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公開番号2025118914
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2025082703,2021567561
出願日2025-05-16,2020-12-23
発明の名称1,3-ブチレングリコールの製造方法
出願人株式会社ダイセル
代理人弁理士法人G-chemical
主分類C07C 29/80 20060101AFI20250805BHJP(有機化学)
要約【課題】過マンガン酸カリウム試験値が高く、しかも低沸点成分の含有量が非常に少なく、初留点が高い高純度の1,3-ブチレングリコールを高い回収率で製造できる方法を提供する。
【解決手段】1,3-ブチレングリコールを含む反応粗液から精製1,3-ブチレングリコールを得る1,3-ブチレングリコールの製造方法であって、脱水工程で用いる脱水塔において、1,3-ブチレングリコール及び水を含み、アセトアルデヒド含有量が1000ppm以下、クロトンアルデヒド含有量が400ppm以下の仕込液を蒸留し、仕込み段より上から水を含む低沸点成分が濃縮された液を留出させ、製品蒸留工程で用いる製品塔において、アセトアルデヒドの含有量が500ppm以下、クロトンアルデヒドの含有量が200ppm以下の1,3-ブチレングリコール仕込液を、還流比が0.1超の条件で蒸留する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
1,3-ブチレングリコールを含む反応粗液から精製1,3-ブチレングリコールを得る1,3-ブチレングリコールの製造方法であって、
蒸留により水を除去する脱水工程、蒸留により高沸点成分を除去する脱高沸工程、及び精製1,3-ブチレングリコールを得るための製品蒸留工程を有しており、
前記脱水工程で用いる脱水塔において、1,3-ブチレングリコール及び水を含み、アセトアルデヒド含有量が1000ppm以下、クロトンアルデヒド含有量が400ppm以下の仕込液を蒸留し、仕込み段より上から水を含む低沸点成分が濃縮された液を留出させ、
前記製品蒸留工程で用いる製品塔において、アセトアルデヒドの含有量が500ppm以下、クロトンアルデヒドの含有量が200ppm以下の1,3-ブチレングリコール仕込液を、還流比が0.1超の条件で蒸留し、仕込み段より上から低沸点成分が濃縮された液を留出させ、仕込み段より下から1,3-ブチレングリコールを抜き取る1,3-ブチレングリコールの製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記脱高沸工程で用いる脱高沸塔において、1,3-ブチレングリコールを含む仕込液を、還流比0.02以上の条件で蒸留し、仕込み段より上から、より純度の向上した1,3-ブチレングリコールを留出させ、仕込み段より下から高沸点成分が濃縮された液を抜き取る請求項1記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項3】
前記製品塔への仕込液中の1,3-ブチレングリコールの濃度が90GC面積%以上、該仕込液中の水の含有量が3重量%以下である請求項1又は2に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項4】
1,3-ブチレングリコールを含む反応粗液から精製1,3-ブチレングリコールを得る1,3-ブチレングリコールの製造方法であって、
蒸留により水を除去する脱水工程及び蒸留により高沸点成分を除去する脱高沸工程を有しており、
前記脱水工程で用いる脱水塔において、1,3-ブチレングリコール及び水を含み、アセトアルデヒド含有量が1000ppm以下、クロトンアルデヒド含有量が400ppm以下の仕込液を蒸留し、仕込み段より上から水を含む低沸点成分が濃縮された液を留出させ、
前記脱高沸工程で用いる脱高沸塔において、1,3-ブチレングリコールを含む仕込液を、還流比が0.02超の条件で蒸留し、仕込み段より上から、より純度の向上した1,3-ブチレングリコールを留出させ、仕込み段より下から高沸点成分が濃縮された液を抜き取る1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項5】
前記脱水塔における還流比が0.03以上である請求項1~4のいずれか1項に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項6】
前記1,3-ブチレングリコールを含む反応粗液が、アセトアルドール類の水素還元により得られる反応粗液である請求項1~5のいずれか1項に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項7】
