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公開番号2025113837
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-04
出願番号2024008209
出願日2024-01-23
発明の名称重粒子ビームの照射装置及び治療システム
出願人株式会社東芝,東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人弁理士法人東京国際特許事務所
主分類A61N 5/10 20060101AFI20250728BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】均一磁場の形成領域の面積を小さくすることを志向しつつ、ターゲットへの照射角度を広範囲に調整できる重粒子ビームの照射装置を提供する。
【解決手段】重粒子ビームの照射装置10は、基準線16に対し正方向の照射角17aを持つ重粒子ビーム18を第1偏向角21で出射する第1出射ポート31と、この第1出射ポート31及びアイソセンタ15を結ぶ直線を挟み互いに逆方向磁場25,26を発生させ重粒子ビーム18に円弧軌跡を付与しアイソセンタ15へ収束させる第1磁場領域11と、基準線16に対し負方向の照射角を持つ重粒子ビーム18を第2偏向角で出射する第2出射ポート32と、この第2出射ポート32及びアイソセンタ15を結ぶ直線を挟み互いに逆方向磁場27,28を発生させ第2偏向角22で出射された重粒子ビーム18に円弧軌跡を付与しアイソセンタ15へ収束させる第2磁場領域12と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
アイソセンタを含む基準線に対し正方向の照射角を持つ重粒子ビームを任意の第１偏向角で出射する第１出射ポートと、
前記第１出射ポート及び前記アイソセンタを結ぶ直線を挟んで互いに逆方向の磁場を発生させるとともに、任意の前記第１偏向角で出射された前記重粒子ビームに円弧軌跡を付与し前記アイソセンタへ収束させる第１磁場領域と、
前記基準線に対し負方向の照射角を持つ前記重粒子ビームを任意の第２偏向角で出射する第２出射ポートと、
前記第２出射ポート及び前記アイソセンタを結ぶ直線を挟んで互いに逆方向の磁場を発生させるとともに、任意の前記第２偏向角で出射された前記重粒子ビームに円弧軌跡を付与し前記アイソセンタへ収束させる第２磁場領域と、を備える重粒子ビームの照射装置。
続きを表示（約 870 文字）【請求項２】
請求項１に記載の重粒子ビームの照射装置において、
前記第１出射ポート及び前記第２出射ポートから出射される前記重粒子ビームは、加速器から取り出された後に振分器で振り分けたものである重粒子ビームの照射装置。
【請求項３】
請求項１に記載の重粒子ビームの照射装置において、
前記第１出射ポート及び前記第２出射ポートから出射される前記重粒子ビームは、それぞれ別々の加速器で生成されたものである重粒子ビームの照射装置。
【請求項４】
請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の重粒子ビームの照射装置において、
前記照射角に応じて移動するとともに前記アイソセンタに向けて前記重粒子ビームを通過させるノズルを備える重粒子ビームの照射装置。
【請求項５】
請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の重粒子ビームの照射装置において、
前記第１磁場領域及び前記第２磁場領域の各々における同じ方向の磁場は、それぞれの領域を分割するように複数の電磁石を隣接させて形成した重粒子ビームの照射装置。
【請求項６】
請求項５に記載の重粒子ビームの照射装置において、
ぞれぞれ前記電磁石はコイルのインダクタンスが等しく形成された重粒子ビームの照射装置。
【請求項７】
請求項５に記載の重粒子ビームの照射装置において、
前記照射角に応じて電流供給する前記電磁石を切り替える重粒子ビームの照射装置。
【請求項８】
請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の重粒子ビームの照射装置と、
重粒子を生成するイオン源と、
前記重粒子を加速して高エネルギーにした前記重粒子ビームを生成する加速器と、
前記加速器から取り出された前記重粒子ビームを輸送するビーム輸送路と、
前記重粒子ビームが照射されるターゲットを前記アイソセンタに位置するよう支持するベッドと、を備える治療システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明の実施形態は、重粒子ビームを複数方向からターゲットに照射する技術に関する。
