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公開番号2025162976
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-28
出願番号2025042160
出願日2025-03-17
発明の名称損傷状態診断システムおよび損傷状態診断方法
出願人NTN株式会社
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類G01M 13/04 20190101AFI20251021BHJP(測定;試験)
要約【課題】転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を、高い精度で診断することができる技術を提供する。
【解決手段】センサ(20)は、転がり軸受(10)を回転させた場合に生じる振動を検出する。診断装置(100)は、前処理部(30)と、特徴量抽出部(50)と、損傷状態診断部(60)とを含む。前処理部(30)は、センサ(20)の出力信号を、回転輪(12)が複数回転する時間に亘って取得することにより、振動波形を生成する。特徴量抽出部(50)は、振動波形から複数の特徴量を抽出する。損傷状態診断部(60)は、特徴量抽出部が抽出した複数の特徴量に基づいて、転がり軸受(10)の損傷状態を診断する。複数の特徴量は、転がり軸受(10)の周方向における剥離長さまたは非剥離長さと、回転輪(12)が1回転する時間内に各転動体(13)が剥離を通過する剥離通過回数と、振動波形の振幅のばらつきを表すばらつき指数とを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を診断する損傷状態診断システムであって、前記転がり軸受は、固定輪と、回転輪と、前記固定輪と前記回転輪との間に、周方向に等ピッチ間隔で転動可能に配置された複数の転動体とを含み、
前記転がり軸受を回転させた場合に生じる振動を検出するセンサと、
前記センサの出力信号に基づいて、前記転がり軸受の損傷状態を診断する診断装置とを備え、
前記診断装置は、
前記センサの出力信号を、前記回転輪が複数回転する時間に亘って取得することにより、振動波形を生成する前処理部と、
前記振動波形から複数の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量抽出部が抽出した前記複数の特徴量に基づいて、前記転がり軸受の損傷状態を診断する損傷状態診断部とを含み、
前記複数の特徴量は、前記転がり軸受の周方向における剥離長さまたは非剥離長さと、前記回転輪が1回転する時間内に各転動体が剥離を通過する剥離通過回数と、前記振動波形の振幅のばらつきを表すばらつき指数とを含む、損傷状態診断システム。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記損傷状態診断部は、前記複数の特徴量の各々と、前記転がり軸受の諸元データに基づいて特徴量ごとに設定された閾値とを比較することにより、前記転がり軸受の損傷状態を診断する、請求項1に記載の損傷状態診断システム。
【請求項3】
前記特徴量抽出部は、前記振動波形から、軌道輪にある剥離に転動体が進入した進入時刻と、前記転動体が前記剥離から脱出した脱出時刻とを取得し、取得された前記進入時刻と前記脱出時刻との時間差に基づいて前記剥離長さを推定し、
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により推定された前記剥離長さと、前記複数の転動体のピッチ間隔とを比較することにより、前記剥離内を通過する前記転動体の個数である通過転動体数を推定する、請求項2に記載の損傷状態診断システム。
【請求項4】
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により推定された前記剥離長さが前記複数の転動体のピッチ間隔以下であるときに、前記通過転動体数が0~1であると推定し、前記特徴量抽出部により推定された前記剥離長さが前記複数の転動体のピッチ間隔より大きいときに、前記通過転動体数が1~2であると推定する、請求項3に記載の損傷状態診断システム。
【請求項5】
前記特徴量抽出部は、前記振動波形から、軌道輪にある剥離に転動体が進入した進入時刻と、前記転動体が前記剥離から脱出した脱出時刻とを取得し、取得された前記進入時刻と前記脱出時刻との時間差、および前記複数の転動体のピッチ間隔に基づいて前記非剥離長さを推定し、
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により推定された前記非剥離長さから、前記剥離内を通過する前記転動体の個数である通過転動体数を推定する、請求項2に記載の損傷状態診断システム。
【請求項6】
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により推定された前記非剥離長さが0以上であるときに、前記通過転動体数が0~1であると推定し、前記特徴量抽出部により推定された前記非剥離長さが0より小さいときに、前記通過転動体数が1~2であると推定する、請求項5に記載の損傷状態診断システム。
【請求項7】
前記特徴量抽出部は、前記回転輪の回転周期における前記振動波形に含まれている、前記転動体が剥離に進入したときのピーク、または前記転動体が前記剥離から脱出したときのピークの個数をカウントすることにより、前記剥離通過回数を算出し、
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により算出された前記剥離通過回数と第1から第3の閾値とを比較することにより、前記転がり軸受における剥離の発生箇所を推定し、
前記第1の閾値は、前記固定輪に剥離が生じた場合の前記剥離通過回数の理論値であり、前記第2の閾値は、前記回転輪に剥離が生じた場合の前記剥離通過回数の理論値であり、前記第3の閾値は、前記転動体に剥離が生じた場合の前記剥離通過回数の理論値である、請求項2に記載の損傷状態診断システム。
【請求項8】
前記損傷状態診断部は、前記剥離通過回数と前記第1の閾値とが等しい場合に、前記固定輪に剥離が生じていると推定し、前記剥離通過回数と前記第2の閾値とが等しい場合に、前記回転輪に剥離が生じていると推定し、前記剥離通過回数と前記第3の閾値とが等しい場合に、前記転動体に剥離が生じていると推定する、請求項7に記載の損傷状態診断システム。
【請求項9】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、および前記第3の閾値は、前記転がり軸受における、前記複数の転動体の個数、前記転動体のピッチ円直径、前記転動体の直径、接触角、および負荷圏の角度を用いて設定される、請求項7または8に記載の損傷状態診断システム。
【請求項10】
前記特徴量抽出部は、1回転ごとに前記転動体が剥離に進入したときのピークの最大値を前記振動波形から抽出し、抽出された複数回転分の前記ピークの最大値の平均値を算出し、前記複数回転分の前記ピークの最大値と前記平均値とに基づいて前記ばらつき指数を算出し、
