TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025138044
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-25
出願番号2024036752
出願日2024-03-11
発明の名称樹脂組成物および成形体、ならびに、樹脂組成物の分解回収方法およびリサイクル材の製造方法
出願人住友化学株式会社
代理人弁理士法人クオリオ,個人,個人,個人
主分類C08L 33/10 20060101AFI20250917BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐衝撃性、耐熱性および透明性に優れる成形体、この成形体を製造可能な樹脂組成物、さらに、上記樹脂組成物の分解回収方法および上記成形体を用いたリサイクル材の製造方法を提供する。
【解決手段】メタクリル樹脂Aおよびアクリル系ブロック共重合体Bと架橋ゴム粒子Cとを含む樹脂組成物であって、メタクリル樹脂Aがメタクリル酸エステルとビニル単量体とのランダム共重合体であり、共重合体Bがアクリル酸ブチル重合体ブロックとメタクリル酸エステル重合体ブロックとを含むブロック共重合体であって、共重合体B中のアクリル酸ブチル重合体ブロックの含有量xと、メタクリル樹脂Aおよび共重合体Bの合計に対する共重合体B中のアクリル酸ブチル単量体単位の含有量yとが特定の式を満たす領域内に存在し、架橋ゴム粒子Cの含有量が0.1質量部以上である樹脂組成物とその分解回収方法、ならびに、成形体とそれを用いたリサイクル材の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
メタクリル樹脂(A)およびアクリル系ブロック共重合体(B)と、架橋ゴム粒子(C)とを含む樹脂組成物であって、
前記メタクリル樹脂(A)が、メタクリル酸エステルと、該メタクリル酸エステルに共重合可能なビニル単量体とのランダム共重合体であり、
前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸ブチル重合体ブロックとメタクリル酸エステル重合体ブロックとを含むブロック共重合体であって、前記アクリル系ブロック共重合体(B)100質量%に対してアクリル酸ブチル重合体ブロックの含有量をx質量%とし、前記メタクリル樹脂(A)および前記アクリル系ブロック共重合体(B)の各含有量の合計100質量%に対して前記アクリル系ブロック共重合体(B)中のアクリル酸ブチルに由来する単量体単位の含有量をy質量%としたとき、xおよびyが下記式1~式3を満たす領域内に存在し、
前記架橋ゴム粒子(C)の含有量が樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部以上である、樹脂組成物。
式1:y≧-0.43x+36.8
式2:y≦19.4
式3:x≦67
続きを表示(約 890 文字)【請求項2】
前記樹脂組成物100質量部に対して、
前記メタクリル樹脂(A)の含有量が10質量部以上84質量部以下であり、
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が15質量部以上50質量部以下であり、
前記架橋ゴム粒子(C)の含有量が1質量部以上40質量部以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記メタクリル樹脂(A)が、
前記ランダム共重合体100質量%に対して、
前記メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量が85.0質量%以上99.0質量%未満であり、
前記ビニル単量体に由来する単量体単位の含有量が1.0質量%を超えて15.0質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記メタクリル酸エステルが炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを含む、請求項3に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルがメタクリル酸メチルを含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
【請求項7】
車両用外装部品として用いられる、請求項6に記載の成形体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を380℃以上の温度で分解する分解工程と、
該分解工程により発生した揮発成分と固体状物とを分離する分離工程と、
該揮発成分からメタクリル酸エステルを回収する回収工程とを含む、樹脂組成物の分解回収方法。
【請求項9】
前記車両用外装材がフロントグリルである請求項7に記載の成形体を用いたリサイクル材の製造方法であって、
前記成形体を破砕して得られる破砕材を含む原料を溶融混練する工程を含み、
