特許ウォッチ

公開番号2025078004
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2024165655
出願日2024-09-24
発明の名称抄紙フェルト用ベース部材および抄紙フェルト
出願人イチカワ株式会社
代理人個人
主分類D21F 7/10 20060101AFI20250512BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】シームループを接合する作業性が損なわれず、またシーム部のシームマークの発生が抑制された、シームを有する抄紙フェルト用ベース部材および抄紙フェルトを提供する。
【解決手段】抄紙フェルト用ベース部材は、機械方向を往復する機械方向糸と、機械横断方向に沿って配置され、機械方向糸に織り込まれた機械横断方向糸とを含む有端状の織布と、織布の機械方向両端部において、機械方向糸が折り返すことにより形成され、芯線が挿通することが可能な複数の芯線挿通ループと、織布の少なくとも一方の端部において、織布の最端部に配置された機械横断方向糸と芯線挿通ループとの間に、機械横断方向に沿って配置された複数本の充填糸とを含み、複数の充填糸のうち前記芯線挿通ループの最も近くに配置された第1充填糸の繊度は、第1充填糸よりも機械横断方向糸側に配置された第2充填糸の繊度よりも小さい。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
機械方向を往復する機械方向糸と、機械横断方向に沿って配置され、前記機械方向糸に織り込まれた機械横断方向糸とを含む有端状の織布と、
前記織布の機械方向両端部において、前記機械方向糸が折り返すことにより形成され、芯線が挿通することが可能な複数の芯線挿通ループと、
前記織布の少なくとも一方の端部において、前記織布の最端部に配置された前記機械横断方向糸と前記芯線挿通ループとの間に、機械横断方向に沿って配置された複数本の充填糸とを含み、
当該複数の充填糸のうち前記芯線挿通ループの最も近くに配置された第１充填糸の繊度は、当該第１充填糸よりも前記機械横断方向糸側に配置された第２充填糸の繊度よりも小さい、抄紙フェルト用ベース部材。
続きを表示（約 700 文字）【請求項２】
前記第２充填糸は、前記第１充填糸に隣接している、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項３】
前記第１充填糸の繊度が、２４０ｄｔｅｘ以上２，０００ｄｔｅｘ以下である、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項４】
前記第２充填糸の繊度が、３３０ｄｔｅｘ以上２，０９０ｄｔｅｘ以下である、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項５】
前記第１充填糸の繊度は、前記第２充填糸の繊度よりも９０ｄｔｅｘ以上１，８５０ｄｔｅｘ以下小さい、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項６】
前記第１充填糸の繊度に対する前記第２充填糸の繊度の比は、１０５％以上１９５％以下である、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項７】
前記織布の前記少なくとも一方の端部において、前記複数の充填糸が前記第１充填糸と前記第２充填糸とからなる、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項８】
前記第２充填糸が、スパン糸および／またはマルチフィラメント糸を含む、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項９】
前記第１充填糸が、スパン糸および／またはマルチフィラメント糸を含む、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
【請求項１０】
前記複数の充填糸は、経２重組織を形成するように、前記機械方向糸に織り込まれている、請求項１に記載の抄紙フェルト用ベース部材。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、抄紙フェルト用ベース部材および抄紙フェルトに関する。
続きを表示（約 1,600 文字）【背景技術】
【０００２】
製紙工程のプレスパートにおいては、主に抄紙フェルトと一対のプレスロールにより湿紙の搾水作業が行われる。一般にプレスパートは連続式の装置であるため、この抄紙フェルトも連続的に動作する必要があり、このため抄紙フェルトは、プレスパート内において環状をなすエンドレスのフェルトとして用いられる。
【０００３】
抄紙フェルトには、環状をなすエンドレスの抄紙フェルトと、有端状の抄紙フェルトが一般に用いられている。エンドレスの抄紙フェルトは、環状をなすため、フェルトの接合部が生じず、接合部由来の形状が湿紙に転写されることがない。一方で、エンドレスの抄紙フェルトは抄紙機に掛け入れる際、クレーン等を用いてロールやロール支持部材等を取り外して掛け入れが行われるため、大型抄紙機では長時間機械を止めて掛け入れ作業を行う必要がある。
【０００４】
これに対し、有端状の抄紙フェルトは、一般にその両端に接合用のシームループを有するシーム付き抄紙フェルトであり、抄紙機への掛け入れが容易である。シーム付き抄紙フェルトは、抄紙機を止めた後に、ロールやロールの支持部材等を取り外すことなく、新しく掛け入れるシーム付き抄紙フェルトに予め取り付けられているシームフェルト誘導帯を介して使い終わった抄紙フェルトまたは抄紙機に通したロープやスリングベルトと連結し、抄紙機に引き入れる。
【０００５】
その後、掛け入れた抄紙フェルトの両端部を突合せ、シームループを交互に噛み合わせてできる空間に芯線を挿通して、抄紙フェルトを無端状とし、機械への掛け入れ作業を完了させる。
【０００６】
この種のシーム付きの抄紙フェルトでは、シームループの形態により、シームループを交互に噛み合わせてできる空間に芯線を挿通する作業、即ちシームループの接合作業の作業性が大きく左右される。また、シームループの接合部（シーム部）は、搾水時に湿紙に接触して湿紙にいわゆるシームマークと呼ばれる凹凸を付与する。このシームマークの形状も、シームループの形態が大きく影響する。さらには、シームループ付近においてはフェルトに積層された短繊維が脱落しやすい傾向にある。
【０００７】
シームループの形態を適正化して接合作業の作業性を向上させるため、また、シーム部のシームマークを低減させるため、更にまた、シーム部の短繊維の脱落を防止させるために、シームループおよびその近傍に工夫を加えた種々の技術が提案されている。
【０００８】
特許文献１には、シームループ近傍の緯糸が織り込まれた部分が加圧時の圧力を不均一にする凸部や凹部となることがないようにして、シームマークなどの不具合を避けることができ、さらにループの捩れを抑制すると共にフラップの脱落を防止することを目的として、シームループ近傍の緯糸に、２本の糸材を撚り合わせた撚り糸を配置するシーム付きフェルトが提案されている。
【０００９】
特許文献２には、ベース部材全体に対する、ループの根本位置が一定していない構造となることでシームループ接合作業が困難となることを防止する目的として、ＣＤ糸材中の端部端縁にベース部材におけるＣＤ糸材とは異なる織りパターンにより織り込まれた調整糸をＭＤ糸材の各層に独立して配置したシーム付きフェルトが提案されている。
【００１０】
特許文献３には、シームループ領域においてシーム付きフェルトの浸透性、圧縮性等の不均一性を改善することを目的として、シームループ領域のＣＤ糸材の繊度、密度、織り組織を変更させたシーム付きフェルトが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許