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公開番号
2025115413
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-07
出願番号
2024009855
出願日
2024-01-26
発明の名称
建物の健全性評価システム
出願人
大成建設株式会社
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
G01M
99/00 20110101AFI20250731BHJP(測定;試験)
要約
【課題】各階層及び各部材ごとに、損傷の程度を評価して、建物の健全性を精度よく判定することができる、建物の健全性評価システムを提供する。
【解決手段】建物を模擬した立体骨組モデルを用いて静的増分解析を行い、応答値を算出する、静的増分解析部と、第1センサ及び第2センサと、地震情報から、1階と特定階の間の時刻歴相対変位波形と、当該時刻歴相対変位波形の最大ピーク値である最大相対変位と、を算出する、相対変位算出部と、特定階の1階に対する相対変位との差分が最小となるような解析ステップを、差分最小解析ステップとして同定する、解析ステップ同定部と、差分最小解析ステップでの応答値を基に、パラメータに関する時刻歴波形を推定する、時刻歴波形推定部と、階層及び部材の各々に対し、関連するパラメータの各々に対して推定された時刻歴波形を基に、損傷の程度を評価し、建物の健全性を判定する健全性判定部と、を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
建物の健全性を診断、評価する、建物の健全性評価システムであって、
前記建物を模擬した立体骨組モデルを用いて静的増分解析を行い、解析ステップごとに、各階層及び各部材の、解析対象となるパラメータの各々に対して、応答値を算出する、静的増分解析部と、
前記建物の1階と、上方の特定階の各々に設置され、前記1階と前記特定階の各々の地震情報を取得する、第1センサ及び第2センサと、
前記地震情報から、前記1階と前記特定階の間の時刻歴相対変位波形と、当該時刻歴相対変位波形の最大ピーク値である最大相対変位と、を算出する、相対変位算出部と、
前記最大相対変位と、前記静的増分解析の結果から得られる、前記特定階の前記1階に対する相対変位との差分が最小となるような前記解析ステップを、差分最小解析ステップとして同定する、解析ステップ同定部と、
前記階層及び前記部材の各々の、前記パラメータの各々に対し、前記差分最小解析ステップでの前記応答値を基に、前記時刻歴相対変位波形を調整して、当該パラメータに関する時刻歴波形を推定する、時刻歴波形推定部と、
前記階層及び前記部材の各々に対し、関連する前記パラメータの各々に対して推定された前記時刻歴波形を基に、損傷の程度を評価し、前記建物の健全性を判定する健全性判定部と、
を備えていることを特徴とする建物の健全性評価システム。
続きを表示(約 950 文字)
【請求項2】
前記第1センサ及び前記第2センサは、水平方向の前記地震情報を取得し、
前記静的増分解析部は、前記水平方向に沿った正方向と、当該正方向の反対を向く負方向の各々に対して前記静的増分解析を行って、前記解析ステップごとに、前記パラメータの各々の前記応答値を算出し、
前記相対変位算出部は、前記正方向と前記負方向の各々において、前記最大相対変位を算出し、
前記解析ステップ同定部は、前記正方向と前記負方向の各々において、当該方向における前記最大相対変位と、当該方向における前記特定階の前記1階に対する前記相対変位との前記差分が最小となるように、前記差分最小解析ステップを同定し、
前記時刻歴波形推定部は、前記階層及び前記部材の各々の、前記パラメータの各々に対し、前記時刻歴相対変位波形の位相を維持するとともに、前記正方向と前記負方向の各々において、前記時刻歴相対変位波形の前記最大相対変位が、前記差分最小解析ステップでの当該パラメータの前記応答値と一致するように、前記時刻歴相対変位波形を振幅の方向に伸縮させることで、当該パラメータに関する前記時刻歴波形を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の建物の健全性評価システム。
【請求項3】
前記パラメータは、解析対象が前記階層の場合は層間変形角または層塑性率であり、前記部材の場合は部材間変形角または部材塑性率であり、
前記時刻歴波形推定部は、解析対象が前記階層の場合は、前記時刻歴波形として、時刻歴層間変形角波形または時刻歴層塑性率波形を推定し、前記部材の場合は、時刻歴部材間変形角波形または時刻歴部材塑性率波形を推定し、
前記健全性判定部は、前記時刻歴層間変形角波形、前記時刻歴層塑性率波形、前記時刻歴部材間変形角波形、または前記時刻歴部材塑性率波形を基に、前記損傷の程度を評価し、
前記健全性判定部は、更に、前記パラメータが前記層塑性率または前記部材塑性率を含む場合には、前記層塑性率または前記部材塑性率を基に累積塑性変形倍率を計算し、当該累積塑性変形倍率を基に、前記損傷の程度を評価する
