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公開番号
2025143451
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-01
出願番号
2025114815,2023104655
出願日
2025-07-08,2018-12-04
発明の名称
CD3およびCD137に結合する改変された抗体可変領域を含む抗原結合分子
出願人
中外製薬株式会社
代理人
個人
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個人
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個人
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個人
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個人
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個人
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個人
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個人
主分類
C07K
16/28 20060101AFI20250924BHJP(有機化学)
要約
【課題】CD3およびCD137に結合する抗原結合ドメイン、ならびにそれを使用する方法を提供する。また、2つ以上の異なる抗原に結合する抗原結合ドメインをより効率的に取得する方法も提供する。
【解決手段】CD3およびCD137に結合することができるが、CD3とCD137に同時には結合しない、抗体可変領域;ならびにCD3およびCD137とは異なる第3の抗原に結合する可変領域を含む、抗原結合分子を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
本願の明細書に記載される発明。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD3およびCD137(4-1BB)に結合する抗原結合分子、ならびにそれを使用する方法に関する。
続きを表示(約 5,400 文字)
【背景技術】
【0002】
抗体は、血漿中での安定性が高く、有害反応をほとんど生じないため、医薬として注目されている(Nat. Biotechnol. (2005) 23, 1073-1078(非特許文献1)およびEur J Pharm Biopharm. (2005) 59 (3), 389-396(非特許文献2))。抗体は、抗原に結合する作用、およびアゴニスト作用またはアンタゴニスト作用を有するだけでなく、ADCC(抗体依存性細胞傷害活性)、ADCP(抗体依存性細胞貪食作用)、またはCDC(補体依存性細胞傷害活性)などの、エフェクター細胞によって媒介される細胞傷害活性(エフェクター機能とも言う)を誘導する。特に、IgG1サブクラスの抗体は、がん細胞に対してエフェクター機能を示すため、多数の抗体医薬が、腫瘍学の分野において開発されている。
【0003】
抗体がADCC、ADCP、またはCDCを発揮するためには、そのFc領域が、エフェクター細胞(NK細胞またはマクロファージなど)上に存在する抗体受容体(FcγR)および様々な補体成分に結合しなければならない。ヒトでは、FcγRのタンパク質ファミリーとして、FcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbのアイソフォームが報告されており、それぞれのアロタイプも報告されている(Immunol. Lett. (2002) 82, 57-65(非特許文献3))。これらのアイソフォームのうち、FcγRIa、FcγRIIa、およびFcγRIIIaは、その細胞内ドメインにITAM(免疫受容体活性化チロシンモチーフ)と呼ばれるドメインを有し、これは活性化シグナルを伝達する。対照的に、FcγRIIbのみが、その細胞内ドメインにITIM(免疫受容体抑制性チロシンモチーフ)と呼ばれるドメインを有し、これは抑制シグナルを伝達する。FcγRのこれらのアイソフォームはすべて、免疫複合体などによる架橋によって、シグナルを伝達することが知られている(Nat. Rev. Immunol. (2008) 8, 34-47(非特許文献4))。実際に、抗体ががん細胞に対してエフェクター機能を発揮する時には、エフェクター細胞膜上のFcγR分子が、がん細胞膜上に結合した複数の抗体のFc領域によってクラスターとなり、それによってエフェクター細胞を通して活性化シグナルが伝達される。その結果、殺細胞効果が発揮される。この点において、FcγRの架橋は、がん細胞近くに位置するエフェクター細胞に限られ、これは、免疫の活性化ががん細胞に限局化されることを示している(Ann. Rev. Immunol. (1988). 6. 251-81(非特許文献5))。
