特許ウォッチ

公開番号2025132739
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024030502
出願日2024-02-29
発明の名称ガス圧縮機
出願人株式会社三井E&S
代理人個人,個人,個人
主分類F04B 43/08 20060101AFI20250903BHJP(液体用容積形機械;液体または圧縮性流体用ポンプ)
要約【課題】ベローズ式ガス圧縮機において、ベローズの寿命低下を防止すること。
【解決手段】加圧流体で満たされた加圧容器1と、加圧容器1内の一部を区画し圧縮対象のガスが供給され伸縮可能なベローズ2と、加圧容器1内を昇圧させるポンプ18と、加圧容器1内をベローズ2外の空間7bとポンプ18により昇圧される空間7aとに区切るバランスピストン6とを備え、バランスピストン6は、ポンプ18による昇圧力を、ベローズ外の加圧流体に伝えるようにした。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
加圧流体で満たされた加圧容器と、
前記加圧容器内の一部を区画し、内部に圧縮対象のガスが供給され、伸縮可能で容積が変化するベローズと、
前記加圧容器内を昇圧させるポンプと、
前記加圧容器内に摺動可能に配置され、前記加圧容器内を、前記ベローズ外の空間と、前記ポンプにより昇圧される空間とに区切るバランスピストンと
を備え、
前記バランスピストンは、前記ポンプによる昇圧力を、前記ベローズ外の加圧流体に伝える
ことを特徴とするガス圧縮機。
続きを表示（約 1,700 文字）【請求項２】
前記バランスピストンは、移動距離あたりの、前記ベローズ内の容積の変化量が、前記ポンプにより昇圧される空間の容積の変化量よりも小さくなっており、前記ベローズ内及び前記ベローズ外の空間内は、前記ポンプにより昇圧される空間内よりも高い内圧となっている
ことを特徴とする請求項１記載のガス圧縮機。
【請求項３】
前記バランスピストンは、一端側の縮径部と他端側の拡径部とから一体的に形成され、前記縮径部を、前記ベローズ外の空間に進入させ、前記拡径部の端面と前記加圧容器とにより、前記ポンプにより昇圧される空間を構成している
ことを特徴とする請求項２記載のガス圧縮機。
【請求項４】
前記ベローズ内へのガス吸入孔と、
前記ベローズ内からのガス吐出孔と
を備え、
前記ポンプにより昇圧される空間内の加圧流体が昇圧されることにより、前記ベローズ外の加圧流体が昇圧され、前記ガス吸入孔からガスを吸入した前記ベローズの容積が縮小され、前記バランスピストンが前記ベローズの容積の縮小に応じて移動され、前記ベローズ内のガスを前記ガス吐出孔から吐出する
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
【請求項５】
前記ポンプは、前記加圧容器内を昇圧及び降圧させる可変容量型油圧ポンプである
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
【請求項６】
開操作されることで前記ベローズ外の空間内の前記加圧流体が外部に排出される位置調整排出弁と、
開操作されることで前記ベローズ外の空間内に前記加圧流体が供給される位置調整供給弁と
を有し、
前記ベローズが所定の範囲より圧縮されたときには、前記ベローズの端部の蓋板によって前記位置調整排出弁が開操作され、この位置調整排出弁を介して、前記ベローズ外の空間内に流入した分の加圧流体が外部に排出され、
前記ベローズが所定の範囲より伸長されたときには、前記ベローズの端部の蓋板によって前記位置調整供給弁が開操作され、この位置調整供給弁を介して、前記ベローズ外の空間内に前記加圧流体が供給され、漏洩した分の加圧流体が補われる
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
【請求項７】
前記バランスピストンは、可動範囲が、一対の制止板の間に制限されている
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
【請求項８】
前記制止板と前記バランスピストンとの間には、油圧ダンパが形成されている
ことを特徴とする請求項７記載のガス圧縮機。
【請求項９】
前記ベローズ内から吐出される吐出ガスの圧力を検知する圧力センサと、
前記ガスの吸入遮断弁と、
前記ガスの吐出遮断弁と、
