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公開番号2025105830
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-10
出願番号2025073649,2021047252
出願日2025-04-25,2021-03-22
発明の名称原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法
出願人旭化成株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類B01D 69/08 20060101AFI20250703BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】原料液が高粘度であっても当該原料液中の目的成分を少ない変質で高濃度まで濃縮できる、中空糸膜、膜モジュール、原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法を提供する。
【解決手段】粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための多孔質の中空糸膜であって、透気度が500L/h・m2・kPa以上であり、200kPa加圧時の20質量%濃度のエタノール水溶液の透水速度が100mL/h・m2以下であり、かつ中空糸内径が0.3mm以上2.0mm以下である、中空糸膜。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための多孔質の中空糸膜であって、
透気度が500L/h・m
2
・kPa以上であり、
200kPa加圧時の20質量%濃度のエタノール水溶液の透水速度が100mL/h・m
2
以下であり、かつ
中空糸内径が0.3mm以上2.0mm以下である、中空糸膜。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記透気度が1000L/h・m
2
・kPa以上5000L/h・m
2
・kPa以下であり、
前記透水速度が50mL/h・m
2
以下であり、かつ
前記中空糸内径が0.5mm以上1.5mm以下である、請求項1に記載の中空糸膜。
【請求項3】
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂で構成されている、請求項1又は2に記載の中空糸膜。
【請求項4】
前記原料液が、Brix値2以上70以下のカエデ樹液である、請求項1~3のいずれか一項に記載の中空糸膜。
【請求項5】
粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための膜モジュールであって、
前記膜モジュールは、多孔質の中空糸膜と、前記中空糸膜を収容する略円柱状又は略多角柱状のモジュールケースとを有し、
前記膜モジュールは、前記モジュールケースの軸方向の両端部に、固定用樹脂によって前記中空糸膜が開口端部を有して固定されている膜固定部と、原料液を前記開口端部から前記中空糸膜の内部に流通させるための原料液流通用開口部とを有し、且つ、側面部に、前記膜モジュールの気相部に連通して、気相部内の蒸気を前記膜モジュールの外部に取り出すための蒸気取出口を有し、
前記蒸気取出口の開口面積は、前記中空糸膜の膜面積の1500分の1以上であり、
前記中空糸膜の有効長が中空糸内径の100倍以上1000倍以下であり、
前記原料液流通用開口部の開口面積が中空糸の総開口断面積の0.2倍以上8.0倍以下である、膜モジュール。
【請求項6】
前記蒸気取出口の開口面積は、前記中空糸膜の膜面積の1000分の1以上250分の1以下であり、
前記中空糸膜の有効長が中空糸内径の100倍以上800倍以下であり、
前記原料液流通用開口部の開口面積が中空糸の総開口断面積の0.2倍以上5.0倍以下である、請求項5に記載の膜モジュール。
【請求項7】
前記モジュールケースが、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、繊維強化プラスチック、及び塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂、並びに/又はステンレス、真鍮、黄銅、及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成されている、請求項5又は6に記載の膜モジュール。
【請求項8】
前記原料液が、Brix値2以上70以下のカエデ樹液である、請求項5~7のいずれか一項に記載の膜モジュール。
【請求項9】
前記中空糸膜が請求項1~4のいずれか一項に記載の中空糸膜である、請求項5~8のいずれか一項に記載の膜モジュール。
【請求項10】
粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための原料液濃縮システムであって、
