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公開番号
2025132337
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-10
出願番号
2024029818
出願日
2024-02-29
発明の名称
化合物の製造方法、及び金属多核錯体
出願人
国立大学法人大阪大学
,
株式会社日本触媒
代理人
弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類
C07C
37/60 20060101AFI20250903BHJP(有機化学)
要約
【課題】C-H結合をC-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合にする酸化反応を触媒的に行うのに有用な新規な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、1つ以上の含窒素芳香族環Aと1つ以上の含窒素非芳香族基Bとの連結によって形成される環状構造又は籠型構造の配位子が2つ以上の金属と結合した金属多核錯体を触媒として、C-H結合を有する化合物を、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物に酸化する、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物の製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
1つ以上の含窒素芳香族環Aと1つ以上の含窒素非芳香族基Bとの連結によって形成される環状構造又は籠型構造の配位子が2つ以上の金属と結合した金属多核錯体を触媒として、C-H結合を有する化合物を、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物に酸化する、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記環状構造又は籠型構造を構成する基として、アルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環Cをさらに有する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記配位子が式(1)で表される、請求項2に記載の製造方法。
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70
91
(式中、Aは前記含窒素芳香族環Aを表し、Bは前記含窒素非芳香族基Bを表し、Cは前記芳香族炭化水素環Cを表し、Dはアルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環を表す。mは1~3の整数を表し、n1は0~2の整数を表し、n2は0~2の整数を表し、n1とn2の合計は0~2である。複数のAは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のBは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のCは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のDは、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のmは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)
【請求項4】
前記含窒素芳香族環Aが、下記式(A1)~(A7)から選ばれる少なくとも1種の2価の基である、請求項1に記載の製造方法。
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2025132337000026.tif
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(式(A1)~(A7)中、*は結合手を表す。環を形成する炭素原子には、アルキル基が結合していてもよい)
【請求項5】
前記含窒素非芳香族基Bが、炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-NH-基又は-N=基が挿入された基であって、前記炭化水素基の炭素原子はカルボニル基を形成してもよい基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記芳香族炭化水素環Cが下記式(C1)及び(C2)から選ばれる少なくとも1種の基である、請求項3に記載の製造方法。
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(式(C1)及び(C2)中、*は結合手を表す。nは前記と同じである。環を形成する炭素原子には、アルキル基が結合していてもよい)
【請求項7】
前記金属が、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRuから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記金属のそれぞれに対して、前記含窒素芳香族環A及び含窒素非芳香族基Bが有する全窒素原子から選ばれる2つまたは3つの窒素原子が結合している、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記金属のそれぞれに対して、前記1つ以上の含窒素芳香族環Aが有する全窒素原子から選ばれる1つ以上の窒素原子が結合している請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記C-H結合を有する化合物が、芳香族炭化水素基を有する低分子又は高分子化合物、或いは脂肪族炭化水素基を有する低分子又は高分子化合物である請求項1に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化反応による化合物の製造方法、及びこの方法に有用な金属多核錯体に関するものである。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
有機合成反応において酸化反応はその応用範囲が広いために様々な手法が研究されている。中でもアルカンなどが有するSp
3
炭素または芳香環化合物などが有するSp
2
炭素と水素原子とから構成されるC-H結合は酸化されにくい不活性C-Hとされており、その直接酸化反応の研究は注目されている。さらにその中でも触媒を用いた酸化は、酸化剤が不純物として混入し難いため、特に有用である。
【0003】
非特許文献1,2には、下記に示す錯体([Cu
2
(μ-OH)(6-hpa)](ClO
4
)
3
(式中、6-hpaは、1,2-ビス[2-[ビス(2-ピリジルメチル)アミノエチル-6-ピリジル]エタンを表す)を用いたベンゼンのフェノールへの触媒的酸化反応、又はシクロヘキサンのシクロヘキサノールへの触媒的酸化反応が示されている。しかし、ベンゼンへのフェノールへの酸化反応では、触媒のターンオーバー数(TON)が12500程度で頭打ちしており、シクロヘキサンのシクロヘキサノールへの酸化反応は、反応が7時間程度で頭打ちしており、ターンオーバー数(TON)が1030程度である。
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44
84
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Angew.Chem.Int.Ed.2017,56,7779-7782
Bull.Chem.Soc.Jpn.2022,95,1148-1155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、C-H結合をC-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合にする酸化反応を触媒的に行うのに有用な新規な方法を提供することにある。本発明の好ましい目的は、前記酸化反応に利用可能な耐久性に優れた触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]1つ以上の含窒素芳香族環Aと1つ以上の含窒素非芳香族基Bとの連結によって形成される環状構造又は籠型構造の配位子が2つ以上の金属と結合した金属多核錯体を触媒として、C-H結合を有する化合物を、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物に酸化する、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合を有する化合物の製造方法。
