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公開番号2025129527
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-05
出願番号2024026212
出願日2024-02-26
発明の名称改変ゲノムDNAを含む細胞の作製方法、遺伝子産物の生産方法
出願人ウシオ電機株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類C12N 15/09 20060101AFI20250829BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】既存のゲノムDNA配列とは異なるヌクレオチド配列を有する改変DNAであって、ポリペプチド、機能性RNA又はそれらの両方が発現可能な改変遺伝子を含み、外来DNAを含まない改変ゲノムDNAを構築する手段を提供する。
【解決手段】(a)細胞のゲノムDNAを少なくとも2つの標的配列で配列特異的ヌクレアーゼにより特異的に切断し、細胞によるDNA二本鎖切断修復により連結させる工程
を少なくとも2回行い、既存遺伝子及びその隣接する非コード領域から少なくとも2つの領域を欠失させて、改変遺伝子を生成することを含む、方法。
【選択図】図1A
特許請求の範囲【請求項1】
外来DNAを含まない改変ゲノムDNAを含む細胞を作製するための方法であって:
(a)細胞のゲノムDNAを少なくとも2つの標的配列で配列特異的ヌクレアーゼにより特異的に切断し、細胞によるDNA二本鎖切断修復により連結させる工程
を少なくとも2回行い、既存遺伝子及び該既存遺伝子に隣接する非コード領域から少なくとも2つの領域を欠失させて、該既存遺伝子のヌクレオチド配列と異なる改変遺伝子を生成することを含み;
前記(a)工程の細胞のゲノムDNAが、
前記欠失により改変ゲノムDNAに含まれない、少なくとも2つの欠失領域と、
前記2つの欠失領域に挟まれた領域であって、前記改変ゲノムDNAに残存する部分である、少なくとも1つの連結フラグメントを含み;
前記連結フラグメントの少なくとも1つが、長さ1~150塩基対であり;
前記改変遺伝子のプロモーター領域、被転写領域又はそれらの両方が、少なくとも1つの前記連結フラグメントの全長又は部分を含み;
前記改変遺伝子からポリペプチド、機能性RNA、又はそれらの両方が発現するように構成される、方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
少なくとも2回の前記(a)工程が、互いに異なる前記標的配列の組み合わせで、同時又は連続して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b)オフターゲット変異を含まない前記細胞を選択する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的配列の少なくとも1つが、少なくとも1つの連結フラグメント(第1連結フラグメント)の配列を包含し、該第1連結フラグメントの両端の少なくとも1つに、前記(a)工程によって前記第1連結フラグメントと連結される連結フラグメント又はゲノムDNAの全部又は一部の配列が接続されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞のゲノムDNAに外来DNAを挿入する工程を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
両端に前記ゲノムDNAと相同組換え可能な第1ホモロジーアームと第2ホモロジーアームを付加した外来DNAを、細胞の組換え修復によって、少なくとも1つの前記欠失領域の内部に挿入する、少なくとも1つの前記欠失領域に隣接するように挿入する、又は少なくとも1つの前記欠失領域の一部又は全部を置き換えるように挿入する工程をさらに含み、
前記(a)工程において、前記欠失によって前記外来DNAがゲノムDNAから除去され、かつ
外来DNAが存在しない前記細胞を選択する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外来DNAが、細胞選択用マーカー遺伝子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1又は第2ホモロジーアームが、少なくとも1つの連結フラグメント(第1連結フラグメント)の配列を包含し、
該第1連結フラグメントの両端の少なくとも1つに、前記(a)工程によって前記第1連結フラグメントと連結される連結フラグメント又はゲノムDNAの全部又は一部の配列が接続されている、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記連結フラグメントの長さの合計が、9~180塩基対である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記連結フラグメントの長さの合計が、前記欠失領域の長さの合計の30%以下である、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、外来DNAを含まない改変ゲノムDNAを含む細胞を作製する方法、該方法により作製された細胞、及び、該細胞又は該細胞を含む生物体を用いた遺伝子産物の生産方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
