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公開番号2025138551
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-25
出願番号2024161984
出願日2024-09-19
発明の名称La、Zrを含む非晶質複合金属酸化物粉末、およびその粉末、ガーネット型リチウム複合金属酸化物、全固体電池の製造方法
出願人DOWAホールディングス株式会社,国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人個人
主分類C01G 35/00 20060101AFI20250917BHJP(無機化学)
要約【課題】700℃以下の低温で焼成した場合でもガーネット型結晶構造と高いイオン伝導度有するリチウム複合金属酸化物を合成するための技術を提供する。
【解決手段】Laを40質量%以上62質量%以下、Zrを8質量%以上26質量%以下、3~6価のいずれかの酸化数を取り得る金属元素M、好ましくはTaおよびNbの1種または2種、を1質量%以上20質量%以下含み、炭素含有量が1.5質量%以下であり、残部が酸素および不可避的不純物である、LaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末を、単相のガーネット型リチウム複合金属酸化物製造の前駆体として用いる。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
Laを40質量%以上62質量%以下、Zrを8質量%以上26質量%以下、3~6価のいずれかの酸化数を取り得る金属元素であって、LaおよびZrを除く金属元素Mを1質量%以上20質量%以下含み、炭素含有量が1.5質量%以下であり、残部が酸素および不可避的不純物である、LaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記の非晶質複合金属酸化物粉末中のLa、Zrおよび金属元素Mの含有割合のモル比がLa:Zr:M=3:1.2~1.95:0.05~0.8である、請求項1に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末。
【請求項3】
前記の金属元素Mが取り得る酸化数が5価である、請求項1に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末。
【請求項4】
前記の金属元素MがTa、Nb、VおよびSbの1種または2種以上である、請求項1に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末。
【請求項5】
前記の不可避不純物としての窒素の含有量が3質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末。
【請求項6】
請求項1に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法であって、
La、Zrおよび3~6価のいずれかの酸化数を取り得る金属元素であって、LaおよびZrを除く金属元素Mを含有する共沈物を含むスラリーを得る工程と、
前記のLa、Zrおよび金属元素Mを含有する共沈物を含むスラリーから固液分離により前記のLa、Zrおよび金属元素Mを含有する共沈物を回収する工程と、
前記の回収したLa、Zrおよび金属元素Mを含有する共沈物を800℃未満で加熱処理する工程と、
を有する、LaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項7】
前記のLa、Zrおよび金属元素Mを含有する共沈物を含むスラリーを得る工程が、無機La化合物、無機Zr化合物および無機金属元素M化合物を同時に水に溶解するものである、請求項6に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項8】
前記のLa、Zrおよび金属元素Mを含有する共沈物を含むスラリーを得る工程が、無機La化合物および無機Zr化合物を水に溶解し、La-Zr含有水溶液を準備する工程と、無機金属元素M化合物を水に溶解し、金属元素M含有水溶液を準備する工程と、前記のLa-Zr含有水溶液と前記の金属元素M含有水溶液を混合する工程とを含むものである、請求項6に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項9】
前記の加熱処理する工程での加熱処理温度が700℃以下である、請求項6に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法。
【請求項10】
前記の加熱処理する工程での加熱処理温度が150℃以上である、請求項6に記載のLaおよびZrを含む非晶質複合金属酸化物粉末の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、La(ランタン)およびZr(ジルコニウム)を含む非晶質複合金属酸化物粉末およびその製造方法に関する。また、ガーネット型リチウム複合金属酸化物の製造方法に関する。また、前記ガーネット型リチウム複合金属酸化物を用いた全固体電池の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は従来用いられてきた二次電池と比較して、軽量でかつ高容量、高起電力であることから、パソコン、携帯電話などの電子機器や自動車の車載用バッテリー等に広く使われるようになっている。その中でも、最近は安全性に優れる全固体型のリチウムイオン二次電池の開発が進められている。
【0003】
全固体電池の固体電解質として、多くのリチウムイオン伝導体が用いられている。その中でも、リチウムを含有するガーネット型結晶構造の複合金属酸化物が知られている。そのようなガーネット型リチウム複合金属酸化物として、Li、LaおよびZrを含むLi

