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公開番号
2025152469
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-09
出願番号
2024054377
出願日
2024-03-28
発明の名称
繊維状複合体の製造方法
出願人
トヨタ紡織株式会社
,
国立大学法人京都大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
D06M
15/227 20060101AFI20251002BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約
【課題】従来とは異なる構成によって、セルロース質繊維を含みながら非水系で扱うことができる繊維状複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維状複合体の製造方法は、閉環工程と変性工程とを備えた繊維状複合体の製造方法であって、前記繊維状複合体は、エステル結合によってセルロース質繊維と共重合体とが結合された構造を有し、前記閉環工程は、前記共重合体が備えた隣接する2つのカルボキシ基を閉環して無水カルボキシ基を形成する工程であり、前記変性工程は、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えたヒドロキシ基と、前記共重合体が備えた前記無水カルボキシ基と、によって前記エステル結合を形成する工程である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
閉環工程と変性工程とを備えた繊維状複合体の製造方法であって、
前記繊維状複合体は、エステル結合によってセルロース質繊維と共重合体とが結合された構造を有し、
前記閉環工程は、前記共重合体が備えた隣接する2つのカルボキシ基を閉環して無水カルボキシ基を形成する工程であり、
前記変性工程は、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えたヒドロキシ基と、前記共重合体が備えた前記無水カルボキシ基と、によって前記エステル結合を形成する工程であることを特徴とする繊維状複合体の製造方法。
続きを表示(約 350 文字)
【請求項2】
前記閉環は、前記隣接する2つのカルボキシ基を有する共重合体を50℃以上300℃以下に加熱することにより行う請求項1に記載の繊維状複合体の製造方法。
【請求項3】
前記共重合体は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、又は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体を骨格とする請求項1又は2に記載の繊維状複合体の製造方法。
【請求項4】
前記共重合体は、炭素数が2以上異なる少なくとも2種のモノマーに由来する構成単位を有する請求項3に記載の繊維状複合体の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体は、前記無水カルボキシ基を5つ以上備える請求項1又は2に記載の繊維状複合体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状複合体の製造方法に関する。更に詳しくは、セルロース質繊維を利用した繊維状複合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、セルロース繊維は、水系用途において、増粘剤等の粘弾性制御の利用は実用されている。一方で、複合材料用途において、例えば、セルロース繊維は樹脂に対する優れた補強材であることが実証されて時間が経過しているが、依然として実用には至っていないという実情がある。このように、セルロース繊維は、複合材料用途においても優れた有用性が示唆されているものの、実用に至っていないケースが多くある。その理由の1つにセルロース繊維の強い親水性があると考えられる。この問題に関しては、下記特許文献1~3の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014-148629号公報
特開2016-176052号公報
特開2019-189792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルロース繊維は一般に水分散状態で扱われるが、その固形分濃度を60質量%以上に高めることが困難な状況がある。この固形分濃度は、水分散体に含まれるセルロース繊維の解繊度が高まるほどに低くなり、一般にナノセルロースと称される製品になると固形分濃度は15質量%に至らないものとなる。即ち、目的成分よりも圧倒的に多くの水と共存させて扱われているのが実際である。これは、多糖類からなるセルロースが、糖鎖由来のヒドロキシ基を多く有するため、強い親水性を呈するからであるとされる。例えば、上述の通り、樹脂配合しようにも目的成分よりも多くの水が共存しては配合自体が困難であり、仮に配合できたとしても、水分除去に多大なエネルギーコストを要することになる。一方で、セルロース繊維は、水分散体から水を除去しようとすると、除去量の増大にともない、次第にセルロース同士が水素結合により強く凝集・固化するという性質を有する。この性質は、紙の作製においては極めて有効に利用されているものの、水の不存在下では分散状態を形成できないことになる。従って、セルロース繊維を非親水性環境下において分散できず、樹脂内にもセルロース繊維を分散させることができないという問題が存在する。このようにセルロース繊維は、水と共存させて扱う必要があり、分散媒を除去しようとすると凝集してしまうという扱い難さに起因して、実用が妨げられている用途・用法が多く存在している。
