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公開番号2025088876
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-12
出願番号2023203660
出願日2023-12-01
発明の名称電力用半導体装置及びその製造方法
出願人三菱電機株式会社
代理人弁理士法人ぱるも特許事務所
主分類H01L 25/07 20060101AFI20250605BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】絶縁性及び放熱性を向上させることが可能な電力用半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電力用半導体装置101は、第一の金属配線部材3の下面32が金属板5の上面51に対して傾斜しており、第一の金属配線部材3の下面32と金属板5の上面51との間に挟まれた絶縁シート4に厚み差がある。これにより、絶縁シート4の絶縁性及び放熱性を低下させる原因となる欠陥を、絶縁シート4の厚みが大きい側に発生させるように制御することが可能である。上記欠陥が発生した際に絶縁性及び放熱性への影響がより小さい側を、絶縁シート4の厚みが大きい側とすることにより、絶縁シート4の絶縁性及び放熱性の低下を抑制することができる。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
金属板の上面の法線方向を上と定義し、法線方向とは反対方向を下と定義するとき、
前記金属板と、
下面が前記金属板の上面に接着された絶縁シートと、
下面が前記絶縁シートの上面に接着された第一の金属配線部材と、
下面が前記第一の金属配線部材の上面に接合された半導体素子と、
前記半導体素子の上面または前記第一の金属配線部材の上面に接合された第二の金属配線部材と、
前記金属板の下面を露出させた状態で、前記金属板、前記絶縁シート、前記第一の金属配線部材、前記半導体素子、及び前記第二の金属配線部材を封止した成型樹脂と、を備え、
前記第一の金属配線部材の下面は、前記金属板の上面に対して傾斜しており、前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との間に挟まれた前記絶縁シートに厚み差があることを特徴とする電力用半導体装置。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記絶縁シートは、前記第一の金属配線部材の下面よりも外周側にはみ出しており、
前記第一の金属配線部材と前記金属板との間の前記絶縁シートに沿った絶縁距離がL1である領域と、前記絶縁距離がL2(L2>L1)である領域とを有し、
前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との隙間について、前記絶縁距離がL2である領域側の前記隙間は、前記絶縁距離がL1である領域側の前記隙間よりも広いことを特徴とする請求項1記載の電力用半導体装置。
【請求項3】
前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との隙間について、前記成型樹脂のエアベントが配置された側の前記隙間は、前記エアベントが配置された側とは反対側の前記隙間よりも広いことを特徴とする請求項1記載の電力用半導体装置。
【請求項4】
前記第一の金属配線部材または前記第二の金属配線部材として、前記半導体素子の制御用の配線部が設けられ、
前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との隙間について、前記制御用の配線部が配置された側の前記隙間は、前記制御用の配線部が配置された側とは反対側の前記隙間よりも広いことを特徴とする請求項1記載の電力用半導体装置。
【請求項5】
互いに間隔を空けて前記絶縁シートの上面に並べられた複数の前記第一の金属配線部材が設けられ、
各々の前記第一の金属配線部材の下面は、前記金属板の上面に対して傾斜しており、各々の前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との間に挟まれた前記絶縁シートに厚み差があることを特徴とする請求項1記載の電力用半導体装置。
【請求項6】
各々の前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との隙間について、互いに電位の異なる二つの前記第一の金属配線部材に挟まれた中間領域に近い側の前記隙間は、前記中間領域から離れた側の前記隙間よりも広いことを特徴とする請求項5記載の電力用半導体装置。
【請求項7】
前記第一の金属配線部材の上面と下面とを繋ぐ端面に、前記第一の金属配線部材の外周を囲む段差部が設けられ、
前記第一の金属配線部材の下面の面積が上面の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力用半導体装置。
【請求項8】
前記第二の金属配線部材は、前記第一の金属配線部材の上面に接合されたインナーリードと、前記インナーリードに接続され前記金属板の上面と平行な方向に延在するアウターリードとを含み、
前記インナーリードは、前記第一の金属配線部材の上面から離れる方向に湾曲している湾曲部を有し、前記第一の金属配線部材の上面から前記湾曲部の頂部までの高さは、前記第一の金属配線部材の上面から前記アウターリードの上面までの高さよりも高いことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力用半導体装置。
