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公開番号2025128348
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-02
出願番号2025100673,2023199525
出願日2025-06-17,2008-09-26
発明の名称抗体定常領域改変体
出願人中外製薬株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/28 20060101AFI20250826BHJP(有機化学)
要約【課題】物性(安定性,ヘテロジェニティー),免疫原性(抗原性),安全性および/または血漿中半減期が改善された抗体定常領域および該定常領域を含む抗体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有する抗体であって、IgG2定常領域および/またはIgG4定常領域における特定位のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列を有するヒト抗体定常領域及び該定常領域を有する抗IL-6レセプター抗体とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
明細書に記載の発明。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、物性(安定性、ヘテロジェニティー)、免疫原性(抗原性)、安全性、および/または、血漿中半減期が改善された抗体定常領域および該定常領域を含む抗体に関する。
続きを表示(約 5,600 文字)【背景技術】
【0002】
抗体は血漿中(血中)での安定性が高く、副作用も少ないことから医薬品として注目されている。中でもIgG型の抗体医薬は多数上市されており、現在も数多くの抗体医薬が開発されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
現在上市されている抗体医薬のほとんどがIgG1サブクラスの抗体である。IgG1タイプの抗体はFcγレセプターに結合可能であり、ADCC活性を発揮することが可能であり、抗ガン抗体医薬の場合は有用であると考えられている。しかし、抗原の生物学的作用を中和することが目的の抗体医薬においてはFc領域のADCC等のエフェクター機能に重要なFcγレセプターへの結合は不要な副作用を惹起する可能性があることから排除することが望ましい(非特許文献3)。さらに、Fcγレセプターは抗原提示細胞に発現していることから、Fcγレセプターに結合する分子は抗原提示されやすくなり、IgG1のFc部分にタンパク質やペプチドを結合することによって免疫原性が増強する(させることが可能である)ことが報告されている(非特許文献4、特許文献1)。またTGN1412のPhaseI臨床試験で見られた重大な副作用の原因の一つとして、抗体のFc部分とFcγレセプターの相互作用が考えられている(非特許文献5)。このように、副作用や免疫原性の点から考えると、抗原の生物学的作用を中和することが目的の抗体医薬においてはFcγレセプターへの結合は好ましくないと考えられる。
【0004】
Fcγレセプターへの結合を完全に無くすことは出来ないが低下させる方法としては、IgG抗体のサブタイプをIgG1からIgG2あるいはIgG4に変える方法が考えられる(非特許文献6)。Fcγレセプターへの結合を完全に無くす方法としては、人工的な改変をFc領域に導入する方法が報告されている。例えば、抗CD3抗体や抗CD4抗体は抗体のエフェクター機能が副作用を惹起する。そこで、Fc領域のFcγレセプター結合部分に野生型配列には存在しないアミノ酸変異(非特許文献3、7)を導入したFcγレセプター非結合型の抗CD3抗体や抗CD4抗体の臨床試験が現在行われている(非特許文献5、8)。また、IgG1のFcγR結合部位(EUナンバリング:233、234、235、236、327、330、331番目)をIgG2およびIgG4の配列にすることでFcγレセプター非結合型抗体を作製することが可能である(非特許文献9、特許文献2)。しかしながら、これらの分子はいずれも天然には存在しないT-cellエピトープペプチドとなりうる9~12アミノ酸の新しいペプチド配列が出現しており、免疫原性のリスクが考えられる。このような課題を解決したFcγレセプター非結合型抗体の報告はこれまでにない。
【0005】
一方、抗体を医薬品として開発するにあたり、そのタンパク質の物性、中でも均一性と安定性は極めて重要である。IgG2のサブタイプは、ヒンジ領域のジスルフィド結合に由来するヘテロジェニティーが報告されている(非特許文献10、特許文献3)。これに由来する目的物質/関連物質のヘテロジェニティーの製造間差を維持しつつ医薬品として大量に製造することは難しい。医薬品として開発する抗体分子は、可能な限り単一物質であることが望まれる。
また、IgG2およびIgG4は酸性条件下での安定性に乏しい。一般にIgGタイプの抗体はプロテインAを用いた精製工程およびウィルス不活化工程において酸性条件下に暴露されることから、IgG2およびIgG4は同工程においては安定性に関して注意が必要であり、医薬品として開発する抗体分子は望ましくは酸性条件下においても安定であったほうがよい。天然型のIgG2およびIgG4、および、IgG2およびIgG4をベースにしたFcγレセプター非結合型抗体(非特許文献6、7、特許文献2)においては、これらの課題があり、医薬品として開発する上では解決されることが望まれる。
IgG1タイプの抗体は酸性条件下で比較的安定であり、ヒンジ領域のジスルフィド結合に由来するヘテロジェニティーも少ないが、製剤保存中にヒンジ領域のペプチド結合が非酵素的に溶液中で分解が進行し、不純物としてFab断片が生成することが報告されている(非特許文献11)。医薬品として開発するには不純物の生成は解決されることが望ましい。
また、抗体のC末端配列のヘテロジェニティーとして、C末端アミノ酸のリジン残基の欠損、および、C末端の2アミノ酸のグリシン、リジンの欠損によるC末端アミノ基のアミド化が報告されており(非特許文献12)、医薬品として開発する上にはこれらのヘテロジェニティーは存在しないことが望ましい。
このように抗原を中和することが目的の抗体医薬の定常領域は、これらの課題を全て解決した定常領域配列が望ましいが、これらの条件を全て満たす定常領域の報告はこれまでにない。
【0006】
また抗体医薬の投与形態については、慢性的な自己免疫疾患などの場合は皮下投与製剤が望ましいとされている。持続的な治療効果を発揮できるよう抗体の血漿中半減期を長くすることで投与タンパク量を少なくし、高濃度製剤が可能な程度に高い安定性を付与することによって、長い投与間隔での皮下投与を可能にし、低コスト且つ利便性の高い抗体医薬を提供することができると考えられる。
【0007】
一般的に皮下投与製剤は高濃度製剤である必要があるのに対して、IgGタイプの抗体製剤の場合、安定性等の点から一般的には100mg/mL程度の製剤が限度であると考えられており(非特許文献13)、高濃度での安定性の確保が課題であった。しかしながら、これまでに定常領域にアミノ酸置換を導入することによって高濃度におけるIgGの安定性を改善させた報告はない。抗体の血漿中半減期を長くする方法として、定常領域のアミノ酸置換が報告されている(非特許文献14、非特許文献15)が、免疫原性リスクの観点から定常領域に天然に存在しない配列を導入することは好ましくない。
【0008】
このように抗原を中和することが目的の抗体医薬の定常領域は、これらの課題を全て解決した定常領域配列が望ましいが、これらの条件を満たす定常領域の報告はこれまでにない。従って、これらの課題を改善させた抗体の定常領域が望まれていた。
尚、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
Monoclonal antibody successes in the clinic, Janice M Reichert, Clark J Rosensweig, Laura B Faden & Matthew C Dewitz, Nature Biotechnology 23, 1073 - 1078 (2005)
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【特許文献】
【0010】
US 20050261229A1
WO 99/58572
US 2006/0194280
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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