【0004】
天然型の免疫グロブリンは、その可変領域により抗原に結合し、その定常領域によりFcγR、FcRn、FcαR、およびFcεRなどの受容体または補体に結合する。FcRn(IgGのFc領域で相互作用する結合分子)の各分子は、抗体の各重鎖に1分子ずつ結合する。したがって、IgG型の抗体1分子に対して2分子のFcRnが結合することが報告されている。FcRnなどとは異なり、FcγRは、抗体のヒンジ領域およびCH2ドメインで相互作用し、IgG型の抗体1分子に対して1分子のみのFcγRが結合する(J. Bio. Chem., (20001) 276, 16469-16477)。FcγRと抗体のFc領域との間の結合には、抗体のヒンジ領域およびCH2ドメイン中のいくつかのアミノ酸残基、ならびにCH2ドメインのAsn 297(EUナンバリング)に付加された糖鎖が重要であることが見出されている(Chem. Immunol. (1997), 65, 88-110(非特許文献6)、Eur. J. Immunol. (1993) 23, 1098-1104(非特許文献7)、およびImmunol. (1995) 86, 319-324(非特許文献8))。この結合部位を中心に、様々なFcγR結合特性を有するFc領域バリアントがこれまでに研究されて、活性化FcγRに対するより高い結合活性を有するFc領域バリアントが得られている(WO2000/042072(特許文献1)およびWO2006/019447(特許文献2))。例えば、Lazarらは、ヒトIgG1のSer 239、Ala 330、およびIle 332(EUナンバリング)をそれぞれAsn、Leu、およびGluにより置換することによって、ヒトFcγRIIIa(V158)に対するヒトIgG1の結合活性を約370倍に増加させることに成功している(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (2006) 103, 4005-4010(非特許文献9)およびWO2006/019447(特許文献2))。この改変形態は、FcγIIbに対するFcγRIIIaの比(A/I比)の点で、野生型に比べて結合活性が約9倍になっている。あるいは、Shinkawaらは、Asn 297(EUナンバリング)に付加される糖鎖のフコースを欠損させることによって、FcγRIIIaに対する結合活性を約100倍に増加させることに成功している(J. Biol. Chem. (2003) 278, 3466-3473(非特許文献10))。これらの方法によって、天然型ヒトIgG1と比較してヒトIgG1のADCC活性を大幅に改善することができる。
【0005】
天然型のIgG型抗体は、典型的には、その可変領域(Fab)により1つのエピトープを認識して結合するため、1つの抗原にしか結合することができない。一方で、がんまたは炎症においては多種類のタンパク質が関与することが知られており、これらのタンパク質は、互いにクロストークしていることがある。例えば、免疫疾患では、いくつかの炎症性サイトカイン(TNF、IL1、およびIL6)が関与していることが知られている(Nat. Biotech., (2011) 28, 502-10(非特許文献11))。また、がんによる薬剤耐性の獲得の基となる1つのメカニズムとして、他の受容体が活性化することが知られている(Endocr Relat Cancer (2006) 13, 45-51(非特許文献12))。このような場合、1つのエピトープを認識する通常の抗体では、複数のタンパク質を阻害することができない。
【0006】
複数の標的を阻害する分子として、1つの分子で2種類以上の抗原に結合する抗体(これらの抗体を二重特異性抗体と言う)が研究されている。天然型のIgG型抗体を改良することによって、2つの異なる抗原(第1の抗原および第2の抗原)に対する結合活性を付与することができる(mAbs. (2012) Mar 1, 4(2))。そのため、そのような抗体は、これらの2種類以上の抗原を1つの分子で中和する作用だけでなく、細胞傷害活性を有する細胞をがん細胞に架橋することによって抗腫瘍活性を高める作用を有する。二重特異性抗体の分子形として、抗体のN末端またはC末端に抗原結合部位を付加した分子(DVD-Ig、TCB、およびscFv-IgG)、抗体の2つのFab領域が異なる配列を有する分子(共通L鎖二重特異性抗体およびハイブリッドハイブリドーマ)、1つのFab領域が2つの抗原を認識する分子(Two-in-one IgGおよびDutaMab)、ならびにCH3ドメインループを別の抗原結合部位として有する分子(Fcab)が、これまでに報告されている(Nat. Rev. (2010), 10, 301-316(非特許文献13)およびPeds(2010), 23(4), 289-297(非特許文献14))。これらの二重特異性抗体はいずれも、そのFc領域でFcγRと相互作用するため、抗体のエフェクター機能はそれにおいて保存されている。
【0007】
