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公開番号
2025150718
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-10-09
出願番号
2024051755
出願日
2024-03-27
発明の名称
肝臓オルガノイド成熟培地
出願人
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
C12N
5/071 20100101AFI20251002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進するための新規な肝臓オルガノイド成熟培地を提供すること。
【解決手段】ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含有する、肝臓オルガノイド成熟培地。
【選択図】図8
特許請求の範囲
【請求項1】
ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含有する、肝臓オルガノイド成熟培地。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
アミノ酸及び無機塩をさらに含有する請求項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
【請求項3】
基礎培地を含有する、請求項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
【請求項4】
増殖因子を含有しないか、又は合計で1000ng/mL以下の増殖因子を含有する、請求項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
【請求項5】
肝臓オルガノイドを作製する方法であって、
肝臓オルガノイド中の肝細胞を成熟化を誘導又は促進するのに十分な時間にわたり、肝臓オルガノイドを、請求項1~4のいずれか一項に記載の肝臓オルガノイド成熟培地で培養する工程を含む方法。
【請求項6】
前記培養する工程の後で、肝臓オルガノイドにおける少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルが、前記培養する工程の前の前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルと比較して増大する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記肝細胞成熟培地がジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸を含有し、かつ前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子が、アルブミン、CYP7A1、ARG1、ABCG5、ABCG8、及びUGT2B2から成る群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含むか、又は
前記肝細胞成熟培地がカルシポトリエンを含有し、かつ前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子が、ALB, CYP2C8, CYP2C9, CYP3A4, CYP23A1, UGT1A3, UGT1A4, SLC30A10, 及びセルロプラスミンをコードする遺伝子から成る群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項5に記載の肝臓オルガノイドを作製する方法により作製された肝臓オルガノイド。
【請求項9】
肝臓オルガノイドであって、ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含有する肝臓オルガノイド成熟培地で培養された肝臓オルガノイドにおいて、少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルが、前記ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含まない培地で培養した前記肝臓オルガノイドにおける前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルと比較して3倍以上に増大している、肝臓オルガノイド。
【請求項10】
肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進する方法であって、
肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進するのに十分な時間にわたり、肝臓オルガノイドを、請求項1~4のいずれか一項に記載の肝臓オルガノイド成熟培地で培養する工程を含む方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進するための肝臓オルガノイド成熟培地に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
ヒトオルガノイドは、動物実験の代わりとなるヒト肝臓の生理機能を評価するための信頼できるツールとして重要性を増している(非特許文献1)。特にヒト肝臓オルガノイド(Human Liver Organoids, HLOs)は生理的な性質を有することが期待される。
【0003】
これまでに報告されているヒト肝臓オルガノイドとして、ヒト生体組織由来肝臓オルガノイド(非特許文献2)及びヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイドが知られており、ヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイドとしてはさらに3種類の細胞を人工的に混合して作製されるオルガノイド(非特許文献3)及び分化の過程で複数種の細胞が自然発生して生じたオルガノイド(非特許文献4)が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Journal of Clinical Investigation 124, 328-337, 2014
Cell 175, 1591-1606, 2018
Nature 499, 7459, 481-484, 2013
Cell Metabolism 30(2) 378-384, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒト肝臓オルガノイドの増殖及び成熟プロセスを含むヒトiPS細胞由来肝臓オルガノイドの作製において、従来の培養培地を用いると、肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟度が不十分であるという問題があった。
【0006】
本発明が解決すべき課題は、肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟を誘導又は促進するための肝臓オルガノイド成熟培地、肝臓オルガノイドを作製する方法、並びに肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.
ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含有する、肝臓オルガノイド成熟培地。
項2.
アミノ酸及び無機塩をさらに含有する項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
項3.
基礎培地を含有する、項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
項4.
増殖因子を含有しないか、又は合計で1000ng/mL以下の増殖因子を含有する、項1に記載の肝臓オルガノイド成熟培地。
項5.
肝臓オルガノイドを作製する方法であって、
肝臓オルガノイド中の肝細胞を成熟化を誘導又は促進するのに十分な時間にわたり、肝臓オルガノイドを、項1~4のいずれか一項に記載の肝臓オルガノイド成熟培地で培養する工程を含む方法。
項6.
前記培養する工程の後で、肝臓オルガノイドにおける少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルが、前記培養する工程の前の前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルと比較して増大する項5に記載の方法。
項7.
