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公開番号
2025099419
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-03
出願番号
2023216065
出願日
2023-12-21
発明の名称
吸水機能を有するナノ粒子層が形成された金属材料の製造方法
出願人
国立大学法人電気通信大学
,
日産化学株式会社
代理人
弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
主分類
B05D
3/02 20060101AFI20250626BHJP(霧化または噴霧一般;液体または他の流動性材料の表面への適用一般)
要約
【課題】熱輸送効率の向上を図ったヒートパイプの構成部材として有用なナノ粒子層を有する金属材料の製造方法を提供する。
【解決手段】加熱部と該加熱部に連なる沸騰部と該沸騰部に連なる凝縮部とを備える、金属基材にナノ粒子層を形成する装置において、沸騰部において該金属基材と分散液とを接触させ、凝縮部で液体を還流し、沸騰部に液体を戻すことからなる条件を満たす。または、金属基材を前記分散液から取り出し、核沸騰以外で堆積した成分を除去する工程を付加する。核沸騰以外で堆積した成分の除去が、前記分散液から取り出した金属基材の表面付着水を吸い取る方法で行われるか、又は前記分散液から取り出した金属基材から表面付着水を吹き飛ばす方法で行われる。コロイド状粒子が、TiO
2
、ZrO
2
、ZnO、CuO、Al
2
O
3
、及びSiO
2
からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機酸化物のコロイド状粒子である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
下記(a0)工程及び(b0)工程を含み、(a0)工程と(b0)工程がこの順にて逐次実施、又は、(a0)工程と(b0)工程が同時に実施される、ナノ粒子層を有する金属材料の製造方法であって、該方法は、下記方法1又は方法2を含む、ナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
方法1:(a0)工程と(b0)工程が、下記(条件1)を満たす方法、
方法2:(a0)工程と(b0)工程に続き、更に(c0)工程を行う方法、
(a0):平均粒子径(光散乱式粒子径)5nm~800nm、且つ、平均粒子径(光散乱式粒子径)と一次粒子径(BET法粒子径)との比(平均粒子径(光散乱式粒子径)/一次粒子径(BET法粒子径))が1.0~10.0であるコロイド状粒子を含む分散液と金属基材とを接触させる工程、
(b0):前記金属基材の表面近傍において前記分散液を核沸騰状態に保持する工程、
(条件1):前記(a0)工程及び(b0)工程が、加熱部と該加熱部に連なる沸騰部と該沸騰部に連なる凝縮部とを備える、金属基材にナノ粒子層を形成する装置において、沸騰部において該金属基材と分散液とを接触させ、凝縮部で液体を還流し、沸騰部に液体を戻すことからなる条件、
(c0):金属基材を前記分散液から取り出し、核沸騰以外で堆積した成分を除去する工程。
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【請求項2】
(c0)工程における核沸騰以外で堆積した成分の除去が、前記分散液から取り出した金属基材の表面付着水を吸い取る方法で行われるか、又は前記分散液から取り出した金属基材から表面付着水を吹き飛ばす方法で行われる請求項1に記載の金属材料の製造方法。
【請求項3】
前記コロイド状粒子は、レーザー回折法による粒度分布測定値からそれぞれ求めた累積径に関して、
10%累積径(D
10
)に対する50%累積径(D
50
)の比 D
50
/D
10
が1.0以上2.5未満であり、且つ、
50%累積径(D
50
)に対する90%累積径(D
90
)の比 D
90
/D
50
が1.0以上2.5未満である、請求項1又は請求項2に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項4】
前記(a0)工程が、前記分散液に金属基材を浸漬する工程である、請求項1に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項5】
前記コロイド状粒子が、TiO
2
、ZrO
2
、ZnO、CuO、Al
2
O
3
、及びSiO
2
からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機酸化物のコロイド状粒子である、請求項1に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項6】
前記金属材料が、ヒートパイプの構成部材である、請求項1に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項7】
前記ヒートパイプが、作動流体が封入されたコンテナおよび該コンテナ内に金属製ウィックを備える、請求項6に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項8】
作動流体が封入されたコンテナおよび該コンテナ内に金属製ウィックを備えたヒートパイプにおいて、前記金属材料が、該コンテナ内の壁面及び前記金属製ウィックの一方又は双方の構成部材である請求項6に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
【請求項9】
前記金属材料表面が、エッチング処理されてなる、請求項1に記載のナノ粒子層を有す
る金属材料の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子層を有する金属材料の製造方法に関し、さらに、該金属基材がヒートパイプの構成部材であるところのナノ粒子層を有する金属材料の製造方法に関する。
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【背景技術】
【0002】
金属基材の表面に、目的や用途に応じた機能を付与する層(以下、機能層とも称する。)を設けるべく、これまでに種々の技術が提案されている。更にその改良として、ナノオーダーからマイクロオーダーの粒子径を有する粒子を用い、前記機能層を金属基材上に形成する技術の開発が望まれている。
【0003】
上記のナノオーダーの粒子を用いた技術としては、大気圧より高い圧力下で、ナノメートルサイズの粒子を含有する液体を、その標準沸点より高い温度にて基材表面上で沸騰させ、基材表面に該ナノオーダーの粒子を堆積させる方法が開示されている。該方法は、良好な湿潤性を有する表面を、良好な湿潤性を有する粒子の堆積により形成する技術として開示されている(特許文献1)。
