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公開番号2025145906
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-03
出願番号2024046405
出願日2024-03-22
発明の名称シリカ微粒子分散液およびその製造方法
出願人日揮触媒化成株式会社
代理人個人,個人
主分類C01B 33/141 20060101AFI20250926BHJP(無機化学)
要約【課題】不純物の含有量が少なく、研磨用途に用いると研磨速度が高いシリカ微粒子分散液の提供。
【解決手段】下記[1]~[5]を満たすシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液。[1]シリカ微粒子の比表面積等価球換算粒子径D(nm)が5≦D≦100を満たすこと。[2]シリカ微粒子について29Si-NMR分析を行って得られたスペクトルにおいてQ0~Q4構造の各々に基づくピークの面積を求め、それらをS0~S4としたとき、これらの合計に対するS4の比率R4(R4=S4/(S0+S1+S2+S3+S4)×100)が粒子径Dを用いて特定式を満たすこと。[3]シリカ微粒子の粒子密度が特定範囲。[4]シリカ微粒子における炭素含有割合がSiO2当たり0.1質量%未満であること。[5]シリカ微粒子に含まれる不純物が少ないこと。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下記[1]~[5]を満たすシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液。
[1]前記シリカ微粒子の比表面積から等価球換算により求められる粒子径D(nm)が、5≦D≦100を満たすこと。
[2]前記シリカ微粒子について
29
Si-NMR分析を行って得られたスペクトルにおいて、Q
0
構造、Q
1
構造、Q
2
構造、Q
3
構造およびQ
4
構造の各々に基づくピークの面積を求め、それらをS
0
、S
1
、S
2
、S
3
およびS
4
としたとき、これらの合計に対するS
4
の比率R
4
(R
4
=S
4
/(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
+S
4
)×100)が、前記粒子径Dを用いて次の式を満たすこと。
0.97≦(2.9×In(D)+73.7)/R
4
≦1.03
[3]前記シリカ微粒子の粒子密度が2.2±0.20g/cm
3
の範囲。
[4]前記シリカ微粒子における炭素含有割合がSiO
2
当たり0.1質量%未満であること。
[5]前記シリカ微粒子に含まれるAl、Fe、NaのSiO
2
当たりの含有率が何れも5ppm以下(金属換算)であり、TiのSiO
2
当たりの含有率が10ppm以下(金属換算)であり、Cu、NiのSiO
2
当たりの含有率が20ppb以下(金属換算)であること。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記シリカ微粒子が更に下記[6]を満たすものである請求項1記載のシリカ微粒子分散液。
[6]各ピークの面積の合計(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
+S
4
)に対するS
2
+S
3
の合計の比率R
2+3
(R
2+3
=(S
2
+S
3
)/(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
+S
4
)×100)が、前記粒子径Dを用いて次の式を満たすこと。
0.87≦(-4×In(D)+30)/R
2+3
≦1.13
【請求項3】
前記シリカ微粒子が、珪酸アルカリを原料として調製されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ微粒子分散液。
【請求項4】
下記工程1~工程4を含むシリカ微粒子分散液の製造方法。
工程1:酸性珪酸液(シリカ濃度1.0~6.0質量%、pH2.0~3.0)にエアバブリングを行い、その溶存酸素濃度を6.0~9.0mg/Lとする工程。
工程2:前工程に続いてエアバブリングを続けながら酸性珪酸液の塩酸濃度が300ppm~10,000ppmとなるように塩酸加え、続いて温度50℃~80℃の範囲で保持し、更に陽イオン交換し、精製酸性珪酸液を得る工程。(ここで、酸性珪酸液へのエアバブリングは陽イオン交換の前まで続行し、陽イオン交換時には行わない。)
工程3:前工程で得られた精製酸性珪酸液中の電導度が0.5~2.0ms/cmとなるように電気透析を行い、更に電気透析を続けながら、精製酸性珪酸液のSO
4
濃度が300~10,000ppmとなるように硫酸水溶液を加え、電導度が0.5~1.0ms/cmとなるまで電気透析を続行し、更に陽イオン交換し高純度珪酸液を得る工程。
工程4:前工程で得られた高純度珪酸液にアルカリ水溶液を加えて、40~98℃で加熱保持することにより熟成し、続いて、ここへ別の高純度珪酸液とアルカリ水溶液とを連続的又は断続的に添加してシリカ微粒子分散液を得る工程。
【請求項5】
更に下記工程5を1回以上繰り返す操作を含む請求項4記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
工程5:前工程で得たシリカ微粒子分散液にアルカリ水溶液を加え、核粒子を形成した後、ここへ更に別の高純度珪酸液とアルカリとを連続的又は断続的に添加してシリカ微粒子分散液を得る工程。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハ、シリコンカーバイドウエハ、サファイアウエハ、化合物半導体ウエハ、または磁気ディスクなど各種電子材料の研磨に好適なシリカ微粒子分散液であって、特に不純物の含有量が低減された高純度のシリカ微粒子分散液と、その製造方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、半導体シリコンウェハ等の電子材料の表面を平坦化する目的で、砥粒分散液を含む研磨剤を用いた研磨加工が行われている。該砥粒が金属不純物(例えば、Fe、Cr、Ni、Cu等)を含有する場合、金属不純物は、研磨加工時にシリコンウェハ表面あるいは内部に拡散して、シリコンウェハに表面欠陥を形成する可能性がある。また、金属不純物はシリコンウェハ中で不純物準位を形成し、半導体シリコンウェハが安定した性能を発揮できる期間に悪影響与える可能性がある。したがって、砥粒中の金属不純物の含有量をより低減する必要がある。ここで、半導体シリコンウェハ等の電子材料の表面を平坦化するための砥粒分散液として、シリカ微粒子分散液が広く使用されており、そのシリカ微粒子中の金属不純物含有量についても低減が求められている。
