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公開番号2025093374
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-24
出願番号2023208985
出願日2023-12-12
発明の名称水処理方法、該方法に使用するビーズ及び水処理装置
出願人国立大学法人 長崎大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C02F 1/32 20230101AFI20250617BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】被処理水まで紫外線を効果的に到達させることが出来る、水処理装置用の酸化チタン含有光触媒コーティング剤及び該コーティング剤で塗布されたビーズの提供と、これらを用いることにより、難分解性物質の処理が可能な水処理装置の提供とを課題とする。
【解決手段】光触媒を含有する透明度の高い塗料を用いて、水処理装置内の紫外線照射器付近のビーズを塗布することにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
難分解性物質を含む被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備える水処理装置において、
前記紫外線照射器の周囲に、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズが配置されていることを特徴とする、水処理方法。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
前記酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料は、透明度が、紫外可視分光光度計により測定した場合、バンドギャップ近傍の波長領域である340 nm~380 nmに対し、透過率が50%~80%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
紫外線照射器の光源が、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、及び高圧水銀ランプからなる群より選択される水銀紫外線ランプ、LEDランプ、エキシマランプ又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
難分解性物質が、1,4-ジオキサン、ダイオキシン、ニトロソアミン、及びフェノールからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ビーズが、ソーダガラス、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、結晶化ガラス、及び耐熱ガラスからなる群より選択される1種以上を含むガラスビーズ又はガラスを核として、光酸化触媒を含まない透明又は半透明樹脂層が形成されたビーズであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
難分解性物質を含む水処理装置に使用されることを特徴とする、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズ。
【請求項7】
難分解性物質を含む被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備えること、及び前記紫外線照射器の周囲に、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズが配置されていることを特徴とする、水処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、難分解性物質を処理するための水処理方法、該方法に使用するビーズ及び水処理装置に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
米国など海外のいくつかの国では、下水の再利用が行われており、下水を飲用水とするには、殺菌が必要な他、年々規制が厳しくなる難分解性物質の処理も必要である。従来から知られる処理技術としては、活性炭や活性汚泥を用いる方法や凝集沈殿法などがあるが、例えば、1,4-ジオキサンや代表的なニトロソアミン類であるNDMA等の難分解性物質の場合、高い水溶性、微生物難分解性、低揮発性、低吸着性などの性質を有し、上記した方法では、分解、除去することが困難であった。そこで、1,4-ジオキサンやNDMA等の分解、除去のため、促進酸化法(AOP:Advanced Oxidation Process)が用いられている。これは、オゾンと紫外線、過酸化水素と紫外線、オゾンと過酸化水素など、複数の酸化剤と水との反応によりOH(ヒドロキシルラジカル)を発生させ、酸化分解反応を促進し、有害物質を除去する処理方法である。この方法を利用した水処理装置などが知られている(特許文献1、2)。しかしながら、オゾンや過酸化水素を用いる装置は、取り扱いに注意が必要であり、装置が大型化するため、設置や維持費用が高額となることがあった。オゾンや過酸化水素を使用しなくとも実現可能な、難分解性物質の処理技術の開発が求められている。
【0003】
特許文献3には、酸化チタンの光触媒作用を利用して、酸化チタン塗布されたビーズを周囲に配置した紫外線照射器とオゾン発生機などを備えた水処理装置の発明が記載されている。しかしながら、従来の光触媒コーティング剤は、白色顔料の原料にも用いられる酸化チタンを含むため、これを塗布されたビーズは白濁し、その表面で紫外線が散乱される問題があった。すなわち、従来の技術では、照射された紫外線が光触媒塗布されたビーズを透過出来ず、照射された紫外線の多くが被処理水まで到達出来なかったため、被処理水に紫外線をより効果的に到達させることが出来る実用化可能な技術が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2005-279409号公報
特開2008-221151号公報
特開平11-47771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被処理水まで紫外線を効果的に到達させることが出来る、水処理方法、該方法に使用するビーズ及び水処理装置の提供を課題とする。また、該光触媒が塗布されたビーズと適切な波長の紫外光を選択して照射することにより、従来は困難であった、難分解性物質を、光触媒によって簡便に処理することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、近年、建築(建物外壁)用に開発された、光触媒を含有する透明度の高い塗料を用いて、水処理装置内のビーズを塗布することに至った。本発明によれば、光触媒作用を効率よく得られるため、塗布後のビーズを水処理装置内の紫外線照射器付近に配置した際に、従来よりも、紫外光を被処理水まで効果的に到達させることが期待出来る。また、本発明において、紫外線の照射する波長を適宜調整することなどにより、難分解性物質及び殺菌の処理も一挙に達成出来ることが期待される。本発明者らは、上記知見に基づき、更に研究を進め、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]難分解性物質を含む被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備える水処理装置において、
