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公開番号2025137482
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-19
出願番号2025035830
出願日2025-03-06
発明の名称鎮痒剤
出願人ロート製薬株式会社,国立大学法人 鹿児島大学
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 36/738 20060101AFI20250911BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ヒスタミン以外のメディエーターにより引き起こされる痒みの発生を抑制することができる鎮痒剤を提供する。
【解決手段】リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む鎮痒剤。この鎮痒剤は、対象者が香りを嗅ぐことで鎮痒作用が発揮されるものであり得る。この鎮痒剤は、即時性の痒み、及び/又は持続型の痒みを抑制するためのものであり得る。この鎮痒剤は、外用組成物、眼科組成物、耳鼻科組成物、物品又は空間に適用するための組成物に添加して使用することができる。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む鎮痒剤。
続きを表示(約 180 文字)【請求項2】
対象者が香りを嗅ぐことで鎮痒作用が発揮される、請求項1に記載の鎮痒剤。
【請求項3】
ヒスタミン非依存性の痒みを抑制する、請求項1又は2に記載の鎮痒剤
【請求項4】
リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む鎮痒用組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鎮痒剤、及び皮膚などに適用する等して用いる鎮痒用組成物に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
痒みは、種々の疾患により引き起こされる。痒みを伴う皮膚疾患又は皮膚障害としては、花粉、ダニ、ハウスダストなどに対するアレルギー症状、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、湿疹・痒疹、接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、虫刺され、好酸球性膿疱性毛包炎、類天疱瘡、菌状息肉症、乾癬などがある。また、皮膚疾患以外にも、肝臓病、心臓病、血液疾患、膠原病などによって痒みが引き起こされることがある。
皮膚疾患を有さない人でも、乾燥、寒さ、紫外線、衣類の擦れ、身体の洗い過ぎによる保湿成分の減少といった外部刺激や、睡眠不足、偏食による皮膚の栄養不足、加齢、ストレスなどの身体内部の要因により、痒みを感じやすくなる。
痒みに悩む人は、年々増えている。痒みは、辛い感覚の一つであり、睡眠が妨げられたり、掻くのを我慢することがストレスになるなどして、QOLや集中力・判断力・作業能率を大きく損なう。
【0003】
痒みは、通常、先ず痒みを引き起こすメディエーターが皮膚の中で産生され、それが皮膚に分布する末梢神経上の受容体に結合し、神経を活性化することから始まる。
痒みの原因となるメディエーターとして一般的なものは、ヒスタミンであり、痒みの発生を抑える成分として、ヒスタミン受容体(H

受容体)へ作用する抗ヒスタミン薬が広く使用されている。しかし、近年、ヒスタミン以外のメディエーターに起因する、ヒスタミン非依存性の痒みについても知見が得られ始めており、多様な痒みの種類に対応し得る痒み抑制技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
痒みの原因となるメディエーターは、ヒスタミンとそれ以外の物質に大別される。即ち、痒みは、ヒスタミンによる痒みとヒスタミン以外の物質による痒みに大別される。ヒスタミンによる痒みに対しては、前述の通り抗ヒスタミン薬を使用することで鎮痒効果を得ることができる一方、抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン非依存性の痒み(難治性掻痒)に対しては効果がない。ヒスタミン非依存性の難治性掻痒の発生機序は多様で、かつ完全には解明されておらず、発生機序ごとに鎮痒薬を開発することは困難を極める。従って、各メディエーターの作用を個別に抑えるのではなく、中枢の痒み伝達経路を抑制する鎮痒薬、即ち、内因性鎮痒回路の賦活化による、中枢性鎮痒薬の開発が求められている。
本発明は、ヒスタミン非依存性の痒みにも効果を奏し得る鎮痒剤を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、ハッカ油が、ヒスタミン以外のメディエーターにより引き起こされる痒みの発生を効果的に抑制すること、特にリナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、ハッカ油の香りを嗅ぐことにより痒みの発生が効果的に抑制されることを見出した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕 リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む鎮痒剤。
〔2〕 対象者が香りを嗅ぐことで鎮痒作用が発揮される、〔1〕に記載の鎮痒剤。
〔3〕 ヒスタミン非依存性の痒みを抑制する、〔1〕又は〔2〕に記載の鎮痒剤
〔4〕 1~100分間持続して鎮痒するための、〔1〕~〔3〕の何れかに記載の鎮痒剤。
〔5〕 リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含む鎮痒用組成物。
