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公開番号
2025123668
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-25
出願番号
2024019270
出願日
2024-02-13
発明の名称
環境由来核酸回収装置および環境由来核酸回収方法
出願人
株式会社豊田中央研究所
代理人
個人
,
個人
主分類
C12M
1/26 20060101AFI20250818BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】比較的広い範囲から、回収物に含まれる環境由来核酸の偏りを抑えつつ環境由来核酸を回収する。
【解決手段】環境中から環境由来核酸を回収するための環境由来核酸回収装置は、加圧した空気を放出するための送風口が形成された送風管と、送風管に空気を取り込むための吸気口と、を備える送風流路と、外気を取り込む吸入口が形成されると共に、取り込んだ外気中の核酸含有堆積物が付着される捕集部を備える吸入管と、捕集部を経由した外気を排出する排気口と、を備える吸入流路と、送風圧を前記送風流路で発生させると共に、吸入圧を吸入流路で発生させる加圧機構と、送風の動作と吸入の動作とを切り替える切り替え部と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
環境中から環境由来核酸を回収するための環境由来核酸回収装置であって、
加圧した空気を放出するための開口である送風口が形成された送風管と、前記送風管に空気を取り込むための吸気口と、を備える送風流路と、
外気を取り込むための開口である吸入口が形成されると共に、取り込んだ外気中に存在する環境由来核酸を含む核酸含有堆積物が付着される捕集部を備える吸入管と、前記捕集部を経由した外気を前記環境由来核酸回収装置から排出するための排気口と、を備える吸入流路と、
前記送風口から空気を放出するための送風圧を前記送風流路で発生させると共に、前記吸入口から外気を取り込むための吸入圧を前記吸入流路で発生させる加圧機構と、
前記送風流路を用いた送風の動作と前記吸入流路を用いた吸入の動作とを切り替える切り替え部と、
を備える環境由来核酸回収装置。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の環境由来核酸回収装置であって、
前記送風管において、前記送風口に近接して設けられ、前記送風口から前記送風管への空気の流入を遮断する遮断部を備える
環境由来核酸回収装置。
【請求項3】
請求項2に記載の環境由来核酸回収装置であって、
前記遮断部は、前記送風管を閉塞状態にする位置と非閉塞状態にする位置との間で移動可能な遮蔽板を備え、前記遮蔽板が、前記非閉塞状態にする位置から前記閉塞状態にする位置に移動することによって、前記送風口から前記送風管への空気の流入を遮断する
環境由来核酸回収装置。
【請求項4】
請求項1に記載の環境由来核酸回収装置であって、
前記捕集部は、前記吸入管を塞ぐように配置されて、前記吸入管に取り込んだ外気を透過させると共に前記核酸含有堆積物を捕集するフィルタである
環境由来核酸回収装置。
【請求項5】
請求項1に記載の環境由来核酸回収装置であって、
前記送風管および前記吸入管は、前記加圧機構が配置された前記環境由来核酸回収装置の本体部から同じ向きに延びるように形成され、
前記送風管は、前記吸入管よりも長く形成されており、前記送風口は、前記吸入口に比べて前記本体部から離間した位置で開口している
環境由来核酸回収装置。
【請求項6】
環境中から環境由来核酸を回収するための環境由来核酸回収方法であって、
環境中の核酸を回収する対象として、地表および物表面のうちの少なくとも一方を含む回収対象区域を設定し、
加圧した空気を放出する送風装置を前記回収対象区域の表面から離間して配置して、前記送風装置を用いて前記回収対象区域の表面に対して送風することによって、前記回収対象区域の表面に存在する前記環境由来核酸を含む核酸含有堆積物を巻き上げ、
前記送風装置を用いた送風の停止後、前記送風装置とは異なる装置であって外気を吸入する吸引装置を前記回収対象区域の表面から離間して配置して、前記吸引装置を用いて、前記送風装置によって巻き上げた前記核酸含有堆積物を吸入すると共に、吸入した前記核酸含有堆積物を、前記吸引装置が備える捕集部に付着させ、
前記捕集部から前記核酸含有堆積物を回収する
環境由来核酸回収方法。
【請求項7】
請求項6に記載の環境由来核酸回収方法であって、
前記送風装置は、空気を放出する送風口が先端で開口する送風管を備え、
前記送風装置を用いた送風によって前記核酸含有堆積物を巻き上げた後であって、前記吸引装置を用いた吸入の開始前に、前記送風口を介した前記送風管への空気の流入を遮断する
環境由来核酸回収方法。
【請求項8】
請求項6に記載の環境由来核酸回収方法であって、
前記回収対象区域の表面に対して送風する角度は、前記表面に対して80°以上100°以下である
環境由来核酸回収方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、環境由来核酸回収装置および環境由来核酸回収方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
