主にイチュリンファミリー、サーファクチンファミリー、及びフェンジシンファミリーに分類される(非特許文献1)。
【0004】
現在、環状リポペプチドは安全性と生分解性に優れたバイオサーファクタントとして、医療、食品製造、農業、環境衛生等の極めて幅広い分野で利用されており、さらなる活用が期待されている。
【0005】
例えばサーファクチン等の環状リポペプチドは、その界面活性作用に基づいて、医薬品、化粧品、食品等に広く利用されている。サーファクチンは、極少量で水も油も内包できる安定なD相(両連続相)を形成できるため、オイルジェル等のクレンジング剤や微細化粒子乳液の作製にも適している。
【0006】
また、イチュリン等の環状リポペプチドは、いわゆる界面活性作用だけでなく、植物病原体である細菌や真菌の膜構造を破壊する活性に基づいて、広範囲の細菌及び真菌に対して優れた抗菌作用を示す(非特許文献2)。それ故、抗菌剤、防カビ剤、感染症治療剤、バイオ農薬(生物農薬)や植物病害防除剤等として様々な技術分野での活用が期待されており、従来の化学合成農薬を代替し、環境や生態系への影響や人体の健康への影響を低減することができる安全な農薬となることが期待されている。
【0007】
微生物による有用物質の工業的生産においてその生産性の向上は重要な課題である。サーファクチンやイチュリン等の環状リポペプチドはバチルス属細菌によって産生されることから、環状リポペプチドの工業的生産は主としてバチルス属細菌を培養することによって行われている。したがって、バチルス属細菌において環状リポペプチドの生産性を向上させるための方法や、バチルス属細菌株において環状リポペプチドの生産性を効率よく評価するための方法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Ongena M.and Jacques P.,Trends in Microbiology,2007,16(3):115-125.
Dunlap C.A.,Bowman M.J.,and Rooney A.P.,Frontiers in Microbiology,2019,Vol.10,Article 1794.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、バチルス属細菌等の溶血素産生菌の溶血素産生能を効率的に評価するための新たな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
バチルス属細菌を羊血寒天培地等の血液含有固形培地上で培養してコロニーを形成させると、バチルス属細菌が産生する環状リポペプチドによって培地中の赤血球が破壊され、コロニーの周囲に溶血環と呼ばれる透明な環構造が形成される(図1)。環状リポペプチド生産量が高いコロニーの周囲には大きな溶血環が形成され得るため、特定のバチルス属細菌株における環状リポペプチド生産量は、溶血環の大きさに基づいて評価することができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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