[2]前記環状構造又は籠型構造を構成する基として、アルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環Cをさらに有する、[1]に記載の製造方法。
[3]前記配位子が式(1)で表される、[2]に記載の製造方法。
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(式中、Aは前記含窒素芳香族環Aを表し、Bは前記含窒素非芳香族基Bを表し、Cは前記芳香族炭化水素環Cを表し、Dはアルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環を表す。mは1~3の整数を表し、n1は0~2の整数を表し、n2は0~2の整数を表し、n1とn2の合計は0~2である。複数のAは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のBは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のCは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のDは、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のmは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)
[4]前記含窒素芳香族環Aが、下記式(A1)~(A7)から選ばれる少なくとも1種の2価の基である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
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(式(A1)~(A7)中、*は結合手を表す。環を形成する炭素原子には、アルキル基が結合していてもよい)
[5]前記含窒素非芳香族基Bが、炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-NH-基又は-N=基が挿入された基であって、前記炭化水素基の炭素原子はカルボニル基を形成してもよい基である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記芳香族炭化水素環Cが下記式(C1)及び(C2)から選ばれる少なくとも1種の基である、[3]~[5]のいずれかに記載の製造方法
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(式(C1)及び(C2)中、*は結合手を表す。nは前記と同じである。環を形成する炭素原子には、アルキル基が結合していてもよい)
[7]前記金属が、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、及びRuから選ばれる少なくとも1種である[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]前記金属のそれぞれに対して、前記含窒素芳香族環A及び含窒素非芳香族基Bが有する全窒素原子から選ばれる2つまたは3つの窒素原子が結合している、[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]前記金属のそれぞれに対して、前記1つ以上の含窒素芳香族環Aが有する全窒素原子から選ばれる1つ以上の窒素原子が結合している[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記C-H結合を有する化合物が、芳香族炭化水素基を有する低分子又は高分子化合物、或いは脂肪族炭化水素基を有する低分子又は高分子化合物である[1]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]酸化剤として、無機過酸化物および/または酸素分子を用いる、[1]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]1つ以上の含窒素芳香族環Aと1つ以上の含窒素非芳香族基Bとが連結した環状構造又は籠型構造の配位子に2つ以上の金属が結合した金属多核錯体であって、前記含窒素芳香族環Aの少なくとも1つがピリジン環である金属多核錯体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば所定の構造を有する金属多核錯体を触媒として、C-H結合を、C-OOH結合、C-OH結合及びC=O結合よりなる群から選択される少なくとも1種の結合にする酸化反応を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.金属多核錯体
1.1 環状構造又は籠型構造の配位子
金属多核錯体は、1つ以上の含窒素芳香族環Aと1つ以上の含窒素非芳香族基Bとの連結によって形成される環状構造又は籠型構造の配位子を有する。
複数の含窒素芳香族環Aは同一であってもよいし、異なっていてもよく、同一であることが好ましい。また、複数の含窒素非芳香族基Bは同一であってもよいし、異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
環状構造は、一般に大環状構造であり、例えば12員環以上であり、好ましくは12~40員環であり、より好ましくは16~36員環であり、更に好ましくは18~30員環である。
【0009】
前記大環状構造又は籠型構造を構成する基として、アルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環;アルキレン基などをさらに有することが好ましい。環状構造又は籠型構造の配位子は、含窒素芳香族環A及び前記芳香族炭化水素環が、含窒素非芳香族基B、アルキレン基などから選ばれるブリッジ部で連結された化合物であることが好ましい。含窒素芳香族環A及び芳香族炭化水素環がブリッジ部で連結された部分を少なくとも1つ有している場合、含窒素芳香族環A及び芳香族炭化水素環同士が直接結合している箇所を有していてよい。
【0010】
含窒素芳香族環A、含窒素非芳香族基B、アルキル基が結合していてもよい芳香族炭化水素環を有する配位子としては、例えば、下記式(1)で表される配位子が挙げられる。
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(式中、Aは含窒素芳香族環を表し、Bは含窒素非芳香族基を表し、Cは芳香族炭化水素環を表し、Dは芳香族炭化水素環を表す。mは1~3の整数を表し、n1は0~2の整数を表し、n2は0~2の整数を表し、n1とn2の合計は0~2である。複数のAは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のBは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のCは互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のDは、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。複数のmは互いに同一でもよく、異なっていてもよい)
複数のB、C、D、mは、それぞれ、互いに同一であることが好ましい。
mは好ましくは1であり、n1は好ましくは0又は1であり、より好ましくは0であり、n2は好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。n1+n2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。n1、n2の組み合わせは(n1,n2)=(0,0),(1,0),(0,1)が好ましく、(0,0),(1,0)がより好ましく、(0,0)がよりさらに好ましい。
(【0011】以降は省略されています)
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