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公開番号2025036271
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-14
出願番号2024145892
出願日2024-08-27
発明の名称酵素活性の評価方法、及び酵素活性評価用キット
出願人キリンホールディングス株式会社,学校法人早稲田大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/48 20060101AFI20250306BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、S-アデノシルメチオニンを基質とする酵素の活性を簡便に評価する方法、又は酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を簡便に評価するためのキットを提供することを目的とする。
【解決手段】第一の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費及び第二の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費を競合させる工程、該第二の酵素が触媒する該反応により生じる蛍光及び/又は呈色を評価する工程、を含む該第一の酵素の活性を評価する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
第一の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費及び第二の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費を競合させる工程、
該第二の酵素が触媒する該反応により生じる蛍光及び/又は呈色を評価する工程、
を含む該第一の酵素の活性を評価する方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記第一の酵素をコードする遺伝子を含む第一の発現ベクターを細胞に導入する工程、
前記第二の酵素をコードする遺伝子を含む第二の発現ベクターを該細胞に導入する工程、を更に含み、
S-アデノシルメチオニンの消費の競合が該細胞内で行われるものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞が、エシェリヒア属に属する細菌である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の酵素が、配列番号27のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光及び/又は呈色が、トリメチルピロコルフィンの蛍光である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の酵素が、蛍光タンパク質を含む融合タンパク質である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の酵素が、メチルトランスフェラーゼ、ラジカルS-アデノシルメチオニン酵素、S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ、N-アシルホモセリンラクトン合成酵素、オパインメタロフォア合成酵素、5’-デオキシ-5’-フルオロアデノシン合成酵素、5’-デオキシ-5’-クロロアデノシン合成酵素、及びアゼチジン-2-カルボン酸合成酵素からなる群より選択される酵素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、
S-アデノシルメチオニン、及び
ウロポルフィリノーゲンIII
を含む、該酵素とは異なる酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を評価するためのキット。
【請求項9】
S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、
S-アデノシルメチオニン、並びに
5-アミノレブリン酸、ポルフォビリノーゲンシンターゼ、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ、及びウロポルフィリノーゲンIIIシンターゼ
を含む、該酵素とは異なる酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を評価するためのキット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素活性の評価方法、及び酵素活性評価用キットに関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
S-アデノシルメチオニンは、生体内において様々な酵素反応の基質として利用されている。例えば、S-アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼは、S-アデノシルメチオニンをメチルドナーとして利用したメチル化反応を担う酵素であり、その基質は、低分子化合物、DNA、RNA、タンパク質等多岐にわたる。S-アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼによるメチル化反応を経て生合成される天然物には生理活性、健康機能性等を示す産業上重要な物質が多く含まれる。そのような天然物の例として、香料として広く用いられているバニリン、鎮痛剤として広く用いられているモルヒネ等が挙げられる。また、S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼは、S-アデノシルメチオニンを脱炭酸しS-アデノシル3-(メチルスルファニル)プロピルアミンを産生するが、この反応は長鎖ポリアミン生合成系の初発反応として重要である。他にも、S-アデノシルメチオニン-8-アミノ-7-オキソノナノエートアミノトランスフェラーゼは、ビオチン生合成経路中に存在し、S-アデノシルメチオニンから8-アミノ-7-オキソノナノエートへアミノ基を転移する。また、ニコチアナミンシンターゼは、三分子のS-アデノシルメチオニンからニコチアナミンを合成する。ニコチアナミンは植物が分泌する鉄キレート物質ムギネ酸の合成中間体であると共に、アンジオテンシン変換酵素の阻害活性を持つ化合物である。したがって、S-アデノシルメチオニンを基質とする酵素の探索又は改変は、細胞生理における重要性及び産業上の高い有用性から重要な技術課題である。
【0003】