【0003】
金属不純物の含有量が低減され、高純度化されたシリカ微粒子(シリカ微粒子分散液)の製造方法として、テトラアルコキシシラン類を原料としてシリカ微粒子分散液を合成してなるシリカ微粒子分散液の製造方法と、水硝子(珪酸ナトリウム水溶液)を原料として使用するシリカ微粒子分散液の製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平05-097422号公報
特開平04-002606号公報
特開2000-044224号公報
特開2021-134098号公報
特開2022-100932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1と特許文献2については、アルカリ金属珪酸塩より得られたケイ酸液に強酸を加えて加熱処理後に陽イオン交換、陰イオン交換、その後に望ましくは再度陽イオン交換を行い高純度のケイ酸液を得るとしているが、強酸の除去をイオン交換樹脂で行う場合はpHの制御が難しく、局所的にpHが高い部分があるとゲルが生じて、得られるケイ酸液にゲルが混入するため、最終的にシリカゾルの品質や安定性を低下させる問題があった。
【0006】
特許文献3については水硝子の希釈溶液から電気透析法でケイ酸液を得るもので更に陽イオン交換を行い精製している。この方法では、pHがアルカリ性から酸性へ変化する過程で生成するゲルが珪酸液中に残留する。このような珪酸液を原料として用いても、研磨材へ適用できるような均一なシリカ微粒子を得ることが容易ではない。また、水硝子を電気透析するため金属イオンの除去の効率が低く、高純度の珪酸液を得る事が出来ない。
【0007】
特許文献4と特許文献5については、何れも研磨剤として好ましく用いることができる、不純物を含まないシリカ微粒子分散液を提供するものであるが、更にシリカ微粒子の高純度化が望まれていた。
【0008】
従来、シリカ中の不純物を除去する方法として、シリカ合成原料である水硝子を中和して得られるゲルを、酸でリーチングし洗浄して、不純物を除去してからシリカの合成に供する方法が知られていた。
この方法はゲルを固液分離しながら洗浄するので、予めある程度大きなゲルを生成させて洗浄に供する必要があり、この様なゲルを原料としてシリカ粒子分散液を合成した場合、結果として粗大粒子を多く含み、粒度分布の広いシリカ粒子分散液が生成される傾向が強かった。他方、微細なゲルを生成させて、アルカリに再溶解させて精製水硝子を得て、シリカ粒子の合成に供しようとした場合、微細なゲルは、固液分離に適さず、洗浄を適切に行うことは困難であった。
【0009】
特に半導体デバイスの研磨用途に適用する研磨用砥粒分散液には、シリカ微粒子以外のゲル状物(シリカオリゴマーの凝集体)などの不安定な異物を含まないことが必須となる。そのためには、該シリカ微粒子分散液の製造原料となる珪酸液がゲルを含んでいないことが必要である。そこで、本発明者は鋭意検討し、シリカ微粒子分散液の製造原料となる珪酸液に含まれる金属不純分を、加熱下で酸リーチングすることにより珪酸液を高純度化する工程で、添加する酸の量を300~10,000ppmに設定することで、金属不純分のイオン化を更に促進し、珪酸のゲル化を防止し、更に金属不純物の中で特に除去し難いTiについては、酸リーチングにおいて、特定の条件でのエアバブリングを並行して実施することで更なる低減を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の(1)~(5)である。
(1)下記[1]~[5]を満たすシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液。
[1]前記シリカ微粒子の比表面積から等価球換算により求められる粒子径D(nm)が、5≦D≦100を満たすこと。
[2]前記シリカ微粒子について
29
Si-NMR分析を行って得られたスペクトルにおいて、Q
0
構造、Q
1
構造、Q
2
構造、Q
3
構造およびQ
4
構造の各々に基づくピークの面積を求め、それらをS
0
、S
1
、S
2
、S
3
およびS
4
としたとき、これらの合計に対するS
4
の比率R
4
(R
4
=S
4
/(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
+S
4
)×100)が、前記粒子径Dを用いて次の式を満たすこと。
0.97≦(2.9×In(D)+73.7)/R
4
≦1.03
[3]前記シリカ微粒子の粒子密度が2.2±0.20g/cm
3
の範囲。
[4]前記シリカ微粒子における炭素含有割合がSiO
2
当たり0.1質量%未満であること。
[5]前記シリカ微粒子に含まれるAl、Fe、NaのSiO
2
当たりの含有率が何れも5ppm以下(金属換算)であり、TiのSiO
2
当たりの含有率が10ppm以下(金属換算)であり、Cu、NiのSiO
2
当たりの含有率が20ppb以下(金属換算)であること。
(2)前記シリカ微粒子が更に下記[6]を満たすものである、上記(1)に記載のシリカ微粒子分散液。
[6]各ピークの面積の合計(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
+S
4
)に対するS
2
+S
3
の合計の比率R
2+3
(R
2+3
=(S
2
+S
3
)/(S
0
+S
1
+S
2
+S
3
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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