【0005】
この点、上記特許文献1には、新規な変性ナノセルロース及びこれを含む樹脂組成物の提供を目的として([0011])、ナノセルロースを構成するセルロース中の水酸基の一部を、脂環式炭化水素基を備えたアルカノイル基で化学修飾する技術([請求項1]等)が開示されている。
上記特許文献2には、分散性良好な繊維が好適に複合化された繊維強化樹脂組成物、その製造方法の提供を目的として([0007])、(A)化学修飾セルロースナノファイバー及び(B)熱可塑性樹脂を含有し、(B)のSP値に対する(A)のSP値の比率Rが0.87~1.88であり、(A)の結晶化度が42.7%以上である繊維強化樹脂組成物([請求項1]等)が開示されている。この開示は、アセチル基等のアルカノイル基の導入(即ち水酸基が化学修飾されている)により、セルロース分子の水酸基が封鎖され、セルロース分子の水素結合力を抑制できることに言及([0012])している。
上記特許文献3には、乾燥粉末状態で熱可塑性樹脂と混練することができ、熱可塑性樹脂に対する相溶性、分散性が良好な変性セルロースナノファイバーを提供することを目的として([0009])、セルロースナノファイバーと、そのセルロース分子と結合しているポリカルボン酸と、そのポリカルボン酸のカルボキシル基のうちセルロース分子と結合しているカルボキシル基以外のカルボキシル基とキレート結合している炭素数8~24の脂肪酸多価金属塩と、を有する、変性セルロースナノファイバー([請求項1]等)が開示されている。
【0006】
上記特許文献1~3の技術は、いずれも、糖鎖由来のヒドロキシ基を化学修飾することによって、上記問題を解消する技術である。これらの技術により、セルロース繊維を非水系で扱うことが可能となり、前述した樹脂配合における問題を解決できることになる。
しかしながら、例えば、特許文献1では、特殊な脂環式化合物を化学修飾因子として利用する必要がある点が懸念され、特許文献2では、固形分5gの植物繊維に対して有機溶媒計750mL(特許文献1[0445])の量で利用する必要があるという製造時の有機溶媒量の多さが懸念される。更に、特許文献3の技術は、金属塩を介したキレート結合であることから、共有結合による化学修飾に比べて不安定さを擁し、当該変性セルロースを用いて得られる製品の長期安定性、耐加水分解性、金属イオンに起因した耐触媒分解性等が懸念される。
このように、セルロースの化学修飾という観点からは、様々な手法が現在検討されているものの、どのような技術において、どの解決手段が適切であり、実用可能であるのかは依然として不明な状態が続いており、将来に向けてより多くの選択肢を得るという観点から、より多くの異なる選択肢が求められている実情がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来とは異なる構成によって、セルロース質繊維を含みながら非水系で扱うことができる繊維状複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明には以下が含まれる。
[1]閉環工程と変性工程とを備えた繊維状複合体の製造方法であって、
前記繊維状複合体は、エステル結合によってセルロース質繊維と共重合体とが結合された構造を有し、
前記閉環工程は、前記共重合体が備えた隣接する2つのカルボキシ基を閉環して無水カルボキシ基を形成する工程であり、
前記変性工程は、前記セルロース質繊維を構成するセルロースが備えたヒドロキシ基と、前記共重合体が備えた前記無水カルボキシ基と、によって前記エステル結合を形成する工程であることを特徴とする繊維状複合体の製造方法。
[2]前記閉環は、前記隣接する2つのカルボキシ基を有する共重合体を50℃以上300℃以下に加熱することにより行う上記[1]に記載の繊維状複合体の製造方法。
[3]前記共重合体は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、又は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体を骨格とする上記[1]又は上記[2]に記載の繊維状複合体の製造方法。
[4]前記共重合体は、炭素数が2以上異なる少なくとも2種のモノマーに由来する構成単位を有する上記[3]に記載の繊維状複合体。
[5]前記共重合体は、前記無水カルボキシ基を5つ以上備える上記[1]又は上記[2]に記載の繊維状複合体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の繊維状複合体の製造方法によれば、従来とは異なる構成によって、セルロース質繊維を含みながら非水系で扱うことができる繊維状複合体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、本明細書では、ことわりのない限り、「XX~YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。また、「常温」は25℃を意味し、「常圧」は1013.25hPaを意味するものとする。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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