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公開番号2025119739
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-15
出願番号2024014708
出願日2024-02-02
発明の名称ボールねじ装置
出願人日本精工株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類F16H 25/22 20060101AFI20250807BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】コマの径方向の小型化を図るボールねじ装置を提供する。
【解決手段】本開示のボールねじ装置は、ねじ軸と、ねじ軸に貫通されるナットと、ねじ軸とナットの間に配置された複数のボールと、ボールを循環させる少なくとも1つ以上のコマと、を備える。ナットの内周面は、内周面から径方向外側に窪み、内部にコマが収容される凹面を有し、ナットの中心軸から視て凹面が配置される方向をコマ挿入方向とし、コマは、ナットの内周側を向く内径面と、ナットの外周側を向く外径面と、内径面から径方向外側に窪むS字溝面と、S字溝面と外径面との間に配置された底壁部と、を有し、S字溝面は、S字溝面の長さ方向の両端からS字溝面の長さ方向の中央部に近づくにつれて、コマ挿入方向への窪み量が次第に大きくなり、S字溝面の中央部には、コマ挿入方向に貫通し、底壁部の一部を切り欠く貫通孔が設けられている。
【選択図】図9
特許請求の範囲【請求項１】
ねじ軸と、
前記ねじ軸に貫通されるナットと、
前記ねじ軸と前記ナットの間に配置された複数のボールと、
前記ボールを循環させる少なくとも１つ以上のコマと、
を備え、
前記ナットの内周面は、前記内周面から径方向外側に窪み、内部に前記コマが収容される凹面を有し、
前記ナットの中心軸から視て前記凹面が配置される方向をコマ挿入方向とし、
前記コマは、
前記ナットの内周側を向く内径面と、
前記ナットの外周側を向く外径面と、
前記内径面から径方向外側に窪むＳ字溝面と、
前記Ｓ字溝面と前記外径面との間に配置された底壁部と、
を有し、
前記Ｓ字溝面は、前記Ｓ字溝面の長さ方向の両端から前記Ｓ字溝面の長さ方向の中央部に近づくにつれて、前記コマ挿入方向への窪み量が次第に大きくなり、
前記Ｓ字溝面の前記中央部には、前記コマ挿入方向に貫通し、前記底壁部の一部を切り欠く貫通孔が設けられている
ボールねじ装置。
続きを表示（約 1,800 文字）【請求項２】
前記ボールは、前記貫通孔を介して前記凹面と接触する
請求項１に記載のボールねじ装置。
【請求項３】
前記ボールは、前記貫通孔を介して前記凹面と接触しない
請求項１に記載のボールねじ装置。
【請求項４】
前記ナットの中心軸と平行な軸方向から視て、前記コマ挿入方向に交差する方向を交差方向とし、
前記ナットの内周面は、前記凹面と前記内周面とが交わる角部であり、互いに交差方向に離れて配置された第１角部及び第２角部を有し、
前記凹面は、前記外径面と当接し、前記コマを支持する支持面を有し、
前記支持面は、前記軸方向から視て円弧状を成し、前記交差方向の一端が前記第１角部に接続し、前記交差方向の他端が前記第２角部に接続している
請求項１に記載のボールねじ装置。
【請求項５】
前記ナットの中心軸と平行な軸方向から視て、前記コマ挿入方向に交差する方向を交差方向とし、
前記ナットの内周面は、前記凹面と前記内周面とが交わる角部であり、互いに交差方向に離れて配置された第１角部及び第２角部を有し、
前記凹面は、前記外径面と当接し、前記コマを支持する支持面を有し、
前記支持面は、
前記交差方向に互いに離れて配置され、前記第１角部又は前記第２角部から前記コマ挿入方向に移動するにつれて互いに近づく円弧状の第１円弧面及び第２円弧面と、
前記交差方向に延在し、前記交差方向の一端が前記第１円弧面に接続し、前記交差方向の他端が前記第２円弧面に接続する平面と、
を有し、
前記コマの前記外径面は、前記交差方向に延在し、前記平面と対向する平面状の対向平面を有している
請求項１に記載のボールねじ装置。
【請求項６】
前記ナットの中心軸と平行な軸方向から視て、前記コマ挿入方向に交差する方向を交差方向とし、
前記ナットの内周面は、前記凹面と前記内周面とが交わる角部であり、互いに交差方向に離れて配置された第１角部及び第２角部を有し、
前記凹面は、前記外径面と当接し、前記コマを支持する支持面を有し、
前記支持面は、
前記第１角部から前記コマ挿入方向に延在する平面状の第１平面と、
前記第２角部から前記コマ挿入方向に延在する平面状の第２平面と、
前記交差方向に延在し、前記交差方向の一端が前記第１平面と接続し、前記交差方向の他端が前記第２平面と接続する平面と、
を有している
請求項１に記載のボールねじ装置。
【請求項７】
前記ナットの内周面は、
螺旋方向に延在し、一端が前記第１角部と接続し、他端が前記第２角部に接続する内周軌道面と、
前記凹面を挟んで前記内周軌道面の他端の延長線上を延在し、かつ一端が前記第１角部に接続する第１ねじ溝面と、
前記凹面を挟んで前記内周軌道面の一端の延長線上を延在し、かつ一端が前記第２角部に接続する第２ねじ溝面と、
を有し、
前記コマは、
前記第１ねじ溝面の内部に配置される第１突起と、
前記第２ねじ溝面の内部に配置される第２突起と、
を有している
請求項４又は請求項５に記載のボールねじ装置。
【請求項８】
前記凹面は、前記ナットの内周側に向かって開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記ナットの中心軸から視て矩形状に形成されている
請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のボールねじ装置。
【請求項９】
前記ナットの中心軸と平行な軸方向から視て、前記コマ挿入方向に交差する方向を交差方向とし、
