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公開番号2025122015
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-20
出願番号2025079628,2024001990
出願日2025-05-12,2021-02-05
発明の名称BRD4蛋白質分解誘導作用を有するスルホンアミドあるいはスルフィンアミド化合物を製造するための化合物
出願人田辺三菱製薬株式会社
代理人弁理士法人 津国
主分類C07D 495/14 20060101AFI20250813BHJP(有機化学)
要約【課題】BRD4蛋白質分解誘導作用に優れ、がんの治療剤として有用な化合物又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>JPEG</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025122015000504.jpg</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">58</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">130</com:WidthMeasure> </com:Image>
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
式(20-1):
JPEG
2025122015000475.jpg
47
53
で表される化合物の、縮合剤、及び塩基の存在下、式(20-2):
JPEG
2025122015000476.jpg
44
53
で表される化合物又はその塩酸塩と反応させることにより、式(I):
JPEG
2025122015000477.jpg
58
130
で表される化合物又はその医薬的に許容される塩を製造するための、使用であって、
前記式中、
Aは、芳香族炭化水素環、酸素、硫黄及び窒素から選択される原子を1~3個含む5~6員の芳香族複素環及びシクロアルカン環から選択される環を示し、
該環は、
ハロゲン原子;
ヒドロキシ基;
シアノ基;
ヒドロキシカルボニル基;
オキソ基;
チオキソ基;
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルキル基;
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルコキシ基;
ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルコキシカルボニル基;
-CO-N(R
7a
)(R
7b
);
-N(R
7a
)(R
7b
);並びに
-N(R
7c
)-CO-R
7d

から選択される基で置換されていても良く、
部分構造:
JPEG
2025122015000478.jpg
27
25
が、下記式:
JPEG
2025122015000479.jpg
37
40
[式中、


は、水素原子;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;を示し、

a’
は、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;シアノ基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルコキシカルボニル基;又は-CO-N(R
7a
)(R
7b
)を示し、

a’’
は、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルコキシカルボニル基;又は-CO-N(R
7a
)(R
7b
)を示す。]
で示され、

Z3
は、水素原子;ハロゲン原子;ヒドロキシ基;シアノ基;ヒドロキシカルボニル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いシクロアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルコキシ基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルコキシカルボニル基;から選択される基を示し、

Z4
及びR
Z5
が互いに独立して、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びシアノ基から選択される基で置換されていても良いアルコキシ基;から選択される基を示し、
続きを表示(約 5,200 文字)【請求項2】
前記式中、
Aが、ベンゼン環;ピリジン環;並びにシクロアルカン環から選択される環であり、


が、水素原子;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基であり、

a’
が、水素原子;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基であり、

a’’
が、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;又はシアノ基であり、

Z3
が、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いシクロアルキル基;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルコキシ基;であり、

Z4
及びR
Z5
が互いに独立して、水素原子;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;であり、
部分構造:
JPEG
2025122015000486.jpg
27
26
が、下記式(Ea):
JPEG
2025122015000487.jpg
39
29
であり、
Lが、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキニレン基;a)ハロゲン原子、b)ヒドロキシ基、c)シアノ基、d)ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基、並びにe)ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルコキシ基、から選択される置換基で置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良い、窒素原子を1つ含有する2価の脂肪族複素環基;並びに一部水素化されていても良い、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される原子を1~2個含有する2価の芳香族複素環基;から選択される基であり、
該芳香族複素環基はハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基及びオキソ基から選択される置換基で置換されていても良く、
Tが、-CO-NR
7c
-を示し、
Mが、単結合であるか、
-R
7r
-O-;-R
7r
-NR
7a
-;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキレン基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキニレン基;並びに、2価の脂肪族複素環基;から選択される基であり、

6a
及びR
6b
が互いに独立して、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;及びハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;から選択される基であり、

7a
及びR
7b
が、互いに独立して水素原子;又はハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基であり、