前記損傷状態診断部は、前記特徴量抽出部により算出された前記ばらつき指数と第4の閾値とを比較することにより、前記転がり軸受に1つの剥離が生じているか、ピッチ間隔剥離が生じているかを推定する、請求項2に記載の損傷状態診断システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、転がり軸受の損傷状態を診断する損傷状態診断システムおよび損傷状態診断方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
機械設備に使用される転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を、振動の特徴を用いて診断することが行われている。例えば、特開2017-32520号公報(特許文献1)には、転がり軸受の振動データについて3つの周波数帯域の波形を作成し、周波数帯域ごとの振動実効値から転がり軸受の損傷状態を診断する技術が開示されている。損傷初期では3つの周波数帯域のうちの高い周波数帯域の実効値のみが反応し、損傷の進展に従って低い周波数帯域の実効値が上昇する。特許文献1では、これら3つの周波数帯域の振動実効値を監視することにより、転がり軸受の損傷状態を3段階で評価している。
【0003】
また、特許第6733838号公報(特許文献2)には、軌道輪の剥離による損傷について、転動体が軌道輪の剥離に進入する進入時刻と転動体が軌道輪の剥離から脱出する脱出時刻との時間差から、転がり軸受の周方向における剥離長さを推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-32520号公報
特許第6733838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される技術では、転がり軸受の損傷状態を3段階で評価しているため、損傷状態の定量的な評価ができないという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載される技術では、転がり軸受の周方向における剥離長さから損傷状態を定量的に評価することができる。ただし、特許文献2では、転がり軸受の一箇所に生じた剥離が進展する状況を評価するに止まり、転がり軸受の複数箇所に生じた剥離を評価することができない。また、特許文献2では、転がり軸受を構成する回転輪、固定輪および転動体のどこに剥離が生じているのかを推定することができない。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、1つの剥離が生じてから複数の剥離が生じるまでの転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を、高い精度で診断することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に従う損傷状態診断システムは、転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を診断する。転がり軸受は、固定輪と、回転輪と、固定輪と回転輪との間に、周方向に等ピッチ間隔で転動可能に配置された複数の転動体とを含む。損傷状態診断システムは、転がり軸受を回転させた場合に生じる振動を検出するセンサと、センサの出力信号に基づいて、転がり軸受の損傷状態を診断する診断装置とを備える。診断装置は、前処理部と、特徴量抽出部と、損傷状態診断部とを含む。前処理部は、センサの出力信号を、回転輪が複数回転する時間に亘って取得することにより、振動波形を生成する。特徴量抽出部は、振動波形から複数の特徴量を抽出する。損傷状態診断部は、特徴量抽出部が抽出した複数の特徴量に基づいて、転がり軸受の損傷状態を診断する。複数の特徴量は、転がり軸受の周方向における剥離長さまたは非剥離長さと、回転輪が1回転する時間内に各転動体が剥離を通過する剥離通過回数と、振動波形の振幅のばらつきを表すばらつき指数とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、1つの剥離が生じてから複数の剥離が生じるまでの転がり軸受の損傷の進展の程度を示す損傷状態を、高い精度で診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施の形態に従う損傷状態診断システムの全体構成を示すブロック図である。
診断装置のハードウェア構成例を示す図である。
変位振動波形の一例を示す図である。
回転輪が1回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
回転輪が1回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
転がり軸受の負荷圏を模式的に示す図である。
ピッチ間隔剥離を説明するための模式図である。
回転輪が4回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
回転輪が4回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
固定輪にピッチ間隔剥離が生じている場合の2回転分の変位振動波形の一例を示す図である。
回転輪にピッチ間隔剥離が生じている場合の2回転分の変位振動波形の一例を示す図である。
損傷状態診断部における損傷状態の診断処理の流れを説明するフローチャートである。
実施例1で使用した転がり軸受の構成および運転条件を示す図である。
実施例1における剥離の条件を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出された剥離通過回数を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出されたばらつき指数を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出された剥離長さを示す図である。
剥離の数に対する静的変位の比率の変化を示す図である。
n=4のときのばらつき指数を算出した結果を示す図である。
回転輪が4回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
回転輪が4回転する時間における変位振動波形の一例を示す図である。
修正したばらつき指数を示す図である。
本実施の形態に従う損傷状態診断システムの変形例を示すブロック図である。
変位振動波形の一例を示す図である。
変形例に従う損傷状態診断部における損傷状態の診断処理の流れを説明するフローチャートである。
実施例2における剥離の条件を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出された剥離通過回数を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出されたばらつき指数を示す図である。
各条件における変位振動波形から抽出された非剥離長さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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