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公開番号2025129445
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-04
出願番号2025116371,2022566666
出願日2025-07-10,2021-05-04
発明の名称糸状菌におけるジャスモン酸類の生成
出願人住友化学株式会社
代理人弁理士法人浅村特許事務所
主分類C12P 7/50 20060101AFI20250828BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】
本発明は、振盪条件下で糸状菌においてジャスモン酸及びジャスモン酸メチル等のジャスモン酸類を生成するための改善された方法に関し、したがって従来の発酵槽を使用して製造プロセスの拡大を可能にする。
【解決手段】
具体的には、糸状菌の培養中に1つ又は複数の真菌クオラムセンシング分子及び/又はジャスモン酸類生成エリシターを栄養培地に添加して、好ましい形態の形成及びジャスモン酸類生成を誘導することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ジャスモン酸類の製造方法であって、
撹拌下において、少なくとも1つの真菌クオラムセンシング分子又は少なくとも1つのジャスモン酸類生成エリシターと、少なくとも1つの炭素源と、少なくとも1つの窒素源とを含む栄養培地中で糸状菌生物の株を培養することと、
前記栄養培地からジャスモン酸類生成物を単離することと、
を含む、ジャスモン酸類の製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記糸状菌生物が、ラシオディプロディア(Lasiodiplodia)属である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糸状菌生物が、ラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)株である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)生物の株が、CCTCC寄託番号M2107288の下に寄託されたラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)DWH-2である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記真菌クオラムセンシング分子が、ファルネソール、チロソール、トリプトフォール及びγ-ヘプタラクトンからなる群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記真菌クオラムセンシング分子が、ファルネセン酸、1-フェニル-エタノール、2-フェニルエタノール、マルチコラン酸(multicolanic acid)、マルチコロス酸(multicolosic acid)、マルチコール酸(multicolic acid)、ビチロラクトン-I、γ-ブチロラクトン、α-(1,3)-グルカン、a-因子フェロモン、α-因子フェロモン、3-オクタノン、3-オクタノール、及び1-オクテン-3-オールからなる群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記栄養培地が、ファルネソール、チロソール、トリプトフォール、γ-ヘプタラクトン、ファルネセン酸、1-フェニル-エタノール、2-フェニルエタノール、マルチコラン酸(multicolanic acid)、マルチコロス酸(multicolosic acid)、マルチコール酸(multicolic acid)、ビチロラクトン-I、γ-ブチロラクトン、α-(1,3)-グルカン、a-因子フェロモン、α-因子フェロモン、3-オクタノン、3-オクタノール、及び1-オクテン-3-オールからなる群から選択される2つ以上の真菌クオラムセンシング分子を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記栄養培地がファルネソール又はチロソールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ジャスモン酸類生成エリシターが、植物ホルモン、酸化ストレス因子及びヒストンデアセチラーゼ阻害剤からなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ジャスモン酸類生成エリシターが、インドール-3-酢酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、メチルビオロゲン、過酸化水素、バルプロ酸、及び酪酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年5月4日に出願された「PRODUCTION OF JASMONATES IN FILAMENTOUS FUNGI」と題する米国仮出願第63/019,429号に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 2,900 文字)【0002】
本発明の分野は、ラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)等の糸状菌におけるジャスモン酸類の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
ジャスモン酸(JA)、ジャスモン酸メチル(MeJA)、並びにジャスモン酸生合成経路における他の前駆体及び誘導体を含むジャスモン酸類は、経済的に非常に重要なα-リノレン酸由来化合物である。これらは、ネクロトロフ病原体及び草食性昆虫に対する植物防御において中心的な役割を果たす植物ホルモンのクラスである。それらはまた、トマトの葉におけるカフェオイルプトレシン等の多数の二次代謝産物の生合成を誘導する強力なエリシターである。例えば、Chen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:19237-19242(2005);Vijayan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:7209-7214(1998);及びChen et al.,FEBS Lett.580:2540-2546(2006)を参照されたい。