続きを表示（約 1,900 文字）【背景技術】
【０００２】
重粒子を加速し高エネルギーにした重粒子ビームを、癌などの悪性腫瘍に照射し、この悪性腫瘍の治療に用いることが行われている。この治療方法によれば、正常組織にダメージを与えず、病巣組織のみをピンポイントで死滅させることができる。このため、外科的・化学的治療に比べ、患者への負担が少なく、治療後の社会復帰の早期化も期待できる。
【０００３】
初期の頃は、一方向のみからターゲット(病巣組織)が照射されるように、重粒子ビームの照射部が固定された固定方式が主流であった。近年、重粒子ビームを複数方向からターゲットに重なるように照射して、正常組織の被ばくを抑えつつ、病巣組織に多くの線量を集中させ、より効果的な治療にする方式がとられている。
【０００４】
複数方向から重粒子ビームをターゲットに照射する方式として、治療室に複数の固定照射ポートを設けるシステムが知られている。また、ターゲット自体を回転させることで、１つの固定照射ポートから出射された重粒子ビームを、ターゲットに複数方向から照射するシステムも知られている。また、１つの固定照射ポートを回転ガントリーに設け、回転角度を変化させることで重粒子ビームを、複数方向からターゲットに照射するシステムも知られている。さらに、ターゲット自体を回転させることなく、回転ガントリーを使用することもなく、重粒子ビームを制御電磁石で偏向し、任意の角度から重粒子ビームをターゲットに照射するシステムも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２００２－１１３１１８号公報
特開昭６０－２０４３９号公報
特許第２８３６４４６号公報
特許第６３６４１４１号公報
特許第６７７５８６０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
上述したような制御電磁石を使用した照射装置の場合、重粒子ビームを所定の照射角でアイソセンタに連続照射できることが必要である。このため、偏向させる重粒子ビームの軌道領域に形成する磁場を均一化する必要がある。また、ターゲットへの照射角の有効範囲を広くするためには、重粒子ビームに均一磁場を付与する軌道領域を広く設定する必要がある。しかし、広い軌道領域に均一磁場を形成しようとすると、制御電磁石の蓄積エネルギーが大きくなり、端子間電圧が大きくなる等、取り扱い上の困難性が増すことになる。
【０００７】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、均一磁場の形成領域の面積を小さくすることを志向しつつ、ターゲットへの照射角度を広範囲に調整できる重粒子ビームの照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
実施形態に係る重粒子ビームの照射装置において、アイソセンタを含む基準線に対し正方向の照射角を持つ重粒子ビームを任意の第１偏向角で出射する第１出射ポートと、前記第１出射ポート及び前記アイソセンタを結ぶ直線を挟んで互いに逆方向の磁場を発生させるとともに任意の前記第１偏向角で出射された前記重粒子ビームに円弧軌跡を付与し前記アイソセンタへ収束させる第１磁場領域と、前記基準線に対し負方向の照射角を持つ前記重粒子ビームを任意の第２偏向角で出射する第２出射ポートと、前記第２出射ポート及び前記アイソセンタを結ぶ直線を挟んで互いに逆方向の磁場を発生させるとともに、任意の前記第２偏向角で出射された前記重粒子ビームに円弧軌跡を付与し前記アイソセンタへ収束させる第２磁場領域と、を備える。
【発明の効果】
【０００９】
本発明の実施形態により、均一磁場の形成領域の面積を小さくすることを志向しつつ、ターゲットへの照射角度を広範囲に調整できる重粒子ビームの照射装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
本発明の第１実施形態に係る重粒子ビームの照射装置の概略図。
第１磁場領域及び第２磁場領域の断面図。
第２実施形態に係る重粒子ビームの照射装置の概略図。
第１磁場領域及び第２磁場領域を構成する電磁石に供給する電流の制御部のブロック図。
本発明の実施形態に係る治療システムの概略図。
治療システムに組み込まれた重粒子ビームの照射装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

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