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公開番号2025146440
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-03
出願番号2024047204
出願日2024-03-22
発明の名称ニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法、硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの製造方法、正極材料の合成のための前駆体化合物の製造方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人個人
主分類C01G 53/00 20060101AFI20250926BHJP(無機化学)
要約【課題】例えば廃電池材料を乾式処理して得られる耐食性の高い合金等の、ニッケル、コバルト、及び銅を含む混合物から、銅とニッケル及びコバルトとを効果的に分離しながらより短い浸出時間でニッケル及びコバルトを浸出させて、ニッケル及びコバルトを含有する塩水溶液を得る方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ニッケル、コバルト、及び銅を含む混合物を、硫化剤が存在する条件下で鉱酸と接触させる工程を含む、ニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法であって、混合物を1当量以上の鉱酸に、参照電極を銀/塩化銀電極とする酸化還元電位が最小値を経た後に70mVになるまで浸漬した後に、その溶液に硫化剤を添加することによって、その混合物からニッケル及びコバルトを浸出させる。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
ニッケル、コバルト、及び銅を含む混合物を、硫化剤が存在する条件下で鉱酸と接触させる工程を含む、ニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法であって、
前記工程では、前記混合物を1当量以上の前記鉱酸に、参照電極を銀/塩化銀電極とする酸化還元電位が最小値を経た後で70mVになるまで浸漬した後に、その溶液に硫化水素、固体硫黄、硫化水素ナトリウム、及び硫化ナトリウムから選ばれる1種以上の前記硫化剤を添加することによって、該混合物からニッケル及びコバルトを浸出させる、
ニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法。
続きを表示(約 750 文字)【請求項2】
前記混合物は、ニッケルとコバルトと銅とを含む合金である、
請求項1に記載のニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法。
【請求項3】
前記合金は、廃リチウムイオン電池を加熱熔融し、還元して得られる合金を含む、
請求項2に記載のニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法。
【請求項4】
前記硫化剤の添加量が、硫黄換算で前記混合物に含まれる銅量に対して1当量以上である、
請求項1乃至3のいずれに記載のニッケル及びコバルト塩水溶液の製造方法。
【請求項5】
ニッケル、コバルト、及び銅を含む混合物から硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを製造する方法であって、
請求項1に記載の製造方法を前記鉱酸として硫酸を用いて実行し、ニッケル及びコバルト硫酸塩水溶液を製造する工程と、
前記ニッケル及びコバルト硫酸塩水溶液を精製する工程と、
精製された水溶液から固体の硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを析出させる工程と、
を含む、硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの製造方法。
【請求項6】
リチウムイオン電池用正極材料の合成のための前駆体化合物を製造する方法であって、
請求項1に記載の製造方法により、ニッケル及びコバルト塩水溶液を製造する工程と、
前記塩水溶液を精製し、精製されたニッケル及びコバルトを含有する水溶液を得る工程と、
精製されたニッケル及びコバルトを含有する水溶液に対して水酸化物又は炭酸塩を添加することにより、ニッケル及びコバルトを水酸化物又は炭酸化物として析出させ、前記リチウムイオン電池用正極材料の合成に適した固体を得る工程と、
を含む、方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケル、コバルト、及び銅を含む合金等の混合物から、ニッケル及びコバルトを鉱酸に選択的に浸出させることによって、ニッケル及びコバルト塩水溶液を製造する方法、並びに、その方法を用いた硫酸ニッケル及び硫酸コバルトを製造する方法、正極材料の合成のための前駆体化合物を製造する方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリット自動車等の車両、及び携帯電話、スマートフォンや、パソコン等の電子機器には、軽量で大出力であるリチウムイオン電池(以下「LIB」とも称する)が搭載されている。
【0003】
LIBは、アルミニウムや鉄等の金属製あるいは塩化ビニル等のプラスチック製の外装缶の内部に、銅箔を負極集電体に用いて表面に黒鉛等の負極活物質を固着させた負極材と、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着させた正極材を、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータと共に装入し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF

)等の電解質を含んだ有機溶媒を電解液として含浸させた構造を有する。
【0004】
LIBは、上記のような車両や電子機器等の中に組み込まれて使用されると、やがて自動車や電子機器等の劣化、あるいはLIBの寿命等により使用不可となって、廃LIBとなる。また、正極材製造工程内において不良品として正極材スクラップ(廃正極材)が発生することもある。なお、このような廃LIBや廃正極材を総じて「廃電池材料」ともいう。これらの廃電池材料には、ニッケル、コバルトや銅等の有価成分が含まれており、資源の有効活用のためにも、有価成分を有効に回収して再利用することが望まれる。
【0005】
一般に、金属で作られた装置、部材や材料から有価金属を効率よく回収しようとする場合、炉等に投入して高温下ですべて熔解し、有価金属を含むメタルと廃棄処分等するスラグとに分離する乾式製錬による方法が効果的かつ効率的であると考えられる。例えば特許文献1には、乾式製錬により有価金属の回収を行う方法が開示されている。特許文献1に開示の方法を廃電池材料に適用することで、ニッケル、コバルト、及び銅を含む合金を得ることができる。
【0006】
このような乾式製錬では、高温に加熱するためのエネルギーを要するという問題点はあるものの、不純物の大部分をスラグとして有価金属と分離できる利点がある。また、得られるスラグは安定なため、環境問題を引き起こす懸念がなく、廃棄処分しやすい利点もある。
【0007】
ただし、得られるメタルは有価金属を含む合金であり、再利用するためにはその合金から有価金属を分離して不純物を除去する精製が必要となる。
【0008】
乾式製錬で一般的に用いられてきた元素分離の方法として、高温の熔解状態から徐冷して融点の差を利用する方法がある。ところが、銅、ニッケル、コバルトのように融点が非常に近い金属の組合せでは、全組成範囲で均一熔融してしまうため、混合固化し、それぞれの元素の分離は困難である。
【0009】
また、工業的に行われてきた元素分離の方法として、ニッケル及びコバルトの硫化物である混合マットを粗分離する方法がある。この方法は、製錬工程で銅と、ニッケル及びコバルトとを含むマットを生成させ、これを徐冷することで、銅を多く含む硫化物とニッケル及びコバルトを多く含む硫化物とに分離するものである。ところが、この方法は、あくまでもニッケル及びコバルトから銅を分離する技術であり、その分離も粗分離程度にとどまるため、別途電解精製等の処理が必要となる。
【0010】
なお、銅とコバルトの分離、コバルトとニッケルの分離に関しても同様である。
(【0011】以降は省略されています)

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