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公開番号2025075138
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-15
出願番号2023186095
出願日2023-10-31
発明の名称特殊形質導入ファージ及びその製造方法、並びにゲノム改変された細菌の製造方法
出願人国立大学法人東海国立大学機構
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C12N 15/34 20060101AFI20250508BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】特殊形質導入ファージを宿主細菌に感染させ、ゲノム改変を行った後で、再度ファージを感染させることなく、宿主ゲノムに導入された外因性の配列を脱離させられる技術、及び、迅速・簡便に特殊形質導入ファージを作製できる技術の提供。
【解決手段】(i)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第1の配列、(ii)XerCDに認識される配列、(iii)選択マーカー遺伝子、及び、(iv)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第2の配列を有し、(i)~(iv)の配列が(i)-(ii)-(iii)-(ii)-(iv)の順に配置されており、宿主細菌に導入された核酸が(i)及び(iv)の配列によって宿主細菌のゲノム上の標的配列と相同組換えを生じ得る、特殊形質導入ファージ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
特殊形質導入ファージであって、
(i)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第1の配列、
(ii)XerCDに認識される配列、
(iii)選択マーカー遺伝子、及び、
(iv)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第2の配列
を有し、(i)~(iv)の配列が(i)-(ii)-(iii)-(ii)-(iv)の順に配置されており、
宿主細菌に導入された核酸が(i)及び(iv)の配列によって宿主細菌のゲノム上の標的配列と相同組換えを生じ得る、特殊形質導入ファージ。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記宿主細菌が、Mycobacterium属の細菌である、請求項1に記載の特殊形質導入ファージ。
【請求項3】
(a)請求項1又は2に記載の特殊形質導入ファージを、宿主細菌に感染させる工程を含む、ゲノム改変された細菌の製造方法。
【請求項4】
前記宿主細菌が、Mycobacterium属の細菌である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
さらに、(F)配列(iii)に対応した選択マーカーによる選抜後、前記宿主細菌のゲノムから前記配列(iii)が脱離したことを確認する工程
を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
特殊形質導入ファージの製造方法であって、プラスミドを調製する工程を含み、前記プラスミドが、
(i)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第1の配列、
(ii)XerCDに認識される配列、
(iii)選択マーカー遺伝子、及び、
(iv)宿主細菌のゲノム上の配列と相同性を有する第2の配列
を含み、(i)~(iv)の配列が(i)-(ii)-(iii)-(ii)-(iv)の順に配置されており、
(i)及び(iv)の配列が宿主細菌のゲノム上の標的配列と相同組換えを生じ得る配列であることを特徴とする、製造方法。
【請求項7】
(A)核酸を制限酵素処理する工程、
(B)前記制限酵素処理産物から所望の核酸断片を精製する工程、及び、
(C)核酸を連結する工程
を含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記(A)工程において、所望の核酸断片の核酸鎖長が40000 塩基長以上であり、かつ、その他の核酸断片の核酸鎖長が2000 塩基長以下であることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記(B)工程がPEG沈殿工程を含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
さらに、(D)細菌体内又は無細胞転写翻訳系内で前記プラスミドからファージを起動する工程
