TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025127527
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-02
出願番号2024024264
出願日2024-02-21
発明の名称水酸化リチウムの製造方法
出願人DOWAテクノロジー株式会社
代理人個人,個人
主分類C01D 15/02 20060101AFI20250826BHJP(無機化学)
要約【課題】リチウムイオン及び塩化物イオンを含むリチウム含有水から、高い収率で、安価に、ナトリウムなどの不純物量の少ない水酸化リチウムを製造することができる方法を提供すること。
【解決手段】リチウムイオン及び塩化物イオンをリチウム含有水から水酸化リチウム(LiOH)を晶析させる晶析工程と、LiOHを含む濃縮液を固液分離処理して、固形物としてのLiOH及びろ液を得る固液分離工程と、前記ろ液から炭酸化により炭酸リチウムを生成させる炭酸化工程と、前記炭酸化工程で得られた混合液からアンモニアの少なくとも一部を蒸発させ、得られた処理液を固液分離処理して、固形物として炭酸リチウムを得る炭酸リチウム回収工程と、前記で得られた炭酸リチウムをLiOHに変換し、続いて固液分離処理を行って液体成分としてのLiOH水溶液(1)を得る水酸化リチウム生成工程と、前記水溶液(1)からLiOHを晶析させる再晶析工程とを備える、水酸化リチウムの製造方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
リチウムイオンを2500ppm以上含み、塩化物イオンを1500ppm以上含むリチウム含有水から水を蒸発させることによって水酸化リチウムを晶析させ、水酸化リチウムの結晶が生じた濃縮液を得る晶析工程と、
前記濃縮液を固液分離処理して、固形物としての水酸化リチウム及び液体成分としてのろ液を得る固液分離工程と、
前記固液分離工程で得られたろ液を炭酸アンモニウム及び/又は重炭酸アンモニウムと混合して炭酸リチウムを含む混合液を得る炭酸化工程と、
前記炭酸化工程で得られた混合液に対して、アンモニアの少なくとも一部を蒸発させる処理を施して処理液を得て、当該処理液を固液分離処理して、固形物として炭酸リチウムを得る炭酸リチウム回収工程と、
前記炭酸リチウム回収工程で得られた炭酸リチウムを水及び水酸化カルシウムと混合して、水酸化リチウム及び炭酸カルシウムを生成させ、続いて固液分離処理を行って液体成分としての水酸化リチウム水溶液(1)を得る水酸化リチウム生成工程と、
前記水酸化リチウム水溶液(1)から水を蒸発させることによって水酸化リチウムを晶析させる再晶析工程と
を備える、水酸化リチウムの製造方法。
続きを表示(約 2,400 文字)【請求項2】
リチウムイオンを2500ppm以上含み、塩化物イオンを1500ppm以上含むリチウム含有水から水を蒸発させることによって水酸化リチウムを晶析させ、水酸化リチウムの結晶が生じた濃縮液を得る晶析工程と、
前記濃縮液を固液分離処理して、固形物としての水酸化リチウム及び液体成分としてのろ液を得る固液分離工程と、
前記固液分離工程で得られたろ液を炭酸ガスと接触させて炭酸リチウムを生成させる炭酸化工程と、
前記炭酸化工程で得られた、炭酸リチウムを含む液を固液分離処理して、固形物として炭酸リチウムを得る炭酸リチウム回収工程と、
前記炭酸リチウム回収工程で得られた炭酸リチウムを水及び水酸化カルシウムと混合して、水酸化リチウム及び炭酸カルシウムを生成させ、続いて固液分離処理を行って液体成分としての水酸化リチウム水溶液(1)を得る水酸化リチウム生成工程と、
前記水酸化リチウム水溶液(1)から水を蒸発させることによって水酸化リチウムを晶析させる再晶析工程と
を備える、水酸化リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記リチウム含有水におけるリチウムイオンの含有量が18000ppm以下であり、塩化物イオンの含有量が25000ppm以下である、請求項1又は2に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記リチウム含有水が、リチウムイオンを3000ppm以上含み、塩化物イオンを3500ppm以上含み、ナトリウムイオンを20ppm以上含み、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、鉄イオン、銅イオン及び亜鉛イオンの含有量がそれぞれ10ppm以下であり、カルシウムイオンの含有量が150ppm以下であり、アンモニウムイオンを3000ppm以上含む金属等含有水におけるアンモニウムイオンの少なくとも一部を除去して得られたアンモニウムイオン除去液である、請求項1又は2に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項5】
前記金属等含有水が、
リチウムイオンと、ナトリウムイオンと、リチウムイオン及びナトリウムイオン以外の金属イオンと、フッ化物イオンと、塩化物イオンとを含む酸性の被処理水に、カルシウム化合物を添加し及び被処理水のpHを7.1~9.0にすることで固形物を形成した後、該固形物を含有する被処理水を固液分離処理して処理液Aを得る工程Aと、