【請求項9】
前記第二の金属配線部材は、前記半導体素子に接合された面及び前記第一の金属配線部材に接合された面のいずれか一方または両方に突起が設けられ、
前記突起によって前記第一の金属配線部材の前記金属板に対する傾斜量が制御されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力用半導体装置。
【請求項10】
金属板、第一の金属配線部材、半導体素子、絶縁シート、及び第二の金属配線部材を準備する準備工程と、
前記第一の金属配線部材の上面に前記半導体素子の下面を接合する半導体素子接合工程と、
前記半導体素子の上面及び前記第一の金属配線部材の上面に前記第二の金属配線部材を接合する第二の金属配線部材接合工程と、
金型のキャビティ内に前記金属板、前記絶縁シート、前記第一の金属配線部材、前記半導体素子、及び前記第二の金属配線部材を配置して成型樹脂により封止するとともに、前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面とを前記絶縁シートを介して接着する封止工程と、を備え、
前記封止工程よりも前の工程において、前記第一の金属配線部材の下面を前記金属板の上面に対して傾斜させ、
前記封止工程において、前記第一の金属配線部材の下面と前記金属板の上面との間に挟まれた前記絶縁シートに厚み差が生じるようにしたことを特徴とする電力用半導体装置の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、電力用半導体装置及びその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
電力用半導体装置は、鉄道車両、ハイブリッドカー、電気自動車等の車両、及び産業用機械等において、比較的大きな電力を制御、整流するために利用されている。電力用半導体装置は、使用時に数百V以上の高電圧が印加され、電力用半導体素子が発熱することから、高い絶縁性と放熱性が要求される。
【0003】
電力用半導体装置の絶縁性と放熱性を両立し、実装面積の低減及びコスト低減を実現するモジュールとして、T-PM(Transfer mold Power Module)が知られている。T-PMの製造工程では、半導体素子が搭載された金属配線部材と金属板との間に10W/m・K以上の熱伝導率を有する半硬化状態の絶縁シートを配置し、トランスファ成形時の圧力と熱で絶縁シートを反応させ、金属配線部材と金属板とを接着している。
【0004】
T-PMで使用される絶縁シートは、セラミック粒と熱硬化性樹脂で構成されたものが多く、トランスファ成形で用いられる成型樹脂も熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、熱によって溶融し、その後化学反応によって硬化していく特性を有する。絶縁シートが安定した絶縁性、放熱性、及び接着性を発現するには、絶縁シートの熱硬化性樹脂の反応のタイミングと、成型樹脂の樹脂注入から硬化完了までのタイミングを合わせる必要がある。
【0005】
しかしながら、特に全体サイズが大きいモジュールの場合、絶縁シートの反応のタイミングに合わせて樹脂注入時間を短くしようとすると、絶縁シートとその上下にある金属配線部材と金属板とにかかる樹脂流動抵抗が高くなる。その結果、金属配線部材及び金属板から絶縁シートを引き剥がす力が発生し、絶縁性及び放熱性が低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1では、トランスファ成形工程で用いられる下金型が、インナーリードの下方においてキャビティの底面に設けられた段差部を有しており、この段差部によってインナーリードとダイパッドをつなぐ曲げ部に対する樹脂流動抵抗を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6195019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の方法では、樹脂流動抵抗によって発生する絶縁シートを引き剥がす力を抑制することはできるが、トランスファ成形工程ではその他の要因、例えば成型樹脂の硬化収縮等によっても絶縁シートを引き剥がす力が発生する。成型樹脂の硬化収縮量はチューニングによって調整可能であるが、原理的にゼロにすることは難しい。
【0009】
また、半導体素子が搭載された金属配線部材は、半導体素子を金属接合部材でダイボンドした際に、材料の線膨張係数差の影響で反りが発生する。反りが発生している金属配線部材をトランスファ成形工程で金型に投入すると、絶縁シートと金属配線部材との間に隙間がある状態となる。この隙間に内在する空気は、トランスファ成形工程中にそのまま残存し、絶縁シートと金属配線部材との間に界面剥離を生じさせることがある。
【0010】
さらに、絶縁シートと金属配線部材との間に内在する空気が絶縁シートに入り込み、上述の絶縁シートを引き剥がす力を受けて微小な空隙が発生したり移動したりすることで、絶縁性及び放熱性を低下させるという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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