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公開番号2025131687
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2025092679,2021559312
出願日2025-06-03,2020-04-09
発明の名称アンチコドンループを延長した合成転移RNA
出願人アークタラス テラピュウティクス、インク
代理人個人
主分類C12N 15/11 20060101AFI20250902BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】フレームシフト変異に関連する遺伝子疾患、例えば神経線維腫症を治療するためのフレームシフト変異抑制因子を提供する。
【解決手段】4ヌクレオチドアンチコドンまたは5ヌクレオチドアンチコドンを有する延長アンチコドンループを含むことを特徴とした合成転移RNAであって、コード配列に変異を有するmRNA上のコドン、及び後続のコドン(-1フレームシフトの場合)または先行するコドン(+1フレームシフトの場合)の残りの部分と塩基対合し、担持されるアミノ酸が成長アミノ酸鎖に組み込まれ、リーディングフレームが修正されるフレームシフト変異抑制因子。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
4ヌクレオチドのアンチコドンまたは5ヌクレオチドのアンチコドンを有する延長したアンチコドンループを含


とを特徴とする合成転移RNA。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はアンチコドンループを延長した合成転移RNAに関する。
続きを表示(約 6,700 文字)【背景技術】
【0002】
転移リボ核酸(tRNA)は、メッセンジャーRNA(mRNA)のヌクレオチド配列をタンパク質のアミノ酸配列に翻訳するために必要な成分として、生細胞のタンパク質合成機構に必須な部分である。天然のtRNAには、アミノ酸と共有結合可能なアミノ酸結合ステム、及びmRNA上の「コドン」と呼ばれる対応する塩基トリプレットに非共有的に結合可能な「アンチコドン」と呼ばれる塩基トリプレットを含むアンチコドンループが含まれる。タンパク質は、特にリボソーム及びいくつかの補助酵素を含む多成分系に支援されて、mRNA上のコドン配列を鋳型として、tRNAが担持するアミノ酸を組み立てることにより合成される。
【0003】
遺伝性疾患の群に属する疾患のいくつかは、遺伝情報の変化、例えば、コード遺伝子のDNAにおける変異に基づいている。これには、単一または複数のヌクレオチドの交換、欠失または挿入が含まれる。この場合、変異した遺伝子から転写されたmRNAは、改変された遺伝情報も担持することになり、異常な、そして機能しない可能性のあるタンパク質が形成される。1つまたは複数のヌクレオチドの欠失または挿入(総称してインデルと呼ぶ)は、例えば、コード領域内のリーディングフレーム(即ち、リボソームがmRNA内の情報を読み取る3ヌクレオチド域)を変化させ、その結果、変異の下流に全く新しいアミノ酸配列が生じ、非機能的なタンパク質が生成される。一例として、ニューロフィブロミン1(NF1)及びニューロフィブロミン2(NF2)をそれぞれコードする遺伝子の変異により、それぞれ神経線維腫症I型(NF1)及び神経線維腫症2型(NF2)という疾患が引き起こされ可能性がある。遺伝子NF1及びNF2は、腫瘍抑制因子として機能すると考えられている。NF1及びNF2における変異は、出生時(遺伝性またはデノボ)のみならず体細胞状態でも発生する。最も多い変異は、1~12ヌクレオチドの欠失または挿入を伴うフレームシフト変異であり、欠失は挿入よりも頻度が高い(非特許文献1、非特許文献2)。
【0004】
マクロライドなどの数種の抗生物質はフレームシフトを促進するが、フレームシフトを修正するためにマクロライドを使用する試行はこれまで報告されていない(非特許文献3、非特許文献4)。
【0005】
まだ始まったばかりではあるが、患者の細胞に修正遺伝物質を導入することが含まれる遺伝子治療は、遺伝子疾患の治療に重要なものとなりつつある。遺伝子の下流にある主体、主にmRNAの修正に基づくアプローチは、遺伝子配列(またはDNA)が変化しないままであるため、古典的な遺伝子治療アプローチには属さないので好ましい。しかし、mRNAは本質的に短命であり、mRNA配列の長さは治療応用に問題をもたらす。特定のmRNAは、例えば、遺伝子送達及び治療用の現在利用可能なベクターの積載容量より長い場合もある。
【0006】
mRNAと比較して、tRNA分子は安定性が非常に高く、平均して10倍ほど短いため、標的組織への導入の問題が軽減される。これにより、未成熟な停止コドンを有するmRNAからトランケートタンパク質が形成されることを防止し、代わりに妥当なアミノ酸を導入する目的でtRNAを遺伝子治療に用いることが試みられている(例えば、非特許文献5、特許文献1、及び特許文献2を参照)。
【0007】
アンチコドン中の余分なヌクレオチド、または短いコドンダブレットを有する天然tRNAが細菌中で発見されている。これらの異常なコドンは、特定のフレームシフト位置を抑制するために自然に利用されている(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。Sakoら(2006年)(特許文献9)は、トランスフェクトにより細胞に導入された抑制因子tRNAを用いて、PTC含有mRNAを通読するアプローチを報告している。非センストリプレットコドン及び4塩基コドンは、ヒトtRNA(Ser)由来の対応する抑制因子tRNAに読み取られた。
【0008】
非天然アミノ酸をタンパク質に組み込み、アンチコドンループ中6~10ntを含むtRNAを有する2、3、4、5、6塩基コドンのフレームシフト抑制の分子機序に取り組むために、4塩基または5塩基アンチコドンを含む延長アンチコドンループを有するtRNAも細菌のインビトロ翻訳系に導入している(特許文献3、特許文献4、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13)。しかし、非天然アミノ酸の組み込み収率は極めて低く、またmRNAの環境に影響を受ける。更に、アンチコドンループにおいて修飾したtRNAにより非天然(非標準的または非タンパク質原性)アミノ酸をタンパク質に組み込むアプローチでは、いわゆる直交翻訳系、即ち修飾tRNAに非標準アミノ酸を結合させるために、操作したアミノアシルtRNA合成酵素を用いる翻訳系が一般的に使用されている(非特許文献14、非特許文献15、特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
米国特許出願公開第2003/0224479号明細書
米国特許第6964859号
米国特許出願公開第2006/0177900号明細書
国際公開第2005/007870号
国際公開第2005/019415号
【非特許文献】
【0010】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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