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公開番号2025103173
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-09
出願番号2023220345
出願日2023-12-27
発明の名称メタネーション装置、メタネーション方法、炭化水素の直接分解装置、及び炭化水素の直接分解方法
出願人三菱重工業株式会社
代理人SSIP弁理士法人
主分類C07C 4/06 20060101AFI20250702BHJP(有機化学)
要約【課題】メタネーション用の触媒の劣化を抑制できるメタネーション装置、メタネーション方法、炭化水素の直接分解装置、及び炭化水素の直接分解方法を提供する。
【解決手段】2つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素と水素とが反応して飽和炭化水素がメタンに転化されるメタネーションにより、原料ガスから飽和炭化水素を除去するメタネーション装置は、メタネーション用の触媒層であって、間隔をあけて設けられた少なくとも2つの触媒層11a、11bと、混合ガスの流通方向において最も上流側の触媒層よりも上流側に水素含有ガスを供給するための水素供給ライン3と、最も上流側の触媒層よりも上流側と、隣り合う2つの触媒層間とに原料ガスを供給するための原料ガス供給ライン4と、隣り合う2つの触媒層間に設けられ、隣り合う2つの触媒層のうち、混合ガスの流通方向において上流側の触媒層から流出した混合ガスを冷却する冷却器13とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
2つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素と水素とが反応して前記飽和炭化水素がメタンに転化されるメタネーションにより、メタンと前記飽和炭化水素とを含む原料ガスから前記飽和炭化水素を除去するメタネーション装置であって、
前記メタネーション用の触媒から構成された少なくとも2つの触媒層であって、前記原料ガスと水素含有ガスとを含む混合ガスの流通方向において間隔をあけて設けられた少なくとも2つの触媒層と、
前記混合ガスの流通方向において最も上流側の触媒層よりも上流側に前記水素含有ガスを供給するための水素供給ラインと、
前記混合ガスの流通方向において最も上流側の触媒層よりも上流側と、前記混合ガスの流通方向において隣り合う2つの触媒層間とのそれぞれに前記原料ガスを供給するための原料ガス供給ラインと、
前記混合ガスの流通方向において隣り合う2つの触媒層間に設けられ、前記隣り合う2つの触媒層のうち、前記混合ガスの流通方向において上流側の触媒層から流出した前記混合ガスを冷却する冷却器と
を備えるメタネーション装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記少なくとも2つの触媒層のそれぞれを構成する触媒の量は、前記混合ガスの流通方向において下流側の触媒層ほど多くなっている、請求項1に記載のメタネーション装置。
【請求項3】
前記触媒は、ニッケル、鉄、コバルト、又は貴金属元素をアルミナに担持させた担持触媒である、請求項1または2に記載のメタネーション装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のメタネーション装置と、
炭化水素の直接分解反応用の触媒が収容された反応器と、
前記メタネーション装置から流出したガスである処理済ガスを前記反応器に供給するための処理済ガス供給ラインと
を備える炭化水素の直接分解装置。
【請求項5】
前記反応器において炭化水素が直接分解することにより生成した水素を含む製品ガスが前記反応器から流出後に流通する製品ガス流通ラインと、
製品ガス流通ラインと前記水素供給ラインとを連通する水素リサイクルラインと
を備える、請求項4に記載の炭化水素の直接分解装置。
【請求項6】
2つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素と水素とが反応して前記飽和炭化水素がメタンに転化されるメタネーションにより、メタンと前記飽和炭化水素とを含む原料ガスから前記飽和炭化水素を除去するメタネーション方法であって、
前記メタネーション用の触媒から構成された少なくとも2つの触媒層であって、前記原料ガスと水素含有ガスとを含む混合ガスの流通方向において間隔をあけて設けられた少なくとも2つの触媒層のうち最も上流側の触媒層に前記水素含有ガスを流通させるステップと、
前記混合ガスの流通方向において最も上流側の触媒層に前記原料ガスの一部を流通させるステップと、
前記混合ガスの流通方向において隣り合う2つの触媒層間に前記原料ガスの残りを供給するステップと、
前記隣り合う2つの触媒層のうち上流側の触媒層から流出した前記混合ガスを冷却するステップと、
冷却された混合ガスと、前記混合ガスの流通方向において隣り合う2つの触媒層間に供給された前記原料ガスとを、前記隣り合う2つの触媒層のうち下流側の触媒層に流通させるステップと
を含むメタネーション方法。
【請求項7】
前記混合ガス中において前記飽和炭化水素に対する水素の濃度比が1以上となるように前記水素含有ガスの供給量を調節する、請求項6に記載のメタネーション方法。
【請求項8】
前記水素含有ガスは、前記メタネーションに寄与しない成分と水素とを含む、請求項6または7に記載のメタネーション方法。
【請求項9】
前記メタネーションの活性の低下を検出するステップと、
前記活性の低下を検出した場合に、前記水素含有ガスの供給量を増加するステップと
