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公開番号2025118467
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-13
出願番号2024016034
出願日2024-02-05
発明の名称高エントロピー合金およびその製造方法
出願人ポステック・リサーチ・アンド・ビジネス・ディベロップメント・ファウンデーション,POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
代理人個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250805BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】金属積層製造工程を用いて機械的特性に優れた高エントロピー合金およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態による高エントロピー合金は、柱状晶のFCC(Face-Centered Cubic)相と等軸晶のBCC(Body-Centered Cubic)相の二重相構造と、セル構造と、析出物とを含むことができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
柱状晶のFCC(Face-Centered Cubic)相と等軸晶のBCC(Body-Centered Cubic)相の二重相構造と、
セル構造と、
析出物とを含む、高エントロピー合金。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記セル構造は下記式1を満足する、請求項1に記載の高エントロピー合金。
[式1]
2≦(A-B)≦10
上記Aはセル外部のTi含量(at%)であり、
上記Bはセル内部のTi含量(at%)である。
【請求項3】
前記BCC相はFCC相結晶粒内部でデンドライト(dendrite)凝固組織に沿って形成された相で、マルテンサイト相である、請求項1に記載の高エントロピー合金。
【請求項4】
前記高エントロピー合金は高エントロピー合金全体100at%において、Ni:5~25at%、Mn:2.5~15.0at%、Co:2.5~15.0at%、Ti:0.25~5.0at%、Si:0.25~5.0at%、残部のFe、およびその他の不純物を含むものである、請求項1に記載の高エントロピー合金。
【請求項5】
前記セル構造はセル構造全体100at%において、Ni:5.0~25.0at%、Mn:2.5~15.0at%、Co:2.5~15.0at%、Ti:0~7.5at%、Si:0~5.0at%、残部のFe、およびその他の不純物を含むものである、請求項1に記載の高エントロピー合金。
【請求項6】
前記析出物は析出物全体100at%において、Ni:10.0~30.0at%、Mn:2.5~15.0at%、Co:2.5~15.0at%、Ti:10.0~30.0at%、Si:1.0~15.0at%、残部のFe、およびその他の不純物を含むものである、請求項1に記載の高エントロピー合金。
【請求項7】
前記セル構造は下記式2を満足するものである、請求項1に記載の高エントロピー合金:
[式2]
5≦(C-D)≦30
上記Cはセル外部のNi含量(at%)であり、
上記Dはセル内部のNi含量(at%)である。
【請求項8】
前記セル構造は下記式3を満足するものである、請求項1に記載の高エントロピー合金:
[式3]
2≦(E-F)≦10
上記Eはセル外部のCo含量(at%)であり、
上記Fはセル内部のCo含量(at%)である。
【請求項9】
前記析出物は下記式4を満足するものである、請求項1に記載の高エントロピー合金:
[式4]
2≦(I-J)≦10
上記Iは析出物外部のMn含量(at%)であり、
上記Jは析出物内部のMn含量(at%)である。
【請求項10】
前記析出物は下記式5を満足するものである、請求項1に記載の高エントロピー合金:
[式5]
2≦(K-L)≦10
上記Kは析出物外部のCo含量(at%)であり、
上記Lは析出物内部のCo含量(at%)である。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高エントロピー合金およびその製造方法に関し、さらに具体的に金属積層製造工程を用いて機械的特性に優れた高エントロピー合金およびその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
一般的な金属合金は主元素と少量の合金元素から構成されており、合金元素を添加するほど金属間化合物が形成される可能性が増加し、前記金属間化合物は材料に脆性を誘発させることのように機械的性質をぜい弱にすることがあるという問題がある。
高エントロピー(High-Entropy Alloy、HEA)合金は5種類以上の多数の元素が主要元素として作用する合金であって高い混合エントロピーを有する。
高いエントロピーによってギブズ自由エネルギー(Gibbs Free Energy)が低まって金属間化合物が形成されず軟性に優れた面心立方格子(Face-Centered Cubic、FCC)、体心立方格子(Body-Centered Cubic、BCC)、または六方晶系(Hexagonal Close-Packed、HCP)単相から構成される。
【0003】
前記高エントロピー合金は多様な分野で高い強度と延伸率を有するだけでなく、高温抵抗性および耐食性のような特性で優れた性質を示して、既存素材の限界を克服することができる素材として研究が活発に行われている。
