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公開番号2025130180
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-08
出願番号2024027181
出願日2024-02-27
発明の名称ポリアミド複合半透膜の分析方法、状態診断方法および分離性能診断方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B01D 65/00 20060101AFI20250901BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】 複合半透膜に含まれるアミノ基を、膜の色に関わらず簡易的に定量する方法を提供する。
【解決手段】 ポリアミド複合半透膜の分析方法であって、蛍光色素を含む溶液に前記複合半透膜を接触させて化学反応させ、しかる後に前記複合半透膜に特定の波長の励起光を照射し、特定の波長の蛍光強度を測定することでアミノ基量を定量する分析方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリアミド複合半透膜の分析方法であって、
蛍光色素を含む溶液と前記ポリアミド複合半透膜を接触させて、化学反応させて、
前記複合半透膜に特定の波長の励起光を照射し、特定の蛍光検出波長の蛍光強度を測定することでアミノ基量を定量的に評価する、ポリアミド複合半透膜の分析方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記ポリアミド複合半透膜が、分離機能層、多孔性支持層、および基材からなり、前記分離機能層が架橋全芳香族ポリアミドを主成分として含む、請求項1に記載のポリアミド複合半透膜の分析方法。
【請求項3】
前記分離機能層が、トリメシン酸クロリドとm-フェニレンジアミンを縮合してなる架橋全芳香族ポリアミドからなることを特徴とする、請求項2に記載のポリアミド複合半透膜の分析方法。
【請求項4】
前記蛍光色素が反応性部位として、イソシアネート、イソチオシアネート、アシルアジド、NHSエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド、エポキシド、アリールハライド、イミドエステル、カルボジイミドおよび酸無水物のいずれかを含む、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド複合半透膜の分析方法。
【請求項5】
前記蛍光色素がNHSエステル、アルデヒドおよびイミドエステルのいずれかを含み、前記蛍光色素を含む溶液の溶媒が水を90重量%以上含むことを特徴とする、請求項4に記載のポリアミド複合半透膜の分析方法。
【請求項6】
前記特定の蛍光検出波長が650nm以上1000nm以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド複合半透膜の分析方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のポリアミド複合半透膜の分析方法を用いて、ポリアミド複合半透膜1の分析結果と、ポリアミド複合半透膜2の分析結果を取得し、両分析結果の差異に基づき、アミノ基量の変化を判定することを特徴とする、ポリアミド複合半透膜の状態診断方法。
【請求項8】
請求項7に記載のポリアミド複合半透膜の状態診断方法であって、膜表面の付着物を除去する工程の後に、前記ポリアミド複合半透膜1の分析結果と、前記ポリアミド複合半透膜2の分析結果を取得することを特徴とするポリアミド複合半透膜の状態診断方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載のポリアミド複合半透膜の状態診断方法であって、前記ポリアミド複合半透膜1の分析結果が未使用のポリアミド複合半透膜の分析結果または酸化劣化進行に応じた分析結果の少なくともいずれかであり、前記ポリアミド複合半透膜2が対象のポリアミド複合半透膜であり、前記対象のポリアミド複合半透膜表面のアミノ基量の変化およびアミノ基の酸化の程度を判定することを特徴とする、ポリアミド複合半透膜の状態診断方法。
【請求項10】
請求項9に記載のポリアミド複合半透膜の状態診断方法による判定結果に基づいて、前記ポリアミド複合半透膜のアミノ基の酸化の程度が分離膜性能へ及ぼす影響を定量的に評価する、ポリアミド複合半透膜の分離性能診断方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、液状混合物の選択分離に用いる複合半透膜の分析方法、状態診断方法および分離性能診断方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