前記破砕材の含有量が、前記原料100質量部に対して、0.01質量部以上99.99質量部以下である、リサイクル材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、およびそれを含む成形体に関し、さらに、樹脂組成物の分解回収方法およびリサイクル材の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリル樹脂は、耐候性、透明性、成形性などの特性に優れ、着色も容易であることから、種々の用途、例えば、OA機器、自動車部品、建築部材(内装部材)、照明用部材、電気製品の筐体などの材料として、注目されている。しかし、(メタ)アクリル樹脂は、傷付きやすく、割れやすい特性を有していることから、用途の拡大や別用途への適用に際して、耐衝撃性や剛性を高めることが重要となる。
【0003】
例えば、(メタ)アクリル樹脂およびその成形体の脆さを改善する技術の1つとして、特許文献1により、メタクリル樹脂と特定のトリブロック共重合体とを併用した樹脂組成物が提案されている。特許文献1によれば、特許文献1で提案されている下記樹脂組成物は、フィルムとしたときの表面硬度、耐衝撃性などを改善できるとされている。
特許文献1で提案されている樹脂組成物は以下の通りである。
「メタクリル酸メチルに由来する構造単位を80質量%以上有し、且つ220℃、せん断速度122/secにおける溶融粘度η(A)が1500~3500Pa・sであるメタクリル樹脂(A)65~99質量部、およびアクリル酸エステル重合体ブロック(b1)の両末端に其々メタクリル酸エステル重合体ブロック(b2)が結合したトリブロック共重合体(B)1~35質量部を含み、
トリブロック共重合体(B)中にアクリル酸エステル重合体ブロック(b1)を30~60質量%、メタクリル酸エステル重合体ブロック(b2)を40~70質量%有し、且つトリブロック共重合体(B)の220℃、せん断速度122/secにおける溶融粘度η(B)が75~1500Pa・sであり、
さらに、溶融粘度η(A)と溶融粘度η(B)の比η(A)/η(B)が、1~20である樹脂組成物」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2016/139950号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、電気自動車の開発、実用化が急速に進展しており、(メタ)アクリル樹脂を、電気自動車の外装部品、例えば、フロントグリル、バンパー、フェンダー、スポイラーなどとして、利用することが検討されている。このような車両用外装部品は、意匠性も重要であり、その材料には高い透明性が求められる。また、車両用外装部品は、屋外環境に晒され、また飛び石(石跳ね)などの衝突も想定されることから、耐熱性、耐衝撃性に優れていることも重要になる。特に、自動車などの各種車両は寒冷地においても使用されることから、車両用外装部品には、常温環境下だけでなく、低温環境下においても高い耐衝撃性を示すことが求められる。
【0006】
本発明は、耐衝撃性、耐熱性および透明性に優れる成形体、ならびにこの成形体を製造可能な樹脂組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、上記樹脂組成物の分解回収方法、および上記成形体を用いたリサイクル材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>メタクリル樹脂(A)およびアクリル系ブロック共重合体(B)と、架橋ゴム粒子(C)とを含む樹脂組成物であって、
前記メタクリル樹脂(A)が、メタクリル酸エステルと、該メタクリル酸エステルに共重合可能なビニル単量体とのランダム共重合体であり、
前記アクリル系ブロック共重合体(B)が、アクリル酸ブチル重合体ブロックとメタクリル酸エステル重合体ブロックとを含むブロック共重合体であって、前記アクリル系ブロック共重合体(B)100質量%に対してアクリル酸ブチル重合体ブロックの含有量をx質量%とし、前記メタクリル樹脂(A)および前記アクリル系ブロック共重合体(B)の各含有量の合計100質量%に対して前記アクリル系ブロック共重合体(B)中のアクリル酸ブチルに由来する単量体単位の含有量をy質量%としたとき、xおよびyが下記式1~式3を満たす領域内に存在し、
前記架橋ゴム粒子(C)の含有量が樹脂組成物100質量部に対して0.1質量部以上である、樹脂組成物。
式1:y≧-0.43x+36.8
式2:y≦19.4
式3:x≦67
<2>前記樹脂組成物100質量部に対して、
前記メタクリル樹脂(A)の含有量が10質量部以上84質量部以下であり、
前記アクリル系ブロック共重合体(B)の含有量が15質量部以上50質量部以下であり、
前記架橋ゴム粒子(C)の含有量が1質量部以上40質量部以下である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記メタクリル樹脂(A)が、前記ランダム共重合体100質量%に対して、
前記メタクリル酸エステルに由来する単量体単位の含有量が85.0質量%以上99.0質量%未満であり、
前記ビニル単量体に由来する単量体単位の含有量が1.0質量%を超えて15.0質量%以下である、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記メタクリル酸エステルが炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを含む、<3>に記載の樹脂組成物。