7c
が水素原子であり、

7d
がハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基であり、

7r
がハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキレン基であり、

8a
及びR
8b
が何れも水素原子であり、

9a
及びR
9b
が、互いに独立してハロゲン原子、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基であり、

10a
が水素原子;並びにハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、-NH-CO-OR
7d
、-CO-N(R
7a
)(R
7b
)、アルコキシカルボニル基及びヒドロキシカルボニル基から選択される置換基で置換されていても良いアルキル基;から選択される基であり、
【請求項3】
前記式中、


が、水素原子;又はアルキル基であり、

a’
が、水素原子;又はアルキル基であり、

a’’
が、水素原子;ハロゲン原子;アルキル基;又はシアノ基であり、

Z3
が、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ハロゲン原子及びヒドロキシ基から選択される1~3つの置換基で置換されていても良いアルキル基;シクロアルキル基;又はアルコキシ基;であり、

Z4
及びR
Z5
が互いに独立して、水素原子;又はアルキル基;であり、
部分構造:
JPEG
2025122015000488.jpg
27
26
が、下記式(Ea):
JPEG
2025122015000489.jpg
39
29
であり、
Lが、アルキニレン基;ハロゲン原子、ヒドロキシ基、1~3個のハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、並びにアルコキシ基、から選択される1~2個の置換基で置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基;窒素原子を1つ含有する2価の脂肪族複素環基;並びに一部水素化されていても良い、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される原子を1~2個含有する2価の芳香族複素環基;から選択される基であり、
該芳香族複素環基は、一部水素化された、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される原子を1~2個含有する2価の芳香族複素環基であるとき、オキソ基で置換されていても良く、
Tが、-CO-NR
7c
-であり、
Mが、単結合であるか、
-R
7r
-O-;-R
7r
-NR
7a
-;1個のヒドロキシ基で置換されていても良いアルキレン基;アルキニレン基;並びに、2価の脂肪族複素環基;から選択される基であり、

6a
及びR
6b
が互いに独立して、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;及びアルキル基;から選択される基であり、

7a
及びR
7b
が、互いに独立して水素原子;又はアルキル基であり、

7c
が水素原子であり、

7d
がアルキル基であり、

7r
がアルキレン基であり、

8a
及びR
8b
が何れも水素原子であり、

9a
及びR
9b
が、互いに独立して1個のヒドロキシ基で置換されていても良いアルキル基であり、

10a
が水素原子;並びに-NH-CO-OR
7d
、-CO-N(R
7a
)(R
7b
)、シアノ基、アルコキシカルボニル基及びヒドロキシカルボニル基から選択される1個の置換基で置換されていても良いアルキル基;から選択される基であり、

10b
【請求項4】
前記式中、
Aが、ベンゼン環であり、


が、水素原子であり、

10a
が、1個のアルコキシカルボニル基で置換されていても良いアルキル基であり、
Lが、ハロゲン原子、1~3個のハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、並びにアルコキシ基、から選択される1~2個の置換基で置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基;並びに一部水素化されていても良い、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される原子を1~2個含有する2価の芳香族複素環基;から選択される基であり、
Mが、ヒドロキシ基及びシアノ基から選択される1個の置換基で置換されていても良いアルキレン基である、
請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記式中、

a’
が、水素原子であり、

a’’
が、シアノ基であり、

Z3
が、1~3個のハロゲン原子またはヒドロキシ基で置換されていても良いアルキル基;又はアルコキシ基;であり、

Z4
が水素原子であり、

Z5
が水素原子である、
請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記式中、

8a
及びR
8b
が何れも水素原子であり、

9a
及びR
9b
が、互いに独立して1個のヒドロキシ基で置換されていても良いアルキル基であり、

10a
が、1個のアルコキシカルボニル基で置換されていても良いアルキル基であり、

10b
が水素原子であり、

11
がアルキル基である、
請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記式中、
Lがハロゲン原子及びアルキル基から選択される1~2個の置換基で置換されていても良いフェニレン基;又はピラジンジイル基;であり、
Tが-CO-NR
7c
-であり、R
7c
が水素原子であり、
Mが-CH

