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公開番号2025090043
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-17
出願番号2023205003
出願日2023-12-05
発明の名称部分的内皮間葉移行マーカーとしての遺伝子の発現産物の使用
出願人国立大学法人東京科学大学
代理人個人,個人,個人
主分類C12Q 1/6869 20180101AFI20250610BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 本発明は、内皮間葉移行(EndoMT)の中間段階であるPartial EndoMTマーカーとしての遺伝子の発現産物の使用を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、EndoMTの中間段階であるPartial EndoMTマーカーとしての遺伝子の発現産物の使用であって、遺伝子が、Rgs2遺伝子、Sost遺伝子、Sp5遺伝子、Asap3遺伝子、Cd40遺伝子、Nckap5l遺伝子、Hpn遺伝子、Myzap遺伝子、Pdgfb遺伝子、Bambi遺伝子、Mindy4遺伝子、Dapk2遺伝子、Limch1遺伝子、Dock8遺伝子、Vwf遺伝子、Abhd17a遺伝子、Adora2a遺伝子、Zfp69遺伝子、Ctnnal1遺伝子、Mvb12b遺伝子、A530016L24Rik遺伝子、Mmp28遺伝子、Rnf144a遺伝子、Scn1b遺伝子、Ypel2遺伝子、Lhfpl2遺伝子、Tmem158遺伝子、Plvap遺伝子、Ctsh遺伝子、Sema6c遺伝子、Arl15遺伝子、Mafb遺伝子、Eln遺伝子、Il4ra遺伝子、Rgcc遺伝子、Fam181b遺伝子、Septin4遺伝子、Serinc5遺伝子、Robo3遺伝子、Ace遺伝子、Kif5c遺伝子、Adamts17遺伝子、およびTrp53i11遺伝子からなる群から選ばれる、使用を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
EndoMTの中間段階であるPartial EndoMTマーカーとしての遺伝子の発現産物の使用であって、遺伝子が、Rgs2遺伝子、Sost遺伝子、Sp5遺伝子、Asap3遺伝子、Cd40遺伝子、Nckap5l遺伝子、Hpn遺伝子、Myzap遺伝子、Pdgfb遺伝子、Bambi遺伝子、Mindy4遺伝子、Dapk2遺伝子、Limch1遺伝子、Dock8遺伝子、Vwf遺伝子、Abhd17a遺伝子、Adora2a遺伝子、Zfp69遺伝子、Ctnnal1遺伝子、Mvb12b遺伝子、A530016L24Rik遺伝子、Mmp28遺伝子、Rnf144a遺伝子、Scn1b遺伝子、Ypel2遺伝子、Lhfpl2遺伝子、Tmem158遺伝子、Plvap遺伝子、Ctsh遺伝子、Sema6c遺伝子、Arl15遺伝子、Mafb遺伝子、Eln遺伝子、Il4ra遺伝子、Rgcc遺伝子、Fam181b遺伝子、Septin4遺伝子、Serinc5遺伝子、Robo3遺伝子、Ace遺伝子、Kif5c遺伝子、Adamts17遺伝子、およびTrp53i11遺伝子からなる群から選ばれる、使用。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
遺伝子の発現産物が、RNA、またはタンパク質である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
細胞がPartial EndoMTを受けたかどうかを判定する方法であって、当該細胞における遺伝子の発現産物を、当該判定のための指標とし、当該遺伝子が、Rgs2遺伝子、Sost遺伝子、Sp5遺伝子、Asap3遺伝子、Cd40遺伝子、Nckap5l遺伝子、Hpn遺伝子、Myzap遺伝子、Pdgfb遺伝子、Bambi遺伝子、Mindy4遺伝子、Dapk2遺伝子、Limch1遺伝子、Dock8遺伝子、Vwf遺伝子、Abhd17a遺伝子、Adora2a遺伝子、Zfp69遺伝子、Ctnnal1遺伝子、Mvb12b遺伝子、A530016L24Rik遺伝子、Mmp28遺伝子、Rnf144a遺伝子、Scn1b遺伝子、Ypel2遺伝子、Lhfpl2遺伝子、Tmem158遺伝子、Plvap遺伝子、Ctsh遺伝子、Sema6c遺伝子、Arl15遺伝子、Mafb遺伝子、Eln遺伝子、Il4ra遺伝子、Rgcc遺伝子、Fam181b遺伝子、Septin4遺伝子、Serinc5遺伝子、Robo3遺伝子、Ace遺伝子、Kif5c遺伝子、Adamts17遺伝子、およびTrp53i11遺伝子からなる群から選ばれる、方法。
【請求項4】
当該細胞における遺伝子の発現産物を、当該判定のための指標とすることが、当該細胞における遺伝子の発現産物の量を、当該判定のための指標とすることである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
当該細胞における遺伝子の発現産物の量を、当該判定のための指標とするにあたって、当該細胞における遺伝子の発現産物の量が、所定の量と比較される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該細胞における遺伝子の発現産物の量が、所定の量と比較して、多いことを指標として、細胞がPartial EndoMTを受けたと判定する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
