TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025078000
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2024164351
出願日2024-09-20
発明の名称工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム
出願人鋒霈環境科技股ふん有限公司
代理人個人
主分類C02F 1/58 20230101AFI20250512BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】フッ化水素酸を含む廃水から工業原料を抽出する回収システムを提供する。
【解決手段】工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システムは、廃水収集槽90と、活性炭濾過装置91と、容量性脱イオン装置92と、低濃度収集槽60と、少なくとも1つの濾過装置80と、高濃度収集槽30と、反応装置10と、脱水装置50とを備える。廃水収集槽は、フッ化水素酸廃水を収容する。活性炭濾過装置は、廃水収集槽と接続する。容量性脱イオン装置は、活性炭濾過装置と接続する。低濃度収集槽は、容量性脱イオン装置と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を収容する。濾過装置は、低濃度収集槽と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を濾過して回収水を形成する。高濃度収集槽は、容量性脱イオン装置と接続するとともに、高濃度フッ素廃水を収容する。反応装置は、高濃度収集槽と接続する。脱水装置は、反応装置と接続する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
廃水収集槽と、活性炭濾過装置と、容量性脱イオン装置と、低濃度収集槽と、少なくとも1つの濾過装置と、高濃度収集槽と、反応装置と、脱水装置とを備えた、工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システムであって、
前記廃水収集槽は、フッ化水素酸廃水を収容し、
前記活性炭濾過装置は、前記廃水収集槽と接続し、前記フッ化水素酸廃水を濾過し、第1の廃水を生成し、
前記容量性脱イオン装置は、前記活性炭濾過装置と接続するとともに、反対の電荷を有する複数の電極を有し、
第1の廃水中のイオンを、反対電荷の対応した複数の電極に向かって移動させることで、低濃度フッ素廃水を形成し、
複数の電極から、イオンを脱着させて放出することで、高濃度フッ素廃水を形成し、
前記低濃度収集槽は、前記容量性脱イオン装置と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を収容し、
前記濾過装置は、前記低濃度収集槽と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を濾過して回収水を形成し、回収水が工場内に戻されて内部で再利用可能であり、
前記高濃度収集槽は、前記容量性脱イオン装置と接続するとともに、前記高濃度フッ素廃水を収容し、
前記反応装置は、前記高濃度収集槽と接続するとともに、添加されたアルミニウムナトリウム含有化合物と前記高濃度フッ素廃水との反応により、氷晶石及び第3の廃水を生成し、
前記脱水装置は、前記反応装置と接続するとともに、前記氷晶石及び前記第3の廃水を分離させることを特徴とする、工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
続きを表示(約 5,500 文字)【請求項2】
前記容量性脱イオン装置は、CDI(Capacitive De-Ionization)又は薄膜容量性脱イオン装置であり、
前記アルミニウムナトリウム含有化合物は、アルミン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項3】
前記第1の廃水中のイオンは、フッ素イオン及び水素イオンを含み、
前記高濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度は、前記低濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度よりも高く、
