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公開番号2025079755
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-22
出願番号2023201126
出願日2023-11-10
発明の名称化合物、潜熱蓄熱材、潜熱蓄熱体、電子デバイス、及び蓄電デバイス
出願人株式会社K-マテリアルズラボ,国立大学法人宇都宮大学
代理人
主分類C07C 69/38 20060101AFI20250515BHJP(有機化学)
要約【課題】潜熱蓄熱特性を有する化合物、潜熱蓄熱材、潜熱蓄熱体、電子デバイス、及び蓄電デバイスの提供。
【解決手段】
下記の式(I)で表される化合物、及びその応用。n及びmは、n=mの場合には、式(I)中、nは1~30の整数であり、lは10未満の奇数を表す。n≠mの場合は、n及びmが各々独立に、nは0~30の整数、mは1~30の整数であり、lは1~10の整数である。
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【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の式(I)で表される化合物。
TIFF
2025079755000007.tif
8
80
前記式(I)中、n及びmは、n=mの場合には、nは1~30の整数であり、lは10未満の奇数、n≠mの場合は、n及びmが各々独立に、nは0~30の整数、mは1~30の整数であり、lは1~10の整数である。
続きを表示(約 200 文字)【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む潜熱蓄熱材。
【請求項3】
電子デバイス又は蓄電デバイスに用いられる請求項2に記載の潜熱蓄熱材。
【請求項4】
請求項2に記載の潜熱蓄熱材を含む潜熱蓄熱体。
【請求項5】
請求項2に記載の潜熱蓄熱材を備える電子デバイス。
【請求項6】
請求項2に記載の潜熱蓄熱材を備える蓄電デバイス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、化合物、潜熱蓄熱材、潜熱蓄熱体、電子デバイス、及び蓄電デバイスに関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、急速に普及しているデジタル家電製品では、高速大容量の情報を取り扱う電子機器からの発熱が増大の一途をたどっている。また、小型化、軽量化、及び薄型化の進展により、部品の放熱をいかに効率良く行うかという熱対策の重要性が増している。特に、スマートフォン、タブレットPC(personal computer)等のモバイルデバイスは、小型でありながら、高機能化及び高性能化が進んでおり、発熱密度が著しく増加している。モバイルデバイスでは、発熱密度の増加が、熱暴走、はんだの熱サイクルによる疲労の加速等を招く危険性が高まっており、信頼性向上のため、熱対策が求められている。
【0003】
電子機器の冷却方法として、相変化材料(PCM:Phase Change Material)を用いた受動的な冷却方法が注目を集めている。PCMは、潜熱蓄熱材とも称され、潜熱により、温度をほとんど変化させることなく熱を吸収できるため、PCMを用いると、温度上昇にかかる時間を遅らせる効果、いわゆる遅延効果が得られる。
潜熱蓄熱材は、物質が状態変化する際の吸熱及び放熱を利用するものであり、繰り返して使用できることに加えて、蓄熱容量が他の蓄熱材に比べて大きいという利点を有する。潜熱蓄熱材としては、例えば、パラフィン〔融点:36.4℃(エイコサン:C
20

42
)〕、酢酸ナトリウム三水和物(融点:58℃)、エリスリトール(融点:119℃)等の化合物が知られている。パラフィン類は比較的潜熱量が高いが可燃性であり、水和物は繰り返し特性が悪く、エリスリトールは相変化温度が高い等の難点がある。また、潜熱蓄熱材としては、イミダゾール系イオン液体である1-hexadecyl-3-methylimidazolium chlorideが知られている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。これらの化合物は、いずれも固相から液相への相変化に伴う融解潜熱を利用する潜熱蓄熱材である。
また、炭素数が短いジカルボン酸は、相変化時の潜熱量が大きいことが知られているが(図1及び非特許文献3参照)、その相変化温度は150℃以上と高く、電子デバイス用途に使用することはできない。しかし、そのジカルボン酸ジエステル化した化合物が、その相変化温度を低下させることが報告されている。(非特許文献4及び5)例えば非特許文献4では炭素数10-14のジカルボン酸のテトラデカノールとのジエステル化合物が50―58℃の融点を持ち、200J/g以上の潜熱量を持つことが報告されている。また非特許文献5では、炭素数4のジカルボン酸である琥珀酸ジテトラデシルエステル(炭素数14)及びジオクタデシルエステル(炭素数18)の融点がそれぞれ47及び64℃でそのときの潜熱量はそれぞれ、195と202J/gであることが報告されている。また融解/凝固時のヒステリシスが7℃以下と小さく、かつ繰り返し特性に優れていることを報告している。しかし琥珀酸の例からも明らかなように、これは一般的な傾向であるが、エステル部のアルキル基の炭素数が大きくなると、潜熱量は大きくなるが融点は高くなり、電子部品の潜熱材料のアプリケーションとしては好ましくない。
【0004】