当該細胞における遺伝子の発現産物の量が、所定の量と比較して、少ないことを指標として、細胞がPartial EndoMTを受けなかったと判定する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
遺伝子の発現産物が、RNA、またはタンパク質である、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
細胞が、腫瘍血管内皮細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
細胞がPartial EndoMTを受けたかどうかを判定するための方法であって、当該細胞における遺伝子の発現産物を測定する工程を含み、当該遺伝子が、Rgs2遺伝子、Sost遺伝子、Sp5遺伝子、Asap3遺伝子、Cd40遺伝子、Nckap5l遺伝子、Hpn遺伝子、Myzap遺伝子、Pdgfb遺伝子、Bambi遺伝子、Mindy4遺伝子、Dapk2遺伝子、Limch1遺伝子、Dock8遺伝子、Vwf遺伝子、Abhd17a遺伝子、Adora2a遺伝子、Zfp69遺伝子、Ctnnal1遺伝子、Mvb12b遺伝子、A530016L24Rik遺伝子、Mmp28遺伝子、Rnf144a遺伝子、Scn1b遺伝子、Ypel2遺伝子、Lhfpl2遺伝子、Tmem158遺伝子、Plvap遺伝子、Ctsh遺伝子、Sema6c遺伝子、Arl15遺伝子、Mafb遺伝子、Eln遺伝子、Il4ra遺伝子、Rgcc遺伝子、Fam181b遺伝子、Septin4遺伝子、Serinc5遺伝子、Robo3遺伝子、Ace遺伝子、Kif5c遺伝子、Adamts17遺伝子、およびTrp53i11遺伝子からなる群から選ばれる、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、内皮間葉移行(EndoMT)の中間段階であるPartial EndoMT(Partial EndMT、パーシャルEndoMT、部分的EndoMT、パーシャル内皮間葉移行、部分的内皮間葉移行などとも呼ばれる。)マーカーとしての遺伝子の発現産物の使用に関する。本発明は、細胞がPartial EndoMTを受けたかどうかを判定する方法に関する。本発明は、Partial EndoMTを受けた細胞またはPartial EndoMTを受けなかった細胞を選別する方法に関する。本発明は、細胞のEndoMTの誘導または亢進の阻害剤に関し、特に、内皮細胞のEndoMTの誘導または亢進の阻害剤に関する。本発明は、癌、線維症、肺動脈性肺高血圧症、またはアテローム性動脈硬化症の処置剤に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
腫瘍微小環境(TME)は、がん細胞、内皮細胞、がん関連線維芽細胞(CAF)、免疫細胞、その他の間質細胞で構成されている[非特許文献1]。TMEのこれらの構成要素間の相互作用は、細胞間直接接触または様々なサイトカインの分泌を介して行われる[非特許文献1,2]。複数の証拠により、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)がTMEネットワークの調節において重要な役割を果たしていることが示唆されている[非特許文献3]。TGF-βはセリン-スレオニンキナーゼタイプの受容体(TGF-βI型およびII型受容体;TβRIおよびTβRII)に結合し[非特許文献4]、Smad2/3をリン酸化する。リン酸化されたSmad2/3はSmad4と複合体を形成し、核内に移行し、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)を含む様々な標的遺伝子の転写を制御する。
【0003】
TGF-βは、上皮癌細胞において上皮間葉移行(EMT)を誘導し、癌細胞の浸潤と転移を引き起こすことで腫瘍の進行と転移に寄与する[非特許文献3,5-7]。EMTはまた、癌細胞に化学療法や放射線療法に対する耐性を与える。さらに、TGF-βは腫瘍の血管新生、免疫寛容、およびCAFの形成を誘導する。したがって、TGF-βは、TMEの様々な成分に影響を与えることにより、腫瘍の進行と転移を調節する。
【0004】
TGF-βはまた、腫瘍の進行と転移に役割を果たす内皮間葉移行(EndoMT、EndMTとも呼ばれる)も誘導する[非特許文献8,9]。EndoMTの間、内皮細胞は強い細胞間接触や血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)や内皮細胞キナーゼ2(Tie2)などの内皮細胞特異的マーカーの発現などの特性を失い、高い運動性や平滑筋タンパク質22α(SM22α)やα-平滑筋アクチン(αSMA)などの間葉系細胞マーカーの発現などの間葉表現型を獲得する。本発明者らは以前、腫瘍壊死因子α(TNF-α)がTGF-β誘導EndoMTを増強し、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞においてEMTを誘導するTGF-β2分泌CAF様細胞を生成することを報告した。