ことを特徴とする請求項2に記載の建物の健全性評価システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の健全性を診断、評価する、建物の健全性評価システムに関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
地震発生後に、建物を直接目視しなくとも、建物の被災度合い等の、建物の構造性能すなわち健全性を把握することができる建物の健全性評価システムが、種々提案されている。
例えば特許文献1には、多層構造の建物の観測層に設けられたセンサから得られる加速度データと観測層における損傷拡大の有無を示す損傷拡大情報とに基づいて、観測層における加速度データと観測層における損傷拡大の有無との関係を学習した建物損傷拡大検知モデルと、判定対象である判定層に設けられたセンサで取得された加速度データと、を用い、判定層における損傷拡大の有無を推定する構成の技術が開示されている。
特許文献1に開示されたような構成では、建物の観測層における損傷拡大の有無を推定することができるものの、建物の各階層を構成する部材単位までの詳細な健全性の判定を行うことができない。
【0003】
これに対し、特許文献2には、構造物の構造フレームを形成する複数の構造部材の接合部に振動センサを設置し、接合部と接合部を構成する複数の構造部材を部分構造として分割し、接合部に接合した各構造部材に設置した振動センサの検出情報を入力、接合部の振動センサを出力として、各部分構造の動特性の入出力関係に基づいて、部分構造を構成する構造部材の損傷の有無及び損傷の程度を検出する構成が開示されている。
特許文献2に開示されたような構成では、構造部材単位での詳細な健全性の判定を行うことができるが、構造部材の接合部の各々に振動センサを設置する必要がある。このため、多数の振動センサの設置が必要となり、構成が複雑となるので、実現が容易ではない。
【0004】
また、特許文献3には、建物の複数の位置に設けられた複数のセンサを備え、複数のセンサで測定される、建物に主要動の到達前から到達後までの建物への地震の影響に基づいて、各位置における地震の建物への影響を測定するが開示されている。この構成においては、複数のセンサの測定結果から変位量及び層間変形角を算出し、建物の階層ごと、及記建物の構造要素(部材)ごとに、建物の健全性を評価している。
特許文献3に開示されたような構成においても、部材単位での詳細な健全性の評価を行うことができるが、そのためには部材ごとにセンサを設置する必要がある。このため、多数のセンサの設置が必要となり、構成が複雑となるので、実現が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-8332号公報
特開2015-4526号公報
特許第6995792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、建物を構成する各階層及び各部材ごとに、損傷の程度を評価して、建物の健全性を精度よく判定することができ、かつ簡潔な構成で実現可能な、建物の健全性評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、建物の健全性を診断、評価する、建物の健全性評価システムであって、前記建物を模擬した立体骨組モデルを用いて静的増分解析を行い、解析ステップごとに、各階層及び各部材の、解析対象となるパラメータの各々に対して、応答値を算出する、静的増分解析部と、前記建物の1階と、上方の特定階の各々に設置され、前記1階と前記特定階の各々の地震情報を取得する、第1センサ及び第2センサと、前記地震情報から、前記1階と前記特定階の間の時刻歴相対変位波形と、当該時刻歴相対変位波形の最大ピーク値である最大相対変位と、を算出する、相対変位算出部と、前記最大相対変位と、前記静的増分解析の結果から得られる、前記特定階の前記1階に対する相対変位との差分が最小となるような前記解析ステップを、差分最小解析ステップとして同定する、解析ステップ同定部と、前記階層及び前記部材の各々の、前記パラメータの各々に対し、前記差分最小解析ステップでの前記応答値を基に、前記時刻歴相対変位波形を調整して、当該パラメータに関する時刻歴波形を推定する、時刻歴波形推定部と、前記階層及び前記部材の各々に対し、関連する前記パラメータの各々に対して推定された前記時刻歴波形を基に、損傷の程度を評価し、前記建物の健全性を判定する健全性判定部と、を備えていることを特徴とする建物の健全性評価システムを提供する。
上記のような構成によれば、建物を模擬した立体骨組モデルを用いて静的増分解析を行うことで、各階層及び各部材の、層間変形角、層塑性率、部材間変形角、部材塑性率等の、解析対象となるパラメータの各々に対して、応答値が、解析ステップごとに算出される。一方、建物の1階と、上方の特定階の各々に設置された第1センサ及び第2センサによって取得された、1階と特定階の各々の地震情報から、1階と特定階の間の時刻歴相対変位波形を算出し、当該時刻歴相対変位波形の最大ピーク値である最大相対変位を求める。そして、静的増分解析の結果から得られる、特定階の1階に対する相対変位と、最大相対変位との差分が最小となるような解析ステップを、差分最小解析ステップとして同定する。このようにして同定された差分最小解析ステップにおける、各パラメータの応答値は、静的増分解析の、複数の解析ステップにおける応答値の中で、実際に観測された地震情報に最も近い性状を示すものであると考えることができる。したがって、階層及び部材の各々の、パラメータの各々に対し、差分最小解析ステップでの応答値を基に、時刻歴相対変位波形を調整することで、当該パラメータに関する時刻歴波形を、精度よく推定することができる。このようにして、パラメータの各々に対して得られる時刻歴波形を基にして、建物の健全性を判定するため、建物の健全性の判定精度を高めることができる。