環境中に存在する生物種を調査あるいはモニタリングする方法として、環境中から生物由来核酸を回収し、回収した核酸を解析して、この核酸が由来する生物種を特定する方法が挙げられる。生物由来核酸とは、生物の遺伝情報を含み、生物から環境中へと放出された核酸であり、環境中に存在する核酸、すなわち環境由来核酸に含まれる。
【0003】
環境中の生物由来核酸や微生物等を回収する方法として、特許文献1には、空気中の微生物エアロゾル(空中浮遊微生物)を疑似培地に捕集して回収する方法が開示されている。また、特許文献2および非特許文献1には、空気を採取して、細菌やウイルスなどを含む空気浮遊微粒子を取り出す方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2009-55790号公報
米国特許出願公開第2008/0105034号明細書
【非特許文献】
【0005】
Lewis Cuthbertson et al., Characterisation of Arctic Bacterial Communities in the Air above Svalbard, Biology(Basel), 2017 Jun;6(2):29. Published online 2017 May 6. doi: 10.3390/biology602009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2、および非特許文献1に開示されるように、空気中からサンプリングする場合には、空気中に浮遊していない生物由来核酸等を回収することは困難であり、調査対象の環境中に存在する生物種を十分に調査できない可能性がある。これに対して、例えば地表や物の表面などから環境由来核酸を回収する場合には、空気中から落下した浮遊物を含む種々の堆積物等を集めることができる。環境由来核酸を回収するためには、比較的広い範囲から、回収物に含まれる環境由来核酸の偏りを抑えつつ環境由来核酸を回収することが望まれるが、表面堆積物としての環境由来核酸の回収に関して、上記を満たすような技術については十分な検討がされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、環境中から環境由来核酸を回収するための環境由来核酸回収装置が提供される。この環境由来核酸回収装置は、加圧した空気を放出するための開口である送風口が形成された送風管と、前記送風管に空気を取り込むための吸気口と、を備える送風流路と、外気を取り込むための開口である吸入口が形成されると共に、取り込んだ外気中に存在する環境由来核酸を含む核酸含有堆積物が付着される捕集部を備える吸入管と、前記捕集部を経由した外気を前記環境由来核酸回収装置から排出するための排気口と、を備える吸入流路と、前記送風口から空気を放出するための送風圧を前記送風流路で発生させると共に、前記吸入口から外気を取り込むための吸入圧を前記吸入流路で発生させる加圧機構と、前記送風流路を用いた送風の動作と前記吸入流路を用いた吸入の動作とを切り替える切り替え部と、を備える。
この形態の環境由来核酸回収装置によれば、吸引によって核酸含有堆積物を回収するため、比較的広い範囲から核酸含有堆積物を回収することが容易になる。そして、送風口から加圧した空気を放出して核酸含有堆積物を巻き上げた後に、巻き上げた核酸含有堆積物を吸入口から吸入して捕集部で捕集することができるため、比較的大きな(重い)堆積物が回収されることを抑えることができる。その結果、比較的大きな堆積物の回収に起因して回収物に含まれる環境由来核酸が偏ることを抑えることができる。
(2)上記形態の環境由来核酸回収装置において、前記送風管において、前記送風口に近接して設けられ、前記送風口から前記送風管への空気の流入を遮断する遮断部を備えることとしてもよい。このような構成とすれば、送風の動作の停止後に送風口から送風管内に核酸含有堆積物が侵入することを妨げることができ、送風管内に侵入した核酸含有堆積物に起因するコンタミネーションを抑えることができる。
(3)上記形態の環境由来核酸回収装置において、前記遮断部は、前記送風管を閉塞状態にする位置と非閉塞状態にする位置との間で移動可能な遮蔽板を備え、前記遮蔽板が、前記非閉塞状態にする位置から前記閉塞状態にする位置に移動することによって、前記送風口から前記送風管への空気の流入を遮断することとしてもよい。このような構成とすれば、遮蔽板の移動という簡便な構成により、送風管内への核酸含有堆積物の侵入を容易に抑えることができる。
(4)上記形態の環境由来核酸回収装置において、前記捕集部は、前記吸入管を塞ぐように配置されて、前記吸入管に取り込んだ外気を透過させると共に前記核酸含有堆積物を捕集するフィルタであることとしてもよい。このような構成とすれば、核酸含有堆積物をフィルタに付着させるという簡便な構成により、核酸含有堆積物を回収することができる。
