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公開番号2025142658
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-01
出願番号2024042137
出願日2024-03-18
発明の名称グリース組成物
出願人協同油脂株式会社,日本精工株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/00 20060101AFI20250924BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】様々な環境で使用でき、耐摩耗性及び低発塵性を実現できるグリース組成物を提供する。
【解決手段】増ちょう剤と、基油と、防錆剤とを含有するグリース組成物であって、増ちょう剤が、脂環式-脂肪族ジウレアを含み、基油が、エーテル油からなるか、又は40℃における動粘度が300~500mm2/sである高粘度合成炭化水素油及びエーテル油からなり、エーテル油の含有量が基油の全質量を基準にして80質量%以上であり、基油の40℃における動粘度が90~150mm2/sであり、かつ-30℃における動粘度が60000mm2/s以下であり、防錆剤がコハク酸系防錆剤であり、JIS K 2220 7.に従って測定される60回混和ちょう度が180~230である、前記グリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
増ちょう剤と、基油と、防錆剤とを含有するグリース組成物であって、
増ちょう剤が、式(1)、式(2)、及び式(3)で表わされる化合物を含み、

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(3)
(式中、R
1
はシクロヘキシル基であり、R
2
は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基であり、R
3
は炭素数6~30のアルキル基である。)
基油が、エーテル油からなるか、又は40℃における動粘度が300~500mm
2
/sである高粘度合成炭化水素油及びエーテル油からなり、
エーテル油の含有量が基油の全質量を基準にして80質量%以上であり、
基油の40℃における動粘度が90~150mm
2
/sであり、かつ-30℃における動粘度が60000mm
2
/s以下であり、
防錆剤がコハク酸系防錆剤であり、
JIS K 2220 7.に従って測定される60回混和ちょう度が180~230である、前記グリース組成物。
続きを表示(約 140 文字)【請求項2】
増ちょう剤中、R
1
のモル数とR
3
のモル数とのモル比が、40:60~60:40である、請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
さらに、アミン系酸化防止剤を含有する、請求項1に記載のグリース組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース組成物に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造装置、液晶製造装置、プリント基板製造装置等の精密電子機器製造装置、工作機械やロボット用途などに使用される駆動部分は、塵埃が非常に少なく、低温から高温まで様々な環境での使用が求められている。このような駆動部分としては、ボールねじ、リニアガイド、サーボモーター等が挙げられる。
このうち、ロボット向けサーボモーターは、関節部の駆動に用いられる場合が多く、関節部の軸速度や加減速度を高めるため、小型、高出力が求められる。小型化を図るため、転がり軸受の近傍に検出器やブレーキが配置されるが、軸受内部のグリースの飛沫の一部が検出器やブレーキに付着すると、検出精度や制動性の低下を招くため、グリースには低発塵性が求められる。
発塵は、転がり軸受の回転に伴う発熱と軸受内部の圧力上昇により、グリースの一部が蒸発又は飛散し、軸受外部へ放出されることにより生じる。発塵を抑制するためには、グリースの見かけ粘度を大きくすることや、グリース中の基油の量を減らすことが有効である。
しかしその反面、転がり面や滑り面への基油の供給が不十分となりやすく、軸受の過大昇温や、転がり面又は滑り面の面荒れ、摩耗等の損傷を招くおそれがある。
特許文献1には、所定の動粘度を有する基油に、炭素数が10以上のヒドロキシル基を有していない脂肪酸リチウム塩で、所定の繊維状の増ちょう剤を15~30質量%含有するグリース組成物が開示されている。特許文献2には、基油動粘度の低いエステル油を使用したグリース組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-352953号公報
特開2018―188541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているグリース組成物は、増ちょう剤として金属塩を含むため、当該グリース組成物が飛散した場合に、半導体装置等の精密電子機器に付着したことに起因する動作不良を引き起こす可能性がある。特許文献2に記載されているグリース組成物は、基油動粘度が低いこと、エステル油の加水分解による低分子量化によって、基油の蒸発やグリースの飛散が起きやすいため低発塵性が不十分である。
本発明は様々な環境で使用できることに加え、耐摩耗性及び更なる低発塵性を実現できるグリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記の構成を有するグリース組成物により、上記の課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
[1]増ちょう剤と、基油と、防錆剤とを含有するグリース組成物であって、
増ちょう剤が、式(1)、式(2)、及び式(3)で表わされる化合物を含み、