〔6〕 1~100分間に1回の頻度で使用される、〔5〕に記載の組成物。
〔7〕 リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分の1回当たりの使用量が、組成物が外用組成物である場合は0.00001~5000mgであり、組成物が眼科組成物である場合は0.00001~500mgであり、組成物が耳鼻科組成物である場合は0.00001~5000mgとなるように使用される、〔5〕又は〔6〕に記載の組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鎮痒剤は、ヒスタミン以外のメディエーターにより引き起こされる痒みを効果的に抑制する。多くの皮膚疾患はヒスタミンを介さない痒みを伴うが、このような痒みを抑える成分を含む製剤は殆どない。本発明の鎮痒剤は、ヒスタミン非依存性の痒みを抑えることができる点で有用なものである。
また、抗炎症剤、免疫抑制剤などは痒みのもとになる疾患の炎症を抑えることで痒みを抑えるものであるため、痒みを直ぐに抑えることはできない。また、痒みメディエーター選択的である。これに対して、本発明の鎮痒剤は、ヒスタミン非依存性の痒みの発生を、嗅覚刺激を介して内在性の鎮痒回路を賦活化することにより、中枢で抑えるため、ヒスタミン非依存性の痒みに対して即効性がある。
【0008】
また、本発明の鎮痒剤は、経皮吸収されて痒みを抑えるのではなく、対象者が香りを嗅ぐことで痒みを抑える。従って、本発明の鎮痒剤は、外用組成物、眼科組成物、耳鼻科組成物といった身体に適用する製剤に添加するだけでなく、衣類、マスク、眼鏡といった身に着ける物品に付着させる製剤や、家の壁や車の中に付着させたり、家や車の中の空気中に飛散させたりする製剤に添加することで、痒みを抑えるといった広い使い方ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
クロロキンを皮膚に皮内投与することで惹起されるマウスの掻破行動が、空気中のリナロール、シネオール、又はユーカリ油に反応して少なくなったことを示す図である。(A)は、経過時間に対して5分間の掻破行動の発生数をプロットしたグラフであり、(B)は、6分間、15分間、30分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフである。
クロロキンを皮膚に皮内投与することで惹起されるマウスの掻破行動が、空気中のラベンダー油、ローズ油、又はハッカ油に反応して少なくなったことを示す図である。(A)は、経過時間に対して5分間の掻破行動の発生数をプロットしたグラフであり、(B)は、5分間、15分間、30分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフである。
嗅覚を遮断したマウスでは、クロロキンを皮膚に皮内投与することで惹起されるマウスの掻破行動は、空気中のリナロールに反応した有意な変化がなかったことを示す図である。(A)は、経過時間に対して5分間の掻破行動の発生数をプロットしたグラフである。(B)の左のグラフは6分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフであり、(B)の右のグラフは30分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフである。
嗅覚を遮断したマウスでは、クロロキンを皮膚に皮内投与することで惹起されるマウスの掻破行動は、空気中のラベンダー油に反応した有意な変化がなかったことを示す図である。(A)は、経過時間に対して5分間の掻破行動の発生数をプロットしたグラフである。(B)の左のグラフは5分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフであり、(B)の右のグラフは30分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフである。
嗅覚を遮断したマウスでは、クロロキンを皮膚に皮内投与することで惹起されるマウスの掻破行動は、空気中のユーカリ油に反応した有意な変化がなかったことを示す図である。(A)は、経過時間に対して5分間の掻破行動の発生数をプロットしたグラフである。(B)の左のグラフは5分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフであり、(B)の右のグラフは30分間の掻破行動の発生数の累計を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)鎮痒剤
本発明の鎮痒剤は、リナロール、シネオール、ユーカリ油(特に、ユーカリ精油)、ラベンダー油(特に、ラベンダー精油)、ローズ油、及びハッカ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分(以下、「(A)成分」ということもある)を含む。即ち、リナロール、シネオール、ユーカリ油、ラベンダー油、ローズ油、及び/又はハッカ油は、鎮痒剤の有効成分であり、そのまま使用することができ、或いは種々の組成物に添加して使用することができる。鎮痒剤は痒み止め剤とも称される。リナロールは、ベルガモット、ローズウッド、バジル、タイム、ネロリ、ラバンディン、ゼラニウム、プチグレン、クラリセージ、イランイラン、ゲットウ、セージ、ジャスミン、パルマローザ、カルモダン等の精油に含まれるため、これらの精油として使用することもできる。また、シネオールは、ユーカリ油以外に、ローリエ、ヨモギ、バジリコ、ニガヨモギ、ローズマリー、セージ等の精油に含まれるため、これらの精油として使用することもできる。
(【0011】以降は省略されています)

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