-又は-CH(CH

)-である、
請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式(20-1)で表される化合物が、式(C-1):
TIFF
2025122015000490.tif
52
161
[式中、P

は、カルボン酸の保護基であり、その他の各記号は、前記と同義である。]
で表される化合物の保護基P

を除去することで得られる、
請求項1に記載の使用。
【請求項9】
式(20-1)又は式(C-1)で表される化合物が、式:
JPEG
2025122015000491.jpg
35
39
で表される化合物、式:
TIFF
2025122015000492.tif
47
161
で表される化合物、式:
TIFF
2025122015000493.tif
47
161
で表される化合物、及び式:
JPEG
2025122015000494.jpg
40
53
で表される化合物からなる群より選択される、請求項1又は8に記載の使用。
【請求項10】
式(20-2)で表される化合物又はその塩酸塩が、式:
JPEG
2025122015000495.jpg
44
50
で表される化合物、式:
JPEG
2025122015000496.jpg
53
57
で表される化合物、及び式:
JPEG
2025122015000497.jpg
49
53
で表される化合物からなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、がん細胞に対する細胞傷害作用、がん細胞におけるBRD4蛋白質の分解を誘導する作用、およびBRD4蛋白質とアセチル化ヒストンとの結合阻害作用に優れ、抗がん剤、BRD4蛋白質の分解誘導剤及びBRD4蛋白質阻害剤として有用なスルホンアミドあるいはスルフィンアミド化合物又はその医薬的に許容される塩、並びにそれらを製造するための化合物に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
真核生物のDNAは、クロマチン構造を形成して核内に収納されている。その構成単位であるヌクレオソームは、4種類のヒストン、H2A、H2B、H3、H4の各2分子ずつで形成されるヒストン8量体にDNAが巻きついた構造をしている。ヒストンのN末端側の数十残基はヒストンテールと呼ばれ、アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化といった様々な翻訳後修飾が存在している。そのヒストンコードとも呼ばれる翻訳後修飾は、DNA上の遺伝情報を「いつ」あるいは「どこで」発現するかを決めるエピジェネティックな遺伝子発現の制御を担う機構の1つとなっている。ヒストン修飾は可逆的であり、ヒストンに修飾基を書き込む修飾酵素(writer)、修飾基を外す脱修飾酵素(eraser)、および修飾されたヒストンを特異的に読み取るヒストンリーダー(reader)により機能的に制御されている。こうした制御機構が、個体発生や細胞分化に大きく貢献すると同時に、エピジェネティクスの異常がさまざまな疾病に関与していることが知られている。
【0003】
ブロモドメインは、ヒストンのアセチル化リジンを認識する約110アミノ酸からなるreader蛋白質である。ブロモドメインを保有している蛋白質は、これまでに約50種類ほどが知られており、ヒストンのアセチル化リジンに結合することで各種の転写因子の足場蛋白質として機能すると共に、自身のヒストンアセチル化転移酵素活性やキナーゼ活性を介してクロマチンの再構成および転写調節を担うなど、細胞内で様々な機能を発揮している。ブロモドメイン保有蛋白質のBET(bromodomain and extraterminal)ファミリー蛋白質(本明細書及び特許請求の範囲において、BET蛋白質と表記することがある。)に含まれるBRD2、BRD3、BRD4およびBRDTは、ファミリー内で保存度の高いN末端側の2つのブロモドメインとC末端側のExtra C-Terminalドメインを保有しており、それぞれのBET蛋白質は独自にも、協同的にも機能していることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
