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公開番号2025152951
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-10
出願番号2024055141
出願日2024-03-29
発明の名称固体酸化物形水電解セルの酸素極およびその製造方法
出願人ノリタケ株式会社
代理人個人,個人
主分類C25B 11/047 20210101AFI20251002BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】高酸素かつ高温環境下に長時間曝露した後、性能の変化が生じにくい固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法及び酸素極を提供する。
【解決手段】ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄を主構成元素として含むペロブスカイト型酸化物を備えた固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法である。以下の工程:ペロブスカイト型酸化物を準備する準備工程;ペロブスカイト型酸化物を大気雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱し、少なくとも72時間以上暴露する大気雰囲気熱曝露工程;その後にペロブスカイト型酸化物をさらに酸素分圧50%以上となる高酸素雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱し、少なくとも72時間以上暴露する高酸素雰囲気熱曝露工程;その後のペロブスカイト型酸化物の格子体積を測定する格子体積測定工程;を包含する。格子体積が404.8Å3以上である上記酸化物を使用して上記酸素極を製造する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄を主構成元素として含むペロブスカイト型酸化物を備えた固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法であって、以下の工程:
前記ペロブスカイト型酸化物を準備する準備工程;
前記準備したペロブスカイト型酸化物を所定の形状に成形し、成形体を作製する成形工程;
前記成形体を大気雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱して、少なくとも72時間以上暴露する大気雰囲気熱曝露工程;
前記大気雰囲気熱曝露工程後に前記成形体をさらに酸素分圧50%以上となる高酸素雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱して、少なくとも72時間以上暴露する高酸素雰囲気熱曝露工程;および
前記高酸素雰囲気熱曝露工程後の前記成形体の格子体積を測定する格子体積測定工程;
を包含し、
ここで前記格子体積測定により得られた前記高酸素雰囲気熱曝露工程後の前記成形体の格子体積が、404.8Å

以上である前記ペロブスカイト型酸化物を使用して前記酸素極を製造し、該格子体積が、404.8Å

未満である前記ペロブスカイト型酸化物は前記酸素極の製造には使用しないことを特徴とする、
固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
前記準備工程において、固相法で合成された前記ペロブスカイト型酸化物を準備する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ペロブスカイト型酸化物は以下の式
(La

Sr
1-x
)(Co

Fe
1-y
)O
3-δ
0.4≦x≦0.8
0.01≦y≦0.99
0≦δ≦0.2
で示される、請求項1または2に記載の固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法。
【請求項4】
ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄を主構成元素として含むペロブスカイト型酸化物で構成された固体酸化物形電解セルの酸素極であって、
格子体積は404.8Å

以上である、
固体酸化物形水電解セルの酸素極。
【請求項5】
前記酸素極を構成するペロブスカイト型酸化物の格子定数は、
a軸 5.5Å以上
b軸 5.5Å以上
c軸 13.38Å以上
を含む、請求項4に記載の固体酸化物形水電解セルの酸素極。
【請求項6】
前記ペロブスカイト型酸化物は以下の式
(La

Sr
1-x
)(Co

Fe
1-y
)O
3-δ
0.4≦x≦0.8
0.01≦y≦0.99
0≦δ≦0.2
で示される、請求項4または5に記載の固体酸化物形水電解セルの酸素極。
【請求項7】
酸素分圧50%、700℃環境下で100時間暴露した暴露処理前後の格子体積の変化率が0.0001%以下である、請求項4または5に記載の固体酸化物形水電解セルの酸素極。
【請求項8】
酸素分圧50%、700℃環境下で100時間暴露した暴露処理前後の導電率の変化率が7.0%以下である、請求項4または5に記載の固体酸化物形水電解セルの酸素極。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形水電解セルの酸素極およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
電気化学セルは、燃料電池、電解セル等の様々な形態で日常生活や産業において重要な役割を果たす。電気化学セルには様々な種類が知られており、これらの技術分野は類似するものの、使用環境については異なる場合がある。すなわち、電気化学セルの部品を設計する際には、その使用態様に合わせた設計をすることが重要であるといえる。
この種の先行技術として、例えば特許文献1には、高い発電効率を特徴とする固体酸化物形燃料電池に、酸素極中間層および酸素極導電層からなる酸素極を使用することで、酸素極と固体電解質との界面における抵抗を低減させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-143898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気化学セルの一例として、固体酸化物形水電解セルが挙げられる。固体酸化物形水電解セルは、使用する際に、酸素極が高酸素および高温の環境に暴露され得る。このため、当該使用環境での使用を想定して設計されていない酸素極を使用することはできず、固体酸化物形水電解セル用としての、高酸素および高温環境下における耐久性に優れた酸素極の提供が求められている。
【0005】
本開示は係る事情に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、高酸素かつ高温環境下に長時間曝露した後、性能の変化が生じにくい固体酸化物形水電解セルの酸素極を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく、ここに開示される固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法は、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄を主構成元素として含むペロブスカイト型酸化物を備えた固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法であり、以下の工程を包含する。上記ペロブスカイト型酸化物を準備する準備工程。上記準備したペロブスカイト型酸化物を所定の形状に成形し、成形体を作製する成形工程。上記成形体を大気雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱して、少なくとも72時間以上暴露する大気雰囲気熱曝露工程。上記大気雰囲気熱曝露工程後に上記成形体をさらに酸素分圧50%以上となる高酸素雰囲気中で600℃以上800℃以下の温度に加熱して、少なくとも72時間以上暴露する高酸素雰囲気熱曝露工程。上記高酸素雰囲気熱曝露工程後の前記成形体の格子体積を測定する格子体積測定工程。
さらに、上記格子体積測定により得られた上記高酸素雰囲気熱曝露工程後の上記成形体の格子体積が、404.8Å

