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公開番号2025124570
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-26
出願番号2024119169
出願日2024-07-24
発明の名称クラックパターン膜及びそれからなる透明導電膜形成用マスク、クラックパターン膜の製造方法、透明導電膜の製造方法、導電膜の基材に対する密着性を向上させる方法、並びに導電膜
出願人学校法人神奈川大学
代理人個人
主分類B32B 27/00 20060101AFI20250819BHJP(積層体)
要約【課題】透明導電膜形成用の金属蒸着マスクとしても適用可能なクラックパターン膜及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜の製造方法を提供すること。
【解決手段】基材の表面に0.1~20μm幅の亀裂が網目状に形成された膜からなり、上記膜が直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えた第一ブロックと上記第一ブロックよりも極性の低い第二ブロックとを備えたブロック共重合体で形成されることを特徴とするクラックパターン膜をマスクとして用いて金属蒸着を行うことで、本発明の透明導電膜が調製される。
【選択図】図2


特許請求の範囲【請求項1】
基材の表面に0.1~20μm幅の亀裂が網目状に形成された膜からなり、前記膜が直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えた第一ブロックと前記第一ブロックよりも極性の低い第二ブロックとを備えたブロック共重合体で形成されることを特徴とするクラックパターン膜。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記第一ブロックが、下記化学式(1)で表す繰り返し単位を備えることを特徴とする請求項1記載のクラックパターン膜。
TIFF
2025124570000014.tif
19
144
【請求項3】
前記第二ブロックが、下記一般式(2)で表す繰り返し単位を備えることを特徴とする請求項1記載のクラックパターン膜。
TIFF
2025124570000015.tif
19
144
(上記一般式(2)中、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数5~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、炭素数2~20のアルキルケト基、又は炭素数6~20のアリールケト基である。)
【請求項4】
前記ブロック共重合体が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1記載のクラックパターン膜。
TIFF
2025124570000016.tif
26
140
(上記一般式(3)中、bはブロック共重合体であることを表す符号であり、*はそれぞれ独立にポリマーの末端基であり、m及びnはそれぞれ独立に整数である。)
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載のクラックパターン膜からなることを特徴とする、透明導電膜形成用マスク。
【請求項6】
直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えた第一ブロックと前記第一ブロックよりも極性の低い第二ブロックとを備えたブロック共重合体及び水系溶媒を含む組成物に外力を加えることで、前記組成物を乳化させて乳化組成物とする乳化工程と、
前記乳化組成物を基材に塗布して塗工膜を形成する塗工工程と、
前記塗工膜を乾燥させてクラックパターン膜を形成させる乾燥工程と、を備えることを特徴とするクラックパターン膜の製造方法。
【請求項7】
前記第一ブロックが、下記化学式(1)で表す繰り返し単位を備えることを特徴とする請求項6記載のクラックパターン膜の製造方法。
TIFF
2025124570000017.tif
18
153
【請求項8】
前記第二ブロックが、下記一般式(2)で表す繰り返し単位を備えることを特徴とする請求項6記載のクラックパターン膜の製造方法。
TIFF
2025124570000018.tif
19
141
(上記一般式(2)中、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数5~20のアリール基、炭素数6~20のアラルキル基、炭素数2~20のアルキルケト基、又は炭素数6~20のアリールケト基である。)
【請求項9】
前記ブロック共重合体が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項6記載のクラックパターン膜の製造方法。
TIFF
2025124570000019.tif
26
142
(上記一般式(3)中、bはブロック共重合体であることを表す符号であり、*はそれぞれ独立にポリマーの末端基であり、m及びnはそれぞれ独立に整数である。)
【請求項10】
基材の表面に請求項1~4のいずれか1項記載のクラックパターン膜を形成させるパターン膜形成工程と、
前記クラックパターン膜の表面全体に金属膜を形成させる金属膜形成工程と、
前記クラックパターン膜を溶媒で除去する除去工程と、を備えることを特徴とする透明導電膜の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、クラックパターン膜及びそれからなる透明導電膜形成用マスク、クラックパターン膜の製造方法、透明導電膜の製造方法、導電膜の基材に対する密着性を向上させる方法、並びに導電膜に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置、太陽電池、タッチパネル等の普及に伴って、透明導電膜の需要が高まっている。このような透明導電膜としては、ITO(スズドープ酸化インジウム)のような酸化物系半導体を用いたものがよく知られている。透明導電膜は、パターニングされて電気配線として利用される他、電磁波シールドや車のフロントガラスの曇り止め等に用いられる。
