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公開番号
2025039048
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-21
出願番号
2023145798
出願日
2023-09-08
発明の名称
金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法
出願人
学校法人早稲田大学
代理人
弁理士法人牛木国際特許事務所
主分類
C23C
18/36 20060101AFI20250313BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】実装可能性が高くパラジウムに比べて安価な触媒核を用いながらも、広範囲な金属種をアニオン交換膜上に無電解析出可能とする、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法は、アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に金属又は合金薄膜を有する、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法であって、
前記アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に銀触媒核を付与する工程、及び
(a)1種又は2種以上の金属塩、(b1)アミンボラン、及び(b2)析出させる前記金属又は合金に応じた還元剤を含有する無電解析出浴に、前記銀触媒核を付与したアニオン交換膜を浸漬し、前記金属塩を還元して前記アニオン交換膜における前記銀触媒核を付与した表面に前記金属又は合金を析出させる工程を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に金属又は合金薄膜を有する、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法であって、
前記アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に銀触媒核を付与する工程、及び
(a)1種又は2種以上の金属塩、(b1)アミンボラン、及び(b2)析出させる前記金属又は合金に応じた還元剤を含有する無電解析出浴に、前記銀触媒核を付与したアニオン交換膜を浸漬し、前記金属塩を還元して前記アニオン交換膜における前記銀触媒核を付与した表面に前記金属又は合金を析出させる工程を含む、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法。
続きを表示(約 130 文字)
【請求項2】
(b2)還元剤がリン含有化合物を含む、請求項1に記載の金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法。
【請求項3】
(a)金属塩がニッケル塩を含む、請求項1又は2に記載の金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
無電解めっきは、非導電性基板上に機能性薄膜を付与するための技術として従来使用されている。無電解めっきは外部電力を使用しないため、電子源としての還元剤の反応を開始する触媒核を基板上に付与するための前処理が必要である。この触媒核により、無電解めっき浴中の金属カチオンの還元が促進され、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性基板表面上にそのカチオンを前駆体とする金属の薄膜が形成される。
【0003】
近年、アニオン交換膜が電気化学エネルギー装置の重要な要素として着目されているが、アニオン交換膜の適用例として主なものに水電解装置がある。当該装置はグリーン水素需要の増加傾向にあって、その高性能化、低コスト化が求められているが、アニオン交換膜を電解質膜に用いる水電解装置は、セル部材に適用可能な材料の選択肢が広く、低コストを実現しながら高い電解性能を発揮する可能性を有する。例えば水電解装置におけるアニオン交換膜はアノードとカソードの間のOH
-
経路として機能しアルカリ環境での水電解プロセスを可能にするため、酸に強い貴金属の利用を必須とせず、コスト効率の高いアルカリ水電解が可能になる。
【0004】
イオン交換膜等の高分子膜上に金属薄膜を直接形成する技術は、多くの用途に利用可能である。例えば電気分解反応用の電極触媒材料をアニオン交換膜上に直接形成する技術は、アニオン交換膜を水電解装置に実装する効果的な方法の1つとなる。このような触媒直接付与の方法は、電極触媒とアニオン交換膜との間に生じる抵抗を軽減するため、良好な電解性能を発揮する。従来の方法では、アイオノマーを用いてアニオン交換膜上に電極を結着していたが、熱による劣化が懸念されるアイオノマーを使用せずに電極触媒を膜上に形成できれば、耐久性の高い電極部材の作製につながり、より安定した運用を実現するデバイスの開発が可能となる。無電解めっき法はそのような、アイオノマーを使用せずに電極触媒をアニオン交換膜上に直接形成する技術として期待される。
【0005】
アニオン交換膜の表面は、炭化水素ベースの主鎖と、4級アンモニウム官能基をはじめとするカチオン末端を有する側鎖で構成されている。このように正の電荷を有する官能基は一般に、同じく正電荷を有する金属カチオンと相互作用することが困難であるため、そのような金属カチオンを前駆体とする触媒粒子の形成もまた困難である。従来のアプローチでは、このような金属カチオンに対して配位結合が可能な、非共有電子対を有する官能基末端を非導電性基板表面に設け、それによって金属カチオンと表面との相互作用性を高めることで触媒粒子を形成させていたが、アニオン交換膜を基板とする場合はそうした対策も困難である。そのため、アニオン交換膜上への触媒付与には従来とは異なるアプローチを要する。
【0006】
本発明者らは、アニオン交換膜上の新規な無電解めっきプロセスを提案した(非特許文献1)。触媒粒子をパラジウムとし、その修飾に浴中のアニオンが重要な役割を果たすことを見出し、アニオンの中でも特にCl
-
が、パラジウム触媒粒子の前駆体であるPd
2+
とアニオン交換膜表面の正電荷官能基との間に十分に強い結合を提供することを見出した。これに基づき、アニオン交換膜をPdCl
2
/HCl溶液に浸漬する前処理工程を開発し、パラジウム触媒粒子を良好に堆積させ、その上に無電解めっき反応を行うことで、アニオン交換膜上に金属又は合金薄膜を形成するに至った。一方例えば、従来知られているスズ含有溶液を用いた増感プロセスを、PdCl
2
/HCl溶液に浸漬する前処理工程の前に適用すると、Pd
2+
の吸着が妨げられその後の析出反応も阻害されることから無電解めっき反応は困難であり、そのような従来プロセスの不適合性も確認されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Electrochemistry,89(2),192-196(2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1で提案した無電解めっきプロセスは、アニオン交換膜表面へ直接に金属又は合金薄膜を作製する可能性を提供する。しかしながら、めっき反応のための触媒核金属種に高価なパラジウムを使用するため、汎用性が低いという課題があった。一方、パラジウム以外の触媒核金属種では、無電解析出が可能な金属が限定されてしまうこともあり、汎用性にはやはり課題があった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、実装可能性が高くパラジウムに比べて安価な触媒核を用いながらも、広範囲な金属種をアニオン交換膜上に無電解析出可能とする、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行い、触媒核形成過程としての前処理と無電解めっき過程の両面を改良することで、その汎用性の問題を解決するプロセスを見出した。触媒核形成過程では、非特許文献1のパラジウムに代わるものとして、比較的安価な銀を検討し、銀触媒核粒子がアニオン交換膜上に形成されることを見出した。だが、非特許文献1ではパラジウム触媒核を利用することによってアニオン交換膜上の無電解めっきが可能になるメカニズムを議論しているが、その知見をそのまま他の金属種触媒核を用いた無電解めっきに適用することは困難であり、例えば銀触媒核では、従来の還元剤を単独で用いても金属又は合金薄膜が析出せず、例えば次亜リン酸塩を用いてもNi-P合金は堆積しない。しかし、特定の還元剤であるアミンボランを必須とし、かつその他の還元剤と組み合わせることによって、アニオン交換膜上に種々の金属又は合金薄膜が析出できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法は、アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に金属又は合金薄膜を有する、金属又は合金薄膜付与アニオン交換膜の製造方法であって、
前記アニオン交換膜の少なくとも一方の表面に銀触媒核を付与する工程;及び
(a)1種又は2種以上の金属塩、(b1)アミンボラン、及び(b2)析出させる前記金属又は合金に応じた還元剤を含有する無電解析出浴に、前記銀触媒核を付与したアニオン交換膜を浸漬し、前記金属塩を還元して前記アニオン交換膜における前記銀触媒核を付与した表面に前記金属又は合金を析出させる工程を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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