前記高濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度は、前記フッ化水素酸廃水中のフッ化イオン濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項4】
前記濾過装置は、前記廃水収集槽に接続するか、前記低濃度収集槽に接続するか、前記低濃度収集槽及び前記廃水収集槽に共に接続し、
前記濾過装置は、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)装置又は薄膜容量性脱イオン装置であることを特徴とする請求項1に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項5】
制御プロセッサをさらに備え、
前記反応装置は、互いに対応した頂部槽口及び底部出口を有し、
前記反応装置の内部には、複数の液孔を有する分散盤と、前記分散盤上に位置するとともに複数の貫通孔を有する制御盤とを有し、
前記反応装置の内部には、前記分散盤及び前記制御盤が間隔をおいて設置され、上部投薬空間及び下部反応空間が形成され、
前記上部投薬空間は、アルミン酸ナトリウム液位計を有し、
前記下部反応空間は、前記底部出口を介して排出制御セクションと連通し、前記アルミニウムナトリウム含有化合物と前記高濃度フッ素廃水とにより形成された混合水サンプルを排出し、
前記混合水サンプルは、反応により前記氷晶石及び前記第3の廃水を生成し、
前記アルミン酸ナトリウム液位計及び前記排出制御セクションは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記排出制御セクションは、前記脱水装置及び廃液槽と接続して前記氷晶石及び前記第3の廃水を分離させ、
前記脱水装置及び前記廃液槽は、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記脱水装置と前記反応装置の前記排出制御セクションとは連通し、
前記廃液槽は、前記脱水装置が排出した前記第3の廃水を収集することを特徴とする請求項1に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項6】
前記反応装置の前記下部反応空間は、前記制御プロセッサにより電気的に制御されるフッ化水素酸液位計を有し、
前記反応装置の前記排出制御セクションは、流量制御バルブ及びボールバルブを有し、
前記流量制御バルブと、前記反応装置の前記底部出口との間には排出流路が設けられ、
前記排出流路は、前記ボールバルブにより制御され、
前記排出制御セクションの前記流量制御バルブ及び前記ボールバルブと、前記排出流路の前記ボールバルブとは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
アルミン酸ナトリウム薬剤槽及びpH値/フッ素イオン検出セクションをさらに備え、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽は、前記制御プロセッサによりバッチ定量制御セクションが電気的に制御され、前記反応装置の前記上部投薬空間内に前記アルミニウムナトリウム含有化合物を添加し、
前記pH値/フッ素イオン検出セクションは、互いに連通して前記制御プロセッサにより電気的に制御されるpHメーターと、フルオロメータとを有し、前記混合水サンプルを前記pHメーター及び前記フルオロメータに供給し、前記排出制御セクションが排出する前記混合水サンプルのpH値及びフッ素含量を検出し、
前記pHメーターは、前記反応装置の前記下部反応空間の底部と連通する第1の流路を有し、
前記フルオロメータは、前記下部反応空間の頂部と連通する第2の流路を有し、前記混合水サンプルを前記反応装置に還流させるか排出させることを特徴とする請求項5に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項7】
前記分散盤の複数の前記液孔は、円心から米字放射線状に形成されており、
前記制御盤の複数の前記貫通孔は、第1の貫通孔群、第2の貫通孔群及び第3の貫通孔群から構成されてなり、
前記第1の貫通孔群、前記第2の貫通孔群及び前記第3の貫通孔群は、前記制御盤の円心から米字放射線状に形成されるとともに、互いに隣り合う放射方向の間には、角度が形成されており、
前記第1の貫通孔群は、前記分散盤の前記液孔と同じ数の前記貫通孔を有し、
前記第2の貫通孔群及び前記第3の貫通孔群は、前記分散盤の前記液孔の数よりも少なくて異なる数の前記貫通孔を有し、
前記分散盤は、複数の位置決め孔を有し、
前記制御盤は、前記分散盤の前記位置決め孔の位置及び数に対応した3組の位置拘束孔を有し、各組の前記位置拘束孔の間には、角度が形成されており、