離れた臓器では血管の完全性が低下し、がん細胞の血管内侵入や血管外漏出が促進される。本発明者らは以前、腫瘍壊死因子α(TNF-α)がTGF-β誘導EndoMTを増強し、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞においてEMTを誘導するTGF-β2分泌CAF様細胞を生成することを報告した[非特許文献10]。離れた臓器への癌の転移中、血管の完全性が低下し、癌細胞の血管内侵入および血管外漏出が促進される。本発明者らは以前、TGF-β刺激を受けたOSCC細胞によって放出される細胞外小胞が、EndoMTの誘導に伴って内皮細胞のバリア機能を低下させることを報告した[非特許文献11]。また、最近の一連の証拠は、EndoMTが腫瘍の血管新生において役割を果たすことを示している[非特許文献12,13]。EndoMTはがんの進行と転移の様々な段階に関与しているが、EndoMTの根底にある分子機構はまだ解明されていない。
【0005】
発生のEndoMTに焦点を当てた以前の研究では、内皮細胞から間葉細胞への移行は、2つの分化した細胞型の間の永続的な移行であると考えられていた。しかし、最近の報告では、EndoMTの高い可塑性が示唆されている[非特許文献9]。EndoMTを受けている細胞は、様々な中間期を通じて分化することが現在広く認識されている。この可塑性は、一部の内皮細胞が内皮/間葉ハイブリッドの特徴を保持し、EndoMTの中間段階であるPartial EndoMT状態を維持していることを意味する。注目すべきことに、このPartial EndoMT状態は、特定の条件下で逆転する可能性がある[非特許文献9]。Partial EndoMTは、血管新生中にも観察されている[非特許文献14,15]。しかし、Partial EndoMTにおける細胞を同定するための実験系と特異的マーカーの欠如により、それらの特徴の詳細な解析が妨げられている。
【0006】
EndoMT駆動間葉細胞を特徴付けるために、血管内皮細胞を遺伝的に標識する内皮系統追跡を利用していくつかのトランスジェニックマウスモデルが開発されている[非特許文献16,17]。このような内皮系統追跡はEndoMTの解析に有用であるが、EndoMTの段階的移行はまだ特定されていない。
【0007】
以上につき、更に説明を補足する。
がんを制御する微小環境ネットワーク:
腫瘍はがん細胞のみならず腫瘍血管を構成する内皮細胞、がん関連線維芽細胞(CAF)など種々の微小環境を構成する細胞とともに成り立っている。がん微小環境では、様々な細胞間での直接的な相互作用や、サイトカインなどの液性因子を介した間接的な相互作用によって腫瘍の形成や進展が時空間的に制御されており、こうしたがん細胞と微小環境の相互作用は新たな治療標的として注目されている。しかし、これらの相互作用については未解明な部分が多く、こうした相互作用を標的とした治療法の開発は未だ発展途上の段階である。
【0008】
内皮間葉移行(EndoMT)を介したがん細胞と腫瘍血管由来のがん関連線維芽細胞(CAF)との相互作用:
がん微小環境における構成因子である「CAF」は様々な液性因子を分泌することでがん細胞の増殖や悪性化などを誘導し、がんの進展を誘導することが示されていることから、その形成機構の解明は急務である。CAFは常在性の正常線維芽細胞がTGF-βなどのサイトカインで活性化することで形成されると考えられていたが、遺伝学的な手法でCAFの約30%が腫瘍血管内皮細胞由来であることが示された。この腫瘍血管内皮細胞が間葉系細胞の形質を獲得する現象は「内皮間葉移行(EndoMT)」と呼ばれ、がんの進展・転移に重要な役割を果たすことが代表者らにより明らかとなっているが、その詳細な分子機序については未解明な部分が多い。
【0009】
EndoMTは組織線維症・肺動脈性肺高血圧症・アテローム性動脈硬化症などの発症にも関与する:
EndoMTは、下記のように線維化疾患や癌を含む様々な疾患の発症に寄与する可能性がある。
心臓線維症:EndoMTを受けた内皮細胞は、心臓線維化を可能にする心臓線維芽細胞に分化する可能性がある。
肺動脈性肺高血圧症(PAH):EndoMT由来のSMA過剰発現線維化細胞の蓄積は、動脈壁を肥厚させ狭窄させ、PAHの発症を促進する。
アテローム性動脈硬化症(AS):EndoMT由来の線維芽細胞の蓄積はプラークの成長をもたらし、ASプラークの肥厚を促進する。
臓器線維症:EndoMT誘導線維芽細胞は、肝線維症、腎線維症、腸線維症における線維芽細胞様細胞の供給源であることが証明されている。
【0010】
Partial EndoMTを制御する因子は治療の標的となる:
EndoMTとは血管内皮細胞がその性質を失い、間葉系細胞の性質を獲得することであり、近年ではEndoMTの中間段階(Partial EndoMT)ががん転移や腫瘍血管新生において重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。しかし、これまでPartial EndoMTを検出できる実験系がなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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