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(3)
(式中、R
1
はシクロヘキシル基であり、R
2
は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基であり、R
3
は炭素数6~30のアルキル基である。)
基油が、エーテル油からなるか、又は40℃における動粘度が300~500mm
2
/sである高粘度合成炭化水素油及びエーテル油からなり、
エーテル油の含有量が基油の全質量を基準にして80質量%以上であり、
基油の40℃における動粘度が90~150mm
2
/sであり、かつ-30℃における動粘度が60000mm
2
/s以下であり、
防錆剤がコハク酸系防錆剤であり、
JIS K 2220 7.に従って測定される60回混和ちょう度が180~230である、前記グリース組成物。
[2]増ちょう剤中、R
1
のモル数とR
3
のモル数とのモル比が、40:60~60:40である、[1]のグリース組成物。
[3]さらに、アミン系酸化防止剤を含有する、[1]のグリース組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、様々な環境で使用でき、耐摩耗性及び更なる低発塵性を実現できるグリース組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<基油>
本発明における基油としては、基油の蒸発による発塵を減らす観点から、高粘度の合成炭化水素油、アルキルジフェニルエーテルに代表されるエーテル油を用いる。このうち、エーテル油のみからなる基油、又は高粘度の合成炭化水素油及びエーテル油の混合物からなる基油を用いることが好ましく、高粘度の合成炭化水素油及びエーテル油の混合物からなる基油を用いることがより好ましい。
エーテル油としては、アルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等が挙げられ、アルキルジフェニルエーテルが好ましく、モノアルキルジフェニルエーテル油、ジアルキルジフェニルエーテル油、トリアルキルジフェニルエーテル油がより好ましい。
高粘度の合成炭化水素油としては、40℃における動粘度が300~500mm
2
/sの範囲を満たす限り特に限定されないが、ポリ-α-オレフィン(PAO)、ポリブテン、エチレンαオレフィン共重合体等が挙げられ、PAO又はポリブテンが好ましく、PAOがより好ましい。
本発明で用いる基油において、基油の蒸発による発塵を減らす観点から、合成炭化水素油の40℃における動粘度は、300~500mm
2
/sであり、350~450mm
2
/sであることが好ましく、エーテル油の40℃における動粘度は、80~120mm
2
/sであることが好ましく、90~110mm
2
/sであることがより好ましい。
本発明の基油が合成炭化水素油とエーテル油との混合物である場合、基油の蒸発による発塵を減らす観点から、合成炭化水素油とエーテル油との質量比は、合成炭化水素油:エーテル油=2:98~20:80であることが好ましく、5:95~15:85であることがより好ましい。
また、基油の蒸発による発塵を減らす観点から、基油全体の40℃における動粘度は、90mm
2
/s以上であり、95mm
2
/s以上であることが好ましい。低温時の流動性を維持する観点から、基油全体の40℃における動粘度は、150mm
2
/s以下であり、140mm
2
/s以下であることが好ましく、基油の-30℃における動粘度は、60000mm
2
/s以下であり、58000mm
2
/s以下であることが好ましい。また、基油の-30℃における動粘度は、20000mm
2
/s以上であることが好ましく、25000mm
2
/s以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、動粘度はJIS K2283に従って測定した値である。
本発明のグリース組成物中の基油の含有量は、基油の蒸発による発塵を減らす観点から、組成物の全質量を基準にして、75~90質量%であることが好ましく、80~87量%であることがより好ましく、83~87質量%であることがさらに好ましい。
【0008】
<増ちょう剤>
軸受に封入されたグリース組成物の流動性は、増ちょう剤の種類によって異なることから、増ちょう剤はグリース見かけ粘度に大きく関与し得る。本発明において用いる増ちょう剤は、下記式(1)、式(2)、及び式(3)で表わされる化合物の混合物である脂環式-脂肪族ジウレアである。

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
1
(1)

1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(2)

3
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(3)
式中、R
1
はシクロヘキシル基であり、R
2
は炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基であり、R
3
は炭素数6~30のアルキル基である。

2
の炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基の代表例としては、以下の構造式で表されるものが挙げられる。このうち、ジフェニルメタン基がより好ましい。
【0009】
TIFF
2025142658000001.tif
30
154
【0010】

3
の炭素数6~30のアルキル基としては、炭素数8~18の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数12~18の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数18の直鎖アルキル基が特に好ましい。
本発明の増ちょう剤は、式(1)、式(2)、及び式(3)で表される化合物の中でも、式(2)で表わされるジウレアを含むことが好ましい。
式(1)、式(2)、及び式(3)で表される化合物の混合物中、R
1
のシクロヘキシル基及びR
3
の炭素数6~30のアルキル基のモル比率は、40:60~60:40であることが好ましく、45:55~55:45であることがより好ましい。
本発明のグリース組成物は、グリースの飛散による発塵を減らす観点から、ちょう度は180~230であることが好ましく、190~230であることがより好ましい。本発明のグリース組成物における増ちょう剤の含有量は、ちょう度を上記範囲に調整するのに適した量であればよく、組成物の全質量を基準として、例えば13~17質量%であることが好ましく、14~16質量%であることがより好ましい。なお、本明細書において、単に「ちょう度」と称する場合、JIS K 2220 7.に従って測定される60回混和ちょう度を指す。
(【0011】以降は省略されています)

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