前記制御盤の1組の前記位置拘束孔と前記分散盤の前記位置決め孔とは位置合わせ可能であり、
前記分散盤及び前記制御盤は、前記位置決め孔の数に対応した数の複数の位置決めピンが挿設され固定されることを特徴とする請求項5に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項8】
前記高濃度収集槽は、液位計及び排出バルブを有し、
前記高濃度収集槽のバッチ定量制御セクションは、輸送ポンプを有し、
2つのボールバルブは、前記輸送ポンプと、前記高濃度収集槽及び前記反応装置との間とにそれぞれ設けられており、
前記高濃度収集槽のバッチ定量制御セクションは、前記反応装置に隣接した箇所にフッ化水素酸流量計が設けられており、
前記高濃度収集槽において、前記液位計と、前記輸送ポンプと、2つの前記ボールバルブと、前記フッ化水素酸流量計と、前記排出バルブとは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽は、液位計及び排出バルブを有し、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽のバッチ定量制御セクションは、輸送ポンプを有し、
2つのボールバルブは、前記輸送ポンプと、前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽及び前記反応装置との間にそれぞれ設けられており、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽のバッチ定量制御セクションは、前記反応装置に隣接した箇所にアルミン酸ナトリウム流量計が設けられており、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽において、前記液位計と、前記輸送ポンプと、2つの前記ボールバルブと、前記アルミン酸ナトリウム流量計と、前記排出バルブとは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記pH値/フッ素イオン検出セクションの前記第1の流路は測定ポンプを有し、
前記反応装置と前記測定ポンプとの間に流量制御バルブ及びボールバルブが設けられており、
前記測定ポンプと前記pHメーターとの間にボールバルブ及び清浄水入力セクションが設けられており、
前記清浄水入力セクションは清浄水入力量を制御する流量制御バルブを有し、
前記第2の流路は還流制御バルブを有し、
前記フルオロメータは第3の流路を有し、
前記第3の流路は排出制御バルブ及びボールバルブを有して廃液の排出を制御し、
前記pH値/フッ素イオン検出セクションにおいて、前記測定ポンプと、2つの前記流量制御バルブと、3つの前記ボールバルブと、前記排出制御バルブとは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記反応装置の内部に連通する前記第2の流路の末端開口は、前記反応装置の下部反応空間の上方槽壁から下部反応空間の上方槽中心部にかけて設けられており、
前記廃液槽は、液位計、排出弁及び低濃度フッ素廃水出力セクションを有し、
前記廃液槽と前記脱水装置との間には、前記第3の廃水の流量を制御するボールバルブが設けられており、
前記低濃度フッ素廃水出力セクションは、輸送ポンプと、2つのボールバルブとを有し、そのうち一方のボールバルブが前記輸送ポンプと前記廃液槽との間に設けられており、他方のボールバルブが廃水出力セクションに接続する前記輸送ポンプの排出端に設けられており、
前記廃液槽において、前記液位計と、前記排出弁と、前記輸送ポンプと、3つの前記ボールバルブとが前記制御プロセッサにより電気的に制御されることを特徴とする請求項6に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項9】
請求項6に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システムはオーバーフロー防止ベース上に設置され、
前記オーバーフロー防止ベースの周側には、オーバーフロー防止体が設けられているとともに、前記制御プロセッサにより電気的に制御するリーク検出装置と、前記オーバーフロー防止ベースの底部に設けられたドレインバルブとを有し、
種子結晶貯蔵槽をさらに備え、
前記種子結晶貯蔵槽は、内部に種子結晶を貯蔵するとともに、第4の流路中に設置され、
前記第4の流路は、前記反応装置及びその前記排出制御セクションと連通するとともに、
前記種子結晶貯蔵槽と前記排出制御セクションとの間に輸送ポンプが設置されており、