前記紫外線照射器の周囲に、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズが配置されていることを特徴とする、水処理方法。
[2]前記酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料は、透明度が、紫外可視分光光度計により測定した場合、バンドギャップ近傍の波長領域である340 nm~380 nmに対し、透過率が50%~80%であることを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3]紫外線照射器の光源が、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、及び高圧水銀ランプからなる群より選択される水銀紫外線ランプ、LEDランプ、エキシマランプ又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]難分解性物質が、1,4-ジオキサン、ダイオキシン、ニトロソアミン、及びフェノールからなる群より選択される1種以上を含むことを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]ビーズが、ソーダガラス、ソーダ石灰ガラス、石英ガラス、結晶化ガラス、及び耐熱ガラスからなる群より選択される1種以上を含むガラスビーズ又はガラスを核として、光酸化触媒を含まない透明又は半透明の樹脂層が形成されたビーズであることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]難分解性物質を含む水処理装置に使用されることを特徴とする、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズ。
[7]難分解性物質を含む被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備えること、及び前記紫外線照射器の周囲に、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズが配置されていることを特徴とする、水処理装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、水処理装置内の紫外線ランプ付近に積層充填されているビーズを、本発明のコーティング剤で塗布した場合、コーティング剤中に分散されている微細な酸化チタン粒子が、紫外線を吸収して化学反応(酸化、還元反応)を促進出来る一方、粒子以外の部分は、透明又は半透明であるから、照射された紫外線は、従来技術と比して減弱されることなく被処理水に透過出来る。すなわち、従来技術と比して、紫外線照射器付近のビーズ層のみならず、さらに外層に積層充填された光触媒コーティングビーズに紫外線が到達する確率が格段に向上し、オゾンや過酸化水素の発生機等を有しない装置であっても、光触媒と紫外線の作用により、難分解性物質の処理を効率的に行うことが出来る。また、紫外光の照射波長などを適宜所望の範囲に調整することにより、目的とする殺菌と難分解性物質の処理とを一挙に達成出来る水処理方法及び当該方法を使用する水処理装置の提供も可能である。さらに、本発明の方法は、既存の水処理装置の紫外線照射機器の一部(ビーズ部)のみをメンテナンスや点検の際に、本発明を使用したものに変更することが出来るため、大幅な装置変更(敷地面積の増加等)などが不要である利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、本発明又は一般的な水処理装置の概略を示す図である。
図2は、本発明の水処理装置の、紫外線照射器周辺の断面を示す図である。
図3は、ガラスビーズに酸化チタンコートの被覆を1~4層行ったコーティング区及び対照区におけるメチレンブルー分解率を示すグラフである。
図4は、含浸法による酸化チタンコートの被覆を1層行ったガラスビーズを、1~3層積層配置した場合の、60分まで10分間隔で紫外光の照射時間を変化させた際のメチレンブルー分解率を示すグラフである。
図5は、含浸法による酸化チタンコートの被覆を1層行ったガラスビーズを、1層のみ配置した場合に、紫外光の照射時間が10、30及び60分である場合のメチレンブルー分解率を示すグラフである。
図6は、各サンプルの波長と吸光度の関係を示す(ビーズの透過率、透明度の算出にも用いる)グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[紫外線照射器を備える水処理装置]
本発明の水処理装置は、難分解性物質を含む被処理水及び/又は殺菌が必要な被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備える。好ましくは、本発明の水処理装置は、難分解性物質を含む被処理水に紫外線を照射するための紫外線照射器を備え、より好ましくは、前記紫外線照射器の周囲に、酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料でコーティングされたビーズが配置されている(具体的には、上記した特許文献3の図2~3など参照)。特に好ましくは、前記ビーズが積層配置されている水処理装置(例えば、本明細書の図2参照)であるが、これらに限定されない。
水処理装置のケーシングは、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属製容器の他、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂製容器であるが、これらに限定されない。中でも、耐食性を考慮するとステンレス容器を使用することが好ましい。また、樹脂製容器を使用する際には、紫外線に対する耐性が非常に高いPTFE製容器を使用することが好ましい。
なお、ビーズが積層配置される場合、好ましくは、1~6層、より好ましくは、2~5層、さらに好ましくは、3~4層が積層されるが、これらに限定されない。なお、ガラスビーズへのコーティング剤として、後述するTERSUS ENが用いられる場合には、1~3層積層配置されることが好ましいが、これに限定されない。
このような装置は、後述する酸化チタンを含む透明又は半透明な塗料及び該塗料を塗布したビーズ以外の部分については、既に当分野において十分確立されており、例えば、上記した特許文献1~3に記載の装置などを参考にすることが出来る。
(【0011】以降は省略されています)

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