1,3-ブチレングリコールを含むプロセス流を塩基で処理するアルカリ処理工程をさらに含む請求項1~6のいずれか1項に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項8】
1,3-ブチレングリコールを含むプロセス流中の塩を除去する脱塩工程をさらに含む請求項1~7のいずれか1項に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。
【請求項9】
1,3-ブチレングリコールを含むプロセス流中のアルコールを含む低沸物を除去する脱アルコール工程をさらに含む請求項1~8のいずれか1項に記載の1,3-ブチレングリコールの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は1,3-ブチレングリコールの製造方法に関する。本願は、2019年12月28日に日本に出願した特願2019-239974、特願2019-239975、特願2019-239976、特願2019-239977、特願2019-239978及び特願2019-239979、2020年1月20日に日本に出願した特願2020-006660、並びに2020年2月6日に日本に出願した特願2020-018910の優先権を主張し、その内容をここに援用する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
1,3-ブチレングリコールは無色透明、無臭の液体であり、低揮発性、低毒性、高吸湿性等の性質を備え、化学的安定性に優れる。このため、1,3-ブチレングリコールの用途は各種の合成樹脂、界面活性剤の原料をはじめ、化粧品、吸湿剤、高沸点溶剤、不凍液の素材等の多岐にわたっている。特に近年では、1,3-ブチレングリコールは保湿剤として優れた性質を有することが注目されており、化粧品業界での需要が拡大している。
【0003】
1,3-ブチレングリコール製造時の反応粗液には、エタノール、ブタノール、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、エステル類など、数多くの低沸点不純物が含まれている。そのうちアセトアルデヒド、クロトンアルデヒドなどは2量化や、それ以上に重合すると高沸点不純物が生成する。また、1,3-ブチレングリコールの精製工程においても、熱等により低沸点不純物や高沸点不純物が生成する。1,3-ブチレングリコールの製品中にはこのような不純物が少ないほど望ましい。特開平6-329664号公報には、低沸点不純物であるクロトンアルデヒドに由来する不純物を制御する方法が開示されている。特開2001-213828号公報には、アセトアルドール類の水素添加により合成した1,3-ブチレングリコールの反応粗液を塩基性にしてアルコールを留去した後、蒸留すると、純度の高い1,3-ブチレングリコールの製品を収率よく、経済的に有利に製造できることが開示されている。また、この文献には、低沸点不純物であるエタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールを蒸留で留去することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平6-329664号公報
特開2001-213828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の方法では、1,3-ブチレングリコールからの低沸点成分、高沸点成分除去は十分でなかった。1,3-ブチレングリコールの重要な用途である化粧品は水を含むことが一般的であり、製造から一般消費者が実際に使用するまでに長い期間を要する。また、化粧品は保存安定性等の観点から液性が厳密に調整されている。
低沸点成分や高沸点成分が含まれる1,3-ブチレングリコールを化粧品に使用する場合、酸濃度の上昇により化粧品の液性バランスが崩れ、本来発揮されるべき効果が失われる可能性がある。また、化粧品の酸濃度の上昇により、使用者の肌荒れ等が発生する可能性もある。
さらに、化粧品を使用する際や使用後の保管時は、その化粧品は空気にさらされることになる。また、化粧品を製造する際は、空気雰囲気下で作業が行われることが一般的であり、さらに滅菌等の目的で加熱することもある。低沸点成分や高沸点成分が含まれる1,3-ブチレングリコールを化粧品に使用する場合、空気の存在や加熱の影響により着色が進行することがあった。
このような問題を解決するため、粗1,3-ブチレングリコールから副産物を除去し、1,3-ブチレングリコールを高純度化することが求められていた。
【0006】