また、上記のような構成においては、部材ごとに、解析対象となるパラメータに関する時刻歴波形を推定することができるにもかかわらず、部材ごとにセンサを設けなくともよい。したがって、センサを、特段に多く必要としない。このため、構成を簡潔なものとすることができる。
このようにして、建物を構成する各階層及び各部材ごとに、損傷の程度を評価して、建物の健全性を精度よく判定することができ、かつ簡潔な構成で実現可能な、建物の健全性評価システムを提供することが可能となる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記第1センサ及び前記第2センサは、水平方向の前記地震情報を取得し、前記静的増分解析部は、前記水平方向に沿った正方向と、当該正方向の反対を向く負方向の各々に対して前記静的増分解析を行って、前記解析ステップごとに、前記パラメータの各々の前記応答値を算出し、前記相対変位算出部は、前記正方向と前記負方向の各々において、前記最大相対変位を算出し、前記解析ステップ同定部は、前記正方向と前記負方向の各々において、当該方向における前記最大相対変位と、当該方向における前記特定階の前記1階に対する前記相対変位との前記差分が最小となるように、前記差分最小解析ステップを同定し、前記時刻歴波形推定部は、前記階層及び前記部材の各々の、前記パラメータの各々に対し、前記時刻歴相対変位波形の位相を維持するとともに、前記正方向と前記負方向の各々において、前記時刻歴相対変位波形の前記最大相対変位が、前記差分最小解析ステップでの当該パラメータの前記応答値と一致するように、前記時刻歴相対変位波形を振幅の方向に伸縮させることで、当該パラメータに関する前記時刻歴波形を推定する。
上記のような構成によれば、静的増分解析を、水平方向に沿った正方向と、当該正方向の反対を向く負方向の各々に対して行うことで、正方向と負方向の各々において、解析ステップごとの、パラメータの各々の応答値が算出される。一方、第1センサ及び第2センサが取得した、水平方向の地震情報から、1階と特定階の間の時刻歴相対変位波形と、正方向と負方向の各々における最大相対変位を求める。そして、正方向において、正方向における最大相対変位と、正方向における特定階の1階に対する相対変位と、の差分が最小となるように、正方向における差分最小解析ステップを同定するとともに、負方向において、負方向における最大相対変位と、負方向における特定階の1階に対する相対変位と、の差分が最小となるように、負方向における差分最小解析ステップを同定する。このようにすることで、地震情報における、水平方向に沿った正方向と負方向の各々の性状が、例えば長期荷重や構造の非対称性等に起因して異なるような場合であっても、正方向と負方向の各々において、地震情報に最も近い性状を示す、静的増分解析の差分最小解析ステップを同定することができる。したがって、階層及び部材の各々の、パラメータの各々に対し、時刻歴相対変位波形の位相を維持するとともに、正方向と負方向の各々において、時刻歴相対変位波形の最大相対変位が、差分最小解析ステップでの当該パラメータの応答値と一致するように、時刻歴相対変位波形を振幅の方向に伸縮させることで、各パラメータに関する時刻歴波形を、高い精度で、推定することができる。これにより、建物の健全性の判定精度を高めることができる。
【0009】
本発明の別の態様においては、前記パラメータは、解析対象が前記階層の場合は層間変形角または層塑性率であり、前記部材の場合は部材間変形角または部材塑性率であり、前記時刻歴波形推定部は、解析対象が前記階層の場合は、前記時刻歴波形として、時刻歴層間変形角波形または時刻歴層塑性率波形を推定し、前記部材の場合は、時刻歴部材間変形角波形または時刻歴部材塑性率波形を推定し、前記健全性判定部は、前記時刻歴層間変形角波形、前記時刻歴層塑性率波形、前記時刻歴部材間変形角波形、または前記時刻歴部材塑性率波形を基に、前記損傷の程度を評価し、前記健全性判定部は、更に、前記パラメータが前記層塑性率または前記部材塑性率を含む場合には、前記層塑性率または前記部材塑性率を基に累積塑性変形倍率を計算し、当該累積塑性変形倍率を基に、前記損傷の程度を評価する。
上記のような構成によれば、解析対象が階層であっても部材であっても、解析対象となるパラメータに関する時刻歴波形を、適切に、推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建物を構成する各階層及び各部材ごとに、損傷の程度を評価して、建物の健全性を精度よく判定することができ、かつ簡潔な構成で実現可能な、建物の健全性評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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