前記第4の流路は、前記排出制御セクションが排出した混合水サンプルを前記種子結晶貯蔵槽に案内してから前記反応装置に還流させ、前記種子結晶を前記反応装置中に導入することを特徴とする請求項6に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
【請求項10】
前記制御プロセッサは、パラメータ設定ステップと、高濃度フッ素廃水注入ステップと、アルミニウムナトリウム含有化合物添加ステップと、前記混合水サンプルを静置するステップと、前記混合水サンプルを前記pH値/フッ素イオン検出セクションに供給するステップと、反応終点判断ステップと、固液分離ステップとを含む制御方法を実行し、
前記パラメータ設定ステップでは、前記制御プロセッサによりパラメータ項目及び前記パラメータ項目の数値範囲を設定し、前記アルミニウムナトリウム含有化合物の流量ニーズに基づき、前記分散盤及び前記制御盤を設置し、前記アルミニウムナトリウム含有化合物が下部反応空間に落下する流速を制御し、
前記高濃度フッ素廃水注入ステップでは、前記高濃度収集槽のバッチ定量制御セクションを起動し、前記パラメータ設定ステップの設定値に基づき、前記高濃度フッ素廃水を前記反応装置の下部反応空間中に注入し、
前記アルミニウムナトリウム含有化合物添加ステップでは、前記高濃度フッ素廃水を前記反応装置に完全に注入した後、前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽のバッチ定量制御セクションを起動し、前記パラメータ設定ステップの設定値に基づき、前記反応装置の上部投薬空間中に前記アルミニウムナトリウム含有化合物を添加し、前記混合水サンプルを形成し、
前記混合水サンプルを静置する前記ステップでは、前記パラメータ設定ステップの設定値に基づき、反応静置時間の計算を開始し、
前記混合水サンプルを前記pH値/フッ素イオン検出セクションに供給する前記ステップでは、反応静置計時が終了したときに、前記pH値/フッ素イオン検出セクションを起動し、前記反応装置の中の前記混合水サンプルを前記pH値/フッ素イオン検出セクションの中に供給し、前記混合水サンプルのpH値及びフッ素イオン濃度を読取るステップと、前記混合水サンプルを前記反応装置に還流させるステップとを行い、
前記反応終点判断ステップでは、前記制御プロセッサは、読取った前記混合水サンプルのpH値及びフッ素イオン濃度により反応終点判断を行い、反応が反応終点に達していないときにpH値/フッ素イオン検出セクションクローズステップ及びアルミニウムナトリウム含有化合物の微調整ステップを行い、前記パラメータ設定ステップが設定したパラメータ、および読取ったpH値に基づき、微量なアルミニウムナトリウム含有化合物を前記反応装置に添加し、反応が反応終点に達するまで、アルミニウムナトリウム含有化合物を添加する前記ステップ、前記混合水サンプルを静置する前記ステップ、前記混合水サンプルを前記pH値/フッ素イオン検出セクションに供給するステップ及び前記反応終点判断ステップを繰り返して行い、
前記固液分離ステップでは、反応が反応終点に達したときに、前記反応装置の前記排出制御セクションを起動してから、結晶物脱水収集ステップ及び第3の廃水排出ステップを行い、完了した後、反応装置の排出制御セクションクローズステップを行うことを特徴とする請求項9に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃水回収システムに関し、特に、フッ化水素酸を含む廃水から工業原料を抽出する回収システムに関する。
続きを表示(約 5,300 文字)【背景技術】
【0002】
台湾は、ハイテク産業が発展し、世界中の半導体、ディスプレイなどのハイテク産業の研究開発及び製造の一大拠点となっており、集積回路半導体産業、液晶表示パネル産業及びソーラーエネルギー産業の製造工程では、フッ化水素酸を含む溶液を大量に使用してエッチング又は表面洗浄を行っていた。エッチング又は洗浄を行った後、フッ化水素酸廃水が発生するが、これらのフッ化水素酸廃水中のフッ素イオン濃度は約1000~3500mg/Lであり、10000mg/L以上となることもあった。しかし、これら高純度のフッ素イオンを含むフッ化水素酸廃水は、フッ素が水又は食べ物から摂取されて身体に蓄積される毒物であるため、直接排出させることができなかった。大量のフッ素を摂取した場合、カルシウム・リンの代謝バランスが崩れ、歯が脆弱化し、かぶれ、骨格及び関節の変形などの症状である骨のフッ素症が発生することがあった。これら高純度フッ素イオンを含むフッ化水素酸廃水は、廃水処理システムに進入することもあった。従来技術では、化学凝固によりフッ化カルシウム汚泥を生成し、フッ化水素酸廃水中のフッ素イオン濃度を下げて排水基準を満たしていたが、大量に発生する汚泥は、費用をかけて埋めるかその他の処理を行う必要があった。そのため、これらのフッ化水素酸廃水を資源として再利用することができる技術が求められていた。