二重特異性抗体により認識される抗原がすべて、がんにおいて特異的に発現している抗原であれば、抗原のいずれかに結合する二重特異性抗体は、がん細胞に対して細胞傷害活性を示すため、1つの抗原を認識する従来の抗体医薬よりも効率的な抗がん効果が期待できる。しかし、二重特異性抗体により認識される抗原のうちのいずれか1つが、正常組織において発現している場合、または免疫細胞において発現している細胞である場合は、FcγRとの架橋によって正常組織の障害またはサイトカインの放出が起こる(J. Immunol. (1999) Aug 1, 163(3), 1246-52(非特許文献15))。その結果、強い有害反応が誘導される。
【0008】
例えば、T細胞に発現しているタンパク質とがん細胞に発現しているタンパク質(がん抗原)とを認識する二重特異性抗体として、カツマキソマブ(catumaxomab)が知られている。カツマキソマブは、2つのFabで、それぞれがん抗原(EpCAM)およびT細胞に発現しているCD3ε鎖に結合する。カツマキソマブは、がん抗原とCD3εに同時に結合することによって、T細胞媒介性の細胞傷害活性を誘導し、がん抗原とFcγRに同時に結合することによって、NK細胞または抗原提示細胞(例えば、マクロファージ)媒介性の細胞傷害活性を誘導する。これらの2つの細胞傷害活性を使用することにより、カツマキソマブは、腹腔内投与によって悪性腹水症に対して高い治療効果を示しており、したがって欧州で承認されている(Cancer Treat Rev. (2010) Oct 36(6), 458-67(非特許文献16))。さらに、カツマキソマブの投与によって、がん細胞に対して反応する抗体が出現した例が報告され、獲得免疫が誘導されることが実証された(Future Oncol. (2012) Jan 8(1), 73-85(非特許文献17))。この結果から、T細胞媒介性の細胞傷害活性と、FcγRを介したNK細胞またはマクロファージなどの細胞によってもたらされる作用との両方を有するこのような抗体(これらの抗体を特に三機能性抗体と言う)は、強い抗腫瘍効果と獲得免疫の誘導が期待できるため、注目されている。
【0009】
しかし、三機能性抗体は、がん抗原の非存在下でも、CD3εとFcγRに同時に結合するため、がん細胞が存在しない環境でもCD3εを発現しているT細胞をFcγRを発現している細胞に架橋して、様々なサイトカインを大量に産生させる。このようながん抗原非依存的な様々なサイトカインの産生の誘導に起因して、三機能性抗体の投与は現状、腹腔内経路に限られている(Cancer Treat Rev. 2010 Oct 36(6), 458-67(非特許文献16))。三機能性抗体は、重篤なサイトカインストーム様の有害反応のゆえに、全身投与が非常に困難である(Cancer Immunol Immunother. 2007 Sep; 56(9): 1397-406(非特許文献18))。
従来技術の二重特異性抗体は、両方の抗原、すなわち、第1の抗原であるがん抗原(EpCAM)および第2の抗原であるCD3εに、FcγRへの結合と同時に結合し得るため、FcγRおよび第2の抗原であるCD3εに同時に結合することによって引き起こされるこのような有害反応は、その分子構造的に回避することができない。
近年、FcγRに対する結合活性を低下させたFc領域を用いることで、有害反応を回避しつつ、T細胞によって媒介される細胞傷害活性を引き起こす改良型抗体が提供されている(WO2012/073985)。
しかし、このような抗体でも、その分子構造的に、がん抗原に結合しつつ2つの免疫受容体、すなわち、CD3εおよびFcγRに作用することはできない。
有害反応を回避しつつ、がん抗原特異的な様式で、T細胞によって媒介される細胞傷害活性と、T細胞以外の細胞によって媒介される細胞傷害活性を両方とも発揮する抗体は、まだ知られていない。
【0010】
T細胞は、腫瘍免疫において重要な役割を果たし、1)主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子によって提示される抗原ペプチドに対するT細胞受容体(TCR)の結合およびTCRの活性化;ならびに2)抗原提示細胞上のリガンドに対するT細胞の表面上の共刺激分子の結合および共刺激分子の活性化、の2つのシグナルによって活性化されることが知られている。さらに、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーおよびTNF受容体スーパーファミリーに属する分子、例えばT細胞の表面上のCD137(4-1BB)の活性化は、T細胞活性化に重要であると説明されている(Vinay, 2011, Cellular & Molecular Immunology, 8, 281-284(非特許文献19))。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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