前記凹面は、前記ナットの内周側に向かって開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記軸方向の長さよりも、前記交差方向の長さの方が大きい
請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のボールねじ装置。
【請求項１０】
前記凹面は、前記ナットの内周側に向かって開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記ナットの中心軸から視て円形状に形成されている
請求項１から請求項６のいずれか１項に記載のボールねじ装置。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、ボールねじ装置に関する。
続きを表示（約 2,200 文字）【背景技術】
【０００２】
ボールねじ装置は、ナットと、ナットを貫通するねじ軸と、ナットとねじ軸との間に配置された複数のボールと、循環部品と、を備えている。ナットの内周面には、内周軌道面が形成されている。ねじ軸の外周面には、内周軌道面と対向する外周軌道面が形成されている。内周軌道面と外周軌道面との間は、螺旋状の軌道を構成している。複数のボールは、軌道に配置され、軌道に沿って螺旋方向に移動する。そして、循環部品は、軌道の一端から軌道の他端に移動したボールを軌道の一端に戻す。循環部品の一つとして、ボールを１リード戻すコマが挙げられる。下記特許文献のボールねじ装置では、ナットの内周面に有底の凹面を形成している。そして、凹面の内部にコマを収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
米国特許出願公開第２０１９／０２７７３８０号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
ところで、コマの径方向の厚みが大きくなると、ナットの凹面の深さが大きくなり、ナットが大型化する。このため、径方向に小型化されたコマの開発が望まれている。
【０００５】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、コマの径方向の小型化を図るボールねじ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係るボールねじ装置は、ねじ軸と、前記ねじ軸に貫通されるナットと、前記ねじ軸と前記ナットの間に配置された複数のボールと、前記ボールを循環させる少なくとも１つ以上のコマと、を備えている。前記ナットの内周面は、前記内周面から径方向外側に窪み、内部に前記コマが収容される凹面を有している。前記ナットの中心軸から視て前記凹面が配置される方向をコマ挿入方向とする。前記コマは、前記ナットの内周側を向く内径面と、前記ナットの外周側を向く外径面と、前記内径面から径方向外側に窪むＳ字溝面と、前記Ｓ字溝面と前記外径面との間に配置された底壁部と、を有している。前記Ｓ字溝面は、前記Ｓ字溝面の長さ方向の両端から前記Ｓ字溝面の長さ方向の中央部に近づくにつれて、前記コマ挿入方向への窪み量が次第に大きくなる。前記Ｓ字溝面の前記中央部には、前記コマ挿入方向に貫通し、前記底壁部の一部を切り欠く貫通孔が設けられている。
【０００７】
従来のコマは、Ｓ字溝面の長さ方向の全てに底壁部が設けられている。一方、本開示のコマは、貫通孔により底壁部の一部が切り欠かれる。よって、コマが径方向に小型化する。また、貫通孔により切り欠かれる底壁部の一部は、Ｓ字溝面の長さ方向の中央部に対し、径方向外側に配置される部分である。Ｓ字溝面は、長さ方向の中央部に近づくにつれて径方向外側に配置される。よって、貫通孔により切り欠かれる底壁部の一部は、径方向の厚みが小さく肉薄部となっている。射出成形で樹脂製のコマを製造する場合、肉薄部が樹脂の流動性の低下を招く。この結果、コマが所定の形状に成形されなかったり、強度不足となったりする可能性がある。一方、本開示によれば、樹脂の流動性の低下の原因となる肉薄部が切り欠かれている。よって、仮に射出成形で樹脂製のコマを製造しても、所定の形状に成形されなかったり、強度不足となったりすることが回避される。また、本開示のコマによれば、ナットの外周面に貫通孔を設ける必要がない。このため、ナットの外周面を摺動させてナット自体をピストンとして機能させたり、又はナットの外周面に軸受、モータのロータ、減速ギヤ、及びベルトプーリ等などを直接圧入させたりする要望（ニーズ）に対応できる。さらに、ナットの外周面に貫通孔がないため、防塵性が高い。または、ナットの外周面に貫通孔が設けられ、さらに貫通孔を閉塞する部品が設けられた場合と比べて、本開示のナットが小型化及び軽量化している。
【０００８】
また、前記したボールねじ装置において、前記ボールは、前記貫通孔を介して前記凹面と接触してもよいし、若しくは前記貫通孔を介して前記凹面と接触しなくてもよい。
【０００９】
また、前記したボールねじ装置の好ましい態様として、前記ナットの中心軸と平行な軸方向から視て、前記コマ挿入方向に交差する方向を交差方向とする。前記ナットの内周面は、前記凹面と前記内周面とが交わる角部であり、互いに交差方向に離れて配置された第１角部及び第２角部を有している。前記凹面は、前記外径面と当接し、前記コマを支持する支持面を有している。前記支持面は、前記軸方向から視て円弧状を成し、前記交差方向の一端が前記第１角部に接続し、前記交差方向の他端が前記第２角部に接続している。
【００１０】
前記構成によれば、支持面が単一の円弧面となっている。このため、ナットに凹面を形成する際、ナットの内周側に回転する切削具を配置し、その切削具を径方向外側に移動させるだけで、円弧状の支持面が形成される。つまり、切削具を交差方向に移動させる必要がなく、ナットの生産性が向上する。
（【００１１】以降は省略されています）

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