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公開番号
2025148882
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-08
出願番号
2024049218
出願日
2024-03-26
発明の名称
配線材の製造方法及び製造装置、並びに、配線材
出願人
古河電気工業株式会社
代理人
弁理士法人クオリオ
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
H01B
13/14 20060101AFI20251001BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】外観特性に優れた被覆層を備えた配線材を、被覆層の層厚を厚く設定する場合、また被覆層を柔軟性材料で形成する場合においても、ボイドの発生及び傷付きを抑制しながら連続的に製造できる配線材の製造方法及び製造装置、並びに配線材を提供する。
【解決手段】重合体混合物を押出機に導入して導体の外周面上に被覆した被覆導体を、押出機から常圧より高圧の加圧環境に直接導入して当該加圧環境において冷却しながら常圧環境に、導出する工程において、加圧環境を移送方向に隣接し、かつ移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となる複数の加圧領域で構成し、移送方向の下流側の加圧領域及び常圧環境に前記被覆導体を導出する際に上流側の加圧領域に存在する少なくとも気体状媒体を下流側の加圧領域に噴出させる配線材の製造方法及びこれに用いる製造装置、並びに、上記製造装置を用いて製造された配線材。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
導体の外周面に重合体混合物で形成された被覆層を備えた配線材の製造方法であって、
前記重合体混合物を押出機に導入して前記導体の外周面上に被覆した被覆導体を、押出機から常圧より高圧の加圧環境に直接導入して当該加圧環境において冷却しながら常圧環境に、導出する工程を有し、
前記導出する工程において、前記加圧環境を、前記被覆導体の移送方向に隣接し、かつ移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となる複数の加圧領域で構成し、
前記移送方向の上流側の加圧領域から下流側の加圧領域及び前記常圧環境に前記被覆導体を導出する際に、前記加圧領域の圧力差及び常圧環境との圧力差を利用して、上流側の加圧領域に存在する少なくとも気体状媒体を下流側の加圧領域に噴出させる、配線材の製造方法。
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
前記移送方向に隣接する2つの加圧領域の圧力差を0.05~0.25MPaとする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記複数の加圧領域において前記被覆導体を液体媒体で冷却する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記加圧環境において前記被覆導体の表面温度が70℃以下となるまで冷却する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
移送方向の上流側の加圧領域から下流側の加圧領域及び前記常圧環境に前記被覆導体を導出する際に、前記加圧領域の圧力差及び常圧環境との圧力差を利用して、上流側の加圧領域に存在する前記液状媒体を前記気体状媒体とともに噴出させる、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
前記移送方向に隣接する2つの加圧領域の圧力差を0.10~0.20MPaとする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記加圧環境において前記被覆導体の表面温度が60℃以下となるまで冷却する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
導体の外周面に重合体混合物の被覆層を備えた配線材の製造装置であって、
前記重合体混合物を前記導体の外周面上に被覆する押出機に直接接続され、被覆導体の移送方向の下流側が常圧環境に通じている加圧冷却部を備え、
前記加圧冷却部が、前記移送方向に隣接し、かつ加圧機構及び冷却機構を有する複数の加圧冷却室を有し、
前記複数の加圧冷却室が、前記移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となる加圧環境に設定可能であり、かつ前記移送方向の下流側に設けた被覆導体の導出部に前記被覆導体の外径よりも大きな最小径を有する導出穴を有している、製造装置。
【請求項9】