【0003】
このような透明導電膜の一例として、特許文献1には、カーボンナノチューブ等の導電性素材をエアロゾルやコロイド溶液等のような分散媒に分散された状態とし、これをメンブランフィルタで濾過することでフィルタの上流側に導電性素材の薄膜を形成させてから、この薄膜を透明な基材に転写することが提案されている。この他にも、カーボンナノチューブを導電性素材として採用して透明導電膜を形成させる例がいくつか特許文献に挙げられている(例えば、特許文献2、3等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2014-44839号公報
特開2022-158014号公報
特開2023-18187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、透明導電膜形成用の金属蒸着マスクとしても適用可能なクラックパターン膜及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、以上の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えた第一ブロックとこの第一ブロックよりも極性の低い第二ブロックとを備えたブロック共重合体及び水系溶媒を含む組成物に外力を加えて乳化させ、得られた乳化組成物を基材に塗布して乾燥させることでブロック共重合体の膜を形成させると、この膜にμmオーダー幅の亀裂が網目状に形成されることを見出した。そして、この膜に金属蒸着を行って溶媒洗浄を行うと、亀裂の存在していた箇所だけに金属の蒸着膜が残り、その他の箇所ではブロック共重合体の膜ごと金属の蒸着膜が除去されていた。その結果、基材の表面にはμmオーダー幅の金属薄膜が極めて微細な網目状に残され、その箇所が透明に見える一方で、抵抗値を測定するとITO電極に匹敵するほどの低抵抗を示すことが見出された。さらに、驚くべきことに、この微細な網目状として残った金属の蒸着膜が基材に対して極めて強固に密着しており、JISで用いられるピーリング試験に相当する試験を行っても剥離しないことが見出された。
【0007】
こうした亀裂は、自然界に広く起こる自然現象である。例えば、溜め池やダムが干上がったときに、その溜め池やダムの底にある土壌には網目状の亀裂が形成されるが、これはコロイドの一種である粘土が乾燥ことに伴う現象である。すなわち、水の蒸発に伴ってコロイドである粘土同士が会合して一種の膜が形成され、さらに乾燥が進むにつれてその膜に応力(引っ張り力)がかかるようになり、その応力に耐えられないところにて破損の形で応力を放出し、亀裂が形成される。このようにコロイド分散液が乾燥して固形物になるとその固形物に亀裂が形成されるのは良く知られた現象でもある。
【0008】
次に、図1を参照しながら本発明の概要を説明する。上記の乳化組成物では、ブロック共重合体が内部に水系溶媒を取り込んで特異的な球状の二分子膜(すなわちミセル)を形成し、これが中空のコロイド分散体として振る舞う(図1(a))。そのため、この中空のコロイド分散体が図1(b)のように基材(substrate)に塗布されて乾燥して形成された膜では、上記のミセルであるベシクルの二分子膜が融合、変形及び堆積してなる多重層構造を形成しながら(図1(c))、上記の溜め池やダムのように、この多重層構造の厚さ方向へ網目状の亀裂を生じる(図1(d))。この亀裂は、微細なコロイドサイズに由来して極めて微細なものになると同時に、図1(d)に示すように、多重層構造ゆえに亀裂が深部まで伸びても基材と接する第一層の分子膜層までは亀裂が到達しない。そして、この第一層は、水系溶媒中で形成されたミセル(ベシクル)の最外層が親水層であることに由来して、基材側表面と亀裂側表面との両方が親水層となる。この親水層は、後述の通り、基材や金属に対する親和性を備えた直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えたブロック共重合体により形成されたものである。言い換えれば、亀裂の底には、基材と金属とを接着させる、ベシクルの二分子膜由来の接着層が自発的に形成され、亀裂部に嵌る材料(金属、半導体等)がその接着層に貼り付くことで基材としっかり密着する。したがって、こうした亀裂のパターンが形成された多重層構造をマスクとして、図1(e)のようにマスクの表面へ金属蒸着を行うと、マスク除去後の基材には、図1(f)のようにミクロ的には無数の微細な金属配線が網目状に隙間を保ちながら形成され、しかも、基材表面に形成された接着層の存在によりその微細金属配線が基材表面に強固に密着する。そして、上記のようにマスクに含まれる亀裂は極めて微細な網目状構造を有するため、マクロ的にはこれらの配線が不可視となって透明に見える導電膜が形成されることになる。
【0009】
以上のように推察される機構により、本発明は、高い密着性を備えた透明導電膜を基材の表面に形成させる。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
(1)本発明は、基材の表面に0.1~20μm幅の亀裂が網目状に形成された膜からなり、上記膜が直鎖状ポリエチレンイミン骨格を備えた第一ブロックと上記第一ブロックよりも極性の低い第二ブロックとを備えたブロック共重合体で形成されることを特徴とするクラックパターン膜である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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