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公開番号2025110965
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-30
出願番号2024005058
出願日2024-01-17
発明の名称ステンレス鋼材
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250723BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】110ksi以上の高強度と、優れた耐SSC性と、極低温環境における優れた低温靭性とを有するステンレス鋼材を提供する。
【解決手段】本開示によるステンレス鋼材は、明細書に記載の化学組成を有し、降伏強度が758MPa以上であり、ミクロ組織が、体積率で0~20%のフェライト、0~15%の残留オーステナイト、及び、残部がマルテンサイトからなり、元素の含有量と、降伏強度とが、式(1)を満たし、元素の含有量が式(2)を満たす。
0.15≦(Sn+As+Sb)/{(Cu+Ni)/YS}≦1.00 (1)
(Ni+2Co)/Sn≧900 (2)
ここで、式(1)及び(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量が単位:質量%で代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。また、式(1)中のYSには、降伏強度が単位:MPaで代入される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ステンレス鋼材であって、
質量%で、
C:0.050%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.050%以下、
S:0.0050%以下、
Cr:13.50~16.50%未満、
Mo:0.50~5.00%、
Ni:1.00~7.00%、
Cu:0.01~3.00%、
Co:0.10~1.50%、
Sn:0.0005~0.0100%、
sol.Al:0.005~0.050%、
N:0.150%以下、
O:0.0050%以下、
W:0~1.60%、
As:0~0.0100%、
Sb:0~0.0100%、
Ca:0~0.0050%、
Mg:0~0.0050%、
B:0~0.0050%、
希土類元素:0~0.100%
V:0~0.50%、
Ti:0~0.300%、
Nb:0~0.300%、
Zr:0~0.200%、
Zn:0~0.0100%、
Pb:0~0.0100%、及び、
残部:Fe及び不純物からなり、
降伏強度が、758MPa以上であり、
ミクロ組織が、体積率で0~20%のフェライト、0~15%の残留オーステナイト、及び、残部がマルテンサイトからなり、
前記元素の含有量と、前記降伏強度とが、式(1)を満たし、
前記元素の含有量が式(2)を満たす、
ステンレス鋼材。
0.15≦(Sn+As+Sb)/{(Cu+Ni)/YS}≦1.00 (1)
(Ni+2Co)/Sn≧900 (2)
ここで、式(1)及び(2)中の元素記号には、対応する元素の含有量が単位:質量%で代入される。対応する元素が含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。また、式(1)中のYSには、降伏強度が単位:MPaで代入される。
続きを表示(約 350 文字)【請求項2】
請求項1に記載のステンレス鋼材であって、
W:0.01~1.60%、
As:0.0001~0.0100%、
Sb:0.0001~0.0100%、
Ca:0.0001~0.0050%、
Mg:0.0001~0.0050%、
B:0.0001~0.0050%、
希土類元素:0.001~0.100%
V:0.01~0.50%、
Ti:0.001~0.300%、
Nb:0.001~0.300%、
Zr:0.001~0.200%、
Zn:0.0001~0.0100%、及び、
Pb:0.0001~0.0100%、からなる群から選択される1元素以上を含有する、
ステンレス鋼材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示はステンレス鋼材に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
油井やガス井(以下、油井及びガス井を総称して「油井」という)の中には、腐食性物質を多く含有する環境がある。腐食性物質はたとえば、硫化水素(H