前記導出穴が穴径の大きさを調整する機能を有している、請求項8に記載の製造装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載された製造装置を用いて製造された配線材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線材の製造方法及び製造装置、並びに、配線材に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)
【背景技術】
【0002】
電気・電子機器分野や産業分野に使用される、絶縁電線、ケーブル、コード、光ファイバー心線又は光ファイバーコード(光ファイバーケーブル)等の配線材は、導体の外周面に被覆層(絶縁層、シース等)を有している。配線材の被覆層は、通常、樹脂組成物又はゴム組成物で形成されている。
【0003】
このような配線材を製造する場合、一般的には、導体の外周面上に樹脂組成物やゴム組成物(以下、樹脂組成物等という。)を押出被覆しながら常圧環境に導出(押出)した後に冷却して被覆層を形成して、配線材とする。ところが、このような常圧環境において、樹脂組成物等を押出被覆して冷却すると、種々の要因によって、被覆層中にボイド(気泡や層間剥離等による空隙)が発生することが知られている。ボイドの存在(発生)は被覆層(配線材)の電気特性や機械特性の低下といった様々な問題を引き起こす。そのため、樹脂組成物等を押出被覆した後に加圧環境で冷却(加圧冷却)し、被覆層中でのボイドの発生を抑制する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1は、堰により仕切られ且つ押出被覆された絶縁電線を冷却水中に走線させて冷却するための冷却水槽と、この冷却水槽からの流出水が導かれる排水槽とを備えた冷却装置が加圧可能状態になっている製造装置を用いて、芯線上に絶縁材料が押出被覆された絶縁電線を加圧冷却して、絶縁電線を製造する方法を提案している。特許文献1の製造方法においては、出口側にシール部として設けたパッキンの穴と絶縁電線とのクリアランスを最小限にとどめて内圧の低下を抑制した冷却装置を用い、圧力を0.03MPa以上の高圧とすればボイドの発生が抑制できるとされている。
また、特許文献2は、「シラン架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルの製造に際し、シラン架橋ポリエチレン絶縁層が形成された電力ケーブルを、槽内圧力が導入口部から導出口部に向けてより高圧力となるように設定された冷却水槽に導いて加圧冷却する」ことによって、絶縁層中のボイド発生を防止して電力ケーブルを製造する方法を提案している。特許文献2の製造方法においては、電力ケーブル3とパッキン6との間を液密的に接触させることにより、隣接する各室の差圧を保っている。
【0004】
なお、特許文献3は、被覆層中でのボイドの発生を抑制するものではないが、樹脂組成物等を撚合せケーブル線芯の直上にシース材を充実押出成形した後に加圧冷却雰囲気下で冷却固化せしめる、シースケーブルの製造方法を提案している。特許文献3の製造方法においても、加圧冷却装置本体の後部にはケーブル外径と略同等の孔を開けたパッキンをシールとして設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-259671号公報
特開昭59-99618号公報
特開平5-250943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び3の製造方法では、押出機のヘッド部と直結した加圧冷却装置内を、樹脂組成物等で被覆した導体を通過させることにより、また特許文献2の製造方法では、シラン架橋ポリエチレン絶縁層が形成された電力ケーブルを押出機から気中に一旦送出した後に冷却水槽内に移送することにより、それぞれ、加圧環境において、導体を被覆している樹脂組成物等の被覆層を冷却している。
しかし、特許文献1及び2の製造方法のように、水槽を用いて冷却する場合、被覆層に外径異常が発生すると、これが水槽の水位を保つための堰と接触して、配電材の表面に傷が生じ、場合によっては被覆層が破れて堰部分に材料が溜まって、製造の一時中断、更には断線等の異常の原因となる虞がある。また、特許文献2の製造方法では、電力ケーブルを押出機から気中(大気圧下)に一旦送出して空冷してから水槽内で加圧冷却しているため、気中に送出された際にボイドが発生しやすく、ボイドの発生を抑制できない。
しかも、特許文献1~3の製造方法では、絶縁電線とパッキンの穴とをほぼ同径に設定していることから、被覆層の表面への傷付きを防止することもできない。
【0007】
ところで、配線材は、その用途に応じて、層厚を厚くした被覆層、ゴムやエラストマー及び融点が低い重合体を含む柔軟性材料を用いて被覆層を形成することがある。このような被覆層を形成する場合、従来の製造方法に対して加圧冷却部において被覆層を十分に冷却する必要がある。冷却効率が不十分であると、加圧冷却装置から導出され、常圧環境に開放された際に被覆層中にボイドが発生する。しかも、十分に固化していない被覆層と加圧冷却装置の出口(パッキン等のシール部)とが接触すると、被覆層の表面に傷が発生し、場合によっては配線材から剥がれた被覆層の詰まりが生じて断線する虞がある。
