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公開番号
2025118887
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-13
出願番号
2025081986,2023519018
出願日
2025-05-15,2020-09-24
発明の名称
低濃度の逆アルドール触媒を使用するアルドヘキソースを生じる炭水化物のエチレングリコールへの選択的な変換のための連続プロセス
出願人
ティー.イーエヌ プロセス テクノロジー, インク.
代理人
弁理士法人山崎国際特許事務所
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個人
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主分類
C07C
29/151 20060101AFI20250805BHJP(有機化学)
要約
【課題】アルドースを生じる炭水化物を含有するフィードからエチレングリコールを生産するための連続的な触媒的方法を提供する。
【解決手段】(a)不均一系ニッケル含有水素化触媒を中に含む液状媒体を含有する反応ゾーンに、アルドースを生じる炭水化物を含有するフィードを連続的または間欠的に供給するステップ;
(b)前記反応ゾーンに、均一系タングステン含有逆アルドール触媒を連続的または間欠的に供給するステップであって、反応器中の前記液状媒体中のタングステン原子として計算された可溶化したタングステン化合物の濃度は、200~1500ミリグラム/リットルである、ステップ;および
(c)前記反応ゾーンから、エチレングリコールを含有する粗生成物ストリームを連続的または間欠的に引き出すステップ
を含む、方法とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
アルドースを生じる炭水化物を含有するフィードからエチレングリコールを生産するための連続的な触媒プロセスであって、
(a)不均一系ニッケル含有水素化触媒を中に含む液状媒体を含有する反応ゾーンに、前記フィードを連続的または間欠的に供給するステップであって、前記フィードは、液状媒体1リットル当たり少なくとも約50グラム/時間の炭水化物の速度で供給され、前記液状媒体は、溶存水素の存在、少なくとも約235℃の温度、3より高いpH、および前記アルドースを生じる炭水化物の少なくとも99質量パーセントを反応させるのに十分な滞留時間を含む触媒変換条件下にあり:
(i)前記不均一系水素化触媒は、約100ミクロン未満の最大粒子寸法を有し、
(ii)前記水素化触媒は、約100グラム/リットル未満の量で前記液状媒体中に分散され、それによって前記液状媒体中で、触媒的に活性な水素化部位間に空間的な関係を提供する、ステップ;
(b)前記反応ゾーンに、均一系タングステン含有逆アルドール触媒を連続的または間欠的に供給するステップであって、反応器中の前記液状媒体中のタングステン原子として計算された可溶化したタングステン化合物の濃度は、約200~1500ミリグラム/リットルであり、水素化触媒と逆アルドール触媒との相対量は、触媒変換条件下で、100時間の持続時間にわたり、前記アルドースを含有する炭水化物のエチレングリコールへの少なくとも75パーセントの累積変換効率を提供するのに十分な量である、ステップ;および
(c)前記反応ゾーンから、エチレングリコールを含有する粗生成物ストリームを連続的または間欠的に引き出すステップを含む、上記プロセス。
続きを表示(約 620 文字)
【請求項2】
前記アルドースを生じる炭水化物が、グルコースを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記液状媒体が、水を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記液状媒体が、水、および水における水素の溶解性よりも大きい水素の溶解性を有する共溶媒を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記水素化触媒が、10質量パーセント未満のニッケル(元素のニッケルとして計算した)を有する、不活性支持体上に担持されたニッケル含有触媒である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記支持体が、10平方メートル/グラム未満の表面積を有する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記支持体が、アルファ-アルミナである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記水素化触媒が、水素化活性を小さくするように前処理されている、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記前処理が、前記水素化触媒上にタングステン含有化合物を堆積させることを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記液状媒体中の前記可溶化したタングステン化合物が、元素のタングステンとして計算して、約300~1200ミリグラム/リットルの濃度である、請求項1に記載のプロセス。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
[001]この発明は、逆アルドール反応(retro-aldol reaction)および中間体の水素化を使用して、アルドースを生じる炭水化物を、エチレングリコールに選択的に変換するための連続プロセスに関し、より特定には、低濃度の均一系タングステン含有逆アルドール触媒が使用されるこのようなプロセスに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)