S)ガス及び炭酸(CO

)ガス等の腐食性ガスである。ここで、本明細書において、硫化水素及び炭酸ガスを含有する環境を「サワー環境」という。サワー環境で使用される油井用鋼材は、耐硫化物応力割れ性(耐Sulfide Stress Cracking性:以下、耐SSC性という)が要求される。
【0003】
近年、油井の深井戸化により、油井用鋼材の高強度化が要求されている。具体的には、80ksi級(降伏強度が80~95ksi未満、つまり、552~655MPa未満)や、95ksi級(降伏強度が95~110ksi未満、つまり、655~758MPa未満)の油井用鋼材が広く利用されてきている。最近ではさらに、110ksi以上(降伏強度が758MPa以上)の油井用鋼材が求められ始めている。つまり、近年、110ksi以上の高強度と優れた耐SSC性とを両立する油井用鋼材が求められてきている。
【0004】
これまでに、高強度と優れた耐SSC性とを有するステンレス鋼材が、特開2005-336599号公報(特許文献1)、及び、特開2015-110822号公報(特許文献2)に提案されている。
【0005】
特許文献1に開示されるステンレス鋼材は、ラインパイプ用高強度ステンレス鋼管であって、質量%で、C:0.001~0.015%、Si:0.01~0.5%、Mn:0.1~1.8%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cr:15~18%、Ni:0.5~5.5%未満、Mo:0.5~3.5%、V:0.02~0.2%、N:0.001~0.015%、O:0.006%以下、及び、残部がFe及び不純物であって、式(Cr+0.65Ni+0.6Mo+0.55Cu-20C≧18.5)、式(Cr+Mo+0.3Si-43.5C-0.4Mn-Ni-0.3Cu-9N≧11.5)、及び、式(C+N≦0.025)を満たす。このステンレス鋼材は、降伏強度が413MPa以上の高強度と、優れた耐硫化物応力腐食割れ性を有する、と特許文献1には開示されている。
【0006】
特許文献2に開示されるステンレス鋼材は、油井用高強度ステンレス継目無鋼管であって、質量%で、C:0.05%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.15~1.0%、P:0.030%以下、S:0.005%以下、Cr:15.5~17.5%、Ni:3.0~6.0%、Mo:1.5~5.0%、Cu:4.0%以下、W:0.1~2.5%、N:0.15%以下、及び、残部がFe及び不純物であって、式(-5.9×(7.82+27C-0.91Si+0.21Mn-0.9Cr+Ni-1.1Mo+0.2Cu+11N)≧13.0)、式(Cu+Mo+0.5W≧5.8)、及び、式(Cu+Mo+W+Cr+2Ni≦34.5)を満たす。このステンレス鋼材は、降伏強度が758MPa以上の高強度と、優れた耐硫化物応力腐食割れ性を有する、と特許文献2には開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005-336599号公報
特開2015-110822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、地上での二酸化炭素(CO

)の濃度上昇が世界的に問題となっている。そのため、CO

の排出を抑制する取り組みが進められてきている。このようなCO

の排出を抑制する取り組みの中で、特に、CCUSが注目されてきている。CCUSは、Carbon dioxide Capture,Utilization and Storageの略称である。すなわち、CCUSは、CO

の回収、利用、及び、貯留の3つの技術を含む。このうち、CO

を貯留する技術として、発電所や工場等の産業施設から排出されたCO

を回収し、枯渇油井にCO

を圧入して貯留する技術が注目されてきている。
【0009】
ここで、CO

の貯留時には、鋼材に極低温環境での靭性が求められる場合がある。具体的に、貯留するCO

ガスの圧力変化が起こると、Joule-Thomson効果によって、貯留される気体の温度が低下する場合がある。この場合、鋼材には、通常の温度をはるかに下回る、-80℃という極低温環境での靭性が要求される場合がある。すなわち、油井管用途に加えて、CCUS用途への適用が想定されたステンレス鋼材には、高強度と優れた耐SSC性とだけでなく、-80℃以下という極低温環境における低温靱性も求められる。
【0010】
上記特許文献1及び2は、鋼材の降伏強度を高め、耐SSC性を高める技術を提案する。しかしながら、上記特許文献1及び2に提案される技術以外の他の技術によって、降伏強度を高めつつ、優れた耐SSC性を有するステンレス鋼材が得られてもよい。また、特許文献1及び2では、-80℃以下という極低温環境における低温靱性に関する検討がされていない。
(【0011】以降は省略されています)

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