しかし、特許文献1~3においては、被覆層の層厚を厚く設定しても、また被覆層を柔軟性材料で形成しても、ボイドの発生及び傷付きを抑制する観点については、検討されていない。
【0008】
本発明は、外観特性に優れた被覆層を備えた配線材を、被覆層の層厚を厚く設定する場合、また被覆層を柔軟性材料で形成する場合においても、ボイドの発生及び傷付きを抑制しながら連続的に製造できる、配線材の製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。また、本発明は、上記製造装置を用いて製造された配線材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、重合体混合物を導体の外周面上に押出被覆した被覆導体を高圧の加圧環境において加圧冷却して配線材を製造する方法について、ボイド及び傷付きの発生に関して鋭意検討した。その結果、本発明者らは、加圧環境を複数の加圧領域に分画して、各加圧領域の圧力を被覆導体の移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となるように設定したうえで、各加圧領域の導出部に設けた導出穴を被覆導体の外径よりも大きな最小径の穴径に設定することにより、各加圧領域内に存在する気体状媒体を噴出させながら、また導出穴との接触を回避しながら、各加圧領域から被覆導体を下流側に導出させることができ、その結果、被覆導体の冷却効率を顕著に高めながらも導出穴との接触も回避して、ボイド及び傷付の発生を抑制できることを見出した。しかも、このようなボイド及び傷付の発生の抑制は、被覆層を肉厚に設定しても、また被覆層を柔軟性材料で形成しても、達成できることも見出した。本発明者らはこの知見に基づき更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>導体の外周面に重合体混合物で形成された被覆層を備えた配線材の製造方法であって、
前記重合体混合物を押出機に導入して前記導体の外周面上に被覆した被覆導体を、押出機から常圧より高圧の加圧環境に直接導入して当該加圧環境において冷却しながら常圧環境に、導出する工程を有し、
前記導出する工程において、前記加圧環境を、前記被覆導体の移送方向に隣接し、かつ移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となる複数の加圧領域で構成し、
前記移送方向の上流側の加圧領域から下流側の加圧領域及び前記常圧環境に前記被覆導体を導出する際に、前記加圧領域の圧力差及び常圧環境との圧力差を利用して、上流側の加圧領域に存在する少なくとも気体状媒体を下流側の加圧領域に噴出させる、配線材の製造方法。
<2>前記移送方向に隣接する2つの加圧領域の圧力差を0.05~0.25MPaとする、<1>に記載の製造方法。
<3>前記複数の加圧領域において前記被覆導体を液体媒体で冷却する、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>前記加圧環境において前記被覆導体の表面温度が70℃以下となるまで冷却する、<1>~<3>のいずれか1項に記載の製造方法。
<5>移送方向の上流側の加圧領域から下流側の加圧領域及び前記常圧環境に前記被覆導体を導出する際に、前記加圧領域の圧力差及び常圧環境との圧力差を利用して、上流側の加圧領域に存在する前記液状媒体を前記気体状媒体とともに噴出させる、<3>又は<4>に記載の製造方法。
<6>前記移送方向に隣接する2つの加圧領域の圧力差を0.10~0.20MPaとする、<1>~<5>のいずれか1項に記載の製造方法。
<7>前記加圧環境において前記被覆導体の表面温度が60℃以下となるまで冷却する、<1>~<6>のいずれか1項に記載の製造方法。
<8>導体の外周面に重合体混合物の被覆層を備えた配線材の製造装置であって、
前記重合体混合物を前記導体の外周面上に被覆する押出機に直接接続され、被覆導体の移送方向の下流側が常圧環境に通じている加圧冷却部を備え、
前記加圧冷却部が、前記移送方向に隣接し、かつ加圧機構及び冷却機構を有する複数の加圧冷却室を有し、
前記複数の加圧冷却室が、前記移送方向に向かって常圧よりも高圧でありながらも順に低圧となる加圧環境に設定可能であり、かつ前記移送方向の下流側に設けた被覆導体の導出部に前記被覆導体の外径よりも大きな最小径を有する導出穴を有している、製造装置。
<9>前記導出穴が穴径の大きさを調整する機能を有している、<8>に記載の製造装置。
<10>上記<8>又は<9>に記載された製造装置を用いて製造された配線材。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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