【背景技術】
【0002】
[002]エチレングリコールは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの他の材料のためのビルディングブロックとして、さらに、その固有の特性、例えば不凍性のために、広範囲な用途を有する有用な大量生産される化学物質である。エチレングリコールの需要はかなりのものであり、そのためエチレングリコールは世界で生産される最大量の有機化学物質の1つとなっている。これは現在、炭化水素供給材料由来のエチレンから開始する多段階プロセスによって作製されている。
【0003】
[003]炭水化物などの再生可能資源からエチレングリコールを製造する提案がなされてきた。これらの代替プロセスには、糖の水素化分解や、水素化触媒上で水素化してエチレングリコールおよびプロピレングリコールを生産できる糖から逆アルドール触媒を使用して中間体を生成する2触媒プロセスなどの触媒経路が含まれる。前者のプロセスは、本明細書では水素化分解プロセスまたは水素化分解経路と称され、後者のプロセスは、水素化または逆アルドールプロセスあるいは水素化または逆アルドール経路と称される。言及し易さのために、本明細書では、後者は、逆アルドールプロセスまたは逆アルドール経路と称する。用語「触媒プロセス」または「触媒経路」は、水素化分解経路および逆アルドール経路の両方を包含することが意図される。用語「Hcat」は、本明細書で使用される場合、水素化分解触媒および水素化触媒の両方を包含することが意図される。
【0004】
[004]触媒経路において、アルドースまたはケトースを生じる炭水化物(これは、1種の炭水化物でもよいし、または炭水化物の混合物でもよい)は、水性媒体中の触媒を含有する反応ゾーンに送られる。上昇した温度および水素の存在下で、炭水化物は、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに変換される。水素化分解プロセスは、水素化分解触媒を使用し、典型的には約225℃未満の温度である。多くの例において、炭水化物の高い変換は、約220℃未満の温度で起こり得る。水素化分解経路は、副産物生産を少なくするために、反応ゾーンにフィードされた低濃度の炭水化物を使用することが多い。逆アルドール経路は、炭水化物が逆アルドール触媒上で中間体に変換され、次いで中間体が水素化触媒上でエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに触媒変換されるという点で根本的に異なる。求められる最初に生じる逆アルドール反応は吸熱性であり、ソルビトールのようなポリオールへの炭水化物の水素化よりも優先的に炭水化物の中間体への変換が起こるように十分な反応速度を提供するためには、高温を必要とし、例えば230℃を超える温度を必要とする場合が多い。
【0005】
[005]商業的に競争力のあるプロセスを達成するためのハードルは、相当なものである。炭水化物のエチレングリコールや販売可能な副産物への高変換だけでは、競争力を達成するのに不十分である。プロセスは、安定な操作での長い実行時間で連続的である必要がある。逆アルドール経路は高圧での水素化を含むことから、反応器や関連器具ための資本コストを最小化するためには、ハイスループットが望ましい。逆アルドール経路ための追加の操作費用は、均一系逆アルドール触媒(homogenous, retro-aldol catalyst)とHcatの両方のための触媒の使用である。
【0006】
[006]エチレングリコールへの逆アルドール経路は、複雑さを伴う。炭水化物は、逆アルドール変換を受けて、グリコールアルデヒドを生成しなければならず、次いでグリコールアルデヒドは、エチレングリコールに水素化される。触媒性逆アルドール反応に必要な温度は、炭水化物の他の反応を引き起こすのにも十分である。例えば、フルクトースへのグルコース異性化が起こり、フルクトースは、逆アルドールプロセスで優勢にプロピレングリコールを形成する。グリコールアルデヒドは高度に反応性であり、例えば1,2-ブタンジオールに非触媒的に反応し得る。これらの理由のために、逆アルドール反応および水素化反応は、可能な限り近い時間および近接して、時には同じ反応器で実行される。加えて、水素化条件は、所望のエチレングリコール生成物の水素化を含むさらなる追加の反応を起こし得る。逆アルドール経路中に起こり得る反応の一部の速度論は、Zhouらによって、Ethylene Glycol Production from Glucose over W-Ru Catalysts: Maximizing Yiel d by Kinetic Modeling and Simulation、AIChE Journal、第63巻、第6号、2017年6月で報告されている。彼らの主眼は、温度の変化、グルコースフィード濃度およびフィード速度に向けられた。彼らは、エチレングリコールの収量を改善するにはより低いグルコース濃度が好ましく、それゆえに、10%グルコースフィード濃度を使用したシミュレーションおよび実験的検証を行うことを選択したと述べている。彼らは、彼らのシミュレーションから、グルコースの低いフィード速度が、高いエチレングリコール収量を得るのに有利であると結論付けている。彼らのシミュレーションによれば、反応温度を453°Kから473°K以上に増加させると、反応選択性がヘキシトールからエチレングリコールに逆転することが示される。著者によるさらなる結論は、反応が、グルコースの極めて低いフィード速度で、高温で実行される場合、ガス生産が顕著になることを含む。
