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公開番号2025127106
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-01
出願番号2024023628
出願日2024-02-20
発明の名称電気泳動装置および電気泳動法
出願人国立大学法人大阪大学,株式会社アトックス
代理人個人,個人,個人
主分類B01D 57/02 20060101AFI20250825BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】効率性のさらなる向上、および、装置の拡張性のさらなる向上が図られた濃縮分離技術を提供する。
【解決手段】濃縮分離の対象となる物質のイオン水溶液を用いて、泳動媒体中に設けられて電場が掛けられた泳動路に沿ってイオンを移動させることにより、所望する物質を濃縮分離する電気泳動装置であって、泳動路が、熱伝導率が30W/mK以上で、所定の厚さ、長さ、および幅を有する平板形状の直方体に形成された絶縁体から構成される泳動媒体中に、泳動媒体の長手方向に沿って貫通して平板形状に形成されており、さらに、絶縁体を外側から強制冷却する冷却手段と、泳動路中を移動するイオンの移動方向とは逆方向の流れを、イオン水溶液に対して生じさせる向流発生手段が設けられている電気泳動装置。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
濃縮分離の対象となる物質のイオン水溶液を用いて、泳動媒体中に設けられ、電場が掛けられた泳動路に沿ってイオンを移動させることにより、所望する物質を濃縮分離する電気泳動装置であって、
前記泳動路が、熱伝導率が30W/mK以上で、所定の厚さ、長さ、および幅を有する平板型の絶縁体から構成される泳動媒体中に、前記泳動媒体の長さ方向に沿って貫通して平板型に形成されており、
さらに、前記絶縁体を外側から強制冷却する冷却手段と、
前記泳動路中を移動するイオンの移動方向とは逆方向の流れを、前記イオン水溶液に対して生じさせる向流発生手段が設けられていることを特徴とする電気泳動装置。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記泳動媒体が、1つの絶縁体中に複数の泳動路を設けて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動装置。
【請求項3】
前記泳動媒体が、1本の泳動路を有する絶縁体を厚さ方向に複数積層して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動装置
【請求項4】
前記泳動媒体が、窒化ホウ素(BN)の焼結体を用いて構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項5】
前記窒化ホウ素(BN)の焼結体に、樹脂が含浸されていることを特徴とする請求項4に記載の電気泳動装置。
【請求項6】
前記樹脂が、シアノアクリレート樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の電気泳動装置。
【請求項7】
前記向流発生手段が、脈動流を形成させることにより向流の流れを形成させる向流発生手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気泳動装置。
【請求項8】
前記脈動流の形成が、チュービングポンプを用いて行われることを特徴とする請求項7に記載の電気泳動装置。
【請求項9】
濃縮分離の対象となる物質のイオン水溶液を用いて、泳動媒体中に設けられて電場が掛けられた泳動路に沿って、イオンを移動させることにより、所望する物質を濃縮分離する電気泳動方法であって、
向流発生手段を用いて、前記泳動路中の前記イオン水溶液に、前記イオンの泳動速度に対応した速度で、前記イオンの移動方向とは逆方向の流れを生じさせながら、
熱伝導率が30W/mK以上で、所定の厚さ、長さ、および幅を有する平板型の絶縁体から構成される泳動媒体中に、前記絶縁体を長手方向に沿って貫通するように形成された平板型の泳動路に、電場を掛けることにより、前記泳動路を通過する前記イオンを移動させて、濃縮分離することを特徴とする電気泳動方法。
【請求項10】
前記泳動路を複数設けて、それぞれの泳動路で、濃縮分離を行うことを特徴とする請求項9に記載の電気泳動方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動装置および電気泳動法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
天然に存在する大多数の元素には、複数の同位体が存在しており、その同位体を濃縮分離することにより、トレーサー、医療用検査試薬、核燃料などの原料として利用することが行われている。
【0003】
同位体の濃縮分離に際して、現在、最も多く使用されている技術は、気体の化合物を形成する元素から遠心分離により濃縮分離する遠心分離法であるが、気体の化合物の無い元素も多く、これらの元素に対しては、遠心分離法を採用することができない。
【0004】
そこで、これら気体の化合物の無い元素から同位体を濃縮分離する技術として、真空中でイオン化した元素を電場で加速し、磁場による曲率が質量によって異なることを利用して濃縮分離する質量分析法が提案されているが、大量の電力を使用するため、分離された同位体は高価なものとなり、費用対効果が悪い。
【0005】
また、電場が掛かった溶液中におけるイオンの泳動速度に着目して、泳動速度の差と泳動距離の積により各イオンを分別して、濃縮分離する電気泳動法も提案されているが、高い濃縮度を得るためには長時間を要するため、やはり、分離された同位体は高価なものとなり、費用対効果が悪い。
【0006】
また、PWR(Pressurized Water Reactor:加圧水型原子炉)の一次冷却水のpH調整には水酸化リチウム(LiOH)が用いられるが、天然のリチウム(Li)には、7.5%の

Liと92.5%の

Liが存在し、

Liは中性子吸収材として働くため、

Liを分離除去して

Liを濃縮分離する必要がある。この

Liと

Liとを分離する技術として、現状、LiOH水溶液とリチウムアマルガム(リチウムと水銀の合金)との間の向流交換反応を利用した水銀アマルガム法が採用されているが、水銀の使用は環境汚染を招くため、水銀アマルガム法に替わるLi分離技術が望まれている。
【0007】
このような状況下、本発明者は、溶液をイオンの泳動方向と反対向きに流動させる向流を導入して、短い泳動路でありながらも、泳動距離を長くした場合と同等の濃縮分離機能が発揮させると共に、高熱伝導率の絶縁体中に細い円柱状のキャピラリーからなる複数の泳動路を形成してマルチチャネル化することにより、大量の濃縮分離が可能となり、濃縮分離機能を大幅に向上させることができるマルチチャネル向流電気泳動法(MCCCE法:Multi-Channel Counter Current Electrophoresis)を提案している(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特許第6207148号公報
特許第6425958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このようなMCCCE法であっても、同位体の濃縮分離に対する効率性や装置の拡張性を考慮すると、未だ、十分とは言えない。
【0010】
そこで、本発明は、効率性のさらなる向上、および、装置の拡張性のさらなる向上が図られた濃縮分離技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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