【0004】
ジャスミンのフローラルハートを連想させる臭気を与えるジャスモン酸メチルは、モモ、アプリコット、ブドウ及び他のフレーバのためのそのフローラルのノートに使用される。1973年以来、香料抽出物製造業者協会により、一般に安全と認められている(GRAS)と分類されている。更に、ジャスモン酸メチルは、新規クラスの抗がん剤として大きな可能性を有することも示されている。具体的には、がん細胞のミトコンドリアにおいてシトクロムC放出を誘導することによって、ジャスモン酸メチルは、正常細胞に害を及ぼさずにがん細胞を死滅させることができる。Rotem et al.,Cancer Res.,65:1984-1993(2005)を参照されたい。
【0005】
農業、香味及び芳香産業、並びに潜在的には医学におけるジャスモン酸類の重要性のために、ジャスモン酸類を大規模に製造することにかなりの関心が寄せられている。ジャスモン酸類は有機化学によって合成することができるが、「天然」フレーバに対する消費者の要求は、バイオベースのプロセスによって製造されたジャスモン酸類の市場を生み出している。より重要なことには、化学的に合成されたジャスモン酸類は、生物学的に活性な異性体及び不活性な異性体の混合物であるが、バイオベースのジャスモン酸類は、生物学的に活性な異性体が支配的である。残念なことに、他の植物ホルモンと同様に、ジャスモン酸及びジャスモン酸メチルの両方は、高等植物において微量でしか存在しないため(例えば、誘導された新鮮なトマトの葉の1kgにおいて10μg未満)、ジャスモン酸類の商業的供給源としての高等植物の開発を妨げる。Chen et al.,FEBS Lett.580:2540-2546(2006)を参照されたい。
【0006】
これに対して、ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)(同義は、ボトリオディプロディア・セオブロマエ(Botryodiplodia theobromae)及びディプロディア・ゴシピナ(Diplodia gossypina)を含む)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)等の糸状菌を用いたバイオプロダクションプロセスでは、大量のジャスモン酸を合成することができる(例えば1~1.5g/L)。米国特許第6,333,180号及びEng et al.,PLoS One,11:e0167627を参照されたい。実際、天然生成物としてのジャスモン酸は、1971年に真菌ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)の培養物から最初に単離された。Aldridge et al.,J.Chem.Soc.C,pp.1623-1627(1971)を参照されたい。
【0007】
しかし、ジャスモン酸は、静置フラスコ培養又は静置トレイ培養でのみ生成されることも見出された。一方、大規模発酵製造は、生産を最大にするためにロッキング又はオービタルシェイキングで動作する発酵槽を使用する。
【0008】
したがって、当該技術分野では、改良されたジャスモン酸類バイオプロダクション方法、特に、拡張可能であり、撹拌条件下で高い生産力価を達成することができるものが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、クオラムセンシング分子及び/又はエリシターを使用して糸状菌におけるジャスモン酸類生成を誘導することによって上記の問題に対処する。このような糸状菌の菌糸形態とジャスモン酸類生成レベルとの間に相関関係が見出された。具体的には、高レベルのジャスモン酸類生成は、糸状菌が菌糸体マットを形成することができる場合にのみ観察されたが、糸状菌が浮遊ペレット形態又は菌糸体粒子に凝集している場合には観察されなかった。クオラムセンシング分子の使用は、糸状菌が振盪条件下(例えば、撹拌システムによる)で生育する場合であっても菌糸体マットの形成を可能にする。ジャスモン酸類生成エリシターは、潜在的生合成経路を誘導又は覚醒させることができる小分子である。この場合、ジャスモン酸類生成エリシターは、糸状菌によるジャスモン酸類生成に関与する潜在的生合成経路を誘導又は覚醒させる能力のために選択される。
【0010】
したがって、一態様では、本発明は、1つ又は複数のジャスモン酸類(例えば、ジャスモン酸及び/又はジャスモン酸メチル)の製造方法を提供し、当該方法は、糸状菌生物の株を撹拌下において栄養培地中で培養することと、栄養培地からジャスモン酸類生成物を単離することと、を含む。糸状菌の代表的な属としては、ラシオディプロディア(Lasiodiplodia)、フザリウム(Fusarium)、及びジベレラ(Gibberella)が挙げられる。様々な実施形態では、糸状菌生物は、ラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)、ラシオディプロディア・セオブロマエ(Lasiodiplodia theobromae)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、及びジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)からなる群から選択することができる。代表的な実施形態では、糸状菌生物は、CCTCC寄託番号M2107288の下に寄託されたラシオディプロディア・イラネンシス(Lasiodiplodia iranensis)DWH-2である。
(【0011】以降は省略されています)

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