制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記圧力センサが検知する前記吐出ガスの圧力が異常を示したとき、前記吸入遮断弁及び前記吐出遮断弁を操作し、前記ベローズ内に吸入される前記吸入ガス及び前記吐出ガスを遮断する
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
【請求項１０】
前記バランスピストンの位置を検知する位置センサと、
前記ポンプにより昇圧される空間への前記加圧流体の供給を開閉する供給開閉弁と、
前記ポンプにより昇圧される空間からの前記加圧流体の排出を開閉する排出開閉弁と、
制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記位置センサが検知する前記バランスピストンの位置が所定の範囲を外れたときには、前記供給開閉弁及び前記排出開閉弁を操作し、前記ポンプにより昇圧される空間に供給される加圧流体及び前記ポンプにより昇圧される空間から排出される加圧流体を遮断する
ことを特徴とする請求項１、２又は３記載のガス圧縮機。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、ベローズ式ガス圧縮機に関し、詳しくは、ベローズの寿命低下が防止されたガス圧縮機に関する。
続きを表示（約 1,300 文字）【背景技術】
【０００２】
従来、気体燃料などの種々のガスを圧縮するために、往復動圧縮機（ピストン式圧縮機）が用いられている。往復動圧縮機には、ピストンリングやロッドパッキンなどの摺動部材の耐久性という課題があり、また、無潤滑油で高圧仕様にすることには、さらに発熱などの課題がある。
このような課題を解決するためには、例えば、摺動部材を用いない圧縮機が考えられる。摺動部材を排した圧縮機としてベローズ（蛇腹）式圧縮機が知られている。
【０００３】
特許文献１には、ベローズ式圧縮機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
実開昭６４－４８８２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
従来のベローズ式圧縮機の一例を、図６に示す。このベローズ式圧縮機は、容積が不変である加圧容器１０１内に、加圧容器１０１内の一部を区画するベローズ１０２が配置されて構成されている。ベローズ１０２は、折り曲げた可撓性材料から円筒状に構成され、伸縮可能で、容積が変化する。このベローズ式圧縮機は、加圧容器１０１内を昇圧させ、加圧容器１０１内に加圧流体１０３を供給するポンプ１０４を備えている。
【０００６】
加圧容器１０１内から排出開閉弁１１１を介して加圧流体１０３が抜けて低圧になると、ベローズ１０２が伸長され、ベローズ１０２内へは、吸入逆止弁１０５を介してガス吸入孔１０６から圧縮対象のガス（例えば、水素）１０７が吸入される。
【０００７】
加圧容器１０１内に加圧流体１０３が供給開閉弁１１０を介して供給されて高圧になると、ベローズ１０２が短縮され、ベローズ１０２内のガス１０７が圧縮される。加圧容器１０１内の加圧流体１０３と、ベローズ１０２内のガス１０７とは、等しい内圧になる。ベローズ１０２からは、吐出逆止弁１０８を介してガス吐出孔１０９から圧縮されたガス１０７が吐出される。
【０００８】
このベローズ式圧縮機では、ベローズ１０２内とベローズ１０２外（加圧容器１０１内）とが等しい内圧となり、圧力バランス状態が作られるので、ベローズ１０２の応力が軽減され、ベローズ１０２の耐久性を担保できるとされている。
【０００９】
しかしながら、ＦＭＥＡ解析（故障モード影響度解析）によれば、吸入逆止弁１０５又は吐出逆止弁１０８が故障すると、ベローズ１０２の寿命が低下することがわかった。また、供給開閉弁１１０又は排出開閉弁１１１が故障すると、加圧流体１０３が多量に消費されベローズ１０２が損傷する虞があることがわかった。
【００１０】
吸入逆止弁１０５が故障すると、ガス１０７の吸入行程においては、ベローズ１０２の最大変位が検知されて加圧流体１０３が供給され圧縮行程に移行してしまい、作動速度及び頻度が上がり、ベローズ１０２の寿命が低下する。また、ガス１０７の吐出行程においては、吸入逆止弁１０５が解放状態となり、ガスの吸入側にガスが流出して空つき動作が繰り返されてしまい、作動速度及び頻度が上がり、ベローズ１０２の寿命が低下する。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許