<5>前記炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルがメタクリル酸メチルを含む、<4>に記載の樹脂組成物。
<6>上記<1>~<5>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む成形体。
<7>車両用外装部品として用いられる、<6>に記載の成形体。
<8>上記<1>~<5>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を380℃以上の温度で分解する分解工程と、
該分解工程により発生した揮発成分と固体状物とを分離する分離工程と、
該揮発成分からメタクリル酸エステルを回収する回収工程とを含む、樹脂組成物の分解回収方法。
<9>前記車両用外装材がフロントグリルである<7>に記載の成形体を用いたリサイクル材の製造方法であって、
前記成形体を破砕して得られる破砕材を含む原料を溶融混練する工程を含み、
前記破砕材の含有量が、前記原料100質量部に対して、0.01質量部以上99.99質量部以下である、リサイクル材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、耐衝撃性、耐熱性および透明性に優れる成形体、ならびにこの成形体を製造可能な樹脂組成物を提供できる。また、本発明は、上記樹脂組成物の分解回収方法、および上記成形体を用いたリサイクル材の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本発明で規定する式1~式3を満たす領域、ならびに、実施例および比較例におけるxおよびyを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明および本明細書において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂の一方または両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」および「(メタ)アクリル酸」についても同様である。
また、本発明および本明細書において、樹脂またはエラストマーとなる共重合体における2種以上の構造単位(単量体単位、構成成分ともいう。)の結合様式(構造単位の配列)は、特に制限されず、特に断らない限り、例えば、ランダム結合(ランダム共重合体)、ブロック結合(ブロック共重合体)、交互結合(交互共重合体)、グラフト結合(グラフト共重合体)などのいずれの結合様式であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

住友化学株式会社
偏光板
1か月前
住友化学株式会社
偏光板
1か月前
住友化学株式会社
化合物
9日前
住友化学株式会社
着色剤
9日前
住友化学株式会社
発光素子
1か月前
住友化学株式会社
光学積層体
2か月前
住友化学株式会社
硬化性組成物
2か月前
住友化学株式会社
硬化性組成物
2か月前
住友化学株式会社
偏光子の製造方法
2か月前
住友化学株式会社
芳香族ポリスルホン
9日前
住友化学株式会社
硬化膜及び表示装置
2か月前
住友化学株式会社
硬化膜及び表示装置
2か月前
住友化学株式会社
成形原料及びフィルム
27日前
住友化学株式会社
リサイクル樹脂の製造方法
2か月前
住友化学株式会社
高電子移動度トランジスタ
2か月前
住友化学株式会社
金属有機構造体の製造方法
1か月前
住友化学株式会社
光学積層体及びその製造方法
11日前
住友化学株式会社
積層体の製造方法及び積層体
1か月前
住友化学株式会社
光電変換素子及び光センサー
2か月前
住友化学株式会社
粘着剤付き偏光板及び表示装置
19日前
住友化学株式会社
プロピレン樹脂組成物及び成形体
1か月前
住友化学株式会社
プロピレン樹脂組成物及び成形体
1か月前
住友化学株式会社
プロピレン樹脂組成物及び成形体
1か月前
住友化学株式会社
プロピレン樹脂組成物及び成形体
1か月前
住友化学株式会社
接着剤組成物及び偏光板の製造方法
19日前
住友化学株式会社
メタクリル酸製造用触媒の製造方法
2か月前
住友化学株式会社
芳香族ポリスルホン及び耐熱フィルム
9日前
住友化学株式会社
高分子化合物、組成物、及び発光素子
25日前
住友化学株式会社
グルコースの製造方法およびその触媒
2か月前
住友化学株式会社
リチウム二次電池用正極活物質の製造方法
20日前
住友化学株式会社
浮選剤およびヒ素非含有銅鉱物の回収方法
2か月前
住友化学株式会社
膜、積層体、素子、デバイス、及び、構造体
23日前
住友化学株式会社
窒化物積層体の製造方法および窒化物積層体
1か月前
住友化学株式会社
リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池
20日前
住友化学株式会社
再生基板の製造方法および積層構造体の製造方法
2か月前
住友化学株式会社
除草剤耐性作物の栽培地における雑草の防除方法
9日前
続きを見る