液状混合物の分離に関して、溶媒(例えば水)に溶解した物質(例えば塩類)を除去するための技術には様々なものがあるが、省エネルギー、省スペースおよび高い分離性能の特長を有する膜分離法の利用が拡大している。液状混合物をろ過し濃縮水とろ過水に分離する膜分離法に使用される分離膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などがあり、これら分離膜を利用した分離膜エレメントは、例えば、海水やかん水の淡水化、超純水の製造、排水の再利用、有価物の回収など多様な水処理用途に適用される。
【0003】
実用化されている逆浸透膜およびナノろ過膜の大部分は複合半透膜であり、支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した分離機能層を有するものと、支持膜上でモノマーを重縮合した分離機能層を有するものとの2種類がある。なかでも、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応によって得られる架橋ポリアミドからなる分離機能層を支持膜上に被覆して得られる複合半透膜は、溶剤透過性や選択分離性に優れる高性能の分離膜として広く用いられている。
【0004】
複合半透膜の選択透過性に影響する因子は多く存在するが、分離機能層の化学構造は特に重要な因子である。例えば、架橋ポリアミド系の分離機能層は、アミド結合によって架橋されており、モノマー由来の未反応の官能基として、アミノ基とカルボキシ基を有する。これらの官能基は複合半透膜の孔径や親水性に影響し、結果的に複合半透膜の水や不純物の透過性に影響を及ぼす。
【0005】
水処理において複合半透膜が使用される間に、架橋ポリアミドからなる分離機能層に存在するアミド結合が加水分解されることによって、未架橋のアミノ基が増加する可能性がある。一方、このようなアミノ基は、酸化性の物質に接触することによって酸化され、別の官能基に変化する可能性もある。そのため、分離膜の特性や分離膜の使用前後の変化を解析するために、分離膜に存在するアミノ基等の官能基の量を分析する方法が検討されている。
【0006】
複合半透膜に含まれる官能基の量を分析する方法として、非特許文献1には、X線光電子分光法(XPS)により窒素と酸素の割合を求め、架橋ポリアミド系の分離機能層の架橋度の目安を求める方法が開示されている。しかし、この方法では、未架橋のアミノ基量を直接的かつ定量的に分析することはできず、精度良く分析することも困難である。また、非特許文献1には赤外吸光スペクトル(IR)を用いてアミド基やカルボキシ基に対応するピーク強度を求める方法も開示されているが、検出されるアミノ基のピーク強度は比較的弱く、支持層由来のバックグラウンドも重なるため、ピーク強度からアミノ基の量を定量的に分析することは現実的ではない。特許文献1には、銀イオンがカルボキシ基と塩を形成することを利用したラザフォード後方散乱法を用いて、複合ポリアミド膜に含まれるカルボキシ基を定量的に分析する方法が開示されている。しかし、この方法によりアミノ基の量を定量的に分析することは困難である。特許文献2には、分離機能層から抽出した分析試料を固体核磁気共鳴分光法(固体NMR)により分析し、官能基を定量的に分析する方法が開示されている。しかし、この方法の適用には、分離機能層から分析試料を抽出する必要があり、複合半透膜の状態では官能基量を定量的に分析できない。特許文献3には、複合半透膜とバニリンを反応させ、黄色度変化によりアミノ基を定量的に比較分析する方法が開示されている。しかし、この方法は、分離膜が有色の場合や、水処理用途等での使用後に膜が変色、着色された場合においては、アミノ基量の変化を定量的に評価することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許出願公開第2014/0199483号明細書
国際公開第2016/002819号
国際公開第2022/138975号
【非特許文献】
【0008】
Tang, C. Y., Kwon, Y. N. & Leckie, J. O. Desalination 242, 149-167 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のとおり従来技術では、複合半透膜の性能に影響しうるモノマー由来の未反応の官能基や、使用中に生じる未架橋の官能基等、複合半透膜に存在する官能基を膜構造を維持したまま簡易的かつ定量的に分析することが困難であった。また、分析対象の複合半透膜が有色である場合、複合半透膜に含まれるアミノ基量の変化を定量的に分析することが困難であるという課題があった。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、分析対象の膜の色に関係なく、複合半透膜の化学構造の状態を維持したまま、簡易的かつ定量的に、一定面積あたりの複合半透膜表面に存在するアミノ基の量を定量的に分析する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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