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公開番号2025059975
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-10
出願番号2023170417
出願日2023-09-29
発明の名称放射性同位体標識診療薬剤
出願人国立大学法人金沢大学
代理人弁理士法人眞久特許事務所
主分類A61K 51/04 20060101AFI20250403BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】芳香環上に放射性ハロゲンで標識された化合物であって、放射性同位体標識プローブ診断薬化合物及び/又は放射性同位体標識プローブ治療薬化合物として効果的に使用でき、生体に投与した時に安定であって、治療効果の減弱を惹き起こさないように放射性同位体標識プローブ診断薬化合物及び/又は放射性同位体標識プローブ治療薬化合物、とりわけ芳香環上に治療用核種である211Atを有する化合物の脱アスタチン化を起こさず、治療用核種と診断用核種との体内分布が同等であり、簡便かつ高純度で製造でき、かつラジオセラノスティクスに応用可能な放射性同位体標識診療薬剤を提供する。
【解決手段】放射性同位体標識診療薬剤は、
【化1】
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025059975000010.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">28</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">170</com:WidthMeasure> </com:Image> (Xは放射性同位体ハロゲン元素、Wは電子求引基、nは2~18の数)で示される放射性同位体標識プローブ診断薬化合物及び/又は放射性同位体標識プローブ治療薬化合物を、有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記化学式(I)
TIFF
2025059975000008.tif
28
170
(式(I)中、Xは放射性同位体ハロゲン元素であり、Wは電子求引基である。nは2~18の数である。)で示される放射性同位体標識プローブ診断薬化合物及び/又は放射性同位体標識プローブ治療薬化合物を、有することを特徴とする放射性同位体標識診療薬剤。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
前記Wが、N,N-ジメチルカルバモイル基であることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位体標識診療薬剤。
【請求項3】
前記放射性同位体標識プローブ診断薬化合物と前記放射性同位体標識プローブ治療薬化合物との組み合わせを有するラジオセラノスティクス薬剤であることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位体標識診療薬剤。
【請求項4】
前記放射性同位体標識プローブ診断薬化合物が、前記Xを
18
Fであるフッ素、
76
Brである臭素、並びに
123
I又は
124
Iであるヨウ素から選ばれる前記放射性同位体ハロゲン元素とするものであり、
前記放射性同位体標識プローブ治療薬化合物が、前記Xを
77
Brである臭素、
125
I又は
131
Iであるヨウ素、並びに
211
Atであるアスタチンから選ばれる前記放射性同位体ハロゲン元素とするものであることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位体標識診療薬剤。
【請求項5】
前記放射性同位体標識プローブ診断薬化合物が体内動態検討用であり、前記放射性同位体標識プローブ治療薬化合物が体内放射線治療用であることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位体標識診療薬剤。
【請求項6】
下記化学式(I)
TIFF
2025059975000009.tif
28
170
(式(I)中、Xは放射性同位体ハロゲン元素であり、Wは電子求引基である。nは2~18の数である。)で示される放射性同位体ハロゲン元素含有化合物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、核医学診断と核医学治療とを組み合わせて使用するラジオセラノスティクス薬剤に応用可能な放射性同位体標識診療薬剤に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
核医学診断は、透過性が高いγ線などの診断可能な放射線を放出する放射性同位核種や陽電子(β

)を放出するポジトロン核種で標識されたプローブ診断薬化合物を投与して腫瘍原発巣や進行状態を診断するというものである。腫瘍原発巣に産生されるタンパク質などの腫瘍標的レセプターに結合する腫瘍標的親和性基とγ線を放出する放射性標識核種又は陽電子を放出するポジトロン核種とを有するプローブ診断薬化合物を投与して、診断可能なγ線や陽電子が電子と結合して放出される消滅放射線を検出するディテクターで検知して専用のシンチカメラで画像化するSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography:単光子放出断層撮像法)やPET(Positron Emission Tomography:ポジトロン断層撮影法)として実用化されている。
【0003】
一方、核医学治療は、細胞障害性が高いα線やβ

線を放出する放射性同位体核種で標識されたプローブ治療薬化合物を投与して、腫瘍原発巣又は転移病巣を縮小若しくは腫瘍細胞を死滅させて治療するというものである。腫瘍原発巣又は転移病巣で腫瘍細胞から産生されるタンパク質などの腫瘍標的レセプターに結合する腫瘍標的親和性基とα線やβ