(5)上記形態の環境由来核酸回収装置において、前記送風管および前記吸入管は、前記加圧機構が配置された前記環境由来核酸回収装置の本体部から同じ向きに延びるように形成され、前記送風管は、前記吸入管よりも長く形成されており、前記送風口は、前記吸入口に比べて前記本体部から離間した位置で開口していることとしてもよい。このような構成とすれば、核酸含有堆積物が堆積する箇所に送風口を十分に近づけて送風を効率よく行うことができると共に、核酸含有堆積物が堆積している表面と吸入口との距離を十分に確保して、望ましくない程度に大きな堆積物を吸入して回収することを抑えることができる。
(6)本開示の他の一形態によれば、環境中から環境由来核酸を回収するための環境由来核酸回収方法が提供される。この環境由来核酸回収方法は、環境中の核酸を回収する対象として、地表および物表面のうちの少なくとも一方を含む回収対象区域を設定し、加圧した空気を放出する送風装置を前記回収対象区域の表面から離間して配置して、前記送風装置を用いて前記回収対象区域の表面に対して送風することによって、前記回収対象区域の表面に存在する前記環境由来核酸を含む核酸含有堆積物を巻き上げ、前記送風装置を用いた送風の停止後、前記送風装置とは異なる装置であって外気を吸入する吸引装置を前記回収対象区域の表面から離間して配置して、前記吸引装置を用いて、前記送風装置によって巻き上げた前記核酸含有堆積物を吸入すると共に、吸入した前記核酸含有堆積物を、前記吸引装置が備える捕集部に付着させ、前記捕集部から前記核酸含有堆積物を回収する。
この形態の環境由来核酸回収方法によれば、吸引によって核酸含有堆積物を回収するため、比較的広い範囲から核酸含有堆積物を回収することが容易になる。そして、加圧した空気を放出して核酸含有堆積物を巻き上げた後に、巻き上げた核酸含有堆積物を吸入して捕集部で捕集することができるため、比較的大きな(重い)堆積物が回収されることを抑えることができる。その結果、比較的大きな堆積物の回収に起因して回収物に含まれる環境由来核酸が偏ることを抑えることができる。
(7)上記形態の環境由来核酸回収方法において、前記送風装置は、空気を放出する送風口が先端で開口する送風管を備え、前記送風装置を用いた送風によって前記核酸含有堆積物を巻き上げた後であって、前記吸引装置を用いた吸入の開始前に、前記送風口を介した前記送風管への空気の流入を遮断することとしてもよい。このような構成とすれば、送風の動作の停止後に送風装置内に核酸含有堆積物が侵入することを妨げることができ、送風装置内に侵入した核酸含有堆積物に起因するコンタミネーションを抑えることができる。
(8)上記形態の環境由来核酸回収方法において、 前記回収対象区域の表面に対して送風する角度は、前記表面に対して80°以上100°以下であることとしてもよい。このような構成とすれば、送風を行う際に、送風によって核酸含有堆積物を吹き飛ばして離散させるのではなく、上方に巻き上げる効率を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、環境由来核酸回収アタッチメントや、地表堆積物の回収方法や、環境由来核酸の解析方法や、環境由来核酸のモニタリング方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
環境由来核酸回収装置の外観を模式的に表す説明図。
環境由来核酸回収装置の構成の概略を模式的に表す説明図。
吸入管および送風管を先端側から見た様子を表す斜視図。
環境由来核酸を回収する方法を表すフローチャート。
環境由来核酸を回収する方法の主要な工程の様子を示す説明図。
環境由来核酸回収装置の構成の概略を模式的に表す説明図。
環境DNAサンプルを解析した解析結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
(A-1)環境由来核酸回収装置の構成:
図1は、第1実施形態の環境由来核酸回収装置10の外観を模式的に表す説明図であり、図2は、環境由来核酸回収装置10の内部構成を含めた構成の概略を模式的に表す説明図である。環境由来核酸回収装置10は、屋内外に存在する物の表面や屋外の地面などから、環境由来核酸を含む核酸含有堆積物を回収するための装置である。本実施形態の環境由来核酸回収装置10は、加圧した空気を放出する送風装置と外気を吸入する吸引装置の双方を備える装置である。
【0010】
環境由来核酸回収装置10は、本体部12と、吸入管20と、送風管40と、を備える。吸入管20の先端部には、外気を取り込むための開口である吸入口22が形成されており、送風管40の先端部には、加圧した空気を放出するための開口である送風口42が形成されている。本実施形態の環境由来核酸回収装置10では、吸入管20および送風管40は、本体部12から同じ向きに延びるように形成されている。そして、送風管40は、吸入管20よりも長く形成されており、送風口42は、吸入口22に比べて本体部12から離間した位置で開口している。以下の説明では、環境由来核酸回収装置10において吸入管20および送風管40が延びる方向における吸入口22および送風口42が設けられた側の端部を「先端側」と呼び、吸入管20および送風管40が延びる方向における先端側とは異なる側の端部を「後端側」とも呼ぶ。
(【0011】以降は省略されています)
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