前記原料液濃縮システムは、原料液を貯留する原料液タンクと、原料液を加温する加温部と、前記加温部で加温された原料液を濃縮するための、多孔質の中空糸膜を有する膜蒸留部と、原料液を前記原料液タンクから前記加温部、前記膜蒸留部の順に流通させて前記原料液タンクに循環させる循環ポンプとを有し、
前記中空糸膜は、原料液を中空部に受け入れて蒸気を中空糸膜外側に排出するように配置されており、
前記中空糸膜の原料液流入部位において、
原料液温度が30℃以上80℃以下であり、
原料液圧力が10kPa以上300kPa以下であり、
中空糸膜外側圧力が-80kPa以下に減圧され、
前記原料液圧力と前記中空糸膜外側圧力との差圧が395kPa以下であり、
中空糸膜内部における原料液線速が0.05m/s以上1.0m/s以下である
ように構成されている、原料液濃縮システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造プロセス及び工業プロセスにおける高粘度原料液の濃縮に有用な、中空糸膜、膜モジュール、原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法に関する。より詳しくは、本発明は、食品製造プロセス及び工業プロセスで使われる高粘度原料液から溶媒の一部を膜蒸留で分離することによって原料液を濃縮する、原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、消費者の健康指向により、天然から収穫され、抽出又は濃縮された食料品に対して、消費者の関心が寄せられている。例えば、天然物由来の原料液を蒸発機に入れて水分を加熱蒸発させて得られる濃縮液を、甘味料として、各種料理、菓子類などへ添加することが行われている。しかし、原料液を高温で加熱すると、原料液に含まれる多くの成分が変質又は消失するため、得られる濃縮液において、香味成分の劣化、及び変色が生じるという問題があった。
【0003】
一方、工業プロセスにおいても、加熱により分解しやすい有価物を含む原料液の濃縮が求められる場合がある。このような原料液は、上記の食料品と同様、加熱を抑えた方法により濃縮する必要がある。
【0004】
そこで、加熱を必要とせずに原料液を濃縮できる方法として、一般的に、逆浸透膜法及び正浸透膜法が用いられてきた。例えば、特許文献1及び2には、メイプルシロップを逆浸透膜法で濃縮する方法が記載されており、特許文献3には、液状の食品を、正浸透膜法で濃縮する方法が記載されている。また、特許文献4には、液状の食品を、逆浸透膜法と膜蒸留法の組合せで濃縮する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2003-70448号公報
米国特許第9622505号明細書
国際公開第2019/098390号
特開2016-068006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、逆浸透膜法では、原料液に、濃縮液の浸透圧よりも高い圧力をかける必要があるため、濃縮濃度に限界がある。また逆浸透膜法では、膜に高圧がかかるため、原料液の含有成分が膜に吸着され易く、繰り返し運転すると、膜性能が低下するという問題があった。
【0007】
一方、膜蒸留法では加熱が必要であるため、加熱方法又は温度によっては、濃縮液の劣化、有価物の分解、変色等が起こってしまうという問題があった。さらに、例えば、メイプルシロップ、蜂蜜などの糖液を始め、コーヒー抽出液、茶抽出液、出汁、香料乳化物、食品油乳化物などの液状食料品の製造においては、原料液が本来的に高粘度である。そのため、膜蒸留効率を上昇させるために一定以上の線速を維持した場合、圧力損失が増大し、膜の濡れ、したがって膜の多孔質構造の閉塞による濃縮性能低下につながるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決し、原料液が高粘度であっても当該原料液中の目的成分を少ない変質で高濃度まで濃縮できる、中空糸膜、膜モジュール、原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための多孔質の中空糸膜であって、
透気度が500L/h・m
2
・kPa以上であり、
200kPa加圧時の20質量%濃度のエタノール水溶液の透水速度が100mL/h・m
2
以下であり、かつ
中空糸内径が0.3mm以上2.0mm以下である、中空糸膜。
[2] 前記透気度が1000L/h・m
2
・kPa以上5000L/h・m
2
・kPa以下であり、
前記透水速度が50mL/h・m
2
以下であり、かつ
前記中空糸内径が0.5mm以上1.5mm以下である、上記態様1に記載の中空糸膜。
[3] ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂で構成されている、上記態様1又は2に記載の中空糸膜。