BETファミリー蛋白質の中でもBRD4は、がん原遺伝子であるc-MYCの発現を制御していること(非特許文献2)、また、様々ながん腫、例えば、胃がん(非特許文献3)、卵巣がん(非特許文献4)、肺がん(非特許文献5)、肝臓がん(非特許文献6)、尿路上皮がん(非特許文献7)、精巣腫瘍(非特許文献8)、皮膚がん(非特許文献9)、前立腺がん(非特許文献10)、乳がん(非特許文献11)、大腸がん(非特許文献12)および白血病(非特許文献13)で予後との相関が報告されていることから、がん治療における創薬の標的として期待されている。
【0005】
これまでに、BRD4を標的とした抗がん剤として、BRD4のヒストンへの結合を阻害するBRD4阻害剤が臨床開発されている(非特許文献14)。しかし、BRD4阻害剤は、BRD4の蓄積を引き起こすために十分な効果を示さないこと(非特許文献15)、また、BRD4の発現を安定化させる蛋白質やBRD4を介した転写活性をブロモドメイン非依存的に向上させる蛋白質の発現により耐性が獲得されることから(非特許文献16、17)、新たな手段によるBRD4を標的とした抗がん剤の開発が求められている。
【0006】
近年、ユビキチンリガーゼ活性を持つE3リガーゼ[Von Hippel-Lindau (VHL)、Cereblon(CRBN)、Cellular Inhibitor of Apoptosis Protein 1 (cIAP1)]に対するリガンドと、
標的蛋白質に結合するバインダーを連結させた化合物を用いて、細胞内でE3リガーゼと標的蛋白質の人工複合体を形成させ、細胞内の蛋白質分解機構であるユビキチン-プロテアソーム系を利用することで標的蛋白質の分解を誘導する技術(ケミカルノックダウン)が新たな創薬技術として注目されている(非特許文献18)。これまでに、本技術を利用したBRD4蛋白質分解誘導剤として、VHLに対するリガンドを利用したARV-771や、CRBNに対するリガンドを利用したARV-825などが報告されている(非特許文献15、19)。
【0007】
がん化学療法において、治療開始時から抗がん剤に無効である自然耐性や抗がん剤を長期に連用するとその効果が低下する獲得耐性の出現は大きな問題となっている(非特許文献20)。この抗がん剤に対する耐性の克服は、がん化学療法の治療成績向上につながることが期待され、これまでに様々な耐性機構の存在が明らかにされてきた(非特許文献20)。BRD4蛋白質分解誘導剤については、蛋白質分解作用をもたらすE3リガーゼVHLあるいはCRBNの複合体の機能異常によってがん細胞に獲得耐性が誘導されることが報告されている(非特許文献21)。また、VHL遺伝子の変異が起因となる腎細胞がんなどの腫瘍では(非特許文献22)、VHLに対するリガンドを利用したBRD4蛋白質分解誘導剤に自然耐性を示すと考えられ、従来のBRD4蛋白質分解誘導剤の耐性を克服する、新たなE3リガーゼに対するリガンドを利用した新規BRD4蛋白質分解誘導剤の開発が望まれる。近年、新たなE3リガーゼに対するリガンドと、標的蛋白質に対するバインダーを結合させた標的蛋白質分解誘導化合物が多く報告されている(非特許文献23)。例えば、新たにE3リガーゼDCAF15を利用したBRD4蛋白質分解誘導剤が報告されている(非特許文献24)。しかし、そのBRD4蛋白質分解誘導作用および細胞傷害作用は十分とは言い難い。E3リガーゼに対するリガンドと標的蛋白質に対するバインダーとの組合せは現在のところ限られており(非特許文献23)、BRD4蛋白質に対するバインダーに対し、抗がん剤として十分なBRD4蛋白質分解誘導作用および細胞傷害作用を示すための適切なE3リガーゼに対するリガンドおよびリンカー構造の組み合わせを見出すことが求められる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、E3リガーゼDCAF15に対するリガンドを利用した、BRD4蛋白質分解誘導作用に優れ、がんの治療剤として有用な化合物又はその医薬的に許容される塩を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、E3リガーゼDCAF15に対するリガンドを利用した、BRD4蛋白質分解誘導作用を有する化合物を見出し、がんの治療剤を提供し得ることを見出し、特にDCAF15に対するリガンドに至適なリンカー構造を見出す事によって本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(【0011】以降は省略されています)

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