【0003】
特許文献1の「フッ化水素酸、ヘキサフルオロケイ酸及びヘキサフルオロアルミン酸を含む廃水からフッ化カルシウムを生産する方法」は、フッ化水素酸、ヘキサフルオロケイ酸及びヘキサフルオロアルミン酸を含む廃水にフッ化カリウムを添加し、アンモニア、水酸化カルシウム、凝集剤などの薬剤の補助により、静置沈降して濾過し、フッ化カルシウムを得ていた。しかし、特許文献1の処理方法のステップは、複雑であり、沈殿・濾過過程によりフッ化カルシウムを生成するためには、常に異なる重量比で薬剤及び廃水を混合して混合液を生成してpH値を調整しなければならなかった。
【0004】
特許文献2の「フッ素を含む廃水の処理方法及びその処理剤」は、静置した後のフッ素を含む廃液に、アルミニウムを含むかナトリウムを含む化合物及びその組み合わせの混合薬剤を加え、フッ素を含む廃液のpH値を調整し、フッ素を含む廃液中の陽イオンを除去してから、アルミニウムを含むか、ナトリウムを含むか、塩素を含む化合物で組成された処理剤を加え、フッ素を含む廃液中のフッ素イオン及び薬剤に化学凝固作用を行い、氷晶石沈殿物を形成してその他の用途を達成する。しかし、特許文献2の処理方法のステップは、複雑であり、混合薬剤を別途添加し、適合するpH値に調整し、陽イオンの干渉を取り除くことを助けるこのステップは、フッ素を含む廃液中に各種金属水酸化物を形成し、各種金属水酸化物を取り除き、後続の干渉を防ぐ必要があり、アルミニウム化合物をさらに加えて沈殿した氷晶石を生成し、別途薬剤を添加するとコストが増える他、形成する各種金属水酸化物も除去しなければならないため、廃棄物の発生も増えた。
【0005】
特許文献3の「フッ化水素酸廃液中からフッ素を回収し、フルオロケイ酸塩を製造する方法」は、フッ化水素酸を含む廃液と、ケイ素を含む化合物とを反応させ、ヘキサフルオロケイ酸(H

SiF

)を含む廃液を反応生成した後、ヘキサフルオロケイ酸を含む廃液の濃度を調整するとともに、ナトリウム又はカリウムを含むアルカリ又はアルカリ金属塩を加え、フルオロケイ酸塩の沈殿物を生成してから、フルオロケイ酸ナトリウム又はフルオロケイ酸カリウムを廃液中から分離して乾燥した後、回収可能なフルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸カリウムの生成物を形成する。しかし、特許文献3の処理方法では、フッ化水素酸を含む廃液と、ケイフッ化水素酸を含む廃液とを5~15重量%に維持する操作制限を受け、低すぎるか高すぎる場合、経済性の高いフルオロケイ酸塩を生成することができず、操業コストが増大した。
【0006】
環境保護の意識の高まりに伴い、エネルギーの節減及び二酸化炭素の排出量の削減の概念が重要となってきており、現在までに公開されている技術は、各種溶剤・薬剤補助を添加してpH値などを調整しなければ、フッ素を含む廃水を回収して利用することができず、全体的に処理費用コストが増大するとともに、別途、溶剤・薬剤を添加することは、環境保護ならびにエネルギーの節減及び二酸化炭素の排出量の削減の概念に矛盾する上、関連する廃液又は廃棄物が発生することもあった。
【0007】
こうした現状に鑑み、本発明者は、関連分野の長年にわたる製造及び設計の経験、知識により、様々な工夫を凝らして本発明を完成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
台湾特許第I574923号公報
台湾特許第I233428号公報
台湾特許第I353343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、システム反応槽内の分散盤及び制御盤により、アルミニウムナトリウム含有化合物(Sodium Aluminum Compound)と、高濃度フッ素廃水とが接触反応する液流パターン及び流量を制御し、ループ形態とシステム反応槽とが連通するpH値/フッ素イオン検出セクションにより、高濃度フッ素廃水及びアルミニウムナトリウム含有化合物の混合水サンプルのpH値及びフッ素イオン濃度をモニターし、システムの操作過程中に氷晶石の結晶純度に影響する要因を効果的に制御し、システムが安定的に結晶純度を形成し、氷晶石を回収再使用に供し、フッ素イオンの回収率を高めるとともに、経済性の高い氷晶石のクリスタルを得る、工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、次の適用例(1)~(11)として実現することが可能である。
