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公開番号2025117356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-12
出願番号2024012151
出願日2024-01-30
発明の名称水素遮蔽膜
出願人川崎重工業株式会社
代理人弁理士法人有古特許事務所
主分類C23C 14/06 20060101AFI20250804BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】水素環境下で、長時間、構造材の水素脆化を抑制できる水素遮蔽膜の提供。
【解決手段】水素遮蔽膜は、水素脆化する金属及び/又は合金からなる構造材の外表面に積層される多層膜から構成される。この多層膜をなす層の数は、少なくとも2である。この構造材の外表面の一部の領域に積層される多層膜をなす層の数は、この構造材の外表面の他の領域に積層される多層膜をなす層の数と異なっている。耐水素性構造材は、構造材の外表面全体がこの水素遮蔽膜に被覆されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水素脆化する金属及び/又は合金からなる構造材の外表面に積層される多層膜から構成され、この多層膜をなす層の数が少なくとも2であり、
上記構造材の外表面の一部の領域に積層される多層膜をなす層の数が、上記構造材の外表面の他の領域に積層される多層膜をなす層の数と異なっている、水素遮蔽膜。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
上記多層膜をなす層の数が2以上10以下から選択される、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項3】
上記多層膜をなす層の材質が、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、金属及び合金からなる群から選択される1又は2以上である、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項4】
上記多層膜をなす層の材質が、Al



、Cr



、Er



、SiO

、BN、TiN、TiAlN、SiN、WN、CrWN、CrN、Cr

N、AlCrN、ZrN、TiC、Al、Cr、Zn、Ti及びTi合金からなる群から選択される1又は2以上である、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項5】
上記Ti合金は、チタン含有率が60質量%以上である、請求項4に記載の水素遮蔽膜。
【請求項6】
上記多層膜をなす各層の厚みが1nm以上10μm以下である、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項7】
上記多層膜が材質の異なる層を含む、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項8】
上記多層膜が、その外表面から上記構造材に向かって貫通するクラックを含まない、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
【請求項9】
以下の評価試験で求められる、水素雰囲気下における耐久時間が200時間以上である、請求項1に記載の水素遮蔽膜。
(評価試験)ネオジム磁石の外表面全体を上記水素遮蔽膜で被覆したものを試験体とし、この試験体を水素ガス環境(圧力4MPa、常温)に保存して、試験体の経時変化を肉眼で観察し、試験体の外観変化が認められない保存時間を「水素雰囲気下における耐久時間」として求める。
【請求項10】
上記構造材の外表面全体が、請求項1に記載の水素遮蔽膜により被覆されている、耐水素性構造材。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、水素遮蔽膜に関する。詳細には、本開示は、構造材用水素遮蔽膜に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料にかわるクリーンエネルギーとして期待される水素の利用を目的として、水素エネルギー関連の技術開発が進められている。水素の製造、貯蔵、輸送及び利用の各場面において、建造物、設備、機械等が水素環境下におかれる。
【0003】
建造物、設備、機械等には、金属材料からなる部材が多く用いられている。従来、金属材料に関し、水素脆化による破壊現象が知られている。水素脆化は、金属材料に水素が侵入することで生じるとされている。水素利用技術の開発において、水素に暴露される金属部材の脆性破壊は、安全に大きく関わる問題である。水素環境下で、金属材料の水素脆化を抑制する技術が、求められている。
【0004】
非特許文献1(E.Serra et. al., "Hydrogen Permeation Measurements on Alumina", Journal of American Ceramic Society (2004) )には、水素バリア性を有する材料として、セラミックスが開示されている。非特許文献2(塚原園子「超高真空材料として眺めた金属材料と水素」、応用物理(2000) )では、真空装置における真空度向上のために、金属部品をTiNコーティングして、当該金属部品からの水素放出を抑制する研究がなされている。
【0005】
特許文献1(特開2021-139009号公報)には、合金含窒素化合物からなる層を合計層数10以上1000以下で積層した、膜厚0.5μm以上2μm以下の水素バリア機能膜が開示されている。また、水素脆化しやすい物質として知られる希土類磁石に関し、特許文献2(特開2007-116171号公報)には、希土類焼結磁石の表面に、直接又は金属メッキ層を介して金属酸化物層及び/又は金属窒化物層を形成する、希土類焼結磁石の水素脆化防止方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-139009号公報
特開2007-116171号公報
【非特許文献】
【0007】
E. Serra et. al., "Hydrogen Permeation Measurements on Alumina", Journal of American Ceramic Society (2004)
塚原園子「超高真空材料として眺めた金属材料と水素」、応用物理 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セラミックスの皮膜や金属膜の場合、通常、製膜時に微小なクラックやピンホールが形成される。また、金属膜を高温酸化処理して金属酸化物層を形成する場合、高温処理の過程で皮膜が剥離する場合がある。水素ガスは、皮膜に形成された微小なクラック又はピンホールを通過することができる。クラック又はピンホールが皮膜を貫通していると、皮膜を通過した水素が金属材料に接触する。皮膜剥離が存在すると、水素と金属材料とが接触しやすくなり、脆化現象を生じる場合がある。さらに、高圧環境下では、水素による皮膜通過性が高くなるとともに、接触した金属材料内部へも浸透しやすくなるため、水素脆化が促進される。
【0009】
水素エネルギー関連技術で必要とされる数MPa以上の圧力下で、長期間、水素暴露される構造材の水素脆化を、簡便かつ効率的に防止する技術は、未だ提案されていない。本開示の目的は、水素環境下、構造材の水素脆化を長期間抑制することができる水素遮蔽膜の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る水素遮蔽膜は、水素脆化する金属及び/又は合金からなる構造材を被覆する水素遮蔽膜である。この水素遮蔽膜は、構造材の外表面に積層された多層膜から構成されている。この多層膜をなす層の数は、2以上である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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