前記処理液Aにアルカリ物質を添加して処理液AのpHを9.8~13.0にすることで固形物を形成した後、該固形物を含有する処理液Aを固液分離処理して処理液Bを得る工程Bと、
前記処理液Bに、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びシュウ酸アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を添加して固形物を形成した後、該固形物を含有する処理液Bを固液分離処理して処理液Cを得る工程Cと、
前記処理液Cをバイポーラ電気透析に供する工程Dとを実施して得られたアルカリ液であり、
前記バイポーラ電気透析においては、前記処理液Cを、アニオン交換層とカチオン交換層とを備えるバイポーラ膜、及びカチオン交換膜を備えた電気透析装置により電気透析することで、前記カチオン交換膜を透過したリチウムイオン、ナトリウムイオン及びアンモニウムイオンを含むアルカリ液を得る、
請求項4に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項6】
前記処理液Cをナノフィルターろ過し、得られたろ液に逆浸透膜処理を実施して濃縮液を得る工程C’を更に実施し、得られた濃縮液を前記工程Dに供する、請求項5に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項7】
前記被処理水が、リチウムイオン電池を含む廃棄物を焙焼工程、破砕工程及び磁選工程を含む粒状化処理に供して得られた粒状物を、塩酸で浸出して得られた浸出液である、請求項6に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項8】
前記固液分離工程で得られた水酸化リチウムが炭酸リチウムを含んでおり、
前記炭酸リチウムを含む水酸化リチウムを水と混合し、得られた混合液を固液分離処理して、ろ液としての水酸化リチウム水溶液(2)と固形分としての炭酸リチウムを得て、この炭酸リチウムを水及び水酸化カルシウムと混合して水酸化リチウム及び炭酸カルシウムを生成させ、続いて固液分離処理を行って液体成分としての水酸化リチウム水溶液(3)を得る炭酸分変換工程と、
前記炭酸分変換工程で得られた水酸化リチウム水溶液(2)及び水酸化リチウム水溶液(3)から水を蒸発させることによって水酸化リチウムを晶析させる第二の再晶析工程を実施する、請求項1又は2に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項9】
前記炭酸分変換工程において、炭酸リチウムを含む水酸化リチウム及び水に加えて前記水酸化リチウム生成工程で得られた水酸化リチウム水溶液(1)を混合し、
前記第二の再晶析工程が前記再晶析工程を兼ねる、
請求項8に記載の水酸化リチウムの製造方法。
【請求項10】
前記第二の再晶析工程で得られた、水酸化リチウムの結晶が生じた濃縮液を固液分離処理して、固形物としての精製水酸化リチウム及び液体成分としての精製水酸化リチウムろ液を得て、
以下の少なくとも一方を実施する、請求項8に記載の水酸化リチウムの製造方法:
・前記精製水酸化リチウムろ液を前記晶析工程に循環させる。
・前記精製水酸化リチウムろ液を前記工程Dに循環させる。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸化リチウムの製造方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年は、製品寿命や製造不良等の理由により廃棄されたリチウムイオン電池や基板などの廃棄物から、各種の有価金属を回収することが広く検討されている。
【0003】
前記リチウムイオン電池においては、代表的に使用される材料として、正極についてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム及びマンガン酸リチウムが挙げられ、電極の集電体としてアルミ箔や銅箔が挙げられ、電解液についてヘキサフルオロリン酸リチウムが挙げられ、電池の外装缶についてアルミニウムや鉄が挙げられる。また基板の配線の材料は代表的には銅である。従ってリチウムイオン電池や基板などの廃棄物から回収できる有価金属の例としては、コバルト、ニッケル、マンガン、銅、リチウム、アルミニウム、鉄などが挙げられる。これらの金属を高い収率で低コストで回収すべく、様々な検討がなされている。
【0004】
回収する有価金属は高純度な物質として得られれば価値が高い。高純度な物質を得るためには様々な手法を組み合わせて分離を行うことになる。回収の方式について、一般論として、廃棄物を炉に投入して高温下で全て熔解し、有価物のメタルとスラグとに分離する乾式処理と、酸や中和や溶媒抽出などの方法を用いる湿式処理が挙げられる。湿式処理は、消費するエネルギーが少なく、使用する薬剤や条件の適切な設定により、有価金属を個々に分離することができるというメリットがある。
【0005】
廃棄物の湿式処理を検討したものとして、例えば特許文献1には、コバルト、ニッケル及びマンガンに着目し、特定の前段中和工程と後段中和工程を行って、これらの金属を含む中和残渣を得ることが記載されている。