【0007】
[007]エチレングリコールの所定の生産速度のためには、より高いフィード速度およびフィード中のより高いグルコース濃度での場合に比べて、低いグルコース濃度および低いフィード速度の場合には、大きい反応器体積の使用が求められるであろう。Linらは、米国特許出願公開第2017/0210687A1で、特定の主触媒および可溶性タングステン酸塩またはタングステン化合物を使用して糖からジオールを製造するためのプロセスを開示する。主触媒は、ニッケルと様々な他の成分との酸耐性合金であると言われている。Linらは、最大60重量%のグルコース濃度を含む様々な実施態様を提供する。実施態様2は、例えば、6リットルの液状媒体を含有する10リットルの反応器への、2L/時間のフィード速度での、50重量%のグルコースを含有するフィードを使用する。主触媒は1000グラムの量で存在し、可溶性タングステン酸塩触媒(タングステン酸ナトリウム)はフィードの2重量%の量で提供される。Linらは、71%のエチレングリコール収量、ならびに3重量%のブチレングリコールを有する7重量%のプロピレングリコールを達成したことを報告している。彼らは、ソルビトールおよびグリセリンなどの糖アルコール類(itol)の収量を具体的に報告していなかった。Linらによって使用された大量の主触媒およびタングステン酸ナトリウムは、より低い濃度のグルコースが使用される場合、より少ない量の触媒が使用される他の実施態様のように、フィード中のグルコース濃度に関連しているようである。実施態様4において、40重量%のグルコースフィードが、100グラムの三酸化タングステンおよび500グラムの主触媒と共に使用される。エチレングリコール収量は67%であり、プロピレングリコール収量は2%であった。実施態様10において、フィード中のグルコース濃度は40重量%であり、主触媒を1500グラムの量で使用し、タングステン酸ナトリウムを0.5重量%で使用した。エチレングリコール収量は80%であり、プロピレングリコールは5%収量であった。Linらによる研究が、フィード中でより高い濃度のグルコースを使用してより高いエチレングリコール収量を得ることが可能であり得ることを証明する一方で、工業的な規模のプラントの実用的な操作と経済性に影響を与える大量の触媒を使用するという犠牲が伴う。
【0008】
[008]Schreckらは、米国特許第10,544,072B2において、アルドヘキソースを生じる炭水化物のエチレングリコールへの高度に選択的な変換ための連続プロセスを開示する。逆アルドール触媒の水素化触媒に対する所定の比率と温度を使用して、エチレングリコールへの高い変換効率が、ソルビトールの共生産の最小化と、少なくとも約15:1のエチレングリコールのプロピレングリコールに対する質量比率、および約0.5:1未満のグリセリンのプロピレングリコールに対する質量比率の少なくとも1つとで得られる。実施例において、フィードは、約32質量パーセントまたは50質量パーセントのグルコース溶液である。ほとんどの実施例で使用された水素化触媒は、シリカアルミナ押出し支持体に担持されたニッケル、レニウム、およびホウ素の組合せである。このタイプの水素化触媒は、6.8質量パーセントのニッケルを含有する。特許出願に続く研究は、シリカアルミナ支持体が、実施例で採用される条件下で崩壊する可能性があることを示す。2つの実施例では炭素担持ルテニウム触媒が使用されている。逆アルドール触媒は、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウムまたはメタタングステン酸ナトリウムとタングステン酸ナトリウムとの組合せのいずれかである。ニッケル触媒を使用した全ての実施例において、触媒は、100ミリリットル当たり6グラム(30グラム/リットル)の量で提供され、逆アルドール触媒は、0.1~1.5質量パーセントで提供される。実施例では、約1~2.5ミリリットル/分のフィード速度が開示されている。86質量パーセントもの高いエチレングリコールへの選択性が報告されている。エチレングリコールへの最大の選択性は、1質量パーセントまたはそれより多くの逆アルドール触媒を含有する実施例で提供される。一般的に、1ミリリットル/分のフィード速度は、エチレングリコールへのより高い選択性を提供する。
【0009】
[009]Schreckらは、32~50パーセントのグルコースフィード濃度でエチレングリコールへの高い選択性を達成する能力を実証し、使用される触媒の量は、操作上の観点で採算があう。しかしながら、商業的なプラントの経済性は、使用される触媒の量を低減することによって改善されるであろう。
【0010】
[010]De Vliegerらは、国際公開第2020/055831号において、糖からのグリコール生産のための始動プロセスを開示する。彼らは、タングステン含有逆アルドール触媒および水素化触媒を使用してプロセス始動中にタングステン沈殿を抑制するための1つまたはそれより多くの薬剤の使用を開示する。特許出願人は、以下のように述べている: 「糖からグリコールへのプロセスで典型的に使用される均一系タングステンベースの触媒は、例えば金属(タングステン)の還元および沈殿によって、望ましくない生成物への変換を起こしやすい可能性がある。反応器システム中の沈殿した固体は、ラインのブロックや目詰まりに加えてタングステン金属と存在する他の化学種との望ましくない化学的および/または物理的な反応(例えば、触媒被毒)を引き起こす可能性がある。」(段落[10])。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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