S-アデノシルメチオニンを基質とする酵素の探索又は改変のための酵素活性の評価方法として、例えば、バニリン酸の高生産に適したS-アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼの探索に、バニリン酸に応答する転写因子型のバイオセンサが開発された例(非特許文献1)、評価系中のS-アデノシルメチオニン量の定量により、無細胞転写翻訳系で合成されたS-アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼの基質特異性プロファイルを行った例(非特許文献2)等が報告されている。その他には、L-システインへの要求性を付与した微生物においてメチル基転移反応により生じる副産物であるS-アデノシル-L-ホモシステインを介しメチル化活性依存的にL-システイン要求性が相補されることを利用したメチルトランスフェラーゼ活性検出系(特許文献1)等も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
米国特許第11479758号明細書
【非特許文献】
【0005】
Kunjapur et al., “Development of a Vanillate Biosensor for the Vanillin Biosynthesis Pathway in E. coli”, ACS Synthetic Biology, vol.8. 1958-1967 (2019)
Haslinger et al., “Rapid in vitro prototyping of O-methyltransferases for pathway applications in Escherichia coli”, Cell Chemical Biology, vol.28. 876-886.e4 (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこれらの方法は、対象のS-アデノシルメチオニンを基質とする酵素及び当該酵素の基質の組み合わせが限定される事、酵素調製法及びS-アデノシルメチオニン測定に用いるキットが高価である事、並びに栄養要求性を相補するアッセイであるため定量的な解析が難しい事から、汎用性及び簡便性に課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、S-アデノシルメチオニンを基質とする酵素の活性を簡便に評価する方法、又は酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を簡便に評価するためのキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、S-アデノシルメチオニンを消費し蛍光及び/又は呈色を示す化合物を生成する酵素によるS-アデノシルメチオニンの消費、並びに目的酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費を競合させると、当該蛍光及び/又は呈色が当該目的酵素の触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費に応じて減弱することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、例えば、以下の各発明を提供する。
[1]
第一の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費及び第二の酵素が触媒する反応によるS-アデノシルメチオニンの消費を競合させる工程、
当該第二の酵素が触媒する当該反応により生じる蛍光及び/又は呈色を評価する工程、
を含む当該第一の酵素の活性を評価する方法。
[2]
上記第一の酵素をコードする遺伝子を含む第一の発現ベクターを細胞に導入する工程、
上記第二の酵素をコードする遺伝子を含む第二の発現ベクターを当該細胞に導入する工程、を更に含み、
S-アデノシルメチオニンの消費の競合が当該細胞内で行われるものである、
[1]に記載の方法。
[3]
上記細胞が、エシェリヒア属に属する細菌である、[2]に記載の方法。
[4]
上記第二の酵素が、配列番号27のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
上記蛍光及び/又は呈色が、トリメチルピロコルフィンの蛍光である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]
上記第二の酵素が、蛍光タンパク質を含む融合タンパク質である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]
上記第一の酵素が、メチルトランスフェラーゼ、ラジカルS-アデノシルメチオニン酵素、S-アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ、N-アシルホモセリンラクトン合成酵素、オパインメタロフォア合成酵素、5’-デオキシ-5’-フルオロアデノシン合成酵素、5’-デオキシ-5’-クロロアデノシン合成酵素、及びアゼチジン-2-カルボン酸合成酵素からなる群より選択される酵素である、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]
S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、
S-アデノシルメチオニン、及び
ウロポルフィリノーゲンIII
を含む、当該酵素とは異なる酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を評価するためのキット。
[9]
S-アデノシルメチオニン依存的ウロポルフィリノーゲンIIIメチルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、
S-アデノシルメチオニン、並びに
5-アミノレブリン酸、ポルフォビリノーゲンシンターゼ、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ、及びウロポルフィリノーゲンIIIシンターゼ
を含む、当該酵素とは異なる酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を評価するためのキット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、S-アデノシルメチオニンを基質とする酵素の活性を簡便に評価する方法、又は酵素のS-アデノシルメチオニンを消費する反応に対する活性を簡便に評価するキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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