適用例(1)
廃水収集槽と、活性炭濾過装置と、容量性脱イオン装置と、低濃度収集槽と、少なくとも1つの濾過装置と、高濃度収集槽と、反応装置と、脱水装置とを備えた、工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システムであって、
前記廃水収集槽は、フッ化水素酸廃水を収容し、
前記活性炭濾過装置は、前記廃水収集槽と接続し、前記フッ化水素酸廃水を濾過し、第1の廃水を生成し、
前記容量性脱イオン装置は、前記活性炭濾過装置と接続するとともに、反対の電荷を有する複数の電極を有し、
第1の廃水中のイオンを、反対電荷の対応した複数の電極に向かって移動させることで、低濃度フッ素廃水を形成し、
複数の電極から、イオンを脱着させて放出することで、高濃度フッ素廃水を形成し、
前記低濃度収集槽は、前記容量性脱イオン装置と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を収容し、
前記濾過装置は、前記低濃度収集槽と接続するとともに、低濃度フッ素廃水を濾過して回収水を形成し、回収水が工場内に戻されて内部で再利用可能であり、
前記高濃度収集槽は、前記容量性脱イオン装置と接続するとともに、前記高濃度フッ素廃水を収容し、
前記反応装置は、前記高濃度収集槽と接続するとともに、添加されたアルミニウムナトリウム含有化合物と前記高濃度フッ素廃水との反応により、氷晶石及び第3の廃水を生成し、
前記脱水装置は、前記反応装置と接続するとともに、前記氷晶石及び前記第3の廃水を分離させることを特徴とする、工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(2)
前記容量性脱イオン装置は、CDI(Capacitive De-Ionization)又は薄膜容量性脱イオン装置であり、
前記アルミニウムナトリウム含有化合物は、アルミン酸ナトリウムであることを特徴とする前記適用例(1)に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(3)
前記第1の廃水中のイオンは、フッ素イオン及び水素イオンを含み、
前記高濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度は、前記低濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度よりも高く、
前記高濃度フッ素廃水中のフッ素イオン濃度は、前記フッ化水素酸廃水中のフッ化イオン濃度よりも高いことを特徴とする前記適用例(1)に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(4)
前記濾過装置は、前記廃水収集槽に接続するか、前記低濃度収集槽に接続するか、前記低濃度収集槽及び前記廃水収集槽に共に接続し、
前記濾過装置は、逆浸透(Reverse Osmosis:RO)装置又は薄膜容量性脱イオン装置であることを特徴とする前記適用例(1)に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(5)
制御プロセッサをさらに備え、
前記反応装置は、互いに対応した頂部槽口及び底部出口を有し、
前記反応装置の内部には、複数の液孔を有する分散盤と、前記分散盤上に位置するとともに複数の貫通孔を有する制御盤とを有し、
前記反応装置の内部には、前記分散盤及び前記制御盤が間隔をおいて設置され、上部投薬空間及び下部反応空間が形成され、
前記上部投薬空間は、アルミン酸ナトリウム液位計を有し、
前記下部反応空間は、前記底部出口を介して排出制御セクションと連通し、前記アルミニウムナトリウム含有化合物と前記高濃度フッ素廃水とにより形成された混合水サンプルを排出し、
前記混合水サンプルは、反応により前記氷晶石及び前記第3の廃水を生成し、
前記アルミン酸ナトリウム液位計及び前記排出制御セクションは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記排出制御セクションは、前記脱水装置及び廃液槽と接続して前記氷晶石及び前記第3の廃水を分離させ、
前記脱水装置及び前記廃液槽は、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