を含む、請求項6または7に記載のメタネーション方法。
【請求項10】
前記原料ガスは、天然ガス、圧縮天然ガス、都市ガス、液化石油ガス、又はナフサである、請求項6または7に記載のメタネーション方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、メタネーション装置、メタネーション方法、炭化水素の直接分解装置、及び炭化水素の直接分解方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
現状、各種エネルギーの製造は、石油や石炭、天然ガス等の化石燃料に大きく依存しているが、地球環境保全等の観点からは、化石燃料の燃焼によって放出される二酸化炭素の排出量の増加が問題視されている。2015年に合意されたパリ協定では、気候変動問題に対応するために、二酸化炭素の排出量の低減が要求されているが、火力発電所等では、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出量の削減が重要な課題となっている。排出された二酸化炭素を分離・回収するプロセスが精力的に検討されている一方で、化石燃料の代替燃料を用いて、二酸化炭素を排出せずにエネルギーを製造する技術も検討されている。
【0003】
そこで、化石燃料の代替燃料として、燃焼によって二酸化炭素を排出しないクリーンな燃料である水素が注目されている。水素は例えば、天然ガスに含まれるメタンを水蒸気改質することによって製造することができる。しかし、この製造方法では副生成物として一酸化炭素が生成し、一酸化炭素は最終的に酸化されて二酸化炭素として排出されてしまう。一方で、化石燃料を使用せずに水から水素を製造する方法として、水電解法や光触媒法等が検討されているが、これらの方法では多大なエネルギーを必要として経済的に問題がある。
【0004】
これに対し、炭化水素を直接分解させて水素及びカーボンを製造する方法が開発されている。炭化水素の直接分解の特徴は、二酸化炭素を排出せずに水素燃料を得られる点、並びに、副生するカーボンは固体であるため容易に固定化できるとともに、カーボンそのものを電極材料やタイヤ材料、建築材料等の幅広い用途に有効利用できる点にある。これまで、担持触媒と炭化水素ガスとを接触させることにより、炭化水素を水素とカーボンとに直接分解する方法が開発されているが、炭化水素の直接分解反応の生成物であるカーボンが触媒に付着することにより、短時間で触媒活性が低下してしまうことが問題となっていた。
【0005】
これに対し、本開示の出願人は、特許文献1に記載されるように、鉄製の複数の粒子の集合体の非担持触媒である触媒を使用して、炭化水素をカーボン及び水素に直接分解する方法を開発した。この方法によれば、炭化水素の直接分解反応の生成物であるカーボンが触媒に付着しても、新たな活性点を発現させることで活性が維持されるので、この反応の活性を長く維持することができると考察した。
【0006】
炭化水素の直接分解反応の原料ガスとして、例えば天然ガスを使用すると、天然ガスにはメタン以外にエタンやプロパン、ブタン等の2つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素(以下、「飽和炭化水素C2+」という)が含まれており、飽和炭化水素C2+はメタンに比べて反応性が高いので、メタンの直接分解反応を生じさせるための温度では、飽和炭化水素C2+の熱分解や重合反応等の副反応によって、例えば配管の閉塞等を生じさせることがある。飽和炭化水素C2+が含まれる原料ガスを炭化水素の直接分解反応の原料として使用する場合、このようなリスクを抑制するために、飽和炭化水素C2+を原料ガスから除去する必要がある。
【0007】
飽和炭化水素C2+としてエタン、プロパン、ブタンを例にすると、下記反応式(1)~(3)のように、各飽和炭化水素C2+と水素とが反応して各飽和炭化水素C2+をメタンに転化することにより、原料ガスから除去することができる。一般的には水素と二酸化炭素とからメタンを合成することをメタネーションと呼ぶことが多いが、本開示では、反応式(1)~(3)のように、飽和炭化水素C2+と水素とが反応することにより飽和炭化水素C2+がメタンに転化される反応を「メタネーション」と定義することとする。




+H

→2CH

・・・(1)




+2H

→3CH

・・・(2)



10
+3H

→4CH

・・・(3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第7089235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、メタネーションの温度条件次第で、原料ガスに含まれているメタン又は転化されたメタンの一部が水素及びカーボンに直接分解される可能性がある。そうすると、メタネーション触媒にカーボンが付着することによりメタネーション触媒が劣化し、メタネーションの活性が低下するので、原料ガスからの飽和炭化水素C2+の除去性能が低下してしまうおそれがある。
【0010】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、メタネーション用の触媒の劣化を抑制できるメタネーション装置、メタネーション方法、炭化水素の直接分解装置、及び炭化水素の直接分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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