以上であるペロブスカイト型酸化物を使用して上記酸素極を製造し、該格子体積が、404.8Å

未満である上記ペロブスカイト型酸化物は上記酸素極の製造には使用しないことを特徴とする。
【0007】
上記構成の固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法によると、格子体積が比較的大きい酸素極を作製することができる。また、当該ペロブスカイト型酸化物は、高酸素高温環境下で曝露された後に、電気抵抗等の物性の変化が生じにくいため、固体酸化物形水電解セルの酸素極として好適に機能し得る。
【0008】
ここに開示される固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法の好適な一態様では、上記準備工程において、固相法で合成されたペロブスカイト型酸化物を準備する。固相法は、他の合成法(例えば液相法)と比較すると、比較的格子体積の大きいペロブスカイト型酸化物を得られやすいことが知られている。固相法の反応系は比較的不均一であることから、ペロブスカイト型酸化物の合成後に、ペロブスカイト型酸化物の構成原料でない物質を局所的に含む場合がある。例えば、合成の際に生じる出発原料の酸化物(例えば酸化コバルト、酸化鉄など)、もしくは出発原料そのもの(例えば硝酸コバルト、硝酸鉄など)が挙げられる。このことから、固相法により合成する場合、格子体積が比較的大きいペロブスカイト型酸化物を得られやすいといわれている。また、当該ペロブスカイト型酸化物は、高酸素高温環境下で曝露された後に、電気抵抗等の物性の変化が生じにくいため、固体酸化物形水電解セルの酸素極としてより好適に機能し得る。
【0009】
ここに開示される固体酸化物形水電解セルの酸素極の製造方法の好適な一態様では、上記ペロブスカイト型酸化物は以下の式
(La

Sr
1-x
)(Co

Fe
1-y
)O
3-δ
0.4≦x≦0.8
0.01≦y≦0.99
0≦δ≦0.2
で示される。当該ペロブスカイト型酸化物を合成する際に、ストロンチウムの添加量を比較的多くすることで、高温環境下においてストロンチウムのAサイトからの脱離を生じさせやすい。他方、酸素欠損を比較的少なくすると、高酸素雰囲気下において酸素欠損の消失を生じさせくい。これらの点に留意し合成したペロブスカイト型酸化物は、高酸素高温環境下に暴露した後に、格子体積等の物性の変化が生じにくく、固体酸化物形水電解セルの酸素極として好適に使用することができる。
【0010】
ここに開示される固体酸化物形水電解セルの酸素極は、ランタン、ストロンチウム、コバルト、鉄を主構成元素として含むペロブスカイト型酸化物で構成された固体酸化物形電解セルの酸素極であって、格子体積は404.8Å

以上である。当該ペロブスカイト型酸化物は格子体積が比較的大きい。そして、当該ペロブスカイト型酸化物は製造時点で高酸素高温環境下における曝露に対して好適に安定化されていると推察される。したがって、高酸素高温環境下で曝露された後に、電気抵抗等の物性の変化が生じにくく、固体酸化物形水電解セルの酸素極として好適に機能し得る。
(【0011】以降は省略されています)

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