前記高エントロピー合金は少なくとも一つの主要元素(Major Element)を含み少量の不純物を含む伝統的な合金の概念から逸脱して多数の構成元素が類似の割合で合金化される多元素合金である。高エントロピー合金は合金内の混合エントロピーが高くて金属間化合物(Intermetallics)が形成されず、単相(Single-Phase)または二重相(Dual-Phase)組織を有する。特に、前記面心立方構造単相を有するFCC系高エントロピー合金は77K程度の低温で優れた塑性硬化および優れた引張強度と延伸率の組み合わせで極低温用構造用金属素材として脚光を浴びている。
しかし、前記FCC系高エントロピー合金は極低温で優れた引張特性を示すが、常温では低い降伏強度を示す。これは前記FCC系高エントロピー合金の活用領域を局限させる問題がある。
【0004】
これを解決するために、最近、前記FCC系高エントロピー合金に組成を調節するかまたは特定合金元素を添加した合金が製造された。特定合金元素を添加して相安定性(Phase Stability)を調節しマルテンサイト相変態(Martensitic Transformation)を誘導するかまたは熱処理工程を用いてFCCマトリックス(Matrix)に二次相(Secondary Phase)を析出させて合金の降伏強度を向上させる試みが行われている。
このような合金は合金の降伏強度を発展させるが、脆性のマルテンサイトと析出された金属間化合物が塑性変形を制限し既存のFCC系高エントロピー合金が有する優れた塑性硬化および延伸率を減少させるため高エントロピー合金の産業化と密接な連関がある加工性を阻害する問題がある。
【0005】
これを解決するためには、加工性に拘らない製造工程を通じて脆性のマルテンサイトと金属間化合物分率が適切に制御されたエントロピー合金を通じて優れた機械的特性を実現することが必要である。
ヘテロ構造材料(Heterostructured material)は、微細組織学的特徴が異なる二つの領域を意図的に連結した材料であって、同一成分の構成材料を有しても優れた機械的性質を得ることができる微細組織の材料として多くの関心を受けている。この時、前記二つの領域は例えば、軟らかい領域(soft domain)と硬い領域(hard domain)であり得る。
ヘテロ構造強化(Heterogenous deformation induced strengthening)は、二つの領域の境界で転位を通じて変形率差を受容する。即ち、結果的に境界に形成された幾何学的必須転位(Geometrically Necessary Dislocation:GND)は追加的な後方転位を形成することによって強度と延伸率を同時に向上させることができる。
前述のヘテロ構造材料はこのような幾何学的必須転位を多量で発生させて材料の強度と軟性の排他性(tradeoff)を克服することができるのが明らかになって多くの注目を浴びており、このようなヘテロ構造材料を製造するための工程研究が活発に行われている。
【0006】
金属3Dプリンティング(Metal 3D printing)または金属積層製造(Metal additive manufacturing)工程は、金属粉末、金属フィラメントのような金属基盤材料を積み重ねて3次元形状の部品を生産することができる技術であって、積層製造工程は既存の部品加工工程と比較した時、工程段階が画期的に短縮された技術である。その中でも直接エネルギー蒸着(Direct Energy Deposition、DED)工程は、ターゲット位置に金属粉末供給と同時にレーザー熱源で溶融して積層し、これを繰り返して3次元形状に近い部品を生産する技術である。
【0007】
本発明では、優れた塑性硬化および延伸率を示す高エントロピー合金の製造のために、前述の積層製造工程を通じて高エントロピー合金をヘテロ構造材料として製造する方法を研究して本発明を完成した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
E.S. Kim et al., J. Alloys Compd., Vol. 942, 169062 (2023)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、BCCマルテンサイトと析出相形成で多重ヘテロ構造を形成し、これによって常温で優れた降伏強度と延伸率を有し、変形間に変態誘起塑性(Transformation-Induced Plasticity)を通じて追加的に優れた引張強度および延伸率を有して常温で優れた機械的特性を有する高エントロピー合金を提供することができる。
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、高エントロピー合金の積層製造単一工程で既存の熱処理および剛塑性加工工程なく前述の利点を有する高エントロピー合金を製造する方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態による高エントロピー合金は、柱状晶のFCC(Face-Centered Cubic)相と等軸晶のBCC(Body-Centered Cubic)相の二重相構造と、セル構造と、析出物とを含む高エントロピー合金であってもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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