これら技術を基材表面に適用することにより得られた良好な親水性(湿潤性)を示す表面を有する部材や基材は、ヒートパイプやフィン等の熱交換素子の材料に適用できることが期待されている。
【0004】
前記ヒートパイプは、管の内部にウィック(毛細管構造)と揮発性の冷媒を封入し、冷媒の蒸発と凝縮(気液相変化)による潜熱の吸収と放出を利用して熱輸送を行う熱交換(冷却)デバイスである。近年、ヒートパイプは、電子機器や医療機器などにおける高発熱電子部品用の冷却デバイスとして利用されている。
【0005】
昨今の電子機器や医療機器の小型化・高性能化に伴い、前記ヒートパイプなどの高発熱電子部品用の冷却デバイスは、電子デバイス設計において重要な技術の一つとなっている。特に、スマートフォンやタブレットPCでは、冷却デバイス用のスペースが限られており、高性能化に向けた高発熱密度の電子素子の使用に際し、前記冷却デバイスの小型化・効率化の実現は急務である。
【0006】
前記ヒートパイプ等の熱交換素子用の部材として、種々の材料やその製造方法が提案されている。例えば、三次元網目構造の骨格と空隙を有するシリカのモノリス型多孔体を熱輸送原理の中枢を担うウィックとして使用するヒートパイプ(特許文献2)が提案されている。また、前述のナノオーダーの粒子を用いた技術として、ヒートパイプを構成するパイプ部分の内側やウィックとしての役割をもたせるメッシュをシリカナノ流体に浸漬し、該ナノ流体を核沸騰させて、前記パイプ部分の内側(内壁)やメッシュ表面にナノ粒子層を形成するヒートパイプの製造方法が開示されている(特許文献3)。
【0007】
シリカゾルと金属基材を接触させ、その金属基材の表面近傍においてシリカゾルが核沸騰状態に保持された状態でコロイド状シリカ粒子を基材に付着させる方法が開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特表2012-514689号公報
特開2010-96405号公報
特開2020-067269号公報
国際公開第2022/265041号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ナノ粒子層を金属基材表面に形成することによる、ナノ粒子層を有する金属材料を製造する方法の提供を目的とする。
また、高い吸水性能を有するナノ粒子層を有することで毛管力による水の移動速度を高め、それにより、熱輸送効率の向上を図ったヒートパイプの構成部材として有用なナノ粒子層を有する金属材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は第1観点として、下記(a0)工程及び(b0)工程を含み、(a0)工程と(b0)工程がこの順にて逐次実施、又は、(a0)工程と(b0)工程が同時に実施される、ナノ粒子層を有する金属材料の製造方法であって、該方法は、下記方法1又は方法2を含む、ナノ粒子層を有する金属材料の製造方法。
方法1:(a0)工程と(b0)工程が、下記(条件1)を満たす方法、
方法2:(a0)工程と(b0)工程に続き、更に(c0)工程を行う方法、
(a0):平均粒子径(光散乱式粒子径)5nm~800nm、且つ、平均粒子径(光散乱式粒子径)と一次粒子径(BET法粒子径)との比(平均粒子径(光散乱式粒子径)/一次粒子径(BET法粒子径))が1.0~10.0であるコロイド状粒子を含む分散液と金属基材とを接触させる工程、
(b0):前記金属基材の表面近傍において前記分散液を核沸騰状態に保持する工程、
(条件1):前記(a0)工程及び(b0)工程が、加熱部と該加熱部に連なる沸騰部と該沸騰部に連なる凝縮部とを備える、金属基材にナノ粒子層を形成する装置において、沸騰部において該金属基材と分散液とを接触させ、凝縮部で液体を還流し、沸騰部に液体を戻すことからなる条件、
(c0):金属基材を前記分散液から取り出し、核沸騰以外で堆積した成分を除去する工程、
第2観点として、(c0)工程における核沸騰以外で堆積した成分の除去が、前記分散液から取り出した金属基材の表面付着水を吸い取る方法で行われるか、又は前記分散液から取り出した金属基材から表面付着水を吹き飛ばす方法で行われる第1観点に記載の金属材料の製造方法、
第3観点として、前記コロイド状粒子は、レーザー回折法による粒度分布測定値からそれぞれ求めた累積径に関して、
10%累積径(D
10
)に対する50%累積径(D
50
)の比 D
50
/D
10
が1.0以上2.5未満であり、且つ、
50%累積径(D
50
)に対する90%累積径(D
90
)の比 D
90
/D
50
が1.0以上2.5未満である、第1観点又は第2観点に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、
第4観点として、前記(a0)工程が、前記分散液に金属基材を浸漬する工程である、第1観点乃至第3観点の何れか一つに記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、
第5観点として、前記コロイド状粒子が、TiO
2
、ZrO
2
、ZnO、CuO、Al
2
O
3
、及びSiO
2
からなる群から選ばれる少なくとも一種の無機酸化物のコロイド状粒子である、第1観点乃至第4観点のうち何れか一つに記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、
第6観点として、前記金属材料が、ヒートパイプの構成部材である、第1観点乃至第5観点のうち何れか一つに記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、
第7観点として、前記ヒートパイプが、作動流体が封入されたコンテナおよび該コンテナ内に金属製ウィックを備える、第6観点に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、
第8観点として、作動流体が封入されたコンテナおよび該コンテナ内に金属製ウィックを備えたヒートパイプにおいて、前記金属材料が、該コンテナ内の壁面及び前記金属製ウィックの一方又は双方の構成部材である第6観点に記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法、及び
第9観点として、前記金属材料表面が、エッチング処理されてなる、第1観点乃至第8観点のうち何れか一つに記載のナノ粒子層を有する金属材料の製造方法である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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