特許文献2には、陽イオン交換膜、バイポーラ膜、陰イオン交換膜を備えたバイポーラ電気透析装置により硫酸ナトリウム及びリチウムを含む水溶液を処理して、リチウム含有水酸化ナトリウム水溶液を得ること、当該水溶液がpH調整剤として利用できることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、リン酸鉄リチウムバッテリー材料内から遊離した材料を含む黒色塊供給材料を酸浸出し更に処理していく方法として、酸浸出液中の鉄及びリンを沈殿として除去するために、水酸化カルシウムによりpHを8~11に調整すること、及びリチウムを炭酸ナトリウムと反応させて炭酸リチウムとすることが記載されている。
【0007】
なお特許文献4には、リチウム含有塩水を原料として水酸化リチウム一水和物を製造する工程において、塩水中のカルシウムを低減するためにシュウ酸処理することが記載されている。特許文献5には、従来の水酸化リチウムの製造法は、潅水に含まれる塩化リチウムから炭酸リチウムにして取り出し、水酸化カルシウムを添加して水酸化リチウムにし、更に不純物を低減するのが一般的であったところ、不純物の低減に限界があったことから検討を重ね、リチウム含有鉱石から塩酸による抽出により得た塩化リチウム水溶液に対してバイポーラ電気透析をかけて、(アルカリ液として)水酸化リチウム水溶液を得て、当該水溶液をキレート剤で処理して精製する方法に想到したことが記載されている。特許文献6は、水酸化リチウムを製造する方法における1ステップとして、塩化リチウムを水酸化ナトリウムで苛性化するステップを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2023-63319号公報
特開2012-171827号公報
特表2023-516663号公報
特表2011-518257号公報
特開2009-269810号公報
特表2018-500261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リチウムイオン電池などの廃棄物を酸浸出して得られた浸出液は、リチウムイオン、フッ化物イオン、浸出に用いられた酸由来の(共役塩基である)陰イオンなどを含んでいる。またナトリウムイオンも微量含んでいる。
【0010】
リチウムは、水酸化リチウムや炭酸リチウムなどのリチウム化合物の形態でリチウムイオン電池の製造に用いられる。前記の浸出液のような被処理水からリチウムを回収してリチウムイオン電池の材料として再利用することを考えた時、バッテリーグレードのリチウム化合物には高い純度が求められており、リチウム以外の成分を十分に除去してリチウムを回収することが求められる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

株式会社北川鉄工所
炭酸化装置
7日前
東西電工株式会社
オゾン発生装置
19日前
東ソー株式会社
鉄含有小細孔ゼオライト
1か月前
三菱重工業株式会社
水素製造装置
6日前
エア・ウォーター株式会社
システム
1か月前
東芝ライテック株式会社
オゾン発生装置
29日前
三菱マテリアル株式会社
超硬合金粉末の製造方法
1か月前
株式会社合同資源
ヨウ化銅の製造方法
1か月前
日本化学工業株式会社
リン酸バナジウムリチウムの製造方法
4日前
三浦工業株式会社
管理装置
1か月前
旭化成株式会社
水酸化物の製造方法
1か月前
株式会社INPEX
水素発生方法
19日前
学校法人五島育英会
機械用部材および機械用部材の製造方法
5日前
公立大学法人大阪
リン化コバルト炭素複合粒子
1か月前
日東電工株式会社
炭酸塩生成システム
1か月前
DOWAテクノロジー株式会社
水酸化リチウムの製造方法
今日
堺化学工業株式会社
チタン酸凝集体の製造方法
1か月前
日揮触媒化成株式会社
粒子、及び該粒子の製造方法
1か月前
一般社団法人鈴木テクノロジー
水素の生成方法及び水素生成用鉄材
1日前
大成建設株式会社
炭酸カルシウムの製造方法
21日前
水澤化学工業株式会社
チャバザイト型ゼオライト
7日前
株式会社仁科マテリアル
グラフェン前駆体およびそれを用いるグラフェンの製造方法
26日前
東ソー株式会社
粉末及びその製造方法
20日前
太平洋セメント株式会社
無機酸化物中空粒子の製造方法
7日前
日本軽金属株式会社
水素化ホウ素カリウムの製造方法
13日前
住友ゴム工業株式会社
変性シリカ、ゴム組成物及びタイヤ
18日前
トヨタ自動車株式会社
ガス生成装置
11日前
株式会社INPEX
組成物、水素発生剤及び水素発生方法
19日前
三井金属鉱業株式会社
硫化リチウムの製造方法及び製造装置
25日前
日本化学工業株式会社
リン酸バナジウムリチウムの製造方法
5日前
国立大学法人京都大学
二酸化炭素を回収する方法および装置
1か月前
日本化学工業株式会社
リン酸バナジウムリチウムの製造方法
5日前
デンカ株式会社
窒化アルミニウム粉末、窒化アルミニウム焼結体、回路基板および接合基板
1か月前
デンカ株式会社
窒化ケイ素を含む微粉末及び窒化ケイ素を含む微粉末の製造方法
8日前
デンカ株式会社
窒化ケイ素を含む微粉末及び窒化ケイ素を含む微粉末の製造方法
8日前
宇部マテリアルズ株式会社
酸化マグネシウム粉末及びその製造方法
21日前
続きを見る