[4] 前記原料液が、Brix値2以上70以下のカエデ樹液である、上記態様1~3のいずれかに記載の中空糸膜。
[5] 粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための膜モジュールであって、
前記膜モジュールは、多孔質の中空糸膜と、前記中空糸膜を収容する略円柱状又は略多角柱状のモジュールケースとを有し、
前記膜モジュールは、前記モジュールケースの軸方向の両端部に、固定用樹脂によって前記中空糸膜が開口端部を有して固定されている膜固定部と、原料液を前記開口端部から前記中空糸膜の内部に流通させるための原料液流通用開口部とを有し、且つ、側面部に、前記膜モジュールの気相部に連通して、気相部内の蒸気を前記膜モジュールの外部に取り出すための蒸気取出口を有し、
前記蒸気取出口の開口面積は、前記中空糸膜の膜面積の1500分の1以上であり、
前記中空糸膜の有効長が中空糸内径の100倍以上1000倍以下であり、
前記原料液流通用開口部の開口面積が中空糸の総開口断面積の0.2倍以上8.0倍以下である、膜モジュール。
[6] 前記蒸気取出口の開口面積は、前記中空糸膜の膜面積の1000分の1以上250分の1以下であり、
前記中空糸膜の有効長が中空糸内径の100倍以上800倍以下であり、
前記原料液流通用開口部の開口面積が中空糸の総開口断面積の0.2倍以上5.0倍以下である、上記態様5に記載の膜モジュール。
[7] 前記モジュールケースが、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、繊維強化プラスチック、及び塩化ビニル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂、並びに/又はステンレス、真鍮、黄銅、及びチタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成されている、上記態様5又は6に記載の膜モジュール。
[8] 前記原料液が、Brix値2以上70以下のカエデ樹液である、上記態様5~7のいずれかに記載の膜モジュール。
[9] 前記中空糸膜が上記態様1~4のいずれかに記載の中空糸膜である、上記態様5~8のいずれかに記載の膜モジュール。
[10] 粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮するための原料液濃縮システムであって、
前記原料液濃縮システムは、原料液を貯留する原料液タンクと、原料液を加温する加温部と、前記加温部で加温された原料液を濃縮するための、多孔質の中空糸膜を有する膜蒸留部と、原料液を前記原料液タンクから前記加温部、前記膜蒸留部の順に流通させて前記原料液タンクに循環させる循環ポンプとを有し、
前記中空糸膜は、原料液を中空部に受け入れて蒸気を中空糸膜外側に排出するように配置されており、
前記中空糸膜の原料液流入部位において、
原料液温度が30℃以上80℃以下であり、
原料液圧力が10kPa以上300kPa以下であり、
中空糸膜外側圧力が-80kPa以下に減圧され、
前記原料液圧力と前記中空糸膜外側圧力との差圧が395kPa以下であり、
中空糸膜内部における原料液線速が0.05m/s以上1.0m/s以下である
ように構成されている、原料液濃縮システム。
[11] 粘度が3cP以上600cP以下である原料液を膜蒸留によって濃縮して原料液濃縮物を製造する方法であって、前記方法は、
原料液を加温する加温工程と、
前記加温された原料液を多孔質の中空糸膜の中空部に流通させて膜蒸留により濃縮する濃縮工程とを含み、
前記濃縮工程で濃縮された原料液を循環させて濃縮前の原料液に合流させ、
前記中空糸膜の原料液流入部位において、
原料液温度が30℃以上80℃以下であり、
原料液圧力が10kPa以上300kPa以下であり、
中空糸膜外側圧力が-80kPa以下に減圧され、
前記原料液圧力と前記中空糸膜外側圧力との差圧が395kPa以下であり、
中空糸膜内部における原料液線速が0.05m/s以上1.0m/s以下である、方法。
[12] 前記原料液温度が40℃以上70℃以下である、上記態様11に記載の方法。
[13] 前記中空糸膜外側圧力が-90kPa以下である、上記態様11又は12に記載の方法。
[14] 前記原料液圧力が30kPa以上210kPa以下であり、
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、原料液が高粘度であっても当該原料液中の目的成分を少ない変質で高濃度まで濃縮できる、中空糸膜、膜モジュール、原料液濃縮システム及び原料液濃縮方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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