前記肝細胞成熟培地がジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸を含有し、かつ前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子が、アルブミン、CYP7A1、ARG1、ABCG5、ABCG8、及びUGT2B2から成る群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含むか、又は
前記肝細胞成熟培地がカルシポトリエンを含有し、かつ前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子が、ALB, CYP2C8, CYP2C9, CYP3A4, CYP23A1, UGT1A3, UGT1A4, SLC30A10, 及びセルロプラスミンをコードする遺伝子から成る群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含む、項5に記載の方法。
項8.
項5に記載の肝臓オルガノイドを作製する方法により作製された肝臓オルガノイド。
項9.
肝臓オルガノイドであって、ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含有する肝臓オルガノイド成熟培地で培養された肝臓オルガノイドにおいて、少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルが、前記ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種を含まない培地で培養した前記肝臓オルガノイドにおける前記少なくとも1種の肝細胞での代謝に関連するか又は肝臓特異的に発現する遺伝子の発現レベルと比較して3倍以上に増大している、肝臓オルガノイド。
項10.
肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進する方法であって、
肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を誘導又は促進するのに十分な時間にわたり、肝臓オルガノイドを、項1~4のいずれか一項に記載の肝臓オルガノイド成熟培地で培養する工程を含む方法。
項11.
Fe
3+
及びZn
2+
のうちの少なくとも一方を前記肝臓オルガノイド成熟培地に添加することにより、前記ジエチレントリアミン-N',N',N',N'',N''-五酢酸、カルシポトリエン、及びブレオマイシンから成る群から選択される少なくとも1種による肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟化を打ち消す工程をさらに含む項10に記載の方法。
項12.
肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟を制御する分子を同定する方法であって、
項1~4のいずれか一項に記載の肝臓オルガノイド成熟培地で培養した肝臓オルガノイドを、候補分子と接触させる工程を含み、肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟の変化が、前記候補分子が肝臓オルガノイド中の肝細胞の成熟を制御する分子であることを示す、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
iHLOの継代。Biotechnol.J.2024;19:2300365参照
iHLOの顕微鏡写真。図2のA-Dは図1のA-Dの各段階に対応する。図2のA-CはBiotechnol.J.2024;19:2300365より引用
iHLOをHDM培地で分化誘導完了後、EM培地で6日間培養したときの各種マーカーの発現レベルの変化。Biotechnol.J.2024;19:2300365より引用
iHLOをEM培地で増殖させた後、EM又はHDM培地で3日間培養したときの各種マーカーの発現レベルの変化。Biotechnol.J.2024;19:2300365より引用
iHLOの分化および培養方法の概略。Biotechnol.J.2024;19:2300365参照
各種肝細胞及び肝臓オルガノイドにおけるアルブミン(ALB)のmRNAレベル。平均±SEM。
HepG2細胞のアルブミンタンパク質の培地への分泌量を1としたときのEM培地で培養したiHLO、及びHDMで培養したiHLOにおけるアルブミンタンパク質の培地への分泌量を示すグラフ。平均±SEM。
iHLOにおける、各スクリーニングヒット化合物の濃度依存的なアルブミンタンパク質分泌量を示すグラフ。平均±SEM。
iHLO細胞においてDMSO、各10 μMのDTPA、カルシポトリエン、およびブレオマイシンを処理した際の各種遺伝子発現の変化を示すグラフ。
iHLO細胞においてDMSO、各10 μMのDTPA、カルシポトリエン、およびブレオマイシンを処理した際の各種遺伝子発現の変化を示すグラフ。
RNAシークエンス解析結果をパスウェイ解析(Ingenuity pathway analysis)した際に抽出されたシグナル経路(左)および活性が変化したと予測される上流因子(右)のリスト。
pHLOの明視野顕微鏡観察像。
pHLOにおいて10 μMのDTPAを処理した際の各種遺伝子発現の変化を示すグラフ。
pHLOにおいて3 μMのカルシポトリエンを処理した際の各種遺伝子発現の変化を示すグラフ。
HepG2細胞およびHuH-7細胞において各10 μMのDTPA、カルシポトリエン、ブレオマイシンを処理した際の各種遺伝子発現の変化を示すグラフ。
実験のタイムコース。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
基礎培地を変更した際の各種遺伝子のmRNA発現誘導の違いを示したグラフ。
DTPA処理でALB発現を誘導した際のFe
3+
、Zn
2+
添加による発現誘導抑制作用を示したグラフ。
(A)DTPA処理で肝細胞成熟化を誘導した際にFe
3+
、Zn
2+
添加で抑制されたと予想された上流因子の候補。(B)DTPA処理で肝細胞成熟化を誘導した際の各種タンパク質の発現変化を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0010】
本明細書において、「含有する(comprise)」は、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」も包含する概念である。
(【0011】以降は省略されています)
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