前記脱水装置と前記反応装置の前記排出制御セクションとは連通し、
前記廃液槽は、前記脱水装置が排出した前記第3の廃水を収集することを特徴とする前記適用例(1)に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(6)
前記反応装置の前記下部反応空間は、前記制御プロセッサにより電気的に制御されるフッ化水素酸液位計を有し、
前記反応装置の前記排出制御セクションは、流量制御バルブ及びボールバルブを有し、
前記流量制御バルブと、前記反応装置の前記底部出口との間には排出流路が設けられ、
前記排出流路は、前記ボールバルブにより制御され、
前記排出制御セクションの前記流量制御バルブ及び前記ボールバルブと、前記排出流路の前記ボールバルブとは、前記制御プロセッサにより電気的に制御され、
アルミン酸ナトリウム薬剤槽及びpH値/フッ素イオン検出セクションをさらに備え、
前記アルミン酸ナトリウム薬剤槽は、前記制御プロセッサによりバッチ定量制御セクションが電気的に制御され、前記反応装置の前記上部投薬空間内に前記アルミニウムナトリウム含有化合物を添加し、
前記pH値/フッ素イオン検出セクションは、互いに連通して前記制御プロセッサにより電気的に制御されるpHメーターと、フルオロメータとを有し、前記混合水サンプルを前記pHメーター及び前記フルオロメータに供給し、前記排出制御セクションが排出する前記混合水サンプルのpH値及びフッ素含量を検出し、
前記pHメーターは、前記反応装置の前記下部反応空間の底部と連通する第1の流路を有し、
前記フルオロメータは、前記下部反応空間の頂部と連通する第2の流路を有し、前記混合水サンプルを前記反応装置に還流させるか排出させることを特徴とする前記適用例(5)に記載の工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム。
適用例(7)
前記分散盤の複数の前記液孔は、円心から米字放射線状に形成されており、
前記制御盤の複数の前記貫通孔は、第1の貫通孔群、第2の貫通孔群及び第3の貫通孔群から構成されてなり、
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東レ株式会社
浄水器用カートリッジ
1日前
株式会社LIXIL
監視システム
8日前
株式会社熊谷組
濁水処理システム
10日前
日本ソリッド株式会社
ダム湖水の処理方法
7日前
栗田工業株式会社
廃水処理システム
3日前
栗田工業株式会社
水質浄化システム
21日前
日本特殊陶業株式会社
メタン低減装置
10日前
株式会社AT idea
家庭でできる太陽熱蒸留装置
9日前
株式会社Eプラン
電解イオン水生成装置
14日前
ユキエンジニアリング株式会社
浮上物回収装置
22日前
日機装株式会社
流水殺菌装置および流水殺菌方法
21日前
日星電気株式会社
発熱部品の保護構造、及び液体処理装置
21日前
環水工房有限会社
膜モジュール及び膜ろ過装置
7日前
オルガノ株式会社
水処理方法及び水処理システム
22日前
株式会社クイックリン
脱窒処理システム及び脱窒処理方法
4日前
オルガノ株式会社
超純水製造装置及びその運用方法
8日前
エスエヌエフ・グループ
新規な汚泥脱水方法
25日前
個人
天然水由来処理水
10日前
テクノエクセル株式会社
殺菌水製造装置
14日前
個人
浮遊物滞留器具及びそれを用いた浮遊物除去方法
3日前
アサヒプリテック株式会社
貴金属溶液の製造方法
15日前
栗田工業株式会社
流動床式生物処理装置及びその運転方法
11日前
パナソニックIPマネジメント株式会社
軟水化装置
9日前
パナソニックIPマネジメント株式会社
軟水化装置
10日前
栗田工業株式会社
空冷式凝縮器の補助冷却装置の水処理方法
10日前
オルガノ株式会社
電気式脱イオン水製造装置及びその運転方法
7日前
WOTA株式会社
生物の活性管理システム
1か月前
関西化学機械製作株式会社
曝気システム
4日前
オルガノ株式会社
情報処理装置、プログラムおよび水処理システム
2日前
パナソニックIPマネジメント株式会社
水電解システム
21日前
前田建設工業株式会社
POPs含有水の処理方法
8日前
オルガノ株式会社
水処理システムの設計支援方法および設計支援システム
9日前
株式会社神鋼環境ソリューション
メタン発酵処理方法、及び、メタン発酵処理設備
10日前
鋒霈環境科技股ふん有限公司
工業原料を抽出可能なフッ化水素酸廃水回収システム
4日前
株式会社神鋼環境ソリューション
メタン発酵処理方法、及び、メタン発酵処理設備
10日前
株式会社ササクラ
膜処理の前処理方法および装置
8日前
続きを見る