ところで、近年、エネルギーの高効率利用のため、高性能電池を搭載した電気自動車の普及が進んでいる。電気自動車に搭載する高性能電池として、特に、リチウムイオン電池の開発が積極的に行われており、リチウムイオン電池の高出力化及び高容量化が図られている。しかし、高出力化による過度の高温状態、及び、高容量化に伴い大量に発生する充放電時の熱は、電池としての寿命を著しく低下させる要因となり、最悪の場合、発火及び爆発を引き起こす危険性もある。一般に、リチウムイオン電池では、60℃を超える使用温度領域において性能の劣化が顕著に表れる傾向がある(例えば非特許文献6参照)。このため、電池特性の最適化、電池の長寿命化、及び電池の安全性向上には、電池の温度を最適な温度領域(例えば、15℃~60℃)に維持する熱管理技術が必要不可欠となり、そのためには更なる潜熱量の増大化が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
E.Thomas,D.Thomas,S.Bhuvaneswari,K.P.Vijayalakshmi,B.K.George, “1-Hexadecyl-3-methylimidazolium chloride:Structure,thermal stability and decomposition mechanism”,J.Mol.Liq.,vol.249(2018),pp.404-411.
M.Bendova,M.Canji,M.G.Bogdanov,Z.Wagner,N.Zdolsek,F.Quirion, “Phase Transitions in Higher-Melting Ionic Liquids:Thermal Storage Materials or Liquid Crystals?” Chemical Engineering Transactions Vol.69,pp.37-42(2018)ISBN 978-88-95608-66-2(著者である「M.Bendova」の後ろから2番目の「a」は、チャールカ付きの「a」であり、「M.Canji」の「C」は、ハーチェク付きの「C」であり、「N.Zdolsek」の「s」は、ハーチェク付きの「s」である。)
NIST Chemistry WebBook,SRD 69 NIST Chemistry WebBook
Ahmet Alper Aydin, “Diesters of high-chain dicarboxylic acids with 1-tetradecanol as novel organic phase change materials for thermal energy storage”Solar Energy Materials & Solar Cells Vol.104(2012)pp.102-108
Derya Kahraman Doguscu, “Synthesis and characterization of ditetradecyl succinate and dioctadecyl succinate as novel phase change materials for thermal energy storage” Solar Energy Materials & Solar Cells Vol.200(2019)110006
L.M.Thompson,J.E.Harlow,A.Eldesoky,M.K.G.Bauer,J.H.Cheng,W.S.Stone,T.Taskovic,C.R.M.McFarlane and J.R.Dahn, “Study of Electrolyte and Electrode Composition Changes vs Time in Aged Li-Ion Cells”J.Electrochem.Soc.Vol.168(2021)020532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、電子機器類の冷却に使用される潜熱蓄熱材に対しては、低い相変化温度を示し、かつ、潜熱量が大きいことが求められている。また、潜熱蓄熱材には、相変化による吸熱及び相変化後の冷却時に発熱を起こして相変化前の状態に戻る性質(所謂、繰り返し特性)が求められる。つまり相変化後の発熱がなければ相変化前の状態に戻ることができない。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、潜熱蓄熱特性を有する新規な化合物を提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、潜熱蓄熱特性に優れた潜熱蓄熱材、好ましくは相変化温度が78℃以下と低く、潜熱量が大きく、かつ、繰り返し特性を有する潜熱蓄熱材を提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記潜熱蓄熱材を含む潜熱蓄熱体、並びに、上記潜熱蓄熱材を備える電子デバイス及び蓄電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねる過程で、相変化時の潜熱量が大きいジカルボン酸に着目した。そして、非特許文献5を参考にしてジカルボン酸ジエステル化合物に関し、鋭意研究を重ねたところ、ジカルボン酸ジエステル化合物におけるジカルボン酸の炭素数に最適値が存在することを見出した。またエステル部分の炭素数を変えた非対称のジエステル化合物とすることにより、高い潜熱量を持ちかつ相変化温度、この場合は融点を低下できることを見出し、本開示を完成するに至った。
【0009】
上記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記の式(I)で表される化合物。
【0010】
TIFF
2025079755000001.tif
8
79
(【0011】以降は省略されています)

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