一方、1,3-ブチレングリコールの品質規格の1つに初留点がある。初留点が高いほど品質が優れているといえる。しかしながら、従来、初留点の向上を目的とする技術検討はほとんどなされていない。また、1,3-ブチレングリコールの品質規格の1つに乾点がある。乾点が低いほど品質が優れているといえる。反応工程や精製工程で生成した高沸点不純物が製品中に混入すると、製品の純度を低下させるだけでなく、乾点上昇の原因となり、製品品質規格を外れるという問題が生じる。しかしながら、従来、高沸点不純物の分離除去法についてはほとんど検討されていない。さらに、1,3-ブチレングリコールの製品規格の一つとして過マンガン酸カリウム試験値(略称:PMT)があるが、従来の方法では、得られる1,3-ブチレングリコール製品の過マンガン酸カリウム試験値は、必ずしも十分満足できるものではなかった。また、従来、1,3-ブチレングリコール製品の過マンガン酸カリウム試験値を低下させる原因物質は特定されていなかった。すなわち、従来、初留点及び乾点の2つの特性、初留点及び過マンガン酸カリウム試験値の2つの特性、さらには初留点、乾点及び過マンガン酸カリウム試験値の3つの特性がともに優れる1,3-ブチレングリコール製品を工業的に効率よく製造する方法はなかった。
【0007】
したがって、本開示の目的は、低沸点成分及び高沸点成分の含有量が非常に少なく、初留点が高く乾点が低い高純度の1,3-ブチレングリコールを工業的に効率よく製造できる方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、低沸点成分の含有量が非常に少なく、初留点が高く、しかも過マンガン酸カリウム試験値が高い高純度の1,3-ブチレングリコールを工業的に効率よく製造できる方法を提供することにある。
本開示の他の目的は、過マンガン酸カリウム試験値が高く、しかも低沸点成分及び高沸点成分の含有量が非常に少なく、初留点が高く乾点が低い高純度の1,3-ブチレングリコールを工業的に効率よく製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、脱水塔への仕込液中のアセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドの含有量を規定するとともに、製品塔において、アセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドの含有量が特定値以下の仕込液を、特定の還流比で蒸留すると、仕込み段より下から、低沸点成分及び高沸点成分の含有量が非常に少ない高純度の1,3-ブチレングリコールが得られることを見出した。また、脱水塔への仕込液中のアセトアルデヒド及びクロトンアルデヒドの含有量を規定するとともに、脱高沸塔において、1,3-ブチレングリコールを含む仕込液を特定の還流比で蒸留すると、仕込み段より上から、低沸点成分及び高沸点成分の含有量が非常に少ない高純度の1,3-ブチレングリコールが得られることを見出した。本開示はこれらの知見に基づき、さらに検討を加えて完成させたものである。
【0009】
すなわち、本開示は、1,3-ブチレングリコールを含む反応粗液から精製1,3-ブチレングリコールを得る1,3-ブチレングリコールの製造方法であって、
蒸留により水を除去する脱水工程、蒸留により高沸点成分を除去する脱高沸工程、及び精製1,3-ブチレングリコールを得るための製品蒸留工程を有しており、
前記脱水工程で用いる脱水塔において、1,3-ブチレングリコール及び水を含み、アセトアルデヒド含有量が1000ppm以下、クロトンアルデヒド含有量が400ppm以下の仕込液を蒸留し、仕込み段より上から水を含む低沸点成分が濃縮された液を留出させ、
前記製品蒸留工程で用いる製品塔において、アセトアルデヒドの含有量が500ppm以下、クロトンアルデヒドの含有量が200ppm以下の1,3-ブチレングリコール仕込液を、還流比が0.1超の条件で蒸留し、仕込み段より上から低沸点成分が濃縮された液を留出させ、仕込み段より下から1,3-ブチレングリコールを抜き取る1,3-ブチレングリコールの製造方法(以下、「本開示の製造方法1」と称する場合がある)を提供する。
【0010】
前記製造方法では、前記脱高沸工程で用いる脱高沸塔において、1,3-ブチレングリコールを含む仕込液を、還流比0.02以上の条件で蒸留し、仕込み段より上から、より純度の向上した1,3-ブチレングリコールを留出させ、仕込み段より下から高沸点成分が濃縮された液を抜き取ることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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