ゲノムDNAを直接操作するゲノム編集技術により、細胞又は生体のゲノムを改変する技術が知られている。例えば、CRISPR/Casシステム、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、TALEN(転写活性化様エフェクターヌクレアーゼ)、メガヌクレアーゼなどを用いれば、ゲノム上の特定配列を認識して選択的に切断することができる。切断されたゲノムDNAの両端は、細胞が元来有するDNA二本鎖切断(DSB)修復機構によって再連結されることが知られている。2カ所でゲノムDNAを切断すると、その間の領域が切り出されて再連結し、切り出された領域を欠失したゲノムDNAを人為的に作製することができる。DSB修復過程において、切断及び連結された箇所に数塩基の欠失、挿入、置換などが生じ得ることが知られている。
【0003】
ゲノム編集によるゲノムDNAの欠失操作とDSB修復によって導入される変異は、細胞内で自然に生じるDNA二本鎖切断と修復による変異と本質的に区別がつかない。そこで、ゲノム編集で得られた生物(細胞を含む)のうち、外来のヌクレオチドを移入するものではないものは、「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」(カルタヘナ議定書)に基づく「遺伝子組換え生物」に該当しない生物(「非遺伝子組換え生物」と呼ぶ)として扱われることがある。非遺伝子組換え生物は、遺伝子組換え生物に比べて規制が緩和され、流通や管理、商業的利用において有利となり得る。
【0004】
特許文献1には、生物内に新規遺伝子を作出するための方法として、前記生物のゲノム中の2つ以上の異なる特定の部位に同時にDNA切断を作出し、前記特定の部位は、異なる遺伝要素又は異なるタンパク質ドメインを分離し得るゲノム部位であり、前記DNA切断は非相同末端結合(NHEJ)又は相同修復によって互いに連結される、元のゲノム配列とは異なる種々の遺伝要素又は種々のタンパク質ドメインの新規組合せを作出し、それにより、新たな遺伝子を作出する工程を含んでなる、方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2022-553598号公報
【非特許文献】
【0006】
Liu G. et al. Molecular Cell, 2022, Vol.82, pp.333-347
Gao C. Cell, 2021, Vol.184, pp.1621-1635
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
元来細胞に存在しないか、存在していても発現量が少ないタンパク質を細胞又は生物体で恒常的に産生させるには、外来DNAを細胞に導入して、遺伝子組換え生物を作製する手段がよく用いられる。しかし、遺伝子組換え生物は、カルタヘナ議定書に基づく法的規制の対象となり、流通、管理、使用において厳しい規制がされる点で商業上不利となる。
【0008】
特許文献1には、専らゲノムDNAの欠失操作により既存ゲノムDNA上に存在する異なる遺伝子のプロモーター又は異なるタンパク質ドメインを連結して新規の機能遺伝子を作出する技術思想が記載されている。一方で、特許文献1は、ゲノムDNA上の2箇所以上の切断(即ち、断片の切り出し)を行うことは記載されているが、2回以上の欠失操作を繰り返すことは特定されておらず、ゲノムDNA上のどの遺伝子とも類似しない配列を欠失操作の繰り返しで作出することは特に記載されていない点で本発明と相違する。むしろ特許文献1では、CRISPR/Cas9などの遺伝子編集ツールは、ノックアウトには利用し得るが、新規遺伝子を生じることなく既存の遺伝子を変異させるので、生産において何らかの必要を満たすことが困難であると考えられていた(特許文献1の[0004]参照)。
【0009】
一方、本発明は、既存のゲノムDNA配列とは異なるヌクレオチド配列を有する改変DNAであって、ポリペプチド、機能性RNA又はそれらの両方が発現可能な改変遺伝子を含み、外来DNAを含まない改変ゲノムDNAを構築する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、
(a)細胞のゲノムDNAを少なくとも2つの標的配列で配列特異的ヌクレアーゼにより特異的に切断し、細胞によるDNA二本鎖切断修復により連結させる工程
を少なくとも2回行い、既存遺伝子及び該既存遺伝子に隣接する非コード領域から少なくとも2つの領域を欠失させて、改変遺伝子を生成することを含む、方法
によって、ポリペプチド、機能性RNA又はそれらの両方が発現可能な改変遺伝子を含み、外来DNAを含まないゲノムDNAを含む細胞を作製できることを見出し、本発明を完成させた。
(【0011】以降は省略されています)

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