を含む、請求項6~9のいずれかに記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、特殊形質導入ファージ及びその製造方法、並びに特殊形質導入ファージを宿主細菌に感染させる工程を含むゲノム改変された細菌の製造方法等に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
バクテリオファージ(本開示においては、単にファージと称する)は、細菌に感染するウイルスの総称であり、細菌の天敵である。ファージは細菌に感染して子孫を作り、最終的に宿主を死滅させ、子孫ファージを細胞外環境に放出する。
【0003】
近年、薬剤耐性菌の世界的な蔓延と新規抗菌薬開発の停滞に伴い、ファージを用いた細菌感染症に対する治療(ファージセラピー)が注目されている。一般的に、抗菌薬は広域な抗菌スペクトルを有するため、特定の細菌だけを殺しその他の細菌は残す、といった使い方ができない。このため、細菌感染症に対して抗菌薬を使用した場合、標的の細菌だけでなく、生物の体内や体表の細菌叢に存在する有益な細菌までもが死滅し得る。一方、ファージは高い宿主特異性を有するため、ファージセラピーによれば、標的の細菌を死滅させつつ、細菌叢への望ましくない影響は最小限にできることが期待される。
【0004】
しかしながら、ファージの有する高い宿主特異性は、ファージセラピーにおいて短所ともなり得る。例えば、あるファージが感染できる細菌と同一種の細菌であっても、株が異なれば、当該ファージが感染できなくなる可能性がある。また、細菌のレセプターに変異が生じることによって、当該細菌にファージが感染できなくなる可能性がある。
【0005】
このため、ファージセラピーにおいては通常、標的細菌に感染できる複数種のファージを混合した「ファージカクテル」が使用される。しかし、ファージカクテルにすると、他種のファージと混合しない単一種のファージと比較して、力価が低下するとの報告もある。このため、宿主特異性を緩和又はコントロールしたり、あるいは、ファージに新たな機能を付加したりする改変が試みられている。
【0006】
また、ゲノム改変の手段としてファージが用いられることがある。これは、ファージが宿主細菌に核酸を導入する現象を利用するものである。当該現象は形質導入と称され、ある特定の形質が導入される場合は、特に特殊形質導入と称される。本開示において、宿主細菌に感染した際に特殊形質導入を生じる能力を有するファージを「特殊形質導入ファージ(specialized transducing phage:STP)」と称する。
【0007】
特殊形質導入ファージを用いたゲノム改変の対象としては、例えば結核菌を含む抗酸菌が挙げられる。具体的には、臨床分野においては、細菌感染症の原因となり得るこれらの細菌に対して、特殊形質導入ファージを用いたゲノム改変により自殺遺伝子を組み込むことで、前記細菌を死滅させられること等が期待される。また、創薬分野においては、例えばゲノム改変した細菌の逆遺伝学的な解析により、当該細菌への理解が深まることによって、新たな作用機序を有する医薬の開発に資すること等が期待される。
【0008】
ゲノム改変の手段としてファージを用いる場合、宿主細菌の種類や、どのようなゲノム改変を行うかといった目的に応じてファージを改変する必要がある。例えば、宿主細菌へのファージの感染を可能にするとともに、相同組換えを生じるための配列と、宿主細菌に組み込みたい外因性の配列とをファージに保持させるといった改変が想定される。
【0009】
しかし、図1及び2に示す通り、従来のファージ改変方法は多数の核酸断片を連結するため、膨大な労力と時間を要するものであった。具体的には、ライゲーション反応によっては多断片連結が困難であるため、従来の方法は複数回の制限酵素処理とライゲーション反応工程を必要とした(図1(a)~(e))。さらに、従来の方法においては、目的外のライゲーション産物を除去するために、図2(f)に示すin vitroパッケージングと、図2(g)に示す大腸菌への感染の工程を必要とした。
【0010】
また、上述した細菌の逆遺伝学的な解析においては、前記細菌は標的遺伝子以外は野生型と同様のゲノム配列を有していることが望ましい。さらに、ゲノム改変においては薬剤耐性遺伝子が選抜マーカー遺伝子として汎用されるが、前記細菌が病原性細菌である場合には、安全上の観点から、解析や評価に用いる細菌は外因性の薬剤耐性遺伝子を保持していないことが望ましい。従来の方法では、作製した改変ファージを宿主細菌に感染させ、ゲノム改変を行った後で、宿主ゲノムに導入された外因性の配列を脱離させる場合、Resolvase遺伝子を保持したファージを感染させる必要があった。すなわち、従来の方法においては、ゲノム改変のためのファージと、外因性の配列を脱離させるためのファージを、それぞれ感染させる必要があった(図3、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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