La

Zr


12
(以下、「LLZ」とも記述する。)やLLZに様々な金属元素を添加したものが知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、イオン伝導度を高める観点からLi、LaおよびZrを含むガーネット型リチウム複合金属酸化物にAl、Ga、Y、Ce、Ca、Ba、Sr、NbおよびTaを添加した、体積基準平均粒子径D
50
が0.5μm以上50μm以下のLiを含むガーネット型リチウム複合金属酸化物が開示されている。当該複合金属酸化物は、炭酸イオンとLaイオンを含む水溶液から析出した沈殿物と炭酸ジルコニウム錯体を反応させて得られた沈殿物を前駆体とし、当該前駆体とリチウム化合物を混合した混合物を焼成することにより得られるとされている。
【0005】
特許文献2には、低温で焼結でき、かつ焼結することによりイオン伝導度の高い焼結体となるガーネット型リチウム複合金属酸化物を得るために、ガーネット型リチウム複合金属酸化物の原料としてLa、ZrおよびNb、Ta、V、Biを含む非晶質複合金属酸化物を作製し、その非晶質複合金属酸化物とリチウム塩との混合物を焼成する製造方法が記載されている。
【0006】
特許文献3には、ガーネット型複合酸化物を含む複合酸化物を合成するための前駆体として使用するための、LaおよびZrを含み、かつLiを含まない非晶質の複合酸化物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6916406号公報
特開2021-138554号公報
特開2017-214247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
全固体電池の工業的な製造過程では、一般的に、電極活物質と固体電解質とを混合し、電極活物質と固体電解質の良い接合状態を形成するために焼結の工程を実施することが想定される。その焼結工程では、電極活物質と固体電解質が反応するなどの悪影響を防止する必要などから加熱温度が制限され、例えば700℃程度以下の温度域で焼成し、焼結させることが望まれる。
しかし、特許文献1に開示されているガーネット型リチウム複合金属酸化物は、700℃以下の低温焼成において単相のガーネット構造にならないため、イオン伝導度が低いと思われる。
【0009】
特許文献2に開示されている、ガーネット型リチウム複合金属酸化物の原料(前駆体)となる非晶質複合金属酸化物粉は、金属のキレート化合物とキレート重合剤をエステル化する反応を含むプロセスで合成されるため、生成する前駆体は不純物として炭化水素を含んでおり、イオン伝導度が低くなる。なお、特許文献2には、例えば「次に、エステル化反応により得られたゲルを焼成する。ゲルを焼成することにより、ゲルに含まれる炭素-炭素結合および炭素-水素結合が切断されて炭化され、非晶質状態の酸化物からなる前駆体が得られる(段落0050)。」や「なお、前駆体を熱処理する熱処理工程においては、前駆体中に残存しているススなど有機物由来の残存物のうち一部または全部を、除去しなくてもよい。前駆体中に残存している有機物由来の残存物は、炭化することによって電子伝導性を有する。したがって、残存している有機物由来の残存物を除去しない場合、前駆体は、有機物由来の残存物によって電子伝導性が付与されたものとなる(段落0055)。」等の記述があり、非晶質複合金属酸化物粉が炭素を含有することを許容していると考えられる。非晶質複合金属酸化物粉が電子伝導性を有すると、当該金属酸化物粉を電気化学デバイスの電解質として用いた場合、部分的な短絡を引き起こす可能性があるため、全固体型電池における固体電解質部材として好ましくない。また、特許文献2に開示された技術により製造されたガーネット型リチウム複合酸化物は不純物としての炭素により異相を含みやすく、イオン伝導性に劣ると考えられる。
【0010】
特許文献3に記載のLaおよびZrを含み、かつLiを含まない非晶質の複合酸化物の製造方法の場合、出発物質として酢酸塩を使用している。その酢酸塩は熱分解後に炭酸塩として残留し、その炭酸塩を完全に除去するためには、非晶質粉末に800℃以上で熱処理を施す必要がある。
(【0011】以降は省略されています)

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