線を放出する放射性核種とを有するプローブ治療薬化合物を投与して、腫瘍原発巣又は転移病巣に集積させ、飛程の短いα線(飛程距離100μm未満)やβ

線を体内から腫瘍細胞に選択的に照射して、近隣の正常細胞に殆ど乃至然程ダメージを与えることなく、腫瘍細胞を選択的に減少乃至死滅させ、少ない副作用で、抗腫瘍効果を得るというものである。
【0004】
核医学診断は診断を主眼とし、核医学治療は治療を主眼としている。しかし、核医学治療による腫瘍治療では、治療開始前に、様々な検査や診断を行い、適切な治療法を決定しなければならない。
【0005】
そのため近年、性質の異なる放射性核種である放射性同位元素(Radioisotope: RI)を利用して、同一骨格又は類似骨格を有する化合物で診断と治療とを行えるように、核医学による診断(Diagnostics)と治療(Therapeutics)とを組み合わせたラジオセラノスティクス(Radiotheranostics)という診断・治療法が用いられるようになってきた。ラジオセラノスティクスによれば、診断に用いる診断用の放射性核種を含有する化合物によって、先ず患者毎に、治療効果や副作用の予測、用量の設定を行うことができ、一方、治療に用いる同一骨格又は類似骨格を有するもので治療用の別な放射性核種を含有する化合物によって、治療効果が高く副作用が低く、適切な用量を投与して、患者の負担軽減と効果的治療や副作用予測に従い適切な回避を図った個別化医療を行うことができる。
【0006】
現在、臨床で行われているラジオセラノスティクスでは、神経内分泌腫瘍の診断・治療に対し
111
In-DTPA-Octreotide(オクトレオスキャン(登録商標))と
177
Lu-DOTATATE(ルタテラ(登録商標))が、褐色細胞腫の診断・治療に[
123
I]meta-iodobenzylguanidine(MIBG)(ミオMIBG-I 123(ミオMIBGは登録商標))と[
131
I]MIBG(ライアットMIBG-I 131)が使用されている。
【0007】
一方、
211
Atは、国内における製造方法が確立されている唯一のα線放出核種である放射性ハロゲンであり、放射性ヨウ素と類似の薬剤設計・標識ができるため、ラジオセラノスティクスに特に有用である。例えば、[
211
At]NaAtを用いた分化型甲状腺がんの第I層医師主導治験が行われている。[
211
At]NaAtの薬効に関する非特許文献1に、[
211
At]NaAtを投与したK1-NIS担癌SCIDマウスの投与後経過時間/腫瘍サイズの相関、及び[
211
At]NaAt又は[
131
I]NaIを用いた投与後経過時間/相対腫瘍サイズの相関が開示されている。[
211
At]NaAtは、At元素が甲状腺がんにNaIシンポーターを介して取り込まれる性質を利用するもので、元素自体が薬剤の活性発現本体となっている放射性医薬品である。
【0008】

211
At]NaAtに代えて、
211
At-MABG(メタアスタトベンジルグアニジン)を用いた黒色細胞腫/パラガングリオーマ患者における第I層医師主導治験が行われている。
【0009】
また、非特許文献2に、馬尿酸の芳香環上で
211
At標識した化合物が開示されている。この化合物から
211
Atが脱離すると遊離のヨウ素とある程度類似した動態を示す。しかし、図6に示すように、この
211
At標識した化合物(a)は、それに対応する
125
I標識した化合物(b)に比較して、生体内の安定性が低く、排泄を担う腎臓のみならず臓器全般で検出され、とりわけ
211
Atの脱離に起因する胃や甲状腺へ高集積しているという問題があった。
【0010】
また、非特許文献3に記載の
211
At標識化合物(
211
At標識N-[2,2-Bis(hydroxymethyl)-2-(iodomethyl)ethyl]-2-nitroimidazole:1a)のようにネオペンチルグリコール基を基本骨格とする
211
At標識部位が、
211
Atの脱離の原因と考えられる求核攻撃や代謝酵素に対して対応する
125
I標識化合物(
125
I標識N-[2,2-Bis(hydroxymethyl)-2-(iodomethyl)ethyl]-2-nitroimidazole:1b)と同様に生体内でアスタチンを安定に保持できるが、
211
At化合物(
211
At標識N-[N-(meta-Iodobenzoyl)-2-aminoethyl]-2-nitroimidazole:4c)のようにネオペンチルグリコール基に代えて馬尿酸誘導体基を有する
211
At標識部位が、対応する
125
I標識化合物(
125
I標識N-[N-(meta-Iodobenzoyl)-2-aminoethyl]-2-nitroimidazole:4b)に比べ生体内で
211
Atを安定に保持できない。
(【0011】以降は省略